転生女神は自分が創造した世界で平穏に暮らしたい

りゅうじんまんさま

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第三章 商業国家アーティナイ連邦編

懐かしい声

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「ぐすっ!ハーティざあ"あ"あ"ん!」

 ハーティは、鼻を啜るミウの頭を優しく撫でる。

『女神化』したハーティがミウを抱きしめながら優しく頭を撫でる姿は、まさに慈愛に満ちた『女神』の姿であった。

「くっ!羨ましいですっ!」

「ユナはブレないわねぇ」

 それを見て悔しがるユナに、クラリスは呆れた眼差しを向けた。

「ミウさん、大丈夫よ。私も『カームクラン』が大好きだし、『黒の魔導結晶』を全て浄化できたら、必ずまた遊びにくるわ」

「ほんとかえ?」

「もちろんよ。私たちは『お友達』なんだから」

 そう言うと、ハーティはミウへ手を差し出した。

「ふふ、『女神様』とお友達になるなんて、名誉なことじゃの」

 ミウは気を取り直した後に自分の涙を拭うと、笑顔でハーティから差し出された手を取った。

「「「ワァァァァァ!」」」

 パチパチパチパチッ!

 その様子を見ていた周囲からは、大きな拍手喝采が沸き起こった。

「ふふっ・・なんだか恥ずかしいわ・・」

『・・ィア様・・・』

「ほんとにのう」

『・・ティルティア様・・!』

「・・うん?」

 ハーティとミウが拍手喝采を浴びて、和みながらも恥ずかしがっている時、突如ハーティが耳につけているピアスから声が聞こえてきた。

 ハーティがその声を不思議に思って『白銀の剣』のメンバーを見渡すが、誰もピアスに語りかけている様子ではなかった。

『ハーティルティア様!!聞こえますか!』

 そして、ピアスからの声は徐々にはっきりしたものへと変化した。

 それはハーティにとって、聞き覚えのある声であった。

「その声は!?まさか!?」

『はい、貴方様の愛しのリリスです!』

「え!?嘘でしょ!?」

「うん?どうしたのじゃ?」

「いや、今突然ピアスから『聖女リリス』の声が聞こえてきたのよ!」

 そのハーティの言葉を聞いたクラリスは満面の笑みを浮かべた。

「さすがカツ!!とうとう、あたしの『長距離エーテル通信』を実現したのね!!」

「どういうこと!?」

 得意げに喜ぶクラリスへ、ハーティは問いかけた。

「カツが帝国に向かった時の研究資材の中に、あたしたちが使ってるピアスを改修したものを入れたのよ!それが王都までたどり着いて使えるようになったんだわ!!」

「ちょっと待って!?じゃあ、今ハーティと聖女が海を渡って会話しているってわけ!?」

 クラリス同様、魔導具に精通している二アールはそれ程距離の離れた相手と会話ができる魔導具の凄さをいち早く理解していた。

「それだけじゃないわ!『長距離エーテル通信』の魔導具は量産化されて『女神教会』の伝達網を使って世界中の主要な人材や機関に送られたわ!それらが全て行き渡れば、世界中に迅速な情報伝達をすることが可能となるわ!」

「なんか、よくわからないけどすごい!」

 ドヤ顔で慎ましい胸を張るクラリスに、ハーティは尊敬の眼差しを向けた。

 そして、ピアスの向こうにいる人物に向かって話しかけた。

「でも、どうしてリリスが突然私に声をかけてきたの!?」

『はぁ・・ハーティルティアさまの美しいヴォイスで、耳が幸せですううう』

「うっ・・・」

 ハーティはその声から、ピアスの向こうで自分の身体を抱きしめながら悶絶しているリリスの幻を見た。

「あなたの知り合いって変な人ばっかね」

 クラリスはやれやれと首を振った。

「ごほんっ!まあいいわ・・で、リリス?そっちの状況はイラとの戦いからどうなったの?」

 ハーティは気を取り直すと、リリスに再び問いかけた。

『はい!ハーティルティア様の『神託』に従って王都はほぼ復興しました。そして、それからハーティルティア様のおかげで帝国とも手を取り合うことが出来ました!』

「そう・・それはよかったわ!・・こっちは今までイラの持っていた分を含めて、三つの『黒の魔導結晶』を浄化することに成功したわ」

『『『おおっ!』』』

 ハーティの方からも近況を伝えると、ピアスの向こうから多数の声が聞こえてきた。

(きっと、私の声がみんなに聞こえているんだわ・・)

 ハーティは気まずい気持ちになりながらも、淡々と語ることにした。

「あと、『邪神』に操られた『黒竜バハムート』を救った時に『黒の魔導結晶』があと一つという事を教えてもらったわ・・そのとき、『黒竜バハムート』は私のことを『親愛なる主君』と呼んでいたわ・・けど、残念ながら・・私は『黒竜バハムート』を救うことが出来なかった」

『っつ!?そう・・ですか・・』

 リリスの声の様子から、ハーティのは伝わったようであった。

 そして、かつての同志であったバハムスの死を悟ったリリスの声は、酷く落ち込んでる様子であった。

『それで、ハーティルティア様はこれからどうされますか?』

「私達は・・これから最後の『黒の魔導結晶』があると言われている『エルフの国リーフィア』へ向かいます」

『『エルフの国リーフィア』・・・本来『エルフ族』は余所者を受け入れませんが、ハーティルティア様が行かれると言うのなら、問題ないでしょう』

『では、距離的には私たちの方が近いので、そんなに遅れず到着できそうですね』

「え!?もしかして、リリスも『リーフィア』に向かうつもり!?」

「もちろんです」

 リリスはさも当たり前のように答えた。

『今回、帝国と協力して、を用意したのです。それをお披露目する為に向かいます。きっとハーティルティア様のお役に立てると思いますよ!』

「えっ!?ちょ!?『みんな』ってどういうこと!?」

 ハーティは聞き捨てならない言葉を聞いて、思わず問いただした。

『実は・・ハーティルティア様が王国を旅立たれてからしばらくして、『お隠れになる』と宣言されたはずの『女神様』が世界を救う為に国を渡り歩きながら奮闘しているという情報が入ってきまして・・』

『それから王国の民衆の信仰心は更に増してしまったのです』

『そして、『女神』を崇拝するはずの『女神教会』が、世界を救う旅に出たハーティルティア様に対して何のお力沿えも出来ていないという不満が、世界中の『女神教会』や民衆達から湧き起こりまして・・もはや止められない状態なのです』

「おぅふ・・・」

『そこで、『女神教』本部のある、『王都イルティア』に属する神官達や聖女である私、そしての人間から結成された部隊がハーティルティア様の元へ馳せ参じることが決定したのです』

『え!?待って・・まだ『女神教会』は良いとして・・『王家の一部』ってどういう・・・』

『ハーティ・・』

 その時、ハーティの言葉を遮るように、ピアスの向こうから男性の声が聞こえてきた。

 その声は、ハーティが幼少の頃から聴き慣れて、王都で別れを告げたはずの男の声であった。

「その声は・・マクスウェル・・」

 ハーティは予想外の人物からの呼びかけに、思わず息を呑んだ。
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