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第三章 商業国家アーティナイ連邦編
エメラダとの決着1
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シュピン!
エメラダが『第二ラウンド』開始を宣言した瞬間、ハーティの目前から消滅した。
刹那、ハーティは背後に気配を感じたので、その感覚を信じて裏拳を放った。
バァァン!
「ぶべらっ!?」
消滅したと思っていたエメラダはハーティの背後へ高速で回り込んでいたのだが、ハーティの超感覚によって再びその裏拳を顔面へとめり込ませていた。
ズザァァァァァァ!!
ハーティのカウンターにより、エメラダは裏拳によってつぶれた顔面を抑えながら後ろへと吹き飛ばされていった。
ザザザー、シュタッ!
しかし、エメラダがその勢いを殺して立ち上がった頃には、裏拳で陥没した顔面の傷すら瞬時に回復していた。
「女の顔ばかり狙うなんて、あんたもなかなか容赦が無いじゃあないか!」
エメラダはそう言いながら『ペッ!』と口内の血を吐き捨てた。
(浄化魔導が一応効いているということは、ナラトスと戦っていたときに言っていた『『邪神』の存在が肉体へ完全に定着している状態』という訳では無さそうだけど・・・)
(治癒魔導も使わずに肉体を再生するという事が解せないわ・・)
(それに浄化魔導が有効な限り、私が渾身の力で放った浄化魔導で滅ぼされなかった『邪神』は今まで存在しなかったわ・・それは『神界大戦』の時から変わらない・・)
(体の一部が無事であれば瞬時に再生する能力・・そんな存在なんて・・・)
その時、ハーティの中で太古の記憶がフラッシュバックした。
・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・。
「かくなる上はこの神界、そして我々神々の存在全てを以って、邪神デスティウルスごと滅ぼして、世界を再構築するしかありません」
「悠久の時を生きた神々にとって、その身を滅ぼすことはつらいと思いますが・・・」
「グォォォォン」
(愚かな神々達よ・・・・我の糧となるために滅びるがいい!)
・・・・・。
「世界創生!神気解放!」
(神気解放だと!? 貴様ら、我を道連れにするつもりか!?)
(このようなことなど許されない!愚かな神々よ!例え我が身が滅びようとも、必ず!必ず我は復活するであろう!)
(必ずや!必ず・・・!)
・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・。
「邪神・・デスティウルス・・」
かつての記憶の中に今も尚、大きく存在する名をハーティルティアは口にする。
「ハーティルティアアアアア!」
チュドーン!チュドーン!
その間もハーティにはエメラダの魔弾の雨が降り注いでいた。
焦土と化していく大地は、記憶の彼方にある『神界』の姿と重なっていた。
(かつての『デスティウルス』はエメラダとは違って形を持った確かな存在では無かったけど、同じようにその存在全てを滅ぼさない限りは何度でも復活した・・)
(だからこそ、『神界』中に広がった『デスティウルス』を滅ぼすには『神界』そのものを犠牲にするしか無かった)
(もし、エメラダが『デスティウルス』と同じ能力を持っていたとして、受肉していると思っていたあの身体は『邪神の存在』そのものだったとすれば・・あの再生能力も頷ける・・)
(とすれは、エメラダを討伐するにはかつての『デスティウルス』と同じように、その存在全てを塵も残さず滅ぼす以外に無いわ!)
(でもどうする!?『女神の光』は発動に集中しないといけないし、万が一エーテルを使い切ってしまえば『黒竜』と戦うユナ達にも影響が出るわ・・・)
その時、再びハーティルティアの脳裏に太古の記憶がよぎった。
・・・・・。
・・・・・・・・。
果てしなく続く緑豊かな大地、数浮く浮島から降り注ぐ清らかな滝・・。
そんな美しい景色のある一角だけが荒野となり、黒い霧を纏った幾柱の『邪神』達がひしめき合っていた。
それを浮島の一つから、女神ハーティルティアが率いる神々の軍勢が見下ろしていた。
神々の中で最も神格の高いハーティルティアの横には側近である、リリスを含めた二柱の女神と一柱の神が侍っていた。
その内の一柱である筋骨隆々の神がハーティルティアへ話しかけた。
「我が親愛なる主君、これだけの軍勢ですと浄化するには少々骨が折れますな」
「そんなもの、ハーティルティア様の『女神の光』で纏めて浄化すれば良いのです!」
「はっ!この浮島がどうやって浮いているのか忘れたんじゃねぇのか?親愛なる主君の『神技』は辺りの『神気』を皆使い果たしてしまうんだぜ!?前みたいに浮島を落っことしていいのかよ?これだから『無鉄砲リリス』ちゃんはよぉ・・」
「『無鉄砲』は余計ですっ!」
「うぐっ!?それは私にも耳が痛い話です・・・」
「まあまあ、二柱共・・敬愛する主様、あの時はやむを得なかったのですから、気を病まないでくださいませ」
男型の神とリリスの言い争いを長身で大人じみた見た目をしたもう一柱の女神が嗜めつつ、ハーティルティアを励ました。
「仕方ありませんなあ。それじゃあ、我が親愛なる主君の為に一肌脱ぐとしますかな!」
ズドォン!
そういうと、その神は肩に担いでいた巨大な『聖斧』を無造作に放り投げた。
「ああ!『聖斧レガリア』がっ!?ハーティルティア様から賜った『神器』に何てことを!?」
放り投げられて地面に深く突き刺さった『聖斧』を見たリリスは顔を青ざめさせた。
「いいのです、リリス。『武器』とはそういうものですから。あくまでも私達神々の『存在』を護る道具にすぎないのですから」
「私はこんなに『聖杖エーテリア』を大切にしているのに・・・」
リリスは恍惚な表情で、自分の『聖杖』に頬擦りをしていた。
「くだらない話をしている暇は無さそうだぜ?リリスちゃんよお?親愛なる主君の御前、格好良く決めてやらねえとな?」
男型の神はハーティルティアに向かって『ニカッ!』と笑うと膨大なマナを放出し始めた。
その姿を見たハーティは『ふふ・・』と優しく微笑んだ。
「では、この場は頼みますよ。『バハムス神』・・・」
直後、神聖な光が『邪神』の軍団を滅ぼしていった。
エメラダが『第二ラウンド』開始を宣言した瞬間、ハーティの目前から消滅した。
刹那、ハーティは背後に気配を感じたので、その感覚を信じて裏拳を放った。
バァァン!
「ぶべらっ!?」
消滅したと思っていたエメラダはハーティの背後へ高速で回り込んでいたのだが、ハーティの超感覚によって再びその裏拳を顔面へとめり込ませていた。
ズザァァァァァァ!!
ハーティのカウンターにより、エメラダは裏拳によってつぶれた顔面を抑えながら後ろへと吹き飛ばされていった。
ザザザー、シュタッ!
しかし、エメラダがその勢いを殺して立ち上がった頃には、裏拳で陥没した顔面の傷すら瞬時に回復していた。
「女の顔ばかり狙うなんて、あんたもなかなか容赦が無いじゃあないか!」
エメラダはそう言いながら『ペッ!』と口内の血を吐き捨てた。
(浄化魔導が一応効いているということは、ナラトスと戦っていたときに言っていた『『邪神』の存在が肉体へ完全に定着している状態』という訳では無さそうだけど・・・)
(治癒魔導も使わずに肉体を再生するという事が解せないわ・・)
(それに浄化魔導が有効な限り、私が渾身の力で放った浄化魔導で滅ぼされなかった『邪神』は今まで存在しなかったわ・・それは『神界大戦』の時から変わらない・・)
(体の一部が無事であれば瞬時に再生する能力・・そんな存在なんて・・・)
その時、ハーティの中で太古の記憶がフラッシュバックした。
・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・。
「かくなる上はこの神界、そして我々神々の存在全てを以って、邪神デスティウルスごと滅ぼして、世界を再構築するしかありません」
「悠久の時を生きた神々にとって、その身を滅ぼすことはつらいと思いますが・・・」
「グォォォォン」
(愚かな神々達よ・・・・我の糧となるために滅びるがいい!)
・・・・・。
「世界創生!神気解放!」
(神気解放だと!? 貴様ら、我を道連れにするつもりか!?)
(このようなことなど許されない!愚かな神々よ!例え我が身が滅びようとも、必ず!必ず我は復活するであろう!)
(必ずや!必ず・・・!)
・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・。
「邪神・・デスティウルス・・」
かつての記憶の中に今も尚、大きく存在する名をハーティルティアは口にする。
「ハーティルティアアアアア!」
チュドーン!チュドーン!
その間もハーティにはエメラダの魔弾の雨が降り注いでいた。
焦土と化していく大地は、記憶の彼方にある『神界』の姿と重なっていた。
(かつての『デスティウルス』はエメラダとは違って形を持った確かな存在では無かったけど、同じようにその存在全てを滅ぼさない限りは何度でも復活した・・)
(だからこそ、『神界』中に広がった『デスティウルス』を滅ぼすには『神界』そのものを犠牲にするしか無かった)
(もし、エメラダが『デスティウルス』と同じ能力を持っていたとして、受肉していると思っていたあの身体は『邪神の存在』そのものだったとすれば・・あの再生能力も頷ける・・)
(とすれは、エメラダを討伐するにはかつての『デスティウルス』と同じように、その存在全てを塵も残さず滅ぼす以外に無いわ!)
(でもどうする!?『女神の光』は発動に集中しないといけないし、万が一エーテルを使い切ってしまえば『黒竜』と戦うユナ達にも影響が出るわ・・・)
その時、再びハーティルティアの脳裏に太古の記憶がよぎった。
・・・・・。
・・・・・・・・。
果てしなく続く緑豊かな大地、数浮く浮島から降り注ぐ清らかな滝・・。
そんな美しい景色のある一角だけが荒野となり、黒い霧を纏った幾柱の『邪神』達がひしめき合っていた。
それを浮島の一つから、女神ハーティルティアが率いる神々の軍勢が見下ろしていた。
神々の中で最も神格の高いハーティルティアの横には側近である、リリスを含めた二柱の女神と一柱の神が侍っていた。
その内の一柱である筋骨隆々の神がハーティルティアへ話しかけた。
「我が親愛なる主君、これだけの軍勢ですと浄化するには少々骨が折れますな」
「そんなもの、ハーティルティア様の『女神の光』で纏めて浄化すれば良いのです!」
「はっ!この浮島がどうやって浮いているのか忘れたんじゃねぇのか?親愛なる主君の『神技』は辺りの『神気』を皆使い果たしてしまうんだぜ!?前みたいに浮島を落っことしていいのかよ?これだから『無鉄砲リリス』ちゃんはよぉ・・」
「『無鉄砲』は余計ですっ!」
「うぐっ!?それは私にも耳が痛い話です・・・」
「まあまあ、二柱共・・敬愛する主様、あの時はやむを得なかったのですから、気を病まないでくださいませ」
男型の神とリリスの言い争いを長身で大人じみた見た目をしたもう一柱の女神が嗜めつつ、ハーティルティアを励ました。
「仕方ありませんなあ。それじゃあ、我が親愛なる主君の為に一肌脱ぐとしますかな!」
ズドォン!
そういうと、その神は肩に担いでいた巨大な『聖斧』を無造作に放り投げた。
「ああ!『聖斧レガリア』がっ!?ハーティルティア様から賜った『神器』に何てことを!?」
放り投げられて地面に深く突き刺さった『聖斧』を見たリリスは顔を青ざめさせた。
「いいのです、リリス。『武器』とはそういうものですから。あくまでも私達神々の『存在』を護る道具にすぎないのですから」
「私はこんなに『聖杖エーテリア』を大切にしているのに・・・」
リリスは恍惚な表情で、自分の『聖杖』に頬擦りをしていた。
「くだらない話をしている暇は無さそうだぜ?リリスちゃんよお?親愛なる主君の御前、格好良く決めてやらねえとな?」
男型の神はハーティルティアに向かって『ニカッ!』と笑うと膨大なマナを放出し始めた。
その姿を見たハーティは『ふふ・・』と優しく微笑んだ。
「では、この場は頼みますよ。『バハムス神』・・・」
直後、神聖な光が『邪神』の軍団を滅ぼしていった。
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