転生女神は自分が創造した世界で平穏に暮らしたい

りゅうじんまんさま

文字の大きさ
141 / 229
第三章 商業国家アーティナイ連邦編

『カームクラン』防衛戦5

しおりを挟む
『『いい考え』って一体なんなのよ?』

 クラリスは、自由落下から再び『飛翔フライ』の魔導で宙返りしながら上昇するユナに向かって尋ねた。

「見つけたんです。『黒竜バハムート』の弱点を」

『本当!?なら、勿体ぶらないで教えなさいよ!』

「それは・・・」

『それは?』

「ずばり!『頭部』です!」

『知っとるわー!』

 クラリスは、思わず自分の側で滞空していたユナに向かってマニピュレーターでチョップをかましてしまった。

 ドガァン!

 ユナは、その振り下ろされた巨大なマニピュレーターを小さな体で受け止めた。

「ちょっ!?『プラタナ』でチョップは洒落になりませんよ!?」

『生き物なんだから!頭が弱点なのは当たり前でしょ!そんなことドヤ顔で言うもんじゃないわよ!』

『ちょっと!あんたらコントしてる場合じゃないでしょ!?次の『ブレス』が来るでしょうが!』

「まあ、聞いてください。本題はここからです」

「私は『頭部』といいましたが、具体的には『口腔内』です」

「『黒竜バハムート』を含めた『ドラゴン』に属する高位の魔獣や魔導を行使する魔獣は、私たち人間とは違って体内に独自の魔導結晶を持っているのは知っていますよね?」

『そりゃ、冒険者の収入源のひとつだから知ってるわよ』

 冒険者がクエストを受注して魔導結晶を鉱床から採掘したり、高位の魔獣を討伐してその体内から回収して収入の糧にする事はごく一般的に行われている。

 その為、魔獣の強さに応じて有用性は異なるが、魔獣の体内に魔導結晶が存在する事は周知の事実であった。

「はい、おそらく『黒竜バハムート』は自身が持つ魔導結晶が『闇の力』による影響を受けていることで我を失っているはずです。『闇の力』の影響を最も受け易いのは体内で多くのマナが集まる場所・・すなわち魔導結晶を内包した魔力臓でしょうから」

「そして、『黒竜バハムート』が放つ『ブレス』は、言わば魔導収束砲と同じです。あれほどの威力を持つのであれば、魔力臓と口腔内のマナを収束する器官が直結されているとみて間違い無いでしょう」

『つまり口腔内にある収束器官を浄化魔導、要は『ホーリーバスターキャノン』で狙えば、体内の魔導結晶に浄化魔導の効果を直接与えれるわけね!』

「御明察です」

 キラッ!

 ビシュウウウ!

 ユナと『プラタナ』は会話をしながらも『黒竜バハムート』のブレスを回避していた。

『ファイアーボール!』

 チュドーン!!

『はあ・・はあ・・『ブレス』を見切りながら魔導を詠唱キャストするのも難しいわね・・で?肝心の『口腔』はどうやって狙うわけ?』

『そ、そうよ!『ホーリーバスターキャノン』は反動がすごいし、発射まで時間がかかるわよ!呑気にが口を開ける瞬間なんて狙えないわ!』

「その事ですが、先ほどから『黒竜バハムート』を観察している限り、『ブレス』を吐く瞬間は『黒竜バハムート』の動きも完全に止まっています。その瞬間に正面から口腔内を『ホーリーバスターキャノン』で狙えばいいのです」

『なるほど!その手があったか!・・って言うわけないでしょうが!つまり、あたしが真っ正面から『ブレス』を食らいに行くってことよね!?』

「有り体に言えばそうなりますが、私の目で見ても『ホーリーバスターキャノン』の出力は『黒竜バハムート』の『ブレス』を上回っているように見えます。要は正面から撃ち合って『ブレス』を押し返したらいいのです」

『そんなの博打もいいとこじゃない!?下手したらあたしが消し飛んじゃうわよ!』

「なら、ハーティルティア様がエメラダを討伐するまで、このまま凌ぐしかありませんね・・」

「あー!もう!!わかったわよ!やればいいんでしょ!やれば!で、どうすればいいわけ?」

「さすがクラリス、話が早くて助かります。作戦ですが、一旦私達は『黒竜バハムート』の気をこちらに向けます。その間に『プラタナ』は地上で『ホーリーバスターキャノン』の発射準備をしてください」

「発射準備が完了する直前になったら、私と『メルティーナ』は『プラタナ』の背後に移動します」

「私達が一塊になってしまえば、『黒竜バハムート』は私達を『ブレス』で攻撃してくるはずです」

「そして、その瞬間を見計らって『ホーリーバスターキャノン』で『ブレス』を押し返します」

「『ブレス』をに押し返すことができれば、トドメに『メルティーナ』はありったけのマナを込めて『黒竜バハムート』へ『ホーリーアロー』を叩き込んで『黒の魔導結晶』を無力化してください」

『作戦の概要はわかったがユナよ、そなたは一体なにをするのだ?』

「もちろん、私は『プラタナ』の後ろでクラリスの応援をしますよ?」

『ユナ・・・』

 ユナの言葉を聞いたクラリスは、『プラタナ』の中で顔を引き攣らせていた。

『まあ、なんか釈然とはしないけど内容は理解したわ。そうと決まればさっさとやるわよ!』

 クラリスは半ば投げやりに言い捨てると、『プラタナ』の腕を空へ向けた。

『じゃあ行くわよ!でよ!『ホーリーバスターキャノン』』

 直後、クラリスの掛け声と共に巨大な銃型の魔導具が顕現した。

 そして、『プラタナ』は顕現した『ホーリーバスターキャノン』を掴み取ると、『メルティーナ』の方を向いた。

『そうだ、あなたの『リデューシングソード』、貸してくれる?』

『別に、それは構わないけど・・』

 ウィィン・・ジャキン・・。

 二アールはクラリスに促されるまま、『メルティーナ』の腰部にある鞘に納刀された『リデューシングソード』を『プラタナ』へ手渡した。

『で、それをどうするわけ?』

『どうするも何も、するのよ!』

 そう言いながら、『プラタナ』は思い切り『メルティーナ』の『リデューシングソード』を持った腕部を大きく振りかぶった。

『そぉい!』

 ブンッ!

 そして、間髪を入れずにそれを地面に向かって投擲した。

 ズブシュ!

 猛スピードで飛んでいった『メルティーナ』の『リデューシングソード』はそのまま地面に深く突き刺さった。

『ぎゃー!!ちょっとクラリス!?いきなり何すんのよ!?』

『まあ、黙って見ていなさいってば!』

 ウィーン・・ガシャコ!

 ジャキン!!

 クラリスは二アールが驚愕するのを尻目に『プラタナ』の背部補助腕に搭載された鞘から、自分の『リデューシングソード』を抜刀した。

 バシュウウ!

 そして、『ホーリーバスターキャノン』を脇部に抱えていない方の腕部で剣を構えると、地面に突き刺さったもう一本の『リデューシングソード』に向かって急降下した。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

スローライフ 転生したら竜騎士に?

梨香
ファンタジー
『田舎でスローライフをしたい』バカップルの死神に前世の記憶を消去ミスされて赤ちゃんとして転生したユーリは竜を見て異世界だと知る。農家の娘としての生活に不満は無かったが、両親には秘密がありそうだ。魔法が存在する世界だが、普通の農民は狼と話したりしないし、農家の女将さんは植物に働きかけない。ユーリは両親から魔力を受け継いでいた。竜のイリスと絆を結んだユーリは竜騎士を目指す。竜騎士修行や前世の知識を生かして物を売り出したり、忙しいユーリは恋には奥手。スローライフとはかけ離れた人生をおくります。   

剣ぺろ伝説〜悪役貴族に転生してしまったが別にどうでもいい〜

みっちゃん
ファンタジー
俺こと「天城剣介」は22歳の日に交通事故で死んでしまった。 …しかし目を覚ますと、俺は知らない女性に抱っこされていた! 「元気に育ってねぇクロウ」 (…クロウ…ってまさか!?) そうここは自分がやっていた恋愛RPGゲーム 「ラグナロク•オリジン」と言う学園と世界を舞台にした超大型シナリオゲームだ そんな世界に転生して真っ先に気がついたのは"クロウ"と言う名前、そう彼こそ主人公の攻略対象の女性を付け狙う、ゲーム史上最も嫌われている悪役貴族、それが 「クロウ•チューリア」だ ありとあらゆる人々のヘイトを貯める行動をして最後には全てに裏切られてザマァをされ、辺境に捨てられて惨めな日々を送る羽目になる、そう言う運命なのだが、彼は思う 運命を変えて仕舞えば物語は大きく変わる "バタフライ効果"と言う事を思い出し彼は誓う 「ザマァされた後にのんびりスローライフを送ろう!」と! その為に彼がまず行うのはこのゲーム唯一の「バグ技」…"剣ぺろ"だ 剣ぺろと言う「バグ技」は "剣を舐めるとステータスのどれかが1上がるバグ"だ この物語は 剣ぺろバグを使い優雅なスローライフを目指そうと奮闘する悪役貴族の物語 (自分は学園編のみ登場してそこからは全く登場しない、ならそれ以降はのんびりと暮らせば良いんだ!) しかしこれがフラグになる事を彼はまだ知らない

転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。

琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。 ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!! スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。 ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!? 氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。 このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。

転生先の異世界で温泉ブームを巻き起こせ!

カエデネコ
ファンタジー
日本のとある旅館の跡継ぎ娘として育てられた前世を活かして転生先でも作りたい最高の温泉地! 恋に仕事に事件に忙しい! カクヨムの方でも「カエデネコ」でメイン活動してます。カクヨムの方が更新が早いです。よろしければそちらもお願いしますm(_ _)m

アワセワザ! ~異世界乳幼女と父は、二人で強く生きていく~

eggy
ファンタジー
 もと魔狩人《まかりびと》ライナルトは大雪の中、乳飲み子を抱いて村に入った。  村では魔獣や獣に被害を受けることが多く、村人たちが生活と育児に協力する代わりとして、害獣狩りを依頼される。  ライナルトは村人たちの威力の低い攻撃魔法と協力して大剣を振るうことで、害獣狩りに挑む。  しかし年々増加、凶暴化してくる害獣に、低威力の魔法では対処しきれなくなってくる。  まだ赤ん坊の娘イェッタは何処からか降りてくる『知識』に従い、魔法の威力増加、複数合わせた使用法を工夫して、父親を援助しようと考えた。  幼い娘と父親が力を合わせて害獣や強敵に挑む、冒険ファンタジー。 「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています。

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

追放された万能聖魔導師、辺境で無自覚に神を超える ~俺を無能と言った奴ら、まだ息してる?~

たまごころ
ファンタジー
王国一の聖魔導師アレンは、嫉妬した王子の策略で「無能」と断じられ、国を追放された。 辿り着いた辺境の村で、アレンは「ただの治癒師」として静かに暮らそうとするが――。 壊れた街を再生し、疫病を一晩で根絶し、魔王の眷属まで癒しながら、本人はただの村医者のつもり。 その結果、「あの無能が神を超えた」と噂が広がり、王と勇者は頭を抱えることに。 ざまぁとスカッとが止まらない、無自覚最強転生ファンタジー開幕!

処理中です...