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船上パーティー
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船上パーティーの日となった。
ソフィアはドレスに着替え、動揺を隠すために念入りにメイクした。
(絶対に失敗は許されない。
チャンスは一度だけ。
なんとしてでも成功させてみせるわ。)
鏡の中の自分に気合を入れた。
馬車に乗って港に向かった。
港には大きな船が停泊していた。
もうすでに船上からは楽団の奏でる音楽が聞こえ、忙しく働く給仕達の姿が見えた。
乗船の際、カイルはキャンディスの腕を取り2人はベッタリ抱き合うようにして船に乗り込んだ。
ソフィアはその少し後ろについて乗り込んだ。
この屈辱的な扱いにさすがに他の貴族たちから不快感と抗議を込めた視線が王子とキャンディスに向けられた。
しかし王子は全く気づかず、キャンディスは挑戦的に微笑むとこれ見よがしに王子に体をすりよせた。
船の上でもキャンディスは王子とソフィアの間に座り、王子と抱き合ったり食べさせ合いっこをしたり目を背けたくなるほどの有様だった。
周囲の同情の視線を気にもせずソフィアは微笑みを浮かべてパーティーを楽しんだ。
そんな中、ウォードとの約束の時間になった。
夕方6時。辺りはだいぶ暗くなってきた。
パーティーは盛り上がって皆お酒も入っていい気分だった。
ソフィアは景色でも見るふりをして船のへりに近づいた。
ウォードは帽子でも落としたふりして海に落ちろと言ったけどソフィアはカイルに意趣返ししたい気分になった。
ここまで自分をコケにしたのだからちょっとくらいやり返してもバチは当たらないだろうと思った。
ソフィアは階段を上り船のへりに立った。
お付の女官や警備の騎士たちはギョッとした。
「ソフィア様!どうしたのですか?」
「ソフィア様!危のうございます!」
「降りてくださいませ!」
何事が起こったのかと船上は騒然となった。
「カイル王子!今までお世話になりました。
私はあなた様を愛し、あなた様のために王妃教育に耐えてまいりましたわ。
でもあなた様のお心はいつしか私から離れキャンディス嬢のものとなりました。
私はあなた様のために身を引く決意をいたしました。
私は遠いところへ参りますがあなた様の幸せをお祈りしております。」
そう言うと、くるりと振り向いて海に飛び込んだ。
船の上は阿鼻叫喚だった。
泣き叫ぶ女官達や気を失う貴婦人達。
警備の騎士達の怒号が響く中、何人かは剣や装備を脱ぎ捨てて海に飛び込んだ。
すぐに小舟が降ろされて本格的な捜索が始まったがソフィアの姿はどこにもなかった。
ソフィアは息を思い切り吸い込み海に飛び込むとすぐにドレスの糸を引っ張った。
ドレスはバラバラになって流れていった。
すると何かがすごい速さで近づいてきた。
『何?イルカ?』
そう思っているとそれはソフィアを抱えて潮の流れに沿って海中をすごいスピードで泳いでいった。
ソフィアの息が持たなくなってきたところでやっと顔が海面に出た。
漁船のような船に掴まる。
本当に死ぬかと思った。
全身で呼吸する。
すごく遠くに船上パーティーの船が見えた。
遠くからでもわかるほど大騒ぎしていた。
誰も漁船の存在には気がついていないようだった。
ソフィアは数人に引っ張られて漁船に引き上げられた。
「すぐに出発だ!」
誰かがそう言うと、漁船は動き出した。
息が整って少し冷静になったソフィアは船の上を見回した。
船を漕いでいる男が2人、そしてずぶ濡れの青年がいた。
この青年が自分を抱えて泳いだのだとわかった。
じっと見つめていると青年はソフィアの視線に気づいてニコッと笑ってくれた。
よく日焼けした浅黒い肌に青い瞳の美しい青年だった。
「助けてくださってありがとう。」
そう言うと青年は、
「ウォードさんのご依頼ですから。」
と言った。
男性にしては高い美しい声だった。
ソフィアはドレスに着替え、動揺を隠すために念入りにメイクした。
(絶対に失敗は許されない。
チャンスは一度だけ。
なんとしてでも成功させてみせるわ。)
鏡の中の自分に気合を入れた。
馬車に乗って港に向かった。
港には大きな船が停泊していた。
もうすでに船上からは楽団の奏でる音楽が聞こえ、忙しく働く給仕達の姿が見えた。
乗船の際、カイルはキャンディスの腕を取り2人はベッタリ抱き合うようにして船に乗り込んだ。
ソフィアはその少し後ろについて乗り込んだ。
この屈辱的な扱いにさすがに他の貴族たちから不快感と抗議を込めた視線が王子とキャンディスに向けられた。
しかし王子は全く気づかず、キャンディスは挑戦的に微笑むとこれ見よがしに王子に体をすりよせた。
船の上でもキャンディスは王子とソフィアの間に座り、王子と抱き合ったり食べさせ合いっこをしたり目を背けたくなるほどの有様だった。
周囲の同情の視線を気にもせずソフィアは微笑みを浮かべてパーティーを楽しんだ。
そんな中、ウォードとの約束の時間になった。
夕方6時。辺りはだいぶ暗くなってきた。
パーティーは盛り上がって皆お酒も入っていい気分だった。
ソフィアは景色でも見るふりをして船のへりに近づいた。
ウォードは帽子でも落としたふりして海に落ちろと言ったけどソフィアはカイルに意趣返ししたい気分になった。
ここまで自分をコケにしたのだからちょっとくらいやり返してもバチは当たらないだろうと思った。
ソフィアは階段を上り船のへりに立った。
お付の女官や警備の騎士たちはギョッとした。
「ソフィア様!どうしたのですか?」
「ソフィア様!危のうございます!」
「降りてくださいませ!」
何事が起こったのかと船上は騒然となった。
「カイル王子!今までお世話になりました。
私はあなた様を愛し、あなた様のために王妃教育に耐えてまいりましたわ。
でもあなた様のお心はいつしか私から離れキャンディス嬢のものとなりました。
私はあなた様のために身を引く決意をいたしました。
私は遠いところへ参りますがあなた様の幸せをお祈りしております。」
そう言うと、くるりと振り向いて海に飛び込んだ。
船の上は阿鼻叫喚だった。
泣き叫ぶ女官達や気を失う貴婦人達。
警備の騎士達の怒号が響く中、何人かは剣や装備を脱ぎ捨てて海に飛び込んだ。
すぐに小舟が降ろされて本格的な捜索が始まったがソフィアの姿はどこにもなかった。
ソフィアは息を思い切り吸い込み海に飛び込むとすぐにドレスの糸を引っ張った。
ドレスはバラバラになって流れていった。
すると何かがすごい速さで近づいてきた。
『何?イルカ?』
そう思っているとそれはソフィアを抱えて潮の流れに沿って海中をすごいスピードで泳いでいった。
ソフィアの息が持たなくなってきたところでやっと顔が海面に出た。
漁船のような船に掴まる。
本当に死ぬかと思った。
全身で呼吸する。
すごく遠くに船上パーティーの船が見えた。
遠くからでもわかるほど大騒ぎしていた。
誰も漁船の存在には気がついていないようだった。
ソフィアは数人に引っ張られて漁船に引き上げられた。
「すぐに出発だ!」
誰かがそう言うと、漁船は動き出した。
息が整って少し冷静になったソフィアは船の上を見回した。
船を漕いでいる男が2人、そしてずぶ濡れの青年がいた。
この青年が自分を抱えて泳いだのだとわかった。
じっと見つめていると青年はソフィアの視線に気づいてニコッと笑ってくれた。
よく日焼けした浅黒い肌に青い瞳の美しい青年だった。
「助けてくださってありがとう。」
そう言うと青年は、
「ウォードさんのご依頼ですから。」
と言った。
男性にしては高い美しい声だった。
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