207 / 229
最終章 決戦!『デスティウルス』編
『人造ゴーレム』再来 ~『帝都リスラム』視点~
しおりを挟む
・・・・・・・・。
ゴウゥゥゥン・・・。
「っ!?あれは!?『人造ゴーレム』!?しかし何故!?」
クウォリアスは、ついこの間帝都を絶望に染め上げた存在を見間違える筈が無かった。
しかし、目の前で『人造ゴーレム』は確かにヅヴァイに向かって攻撃を放ったのだ。
更に言うと、『人造ゴーレム』は先日の帝都決戦でハーティ達によって全て破壊されていたはずである。
そして何より、動力となる『獣人』達はどうなっているのか。
疑問が疑問を呼んで悩む中、クウォリアスのコクピットにエーテル通信が入電した。
『クウォリアス軍務卿、無事か?』
「陛下!?」
クウォリアスは通信の相手が皇帝と知って驚愕する。
「陛下!通信をされているということは、未だ宮殿にいらっしゃるということでは!?避難はどうされたのです!?」
『先ほども言ったであろう?『邪神』の脅威が迫る今、帝都に安全なところなどない。それなら各国との連絡が密にできる『通信室』にいる方が有意義であるからな』
『それよりも、そちらに『人造ゴーレム』の部隊が到着したであろう?これで少しは持ちこたえられるか?』
「一体、これはどういうことです??」
『ふん、当初の予定と同じだ。そもそも『人造ゴーレム』は現実味のない魔導機甲開発の代替手段としてニアール博士が生み出したもの。結果的に『ラピス』が実用化したとは言え、貴重な素材を大量に消費する魔導機甲は一朝一夕に多数を用意できるわけではないからな。その点、『人造ゴーレム』は大した材料を使うことなく揃えられる』
『それに、材料になる『ゴーレム』も、『ラピス』の実戦テストで大量に狩れたことだしな』
オルクスの声色は通信機越しでも不敵な様子が感じられた。
もし、マクスウェルが今のオルクスの言葉を聞いていたら、同盟の裏でひそかに自国の軍備を増強していたという事実に慄いていたことであろう。
「しかし・・動力は一体!?」
『・・それは、正直余にも予想外の事であったが・・・』
・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・。
「よし!無事『魔導省』が動いてくれたみたいだ!!!」
「俺たちが動いた甲斐があったんだな」
「あんなことがあったのに、協力を惜しまず名乗り出てくれた『獣人』の皆様には感謝ですね」
「それも、ハーティ様の御蔭さ」
一方、『ブラックスミス』の三人は、戦場に現れた『人造ゴーレム』の一団を地上から見上げながら満足した表情を浮かべていた。
冒険者ギルドを飛び出した三人は、その後行きずりで帝都民達の避難誘導を行いがてら、独自の『冒険者ネットワーク』を駆使して『獣人』達に呼びかけを行っていた。
そう、以前帝都決戦の際に攫われて『人造ゴーレム』の動力にされた『獣人』達である。
彼らにとって『人造ゴーレム』は嫌な記憶を思い出させるものだという事は三人も重々承知していた。
それでも、急ぎの戦力確保の為には『獣人』の力が必要と感じて協力をお願いすることにしたのである。
そして、『獣人』達は『ハーティ達に命を助けられた恩を返すことができるなら』と、危険なのは承知で再び『人造ゴーレム』に乗り込んで戦うことを決めたのである。
そして、『ブラックスミス』の三人は最近『ゴーレム』関連の討伐依頼が増えている事、『ラピス』の運用テストの為に大量の『ゴーレム』が狩られていることをギルド経由で聞いていたことから、皇帝が密かに先の戦いで失われた『人造ゴーレム』を再び量産しているのではないかと踏んでいた。
そして、『獣人』達を連れて『魔導省』へと駆けこんだところ、案の定ハンガーに係留された『人造ゴーレム』の一団を目の当たりにしたのである。
・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・。
「っ!?なんだぁ!?この不気味な『ゴーレム』は!?」
ズゴォォズゴォォズゴォォ!
ヅヴァイの言葉を無視するかのように、『人造ゴーレム』の部隊は腕部から次々と火球を放った。
「ちっ!?そんなノロノロした火球が俺に当たるかよ!!」
ヅヴァイは放たれた火球をものともせず、すぐさま回避行動に移る。
ヅヴァイは火球ごときで自身の『防御魔導』がどうにかなるとは露程も思わなかったが、直撃による爆炎で、『還元』が付与された兵装を持つ『ラピス』との戦いの最中に視界を遮られることは避けたかったのだ。
『人造ゴーレム』より遥かにサイズの小さいヅヴァイにとって、放たれた火球を避けることは造作もない。
ズゴォォズゴォォ!!!
ヅヴァイは全ての火球を華麗に避けきると、不敵に笑った。
ギュギュン!!!!
「はん!?木偶の坊がいくつ集まったところで意味が・・・・」
ドガアァァァァァン!!!
チュチュチュドォォォォン!!!!
「なにぃ!!?」
しかし、火球を回避した筈のヅヴァイは突如軌道を変えた無数の火球の直撃を背後から食らうことになった。
そう、ニアールの生み出した『誘導火球魔導』である。
・・・・・・・。
ゴウゥゥゥゥゥン・・・。
ヅヴァイが『誘導火球魔導』に飲み込まれる一部始終を光魔導スクリーン越しに眺めていたクウォリアスに再びエーテル通信が入電した。
「クウォリアス軍務卿、今そなた達が戦っている区域一帯の避難が完了したとの報告が上がった。まあ、再建したばかりなのは心苦しいが致し方あるまい。思い切り戦うがいい!」
「っ!!御意!!!」
・・・・・・・・。
オルクスの言葉を聞いたクウォリアスが駆る『ラピス』は『リデューシングランス』を構える。
『おおおおおおおおお!!』
そして、クウォリアスは構えた巨大なランスを、爆風に呑まれるヅヴァイの胴に向かって思い切り突き立てた。
ゴウゥゥゥン・・・。
「っ!?あれは!?『人造ゴーレム』!?しかし何故!?」
クウォリアスは、ついこの間帝都を絶望に染め上げた存在を見間違える筈が無かった。
しかし、目の前で『人造ゴーレム』は確かにヅヴァイに向かって攻撃を放ったのだ。
更に言うと、『人造ゴーレム』は先日の帝都決戦でハーティ達によって全て破壊されていたはずである。
そして何より、動力となる『獣人』達はどうなっているのか。
疑問が疑問を呼んで悩む中、クウォリアスのコクピットにエーテル通信が入電した。
『クウォリアス軍務卿、無事か?』
「陛下!?」
クウォリアスは通信の相手が皇帝と知って驚愕する。
「陛下!通信をされているということは、未だ宮殿にいらっしゃるということでは!?避難はどうされたのです!?」
『先ほども言ったであろう?『邪神』の脅威が迫る今、帝都に安全なところなどない。それなら各国との連絡が密にできる『通信室』にいる方が有意義であるからな』
『それよりも、そちらに『人造ゴーレム』の部隊が到着したであろう?これで少しは持ちこたえられるか?』
「一体、これはどういうことです??」
『ふん、当初の予定と同じだ。そもそも『人造ゴーレム』は現実味のない魔導機甲開発の代替手段としてニアール博士が生み出したもの。結果的に『ラピス』が実用化したとは言え、貴重な素材を大量に消費する魔導機甲は一朝一夕に多数を用意できるわけではないからな。その点、『人造ゴーレム』は大した材料を使うことなく揃えられる』
『それに、材料になる『ゴーレム』も、『ラピス』の実戦テストで大量に狩れたことだしな』
オルクスの声色は通信機越しでも不敵な様子が感じられた。
もし、マクスウェルが今のオルクスの言葉を聞いていたら、同盟の裏でひそかに自国の軍備を増強していたという事実に慄いていたことであろう。
「しかし・・動力は一体!?」
『・・それは、正直余にも予想外の事であったが・・・』
・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・。
「よし!無事『魔導省』が動いてくれたみたいだ!!!」
「俺たちが動いた甲斐があったんだな」
「あんなことがあったのに、協力を惜しまず名乗り出てくれた『獣人』の皆様には感謝ですね」
「それも、ハーティ様の御蔭さ」
一方、『ブラックスミス』の三人は、戦場に現れた『人造ゴーレム』の一団を地上から見上げながら満足した表情を浮かべていた。
冒険者ギルドを飛び出した三人は、その後行きずりで帝都民達の避難誘導を行いがてら、独自の『冒険者ネットワーク』を駆使して『獣人』達に呼びかけを行っていた。
そう、以前帝都決戦の際に攫われて『人造ゴーレム』の動力にされた『獣人』達である。
彼らにとって『人造ゴーレム』は嫌な記憶を思い出させるものだという事は三人も重々承知していた。
それでも、急ぎの戦力確保の為には『獣人』の力が必要と感じて協力をお願いすることにしたのである。
そして、『獣人』達は『ハーティ達に命を助けられた恩を返すことができるなら』と、危険なのは承知で再び『人造ゴーレム』に乗り込んで戦うことを決めたのである。
そして、『ブラックスミス』の三人は最近『ゴーレム』関連の討伐依頼が増えている事、『ラピス』の運用テストの為に大量の『ゴーレム』が狩られていることをギルド経由で聞いていたことから、皇帝が密かに先の戦いで失われた『人造ゴーレム』を再び量産しているのではないかと踏んでいた。
そして、『獣人』達を連れて『魔導省』へと駆けこんだところ、案の定ハンガーに係留された『人造ゴーレム』の一団を目の当たりにしたのである。
・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・。
「っ!?なんだぁ!?この不気味な『ゴーレム』は!?」
ズゴォォズゴォォズゴォォ!
ヅヴァイの言葉を無視するかのように、『人造ゴーレム』の部隊は腕部から次々と火球を放った。
「ちっ!?そんなノロノロした火球が俺に当たるかよ!!」
ヅヴァイは放たれた火球をものともせず、すぐさま回避行動に移る。
ヅヴァイは火球ごときで自身の『防御魔導』がどうにかなるとは露程も思わなかったが、直撃による爆炎で、『還元』が付与された兵装を持つ『ラピス』との戦いの最中に視界を遮られることは避けたかったのだ。
『人造ゴーレム』より遥かにサイズの小さいヅヴァイにとって、放たれた火球を避けることは造作もない。
ズゴォォズゴォォ!!!
ヅヴァイは全ての火球を華麗に避けきると、不敵に笑った。
ギュギュン!!!!
「はん!?木偶の坊がいくつ集まったところで意味が・・・・」
ドガアァァァァァン!!!
チュチュチュドォォォォン!!!!
「なにぃ!!?」
しかし、火球を回避した筈のヅヴァイは突如軌道を変えた無数の火球の直撃を背後から食らうことになった。
そう、ニアールの生み出した『誘導火球魔導』である。
・・・・・・・。
ゴウゥゥゥゥゥン・・・。
ヅヴァイが『誘導火球魔導』に飲み込まれる一部始終を光魔導スクリーン越しに眺めていたクウォリアスに再びエーテル通信が入電した。
「クウォリアス軍務卿、今そなた達が戦っている区域一帯の避難が完了したとの報告が上がった。まあ、再建したばかりなのは心苦しいが致し方あるまい。思い切り戦うがいい!」
「っ!!御意!!!」
・・・・・・・・。
オルクスの言葉を聞いたクウォリアスが駆る『ラピス』は『リデューシングランス』を構える。
『おおおおおおおおお!!』
そして、クウォリアスは構えた巨大なランスを、爆風に呑まれるヅヴァイの胴に向かって思い切り突き立てた。
0
あなたにおすすめの小説
転生先の異世界で温泉ブームを巻き起こせ!
カエデネコ
ファンタジー
日本のとある旅館の跡継ぎ娘として育てられた前世を活かして転生先でも作りたい最高の温泉地!
恋に仕事に事件に忙しい!
カクヨムの方でも「カエデネコ」でメイン活動してます。カクヨムの方が更新が早いです。よろしければそちらもお願いしますm(_ _)m
99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える
ハーフのクロエ
ファンタジー
夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。
主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。
異世界ほのぼの牧場生活〜女神の加護でスローライフ始めました〜』
チャチャ
ファンタジー
ブラック企業で心も体もすり減らしていた青年・悠翔(はると)。
日々の疲れを癒してくれていたのは、幼い頃から大好きだったゲーム『ほのぼの牧場ライフ』だけだった。
両親を早くに亡くし、年の離れた妹・ひなのを守りながら、限界寸前の生活を続けていたある日――
「目を覚ますと、そこは……ゲームの中そっくりの世界だった!?」
女神様いわく、「疲れ果てたあなたに、癒しの世界を贈ります」とのこと。
目の前には、自分がかつて何百時間も遊んだ“あの牧場”が広がっていた。
作物を育て、動物たちと暮らし、時には村人の悩みを解決しながら、のんびりと過ごす毎日。
けれどもこの世界には、ゲームにはなかった“出会い”があった。
――獣人の少女、恥ずかしがり屋の魔法使い、村の頼れるお姉さん。
誰かと心を通わせるたびに、はるとの日常は少しずつ色づいていく。
そして、残された妹・ひなのにも、ある“転機”が訪れようとしていた……。
ほっこり、のんびり、時々ドキドキ。
癒しと恋と成長の、異世界牧場スローライフ、始まります!
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがやばすぎた。もしかして、メインは猫の方ですか、女神様!?
たまご
ファンタジー
アラサーの相田つかさは事故により命を落とす。
最期の瞬間に頭に浮かんだのが「猫達のごはん、これからどうしよう……」だったせいか、飼っていた8匹の猫と共に異世界転生をしてしまう。
だが、つかさが目を覚ます前に女神様からとんでもチートを授かった猫達は新しい世界へと自由に飛び出して行ってしまう。
女神様に泣きつかれ、つかさは猫達を回収するために旅に出た。
猫達が、世界を滅ぼしてしまう前に!!
「私はスローライフ希望なんですけど……」
この作品は「小説家になろう」さん、「エブリスタ」さんで完結済みです。
表紙の写真は、モデルになったうちの猫様です。
ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語
Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。
チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。
その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。
さぁ、どん底から這い上がろうか
そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。
少年は英雄への道を歩き始めるのだった。
※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。
【完結】発明家アレンの異世界工房 ~元・商品開発部員の知識で村おこし始めました~
シマセイ
ファンタジー
過労死した元商品開発部員の田中浩介は、女神の計らいで異世界の少年アレンに転生。
前世の知識と物作りの才能を活かし、村の道具を次々と改良。
その発明は村の生活を豊かにし、アレンは周囲の信頼と期待を集め始める。
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる