もう1人の、王子と呼ばれる人が気になって話しかけただけだった

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3.読書

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 弥生くんとは、自分から絡みに行かなければ、関わることはない。だから、俺はあの日から毎日図書室に通っている。そんな俺の行動が拡散されたらしく、図書室に、俺たちの交流を観に来る人たちが多くなった。

「……あのさ」

 いつも通り、弥生くんが座っている隣に座ると、弥生くんが口を開いた。

「ん?」
「本に興味がないなら、図書室に来るのはやめてくれない?」

 弥生くんは本から目を離さずにそう言った。

「え」
「キミはキャーキャー言われるのが好きみたいだけど、僕はそうでもない。月王子って呼ばれるのも、好きではないんだ」

 見抜かれていた。月王子と2人で居れば、いつもとは違う種類の反応が、周りから貰えるのが正直楽しい。俺は見抜けなかった。弥生くんが俺のことをうざがっていたことに。拒絶的な反応を今まで隠されていたから……いや、俺が人の感情に疎いから、こうなってしまった。

「……ごめん」
「本を読みに来るなら良いけど、僕目当てで来るのはやめてくれ。僕たち目当ての人が増えたせいで、本来図書室を使いたい人が来なくなってしまう」
「……そうだな」

 俺は席を立ち、本棚を見る。弥生くんとの交流は無くしたくない。ならば、弥生くんが本を読むのが好きなように、俺も本を好きになろう。そうすれば仲良くなれるかもしれない。俺が弥生くんに話しかけなければ、関わりはなくなる。そうすれば、王子たちの会合だなんて盛り上がっていた人たちは、図書室に来なくなるだろう。その時だ、弥生くんに話しかけるのは。それまでは大人しく、本を読もう。

 しかし、俺は本に今まで興味が無かった。どれを選べば良いのかよく分からない。本を好きになるには、まず本を読み切る習慣をつけるのが良いのかもしれない。そのために、薄い本を選ぼう。……なんか薄い本って言い方は意味合いが違くなってくる気がするけど、ま、良いや。

 本棚を見ていると、見覚えのあるタイトルが目に入った。たしか、ドラマ化されていた作品だ。ドラマになってるなら、たぶん面白いだろう。本の厚さもそんなにない。これにしよう。本を手に取り、さきほどまで座っていた弥生くんの隣に向かおうとして、やめた。王子が2人並んで本を読んでるのも、絵になって話題になるかもしれない。俺は、できるだけ弥生くんから離れた席に座った。

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