18 / 22
第二章 ヴィオレット
第十三話
しおりを挟む
「補助金のファイルどっかいった」
しばらく机の上をガサガサしていたマノンさんが青い顔をして言った。
「それならあの棚の上に置いてあったと思いますよ」
確かさっき横を通ったときに見かけた気がする。
「そうだ! 他のやつ取りに行くときに置いたんだった! ありがとう!」
マノンさんは急いで席を立ってファイルを取って戻ってくると、
「ここに入れてくれた、よくある間違いリストめっちゃ助かってるよ!」
と、ファイルの一番初めのページを開きながら言った。
それは、私が事務長に許可を取って作った、研究員たちがよくやるミスをリストアップしたものだ。
提出頻度の高い書類から順に作成している。
「ここ重点的に見ればいいから、初めての書類でも直しやすいもん」
「ある意味同じ間違いを繰り返してくれる研究員のみなさんのお陰ですけどね」
私の呟きにマノンさんは、あははと笑ってから、
「てかさ、これ研究員の方とも共有したらいいんじゃない?」
と、早速事務長のところに行って掛け合ってくれた。
事務長や他の事務員も賛成してくれて、所長に話をしてくれることになる。
「これでだいぶ楽になるんじゃない」
「研究員のみなさんが見てくれるといいんですけどね」
「返されて訂正するより効率いいと気付けば見るわよ。超激務だからね。研究の内容によっては深夜までとか、泊まり込みとかざらだし」
確かに、ほぼ定時で帰れる事務方と違ってなかなかきつそうだ。
ただ、そのしわ寄せがこっちにくることもよくあるので、あちらだけが大変だと言われるわけにはいかない。
働き始めて三年目。
失敗もするが、だいぶ仕事にも慣れて、やりがいを感じるようになってきた。
「ヴィオラお疲れさま」
研究所を出たところでニコと合流する。
今日は、以前イリスさんに持っていったお菓子のお店に併設されているカフェでお茶をする予定だ。
ぜひ行った感想を聞かせてほしいとイリスさんにも言われている。
かなり羨ましそうで、ものすごく前のめりになっていた。
ニコは最終学年で忙しく、待ち合わせて出かけるのは久しぶりだ。
「ずっと研究室で座りっぱなしだったから外はいいね。開放感」
ニコが、「飛べそう」と言いながら、体を伸ばしている。
「卒業研究の方はどう?」
「うん。実技が一切入らない内容にしたから大丈夫」
ニコが言うところによると、これまで浪人や留年をしていたのは実技が苦手なのが原因らしい。座学の成績は普通だと言っていた。
「六年生は実技の授業がないから、随分気持ちが楽だよ」
話してるうちにお店に着いて、予約していた席に座ると、スパークリングジュースを手に取ってグラスを合わせた。
カチンと澄んだ音がする。
「内定おめでとう」
「ありがとう」
ニコは先日無事に研究所の校正、校閲部署から内定をもらっていた。
「夢を叶えたんだね。すごいな」
私はポツリと呟く。
ニコは夢の有る無しで人生の良し悪しは決まらないと言ってくれたけど、やっぱり少しだけ引け目を感じる。
ニコはそんな私の様子に、グラスを置いて口を開いた。
「⋯⋯あれからちょっと考えたんだけどさ。夢って、結局たくさんある靴の中の一足みたいなもんだと思うんだよね」
「靴?」
発言の意味がよくわからなくて、ニコを見る。
「履く人を選ぶ靴とか、履きこなすのが難しい靴があってさ、そういう靴を履くのに労力をかける人もいるけど、そんなのに興味がない人もいるでしょ。けど、興味を持たないその人たちが靴を履いてないわけじゃなくて、みんな種類は違うけど、それぞれ靴を履いてる」
「うん」
「みんなちゃんと自分の靴を履いて歩いてるんだよ。それにさ、靴はずっと履き続けてるわけじゃないし、別の靴に替えることもあるだろうし、なんなら裸足で駆け回ってる人を羨ましいと思うこともあるかもしれないじゃない」
「⋯⋯そっか」
ニコの言葉がストンと落ちてきた。
ちゃんと私も自分なりの靴を履いて歩いていて。
それが、夢だとかそうじゃないとか大事なのはそんなことじゃなかったんだ。
それから、運ばれてきたチョコレートケーキとフルーツケーキを半分こして、ハーブティーを飲む。
お土産にクッキーを買って店を出たところで声をかけられた。
「こんにちは」
その声音に、もう心を乱されることはない。
「こんにちはマリエル」
落ち着いて挨拶を返す私に、マリエルが、ふんという態度で目を細める。
それからニコの方を向いて、
「ニコラさん、こんな風に遊んでるとまた留年しますよ」
と、明らかに愛想悪く、媚びたところのない口調で言ったので、そちらに驚かされてしまった。
「あはは、厳しいな。がんばります。マリエルさんは資格試験もあるんですよね。勉強がんばってくださいね。試験前に風邪を引いたりしたら大変ですから、体調管理も気を付けてくださいね」
「うっさいな。言われなくてもわかってるし」
これがマリエルの素なんだろうか。
あざとさも意地の悪さもない、反抗的で手のかかる妹のような。
結局マリエルはそれ以上何も言わず、バツが悪そうに去っていった。
「僕、マリエルさんに嫌われてるんだよね」
いや、むしろかなり心を開かれているような気がする。
「前に結構失礼なこと言っちゃったから」
何を言ったんだろう。
男性に対してあそこまでマリエルの態度が変わるなんて。
二人にどんなやり取りがあったのかはわからないけど、なぜかモヤッとした気持ちになる。
その理由がどこにあるのか。
「じゃあ、帰ろうか」
ニコの呼びかけに私は頷く。
日の落ちかかった空に、月が輝き始めていた。
── ─
夏の名残も遥か遠くに消えて、冬の気配に包まれている。
母に頼まれた買い物を終えて歩いていると、
「ヴィオレット」
懐かしい声がした。
振り返ると、目に入る赤銅色。
「アルシェ」
しばらくぶりにあった彼は少年っぽさが消えて、はっきりと大人の男性に変わっていた。
最後に会ったときよりも髪が伸びている。
「久しぶり」
言いながら、思ったより動揺していない自分に気付いた。
「ヴィオレットの家に行ったら、買い物に出たって言われたから。会えてよかった」
偶然じゃなくて、私を訪ねてきたのか。
「どうしたの? 用事?」
「うん、話したいことがあって」
アルシェは緊張しているのか顔色が白い。
そういえば、私もアルシェと向き合って話すべきだと思っていたのに、なんだかんだと先延ばしになっていた。
「じゃあ、どこかお店に入ろうか」
私が言うと、彼は目に見えてホッとした表情になる。
近くのカフェに入ると、窓側の席に二人向かい合わせに座った。
ソファが柔らかい。
私が紅茶を選ぶと、アルシェも同じものを頼む。
⋯⋯。
⋯⋯⋯⋯。
沈黙が流れた。
他のお客さんのカップを置く音が聞こえてくる。
しばらくして紅茶が運ばれてきた。
その水面を見つめながらアルシェが口を開くのを待っていたが、彼は一向に黙ったままで、私はどんどん焦れてくる。
「アルシェ、何か話があったんじゃないの?」
「あ、うん。そうなんだけど、何から話していいのか」
そんなに言いにくいことなのか。
困ったように笑うアルシェを見たら、ふと昔を思い出した。
そうだ、アルシェは元々こんな感じだった。
自分から積極的に話すような人ではなかった。
仕方ない。
「魔法学校の研究生になったって聞いたけど」
「うん」
アルシェは多少緊張が解けた様子で頷く。
「この春で修了予定」
「そうなんだ。もう決まったの?」
「うん。もうほぼ決まったところ」
そう言って、紅茶を一口飲んだ。
「その後はどうするの? そっち方面に進むの?」
魔法関係の仕事に就くのだろうか。
そんな私の問いかけに、アルシェが、え?と訝しげな顔をする。
「え? 何?」
私はなぜそんな顔をされたのかわからず、狼狽えてしまう。
「いや、もちろんこれまで通り店で働くけど」
「店? アルシェの家のレストラン?」
「そうだよ」
「お店継ぐの?」
「うん⋯⋯なんでそんな驚いてるの?」
なんでと言うか。
「だって魔法の研究がしたくて魔法学校に行ったんでしょ?」
だったらそっちの道に進むんじゃないかと思うのは当然だと思う。
だけど、アルシェは怪訝そうなまま、
「そもそも店の役に立つことが学べそうだから魔法学校に行ったんだよ」
と、答えた。
何かお互いの前提みたいなものがずれていて、話が噛み合っていないことに気付く。
「あのさ、アルシェ。最初から全部話してくれる?」
しばらく机の上をガサガサしていたマノンさんが青い顔をして言った。
「それならあの棚の上に置いてあったと思いますよ」
確かさっき横を通ったときに見かけた気がする。
「そうだ! 他のやつ取りに行くときに置いたんだった! ありがとう!」
マノンさんは急いで席を立ってファイルを取って戻ってくると、
「ここに入れてくれた、よくある間違いリストめっちゃ助かってるよ!」
と、ファイルの一番初めのページを開きながら言った。
それは、私が事務長に許可を取って作った、研究員たちがよくやるミスをリストアップしたものだ。
提出頻度の高い書類から順に作成している。
「ここ重点的に見ればいいから、初めての書類でも直しやすいもん」
「ある意味同じ間違いを繰り返してくれる研究員のみなさんのお陰ですけどね」
私の呟きにマノンさんは、あははと笑ってから、
「てかさ、これ研究員の方とも共有したらいいんじゃない?」
と、早速事務長のところに行って掛け合ってくれた。
事務長や他の事務員も賛成してくれて、所長に話をしてくれることになる。
「これでだいぶ楽になるんじゃない」
「研究員のみなさんが見てくれるといいんですけどね」
「返されて訂正するより効率いいと気付けば見るわよ。超激務だからね。研究の内容によっては深夜までとか、泊まり込みとかざらだし」
確かに、ほぼ定時で帰れる事務方と違ってなかなかきつそうだ。
ただ、そのしわ寄せがこっちにくることもよくあるので、あちらだけが大変だと言われるわけにはいかない。
働き始めて三年目。
失敗もするが、だいぶ仕事にも慣れて、やりがいを感じるようになってきた。
「ヴィオラお疲れさま」
研究所を出たところでニコと合流する。
今日は、以前イリスさんに持っていったお菓子のお店に併設されているカフェでお茶をする予定だ。
ぜひ行った感想を聞かせてほしいとイリスさんにも言われている。
かなり羨ましそうで、ものすごく前のめりになっていた。
ニコは最終学年で忙しく、待ち合わせて出かけるのは久しぶりだ。
「ずっと研究室で座りっぱなしだったから外はいいね。開放感」
ニコが、「飛べそう」と言いながら、体を伸ばしている。
「卒業研究の方はどう?」
「うん。実技が一切入らない内容にしたから大丈夫」
ニコが言うところによると、これまで浪人や留年をしていたのは実技が苦手なのが原因らしい。座学の成績は普通だと言っていた。
「六年生は実技の授業がないから、随分気持ちが楽だよ」
話してるうちにお店に着いて、予約していた席に座ると、スパークリングジュースを手に取ってグラスを合わせた。
カチンと澄んだ音がする。
「内定おめでとう」
「ありがとう」
ニコは先日無事に研究所の校正、校閲部署から内定をもらっていた。
「夢を叶えたんだね。すごいな」
私はポツリと呟く。
ニコは夢の有る無しで人生の良し悪しは決まらないと言ってくれたけど、やっぱり少しだけ引け目を感じる。
ニコはそんな私の様子に、グラスを置いて口を開いた。
「⋯⋯あれからちょっと考えたんだけどさ。夢って、結局たくさんある靴の中の一足みたいなもんだと思うんだよね」
「靴?」
発言の意味がよくわからなくて、ニコを見る。
「履く人を選ぶ靴とか、履きこなすのが難しい靴があってさ、そういう靴を履くのに労力をかける人もいるけど、そんなのに興味がない人もいるでしょ。けど、興味を持たないその人たちが靴を履いてないわけじゃなくて、みんな種類は違うけど、それぞれ靴を履いてる」
「うん」
「みんなちゃんと自分の靴を履いて歩いてるんだよ。それにさ、靴はずっと履き続けてるわけじゃないし、別の靴に替えることもあるだろうし、なんなら裸足で駆け回ってる人を羨ましいと思うこともあるかもしれないじゃない」
「⋯⋯そっか」
ニコの言葉がストンと落ちてきた。
ちゃんと私も自分なりの靴を履いて歩いていて。
それが、夢だとかそうじゃないとか大事なのはそんなことじゃなかったんだ。
それから、運ばれてきたチョコレートケーキとフルーツケーキを半分こして、ハーブティーを飲む。
お土産にクッキーを買って店を出たところで声をかけられた。
「こんにちは」
その声音に、もう心を乱されることはない。
「こんにちはマリエル」
落ち着いて挨拶を返す私に、マリエルが、ふんという態度で目を細める。
それからニコの方を向いて、
「ニコラさん、こんな風に遊んでるとまた留年しますよ」
と、明らかに愛想悪く、媚びたところのない口調で言ったので、そちらに驚かされてしまった。
「あはは、厳しいな。がんばります。マリエルさんは資格試験もあるんですよね。勉強がんばってくださいね。試験前に風邪を引いたりしたら大変ですから、体調管理も気を付けてくださいね」
「うっさいな。言われなくてもわかってるし」
これがマリエルの素なんだろうか。
あざとさも意地の悪さもない、反抗的で手のかかる妹のような。
結局マリエルはそれ以上何も言わず、バツが悪そうに去っていった。
「僕、マリエルさんに嫌われてるんだよね」
いや、むしろかなり心を開かれているような気がする。
「前に結構失礼なこと言っちゃったから」
何を言ったんだろう。
男性に対してあそこまでマリエルの態度が変わるなんて。
二人にどんなやり取りがあったのかはわからないけど、なぜかモヤッとした気持ちになる。
その理由がどこにあるのか。
「じゃあ、帰ろうか」
ニコの呼びかけに私は頷く。
日の落ちかかった空に、月が輝き始めていた。
── ─
夏の名残も遥か遠くに消えて、冬の気配に包まれている。
母に頼まれた買い物を終えて歩いていると、
「ヴィオレット」
懐かしい声がした。
振り返ると、目に入る赤銅色。
「アルシェ」
しばらくぶりにあった彼は少年っぽさが消えて、はっきりと大人の男性に変わっていた。
最後に会ったときよりも髪が伸びている。
「久しぶり」
言いながら、思ったより動揺していない自分に気付いた。
「ヴィオレットの家に行ったら、買い物に出たって言われたから。会えてよかった」
偶然じゃなくて、私を訪ねてきたのか。
「どうしたの? 用事?」
「うん、話したいことがあって」
アルシェは緊張しているのか顔色が白い。
そういえば、私もアルシェと向き合って話すべきだと思っていたのに、なんだかんだと先延ばしになっていた。
「じゃあ、どこかお店に入ろうか」
私が言うと、彼は目に見えてホッとした表情になる。
近くのカフェに入ると、窓側の席に二人向かい合わせに座った。
ソファが柔らかい。
私が紅茶を選ぶと、アルシェも同じものを頼む。
⋯⋯。
⋯⋯⋯⋯。
沈黙が流れた。
他のお客さんのカップを置く音が聞こえてくる。
しばらくして紅茶が運ばれてきた。
その水面を見つめながらアルシェが口を開くのを待っていたが、彼は一向に黙ったままで、私はどんどん焦れてくる。
「アルシェ、何か話があったんじゃないの?」
「あ、うん。そうなんだけど、何から話していいのか」
そんなに言いにくいことなのか。
困ったように笑うアルシェを見たら、ふと昔を思い出した。
そうだ、アルシェは元々こんな感じだった。
自分から積極的に話すような人ではなかった。
仕方ない。
「魔法学校の研究生になったって聞いたけど」
「うん」
アルシェは多少緊張が解けた様子で頷く。
「この春で修了予定」
「そうなんだ。もう決まったの?」
「うん。もうほぼ決まったところ」
そう言って、紅茶を一口飲んだ。
「その後はどうするの? そっち方面に進むの?」
魔法関係の仕事に就くのだろうか。
そんな私の問いかけに、アルシェが、え?と訝しげな顔をする。
「え? 何?」
私はなぜそんな顔をされたのかわからず、狼狽えてしまう。
「いや、もちろんこれまで通り店で働くけど」
「店? アルシェの家のレストラン?」
「そうだよ」
「お店継ぐの?」
「うん⋯⋯なんでそんな驚いてるの?」
なんでと言うか。
「だって魔法の研究がしたくて魔法学校に行ったんでしょ?」
だったらそっちの道に進むんじゃないかと思うのは当然だと思う。
だけど、アルシェは怪訝そうなまま、
「そもそも店の役に立つことが学べそうだから魔法学校に行ったんだよ」
と、答えた。
何かお互いの前提みたいなものがずれていて、話が噛み合っていないことに気付く。
「あのさ、アルシェ。最初から全部話してくれる?」
0
あなたにおすすめの小説
王太子妃専属侍女の結婚事情
蒼あかり
恋愛
伯爵家の令嬢シンシアは、ラドフォード王国 王太子妃の専属侍女だ。
未だ婚約者のいない彼女のために、王太子と王太子妃の命で見合いをすることに。
相手は王太子の側近セドリック。
ところが、幼い見た目とは裏腹に令嬢らしからぬはっきりとした物言いのキツイ性格のシンシアは、それが元でお見合いをこじらせてしまうことに。
そんな二人の行く末は......。
☆恋愛色は薄めです。
☆完結、予約投稿済み。
新年一作目は頑張ってハッピーエンドにしてみました。
ふたりの喧嘩のような言い合いを楽しんでいただければと思います。
そこまで激しくはないですが、そういうのが苦手な方はご遠慮ください。
よろしくお願いいたします。
恋詠花
舘野寧依
恋愛
アイシャは大国トゥルティエールの王妹で可憐な姫君。だが兄王にただならぬ憎しみを向けられて、王宮で非常に肩身の狭い思いをしていた。
そんな折、兄王から小国ハーメイの王に嫁げと命じられたアイシャはおとなしくそれに従う。しかし、そんな彼女を待っていたのは、手つかずのお飾りの王妃という屈辱的な仕打ちだった。それは彼女の出自にも関係していて……?
──これは後の世で吟遊詩人に詠われる二人の王と一人の姫君の恋物語。
私のお金が欲しい伯爵様は離婚してくれません
みみぢあん
恋愛
祖父の葬儀から帰ったアデルは、それまで優しかった夫のピエールに、愛人と暮らすから伯爵夫人の部屋を出ろと命令される。 急に変わった夫の裏切りに激怒したアデルは『離婚してあげる』と夫に言うが… 夫は裕福な祖父の遺産相続人となったアデルとは離婚しないと言いはなつ。
実家へ連れ帰ろうと護衛騎士のクロヴィスがアデルをむかえに来るが… 帰る途中で襲撃され、2人は命の危険にさらされる。
《完結》「パパはいますか?」ある日、夫に似た子供が訪ねて来た。
ヴァンドール
恋愛
嫁いですぐに夫は戦地に赴いた。すると突然一人の男の子が訪ねて来た「パパはいますか?」
その子供の顔は戦地に行った夫にそっくりだった。
望まぬ結婚をさせられた私のもとに、死んだはずの護衛騎士が帰ってきました~不遇令嬢が世界一幸せな花嫁になるまで
越智屋ノマ
恋愛
「君を愛することはない」で始まった不遇な結婚――。
国王の命令でクラーヴァル公爵家へと嫁いだ伯爵令嬢ヴィオラ。しかし夫のルシウスに愛されることはなく、毎日つらい仕打ちを受けていた。
孤独に耐えるヴィオラにとって唯一の救いは、護衛騎士エデン・アーヴィスと過ごした日々の思い出だった。エデンは強くて誠実で、いつもヴィオラを守ってくれた……でも、彼はもういない。この国を襲った『災禍の竜』と相打ちになって、3年前に戦死してしまったのだから。
ある日、参加した夜会の席でヴィオラは窮地に立たされる。その夜会は夫の愛人が主催するもので、夫と結託してヴィオラを陥れようとしていたのだ。誰に救いを求めることもできず、絶体絶命の彼女を救ったのは――?
(……私の体が、勝手に動いている!?)
「地獄で悔いろ、下郎が。このエデン・アーヴィスの目の黒いうちは、ヴィオラ様に指一本触れさせはしない!」
死んだはずのエデンの魂が、ヴィオラの体に乗り移っていた!?
――これは、望まぬ結婚をさせられた伯爵令嬢ヴィオラと、死んだはずの護衛騎士エデンのふしぎな恋の物語。理不尽な夫になんて、もう絶対に負けません!!
溺愛王子の甘すぎる花嫁~悪役令嬢を追放したら、毎日が新婚初夜になりました~
紅葉山参
恋愛
侯爵令嬢リーシャは、婚約者である第一王子ビヨンド様との結婚を心から待ち望んでいた。けれど、その幸福な未来を妬む者もいた。それが、リーシャの控えめな立場を馬鹿にし、王子を我が物にしようと画策した悪役令嬢ユーリーだった。
ある夜会で、ユーリーはビヨンド様の気を引こうと、リーシャを罠にかける。しかし、あなたの王子は、そんなつまらない小細工に騙されるほど愚かではなかった。愛するリーシャを信じ、王子はユーリーを即座に糾弾し、国外追放という厳しい処分を下す。
邪魔者が消え去った後、リーシャとビヨンド様の甘美な新婚生活が始まる。彼は、人前では厳格な王子として振る舞うけれど、私と二人きりになると、とろけるような甘さでリーシャを愛し尽くしてくれるの。
「私の可愛い妻よ、きみなしの人生なんて考えられない」
そう囁くビヨンド様に、私リーシャもまた、心も身体も預けてしまう。これは、障害が取り除かれたことで、むしろ加速度的に深まる、世界一甘くて幸せな夫婦の溺愛物語。新婚の王子妃として、私は彼の、そして王国の「最愛」として、毎日を幸福に満たされて生きていきます。
さようならの定型文~身勝手なあなたへ
宵森みなと
恋愛
「好きな女がいる。君とは“白い結婚”を——」
――それは、夢にまで見た結婚式の初夜。
額に誓いのキスを受けた“その夜”、彼はそう言った。
涙すら出なかった。
なぜなら私は、その直前に“前世の記憶”を思い出したから。
……よりによって、元・男の人生を。
夫には白い結婚宣言、恋も砕け、初夜で絶望と救済で、目覚めたのは皮肉にも、“現実”と“前世”の自分だった。
「さようなら」
だって、もう誰かに振り回されるなんて嫌。
慰謝料もらって悠々自適なシングルライフ。
別居、自立して、左団扇の人生送ってみせますわ。
だけど元・夫も、従兄も、世間も――私を放ってはくれないみたい?
「……何それ、私の人生、まだ波乱あるの?」
はい、あります。盛りだくさんで。
元・男、今・女。
“白い結婚からの離縁”から始まる、人生劇場ここに開幕。
-----『白い結婚の行方』シリーズ -----
『白い結婚の行方』の物語が始まる、前のお話です。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる