転生女神は自分が創造した世界で平穏に暮らしたい

りゅうじんまんさま

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最終章 決戦!『デスティウルス』編

『女神』の祝福

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「ユナ、あなたの気持ちは良くわかる。けど、これはにしかできないことだし、本当にユナを巻き込むわけにはいかないのよ」

「いいえ、ハーティルティア様・・・これだけは譲れません。もし、ハーティルティア様が一人で事を為すということでしたら・・・私は全力で止めさせてもらいます」

 ユナはそう言うと、目をすっと細めながら『女神イルティア・レ・ファティマ』のきっさきをハーティへと向けた。

「・・・・たとえ、それによってこの世界が滅びようとも!!」

「ちょ!?ユナ!?気は確かなの!?今はそんなことをしている場合じゃ・・・」

「いいえ、ハーティルティア様。・・私はです。私にとって『ハーティルティア様』はこの世界の。それが失われるというのなら・・そんな世界など滅びればいいのです」

 その事が当然と言うように語るユナの顔は、まるで『邪神』のように見えていた。

「っ!?こんな時にユナの『狂信者』具合が仇になるなんてっ!!」

 ハーティは堪らなくなって、傍にいるシエラに視線を向けた。

「シエラちゃん!シエラちゃんからもユナを説得して!!」

「ふふふ・・・そうですね。この世界を救っても・・・救わなくても『ハーティさん』がいなくなる・・・・事、私には耐えられません!!・・なら、いっその事・・この世界の全ての生命と共に『失われた神界ヴァルハラ』へ還ればいいんですね!そう・・・ハーティさんと一緒に!!ユナさん!私も助太刀します!」

 チャキ!!

 シエラは斜め上の発想で意気込むと、光を失い曇った眼をハーティへむけながら『聖斧』を向けた。

「だめだ・・この『狂信者』二人・・早く何とかしないと」

『ハーティ!!確かにそこの二人はどうかしているが、みんな君にいなくなってほしくない気持ちは変わらないんだ・・って聖女様!?あなたまで『聖杖』をハーティに向けてどうするつもりですか!?』

『ハーティルティア様、申し訳ありませんが・・阻止させていただきます。あなた様のお力はあまりにも強大ゆえ、少々になってしまうかもしれませんが・・あしからず』

『ちょっと!みんな落ち着きなさいよ!!デスティウルスを放置して仲間割れしている場合なんかじゃないわよ!!』

「ふふ・・・今だけはクラリスの冷静さがありがたいわね・・」

 ハーティは思わず引き攣った笑みを浮かべた。

(・・・みんな私のことを思ってくれての行動なのよね・・でも、デスティウルスを滅ぼすには他に方法がないわ・・どうすれば・・)

 パァァァァァ!!!

 その時、『女神化』が解除されていたハーティ達の髪色が白銀色に再び輝き始めた。

(っ!エーテルが復元し始めたんだわ!!)

「グオォォォォォォォォ!!!!!」

 しかし、失われたエーテルが再び満たされることによって、デスティウルスの再生速度も増していく。

 そして、いよいよの再生も始まろうとしていた。

「・・・・・・っ!」

 ギリッ!!!

 ハーティは無言で『聖剣ニーヴァルテ』を握りしめた。

 ドォォォン!!!

 直後、ハーティはユナ達に踵を返すと、一気に距離を離す為に直上へと飛び出した。

「っ!?しまった!?ユナさん!!ハーティさんを追いましょう!!」

「はいっ!!」

 ドォォォン!!!

 急に飛び出したハーティを見て、二人は慌ててそれを追いかける。

 ハーティは全力で飛翔しながら『聖剣』を振りかぶった。

「『能力解放オーバードライヴ』!!!」

 飛翔しながら『聖剣』の『能力解放オーバードライヴ』を発動することで、ハーティは自身の身体から発生する膨大なマナによって、『サウスポイント』の大空に美しい白銀の軌跡を描いていった。

 そして、デスティウルスや仲間達全てを見渡せる程の高度まで到達すると、『聖剣』を構えながら静止した。

「ハーティルティア様ぁぁぁぁ!!」

「ハーティさぁぁぁん!!」

 ハーティが空中で静止したことにより、追いかけてきているユナとシエラが急速に距離を詰めてくる。

 しかし、ハーティはそれに慌てず『聖剣』の能力を発動した。

「『聖剣』ニーヴァルテの固有能力!!『タイム・レ・支配者ルーラ』発動!!」

「効果は時間停止!!対象は・・・・『サウスポイント』に存在するの『存在』全て!!」

 パァァァァァァァ!!!

 直後、ハーティよりも更に上空で、『サウスポイント』全体を覆う程に巨大な時計の姿を模した魔導式が出現する。

 そして、その魔導式の下で動くことを許されたのはハーティだけとなった。

 遠くでは、あと数秒でハーティに辿り着くはずであったユナやシエラも目を見開いたまま動かなくなっていた。

「咄嗟だったからを曖昧に指定してしまったわ・・・だからきっとそう長い間、時間は止められない」

 ハーティは『聖剣』を携えながらユナとシエラの元へと高度を落とす。

 そして、動かなくなった二人の頬を順番に優しく撫でた。

「ユナ・・・いつもお転婆でお嬢様らしくない私の世話をしてくれてありがとう。ちょっと私に対する思いがのが珠に瑕だけど、これからも『聖騎士』として頑張ってね・・ユナは美人だから・・私のお世話から解放されて、いい旦那様も見つかったらいいわね」

「シエラちゃん、旅を始めたばかりで行き場を探していた私を『暁の奇跡亭』に泊めてくれてありがとう。あなたならきっと宿屋の看板娘としても『聖騎士』としても逞しく生きていけると思うわ」

 そして、更に高度を落として再び仲間達の元へと舞い戻る。

 ハーティは仲間達一人ずつに目を向けながら感謝の言葉を綴り始めた。

「クラリス、貴方の生み出す素晴らしい魔導具に何度も助けられたわ。ちょっと言葉は荒っぽいけど、みんなの事をいつも大切に思ってくれた。これからも貴方の作る魔導具で世界を導いてあげてね」

「ニアール・・・あなたの御蔭で『神界大戦』の時代からの『宿敵』だった『邪神』であるナラトスとも分かり合うことができたわ、ありがとう。ナラトス・・ニアールといつまでもお幸せに」

 そして、ハーティは動かなくなった『イルティア・レ・イーレ』へと目を向ける。

「リリス・・・あなたには『神界』の時代から何度も助けられたわ・・一度目の『神気解放リヴァイヴァー』の時、共に滅んだはずなのに・・こうして再びこの世界で出会うことができた。私がいなくなっても、この世界みんなの心の拠り所として、『女神教会』を率いて行ってね」

「・・・お父様・・お母様・・『イルティア』へは無事に帰れそうにありません。親不孝な娘でごめんなさい・・ラクナウェル・・私が居なくなったらあなたは悲しむでしょう・・けれど、今回のことでめげずにオルデハイト侯爵家の次期当主として、これからたくさん学んで成長していってね」

「・・・・そして、マクスウェル・・至らない『婚約者』でごめんなさい。私は『女神』として生きていた時の記憶があるせいか恋愛には疎かったけど、あなたはずっと私の事を大切にしてくれた・・本当は、この戦いが終わって世界を救った後・・この世界の為にあなたと一緒に歩んでいく未来に期待していたのよ?・・でも、それも叶わなさそうね・・だけど、フィオナ様は美しいし、私と同じくらい貴方の事を大切に想っている筈だから・・きっとこれからの人生の伴侶として助けて・・・くれる・・・・くれる・・・っ!!」

 気づけば、ハーティの視界は溢れる涙で歪んでいた。

「この世界中で私の事を大切にしてくれたみんなっ・・・!!!本当にありがとう!!!」

「私は、この世界を『創造』することができて、本当によかったっ!!」

「私は・・・この世界の全てを心から愛しているわ!!」

 そして、ハーティは最後に自らが携える『聖剣』へと視線を落とした。

「バハムス・・・リフィアス・・新しい世界で生まれ変わっても、私の事を好きでいてくれてありがとう。そして、今までずっとこの世界を守ってくれてありがとう」

「ふふ・・最近まで、私は『自分が創造した世界で平穏に暮らしたい』と思っていたけど、どだい無理な話だったみたいね・・」

「だって、もの」

 そして、ハーティはデスティウルスへと目を向けた。

「デスティウルス・・・私の『宿敵』・・・悠久の時代ときを戦い続けた、私の対となる『存在』・・・さあ、をつけましょう」

 ハーティはデスティウルスに語りかけると、両手足を大きく開いて自らの『存在』を紐解いていくように魔導を発動しはじめる。

「・・・・っ!神技!!『神気解放リヴァイヴァー』!!私の永遠の『宿敵』である『デスティウルス』の『存在』を完全に滅ぼしなさい!!代償は・・、『女神ハーティルティア』の『存在』全て・・っ!!」

 そして、言葉を紡いだハーティは静かに瞳を閉じながら、自らの『神気』を開放する。

 パアァァァァァァ・・・・。

 直後、ハーティとデスティウルスを美しい白銀の光が包み込んだ。

 ハーティは暖かい光の中で、自らの存在が希薄になっていくのを感じた。

 ピシッ!!!

 そのとき、ハーティが携えていた『聖剣』に亀裂が入る。

 パァァァン!!!

 そして、そのまま砕け散りながら、光の粒子となって消滅していった。

(リフィアス・・・今貴方の元へ行くわ)

(みんな・・・ありがとう・・そして、さようなら・・!!願わくは、これからも永遠にこの世界の安寧が続かんことを・・・っ!!)

 そして、『女神』の祝福がもたらされる中、『女神ハーティルティア』の『宿敵』であり、かつて滅びた『神界』、そしてハーティが生み出した世界に絶望と脅威をもたらした『邪神デスティウルス』は、止められた時間の中で断末魔の声を上げることも叶わないまま、その『存在』を完全に消滅させた。







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ここまでお読み頂いた皆様に心より御礼申し上げます。
次話より、いよいよエピローグとなります。
もうしばらくだけお付き合いください。
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