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第三章 商業国家アーティナイ連邦編
『カームクラン』防衛戦5
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『『いい考え』って一体なんなのよ?』
クラリスは、自由落下から再び『飛翔』の魔導で宙返りしながら上昇するユナに向かって尋ねた。
「見つけたんです。『黒竜』の弱点を」
『本当!?なら、勿体ぶらないで教えなさいよ!』
「それは・・・」
『それは?』
「ずばり!『頭部』です!」
『知っとるわー!』
クラリスは、思わず自分の側で滞空していたユナに向かって手でチョップをかましてしまった。
ドガァン!
ユナは、その振り下ろされた巨大な手を小さな体で受け止めた。
「ちょっ!?『プラタナ』でチョップは洒落になりませんよ!?」
『生き物なんだから!頭が弱点なのは当たり前でしょ!そんなことドヤ顔で言うもんじゃないわよ!』
『ちょっと!あんたらコントしてる場合じゃないでしょ!?次の『ブレス』が来るでしょうが!』
「まあ、聞いてください。本題はここからです」
「私は『頭部』といいましたが、具体的には『口腔内』です」
「『黒竜』を含めた『ドラゴン』に属する高位の魔獣や魔導を行使する魔獣は、私たち人間とは違って体内に独自の魔導結晶を持っているのは知っていますよね?」
『そりゃ、冒険者の収入源のひとつだから知ってるわよ』
冒険者がクエストを受注して魔導結晶を鉱床から採掘したり、高位の魔獣を討伐してその体内から回収して収入の糧にする事はごく一般的に行われている。
その為、魔獣の強さに応じて有用性は異なるが、魔獣の体内に魔導結晶が存在する事は周知の事実であった。
「はい、おそらく『黒竜』は自身が持つ魔導結晶が『闇の力』による影響を受けていることで我を失っているはずです。『闇の力』の影響を最も受け易いのは体内で多くのマナが集まる場所・・すなわち魔導結晶を内包した魔力臓でしょうから」
「そして、『黒竜』が放つ『ブレス』は、言わば魔導収束砲と同じです。あれほどの威力を持つのであれば、魔力臓と口腔内のマナを収束する器官が直結されているとみて間違い無いでしょう」
『つまり口腔内にある収束器官を浄化魔導、要は『ホーリーバスターキャノン』で狙えば、体内の魔導結晶に浄化魔導の効果を直接与えれるわけね!』
「御明察です」
キラッ!
ビシュウウウ!
ユナと『プラタナ』は会話をしながらも『黒竜』のブレスを回避していた。
『ファイアーボール!』
チュドーン!!
『はあ・・はあ・・『ブレス』を見切りながら魔導を詠唱するのも難しいわね・・で?肝心の『口腔』はどうやって狙うわけ?』
『そ、そうよ!『ホーリーバスターキャノン』は反動がすごいし、発射まで時間がかかるわよ!呑気にアレが口を開ける瞬間なんて狙えないわ!』
「その事ですが、先ほどから『黒竜』を観察している限り、『ブレス』を吐く瞬間は『黒竜』の動きも完全に止まっています。その瞬間に正面から口腔内を『ホーリーバスターキャノン』で狙えばいいのです」
『なるほど!その手があったか!・・って言うわけないでしょうが!つまり、あたしが真っ正面から『ブレス』を食らいに行くってことよね!?』
「有り体に言えばそうなりますが、私の目で見ても『ホーリーバスターキャノン』の出力は『黒竜』の『ブレス』を上回っているように見えます。要は正面から撃ち合って『ブレス』を押し返したらいいのです」
『そんなの博打もいいとこじゃない!?下手したらあたしが消し飛んじゃうわよ!』
「なら、ハーティルティア様がエメラダを討伐するまで、このまま凌ぐしかありませんね・・」
「あー!もう!!わかったわよ!やればいいんでしょ!やれば!で、どうすればいいわけ?」
「さすがクラリス、話が早くて助かります。作戦ですが、一旦私達は『黒竜』の気をこちらに向けます。その間に『プラタナ』は地上で『ホーリーバスターキャノン』の発射準備をしてください」
「発射準備が完了する直前になったら、私と『メルティーナ』は『プラタナ』の背後に移動します」
「私達が一塊になってしまえば、『黒竜』は私達を『ブレス』で攻撃してくるはずです」
「そして、その瞬間を見計らって『ホーリーバスターキャノン』で『ブレス』を押し返します」
「『ブレス』を無事に押し返すことができれば、トドメに『メルティーナ』はありったけのマナを込めて『黒竜』へ『ホーリーアロー』を叩き込んで『黒の魔導結晶』を無力化してください」
『作戦の概要はわかったがユナよ、そなたは一体なにをするのだ?』
「もちろん、私は『プラタナ』の後ろでクラリスの応援をしますよ?」
『ユナ・・・』
ユナの言葉を聞いたクラリスは、『プラタナ』の中で顔を引き攣らせていた。
『まあ、なんか釈然とはしないけど内容は理解したわ。そうと決まればさっさとやるわよ!』
クラリスは半ば投げやりに言い捨てると、『プラタナ』の腕を空へ向けた。
『じゃあ行くわよ!出でよ!『ホーリーバスターキャノン』』
直後、クラリスの掛け声と共に巨大な銃型の魔導具が顕現した。
そして、『プラタナ』は顕現した『ホーリーバスターキャノン』を掴み取ると、『メルティーナ』の方を向いた。
『そうだ、あなたの『リデューシングソード』、貸してくれる?』
『別に、それは構わないけど・・』
ウィィン・・ジャキン・・。
二アールはクラリスに促されるまま、『メルティーナ』の腰部にある鞘に納刀された『リデューシングソード』を『プラタナ』へ手渡した。
『で、それをどうするわけ?』
『どうするも何も、こうするのよ!』
そう言いながら、『プラタナ』は思い切り『メルティーナ』の『リデューシングソード』を持った腕部を大きく振りかぶった。
『そぉい!』
ブンッ!
そして、間髪を入れずにそれを地面に向かって投擲した。
ズブシュ!
猛スピードで飛んでいった『メルティーナ』の『リデューシングソード』はそのまま地面に深く突き刺さった。
『ぎゃー!!ちょっとクラリス!?いきなり何すんのよ!?』
『まあ、黙って見ていなさいってば!』
ウィーン・・ガシャコ!
ジャキン!!
クラリスは二アールが驚愕するのを尻目に『プラタナ』の背部補助腕に搭載された鞘から、自分の『リデューシングソード』を抜刀した。
バシュウウ!
そして、『ホーリーバスターキャノン』を脇部に抱えていない方の腕部で剣を構えると、地面に突き刺さったもう一本の『リデューシングソード』に向かって急降下した。
クラリスは、自由落下から再び『飛翔』の魔導で宙返りしながら上昇するユナに向かって尋ねた。
「見つけたんです。『黒竜』の弱点を」
『本当!?なら、勿体ぶらないで教えなさいよ!』
「それは・・・」
『それは?』
「ずばり!『頭部』です!」
『知っとるわー!』
クラリスは、思わず自分の側で滞空していたユナに向かって手でチョップをかましてしまった。
ドガァン!
ユナは、その振り下ろされた巨大な手を小さな体で受け止めた。
「ちょっ!?『プラタナ』でチョップは洒落になりませんよ!?」
『生き物なんだから!頭が弱点なのは当たり前でしょ!そんなことドヤ顔で言うもんじゃないわよ!』
『ちょっと!あんたらコントしてる場合じゃないでしょ!?次の『ブレス』が来るでしょうが!』
「まあ、聞いてください。本題はここからです」
「私は『頭部』といいましたが、具体的には『口腔内』です」
「『黒竜』を含めた『ドラゴン』に属する高位の魔獣や魔導を行使する魔獣は、私たち人間とは違って体内に独自の魔導結晶を持っているのは知っていますよね?」
『そりゃ、冒険者の収入源のひとつだから知ってるわよ』
冒険者がクエストを受注して魔導結晶を鉱床から採掘したり、高位の魔獣を討伐してその体内から回収して収入の糧にする事はごく一般的に行われている。
その為、魔獣の強さに応じて有用性は異なるが、魔獣の体内に魔導結晶が存在する事は周知の事実であった。
「はい、おそらく『黒竜』は自身が持つ魔導結晶が『闇の力』による影響を受けていることで我を失っているはずです。『闇の力』の影響を最も受け易いのは体内で多くのマナが集まる場所・・すなわち魔導結晶を内包した魔力臓でしょうから」
「そして、『黒竜』が放つ『ブレス』は、言わば魔導収束砲と同じです。あれほどの威力を持つのであれば、魔力臓と口腔内のマナを収束する器官が直結されているとみて間違い無いでしょう」
『つまり口腔内にある収束器官を浄化魔導、要は『ホーリーバスターキャノン』で狙えば、体内の魔導結晶に浄化魔導の効果を直接与えれるわけね!』
「御明察です」
キラッ!
ビシュウウウ!
ユナと『プラタナ』は会話をしながらも『黒竜』のブレスを回避していた。
『ファイアーボール!』
チュドーン!!
『はあ・・はあ・・『ブレス』を見切りながら魔導を詠唱するのも難しいわね・・で?肝心の『口腔』はどうやって狙うわけ?』
『そ、そうよ!『ホーリーバスターキャノン』は反動がすごいし、発射まで時間がかかるわよ!呑気にアレが口を開ける瞬間なんて狙えないわ!』
「その事ですが、先ほどから『黒竜』を観察している限り、『ブレス』を吐く瞬間は『黒竜』の動きも完全に止まっています。その瞬間に正面から口腔内を『ホーリーバスターキャノン』で狙えばいいのです」
『なるほど!その手があったか!・・って言うわけないでしょうが!つまり、あたしが真っ正面から『ブレス』を食らいに行くってことよね!?』
「有り体に言えばそうなりますが、私の目で見ても『ホーリーバスターキャノン』の出力は『黒竜』の『ブレス』を上回っているように見えます。要は正面から撃ち合って『ブレス』を押し返したらいいのです」
『そんなの博打もいいとこじゃない!?下手したらあたしが消し飛んじゃうわよ!』
「なら、ハーティルティア様がエメラダを討伐するまで、このまま凌ぐしかありませんね・・」
「あー!もう!!わかったわよ!やればいいんでしょ!やれば!で、どうすればいいわけ?」
「さすがクラリス、話が早くて助かります。作戦ですが、一旦私達は『黒竜』の気をこちらに向けます。その間に『プラタナ』は地上で『ホーリーバスターキャノン』の発射準備をしてください」
「発射準備が完了する直前になったら、私と『メルティーナ』は『プラタナ』の背後に移動します」
「私達が一塊になってしまえば、『黒竜』は私達を『ブレス』で攻撃してくるはずです」
「そして、その瞬間を見計らって『ホーリーバスターキャノン』で『ブレス』を押し返します」
「『ブレス』を無事に押し返すことができれば、トドメに『メルティーナ』はありったけのマナを込めて『黒竜』へ『ホーリーアロー』を叩き込んで『黒の魔導結晶』を無力化してください」
『作戦の概要はわかったがユナよ、そなたは一体なにをするのだ?』
「もちろん、私は『プラタナ』の後ろでクラリスの応援をしますよ?」
『ユナ・・・』
ユナの言葉を聞いたクラリスは、『プラタナ』の中で顔を引き攣らせていた。
『まあ、なんか釈然とはしないけど内容は理解したわ。そうと決まればさっさとやるわよ!』
クラリスは半ば投げやりに言い捨てると、『プラタナ』の腕を空へ向けた。
『じゃあ行くわよ!出でよ!『ホーリーバスターキャノン』』
直後、クラリスの掛け声と共に巨大な銃型の魔導具が顕現した。
そして、『プラタナ』は顕現した『ホーリーバスターキャノン』を掴み取ると、『メルティーナ』の方を向いた。
『そうだ、あなたの『リデューシングソード』、貸してくれる?』
『別に、それは構わないけど・・』
ウィィン・・ジャキン・・。
二アールはクラリスに促されるまま、『メルティーナ』の腰部にある鞘に納刀された『リデューシングソード』を『プラタナ』へ手渡した。
『で、それをどうするわけ?』
『どうするも何も、こうするのよ!』
そう言いながら、『プラタナ』は思い切り『メルティーナ』の『リデューシングソード』を持った腕部を大きく振りかぶった。
『そぉい!』
ブンッ!
そして、間髪を入れずにそれを地面に向かって投擲した。
ズブシュ!
猛スピードで飛んでいった『メルティーナ』の『リデューシングソード』はそのまま地面に深く突き刺さった。
『ぎゃー!!ちょっとクラリス!?いきなり何すんのよ!?』
『まあ、黙って見ていなさいってば!』
ウィーン・・ガシャコ!
ジャキン!!
クラリスは二アールが驚愕するのを尻目に『プラタナ』の背部補助腕に搭載された鞘から、自分の『リデューシングソード』を抜刀した。
バシュウウ!
そして、『ホーリーバスターキャノン』を脇部に抱えていない方の腕部で剣を構えると、地面に突き刺さったもう一本の『リデューシングソード』に向かって急降下した。
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