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第四章 エルフの国リーフィア編
世界創造のあらまし
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リフィアスにハーティ達がぞろぞろとついて行きながら広大な王宮を歩いてしばらくが経った頃。
「さあ、敬愛する主様。ここがわたくしのとっておきの場所です」
リフィアスが嬉しそうに案内したのは、どう見ても謁見の間に続いていそうな巨大な扉であった。
ササッ!
そして、その扉の前に立つ衛兵はハーティを見た瞬間に驚愕の表情をしたが、直ぐに気を取り直してリフィアスへ敬礼して扉を開けようとする。
ハーティが『私を見ても職務を全うするなんて、流石は謁見の間を護る衛兵はよく訓練されているなあ』と考えていた時、突如リフィアスの表情が厳しくなった。
「あなた達!この敬愛するわたくしの主様が最高神格を持つ女神ハーティルティア様とわかっていての対応ですか!!」
「この世界で唯一無二であり至高の存在である敬愛する主様は、わたくしなどよりも遥か高みに座す存在なのです!」
「私そんな凄い存在じゃないつもりなんだけ・・」
「主様は黙っていてくださいませ!」
「あ、はい」
「ならば、わたくしよりも先に、敬愛する主様へ『最敬礼』するのが筋というものです!」
「もも申し訳ございませんでした!」
あまりのリフィアスの剣幕に恐れをなした衛兵は素早くハーティに『最敬礼』をすると、恭しく門を開け放った。
「ごほん、お見苦しいお姿を失礼いたしました。さあ、どうぞ敬愛する主様。お入りください」
「「「わあ・・凄い(です)!」」」
そして、開け放たれた扉の向こうに広がった謁見の間を見た瞬間に、思わずハーティ達は感嘆の声を漏らした。
そこは、『白銀の神殿』にある本礼拝堂に似た豪華で広大な空間が広がっていた。
本礼拝堂との違いは『女神教』の絵画や『女神像』が存在しないことであったが、それが逆にハーティにとっては『神界』にあった『白銀の神殿』の玉座の間に似ており、懐かしさを感じられた。
そして、中央にある玉座の後ろには、王宮の外から見えた大木の巨大な幹が生えており、屋根が設けられていない謁見の間から天高く聳え立っていた。
ハーティ達が上を見上げると、巨大な大木から伸びた枝葉が大空に広がり、その空から降り注ぐ陽の光を遮って謁見の間へ差し込む光のシャワーに変えていた。
(そう言えば、『神界』で私が好きだった玉座の間も屋根が無かったわね)
そして、その大木からはキラキラとした白銀の光の粒子が溢れ輝いていた。
「この謁見の間は親愛なる主様の玉座の間を再現致しましたの。この場所を親愛なる主様に御覧頂けて、わたくしはとても嬉しく思いますわ」
謁見の間の美しさに感動しているハーティを見てリフィアスは嬉しそうに微笑むと、徐に昔話を語り始めた。
「親愛なる主様もご存知の通り、かつての『神界』は神々の存在と共に失われました」
「そして、わたくしは何故かこの世界が誕生したと同時に『リフィアス』の記憶を持ったまま『エルフ』として、この『リーフィアの樹海』の地で生まれ変わりました」
「『女神』としての存在が消滅する際に手を取り合っていたのが影響したのかは分かりませんが、当時『バハムス』も黒い幼竜になって生まれ変わっていたのです」
「また、『神界』が消滅して再構築されながらこの世界が創造される時、『神気』が『エーテル』になると共に、様々な種族の生命も誕生しました」
「ですから、きっと『リリス』、そして敬愛する主様もこの世界のどこかで転生していると考えたわたくしと『バハムス』は、その後二百年かけて世界中を巡りながらニ柱の転生体を探し続けました」
「二百年・・」
自分やリリスの転生体を求めて彷徨った二人を想像して、ハーティはひどく気の毒に思った。
「この世界に転生した時、この世界では圧倒的な力を持っているとはいえ、『神』としての力は殆ど失われてしまったわたくし達は、『バハムス』に騎乗して空を移動しながら世界を隈なく廻る以外に二柱の転生体を探す方法がありませんでした。ですから二百年もかかってしまったのです」
「その旅の中で、わたくし達を『特別な存在』と崇めたこの世界の始祖となる数ある種族の長達へ、わたくし達は『敬愛する主様の偉業』を語り継いでいったのです」
「それは、いつか敬愛する主様達の転生体が、世界のどこかでその話を聞いた時にわたくし達と再会するための手がかりとなればという打算から始まりました」
「そして、それらの子孫が『国家』という集まりを築いていき、『女神教』として、伝えていったのです」
「『女神教』の始まりに、そんな事実があったとは・・」
敬虔な『女神教』信者であるユナは『創世期』を生きてきたリフィアスから『女神教』誕生の史実を聞くことができて、とても感動している様子であった。
「しかし、二百年かけて世界中を巡ったにも関わらず、わたくし達は二柱の転生体を見つけ出すことは出来ませんでした」
ハーティとリリスが生まれ変わったのはほんの十数年前だったので、リフィアス達がハーティ達を世界中探しても見つけられなかったのは仕方のないことであった。
「そして、その時初めてわたくし達は本当に敬愛する主様、そして大切な仲間達を失ったと知ったのです」
「心の拠り所を失ったわたくし達は、せめて親愛なる主様が遺したこの世界を護る為、それぞれの道を歩む事を決めたのです」
「基本的にわたくし達が人々の世界に介入することはありませんでしたが、『バハムス』は『最果ての地』にある凍てつく山へ籠りながら、人々の間で世界が破滅に向かう程の争いが起こりそうになった時は、圧倒的な力を持つ『黒竜』としてその争いを止めてきました」
「そして、わたくしは遠い未来に必ず親愛なる主様が生まれ変わられると信じて、自分の寿命が許す限り、わたくし達が生まれ変わった場所である『リーフィアの樹海』の地を護ることに決めたのです」
「私とリリスも、もし生まれ変わるなら『リーフィアの樹海』で誕生すると思ったのね」
「はい。そのせいでこの地に誕生した『エルフ』達は『選民感情』を持つことになってしまいましたが・・」
「自分達が一番『神族』に近い種族だと主張している件ですね」
ユナの指摘にリフィアスが気まずそうに頷いた。
「ですが、『エルフ』である私がたとえ普通の種族よりも寿命が長いと言っても有限であることに変わりはありません」
「ですから、わたくし達が寿命により『失われた神界』に還る事になったとしても、わたくし達が生きていた』という『証』が遺せるよう、いまから五千年程昔にこの場所へ『一本の木の苗』を植えたのです」
「それが、この『ヴァルハラの聖樹』です」
そう言いながら、リフィアスはマナに満ち溢れて天高く聳え立つ巨大な樹を仰ぎ見た。
「さあ、敬愛する主様。ここがわたくしのとっておきの場所です」
リフィアスが嬉しそうに案内したのは、どう見ても謁見の間に続いていそうな巨大な扉であった。
ササッ!
そして、その扉の前に立つ衛兵はハーティを見た瞬間に驚愕の表情をしたが、直ぐに気を取り直してリフィアスへ敬礼して扉を開けようとする。
ハーティが『私を見ても職務を全うするなんて、流石は謁見の間を護る衛兵はよく訓練されているなあ』と考えていた時、突如リフィアスの表情が厳しくなった。
「あなた達!この敬愛するわたくしの主様が最高神格を持つ女神ハーティルティア様とわかっていての対応ですか!!」
「この世界で唯一無二であり至高の存在である敬愛する主様は、わたくしなどよりも遥か高みに座す存在なのです!」
「私そんな凄い存在じゃないつもりなんだけ・・」
「主様は黙っていてくださいませ!」
「あ、はい」
「ならば、わたくしよりも先に、敬愛する主様へ『最敬礼』するのが筋というものです!」
「もも申し訳ございませんでした!」
あまりのリフィアスの剣幕に恐れをなした衛兵は素早くハーティに『最敬礼』をすると、恭しく門を開け放った。
「ごほん、お見苦しいお姿を失礼いたしました。さあ、どうぞ敬愛する主様。お入りください」
「「「わあ・・凄い(です)!」」」
そして、開け放たれた扉の向こうに広がった謁見の間を見た瞬間に、思わずハーティ達は感嘆の声を漏らした。
そこは、『白銀の神殿』にある本礼拝堂に似た豪華で広大な空間が広がっていた。
本礼拝堂との違いは『女神教』の絵画や『女神像』が存在しないことであったが、それが逆にハーティにとっては『神界』にあった『白銀の神殿』の玉座の間に似ており、懐かしさを感じられた。
そして、中央にある玉座の後ろには、王宮の外から見えた大木の巨大な幹が生えており、屋根が設けられていない謁見の間から天高く聳え立っていた。
ハーティ達が上を見上げると、巨大な大木から伸びた枝葉が大空に広がり、その空から降り注ぐ陽の光を遮って謁見の間へ差し込む光のシャワーに変えていた。
(そう言えば、『神界』で私が好きだった玉座の間も屋根が無かったわね)
そして、その大木からはキラキラとした白銀の光の粒子が溢れ輝いていた。
「この謁見の間は親愛なる主様の玉座の間を再現致しましたの。この場所を親愛なる主様に御覧頂けて、わたくしはとても嬉しく思いますわ」
謁見の間の美しさに感動しているハーティを見てリフィアスは嬉しそうに微笑むと、徐に昔話を語り始めた。
「親愛なる主様もご存知の通り、かつての『神界』は神々の存在と共に失われました」
「そして、わたくしは何故かこの世界が誕生したと同時に『リフィアス』の記憶を持ったまま『エルフ』として、この『リーフィアの樹海』の地で生まれ変わりました」
「『女神』としての存在が消滅する際に手を取り合っていたのが影響したのかは分かりませんが、当時『バハムス』も黒い幼竜になって生まれ変わっていたのです」
「また、『神界』が消滅して再構築されながらこの世界が創造される時、『神気』が『エーテル』になると共に、様々な種族の生命も誕生しました」
「ですから、きっと『リリス』、そして敬愛する主様もこの世界のどこかで転生していると考えたわたくしと『バハムス』は、その後二百年かけて世界中を巡りながらニ柱の転生体を探し続けました」
「二百年・・」
自分やリリスの転生体を求めて彷徨った二人を想像して、ハーティはひどく気の毒に思った。
「この世界に転生した時、この世界では圧倒的な力を持っているとはいえ、『神』としての力は殆ど失われてしまったわたくし達は、『バハムス』に騎乗して空を移動しながら世界を隈なく廻る以外に二柱の転生体を探す方法がありませんでした。ですから二百年もかかってしまったのです」
「その旅の中で、わたくし達を『特別な存在』と崇めたこの世界の始祖となる数ある種族の長達へ、わたくし達は『敬愛する主様の偉業』を語り継いでいったのです」
「それは、いつか敬愛する主様達の転生体が、世界のどこかでその話を聞いた時にわたくし達と再会するための手がかりとなればという打算から始まりました」
「そして、それらの子孫が『国家』という集まりを築いていき、『女神教』として、伝えていったのです」
「『女神教』の始まりに、そんな事実があったとは・・」
敬虔な『女神教』信者であるユナは『創世期』を生きてきたリフィアスから『女神教』誕生の史実を聞くことができて、とても感動している様子であった。
「しかし、二百年かけて世界中を巡ったにも関わらず、わたくし達は二柱の転生体を見つけ出すことは出来ませんでした」
ハーティとリリスが生まれ変わったのはほんの十数年前だったので、リフィアス達がハーティ達を世界中探しても見つけられなかったのは仕方のないことであった。
「そして、その時初めてわたくし達は本当に敬愛する主様、そして大切な仲間達を失ったと知ったのです」
「心の拠り所を失ったわたくし達は、せめて親愛なる主様が遺したこの世界を護る為、それぞれの道を歩む事を決めたのです」
「基本的にわたくし達が人々の世界に介入することはありませんでしたが、『バハムス』は『最果ての地』にある凍てつく山へ籠りながら、人々の間で世界が破滅に向かう程の争いが起こりそうになった時は、圧倒的な力を持つ『黒竜』としてその争いを止めてきました」
「そして、わたくしは遠い未来に必ず親愛なる主様が生まれ変わられると信じて、自分の寿命が許す限り、わたくし達が生まれ変わった場所である『リーフィアの樹海』の地を護ることに決めたのです」
「私とリリスも、もし生まれ変わるなら『リーフィアの樹海』で誕生すると思ったのね」
「はい。そのせいでこの地に誕生した『エルフ』達は『選民感情』を持つことになってしまいましたが・・」
「自分達が一番『神族』に近い種族だと主張している件ですね」
ユナの指摘にリフィアスが気まずそうに頷いた。
「ですが、『エルフ』である私がたとえ普通の種族よりも寿命が長いと言っても有限であることに変わりはありません」
「ですから、わたくし達が寿命により『失われた神界』に還る事になったとしても、わたくし達が生きていた』という『証』が遺せるよう、いまから五千年程昔にこの場所へ『一本の木の苗』を植えたのです」
「それが、この『ヴァルハラの聖樹』です」
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