もう1人の、王子と呼ばれる人が気になって話しかけただけだった

メグエム

文字の大きさ
3 / 14

3.読書

しおりを挟む
 弥生くんとは、自分から絡みに行かなければ、関わることはない。だから、俺はあの日から毎日図書室に通っている。そんな俺の行動が拡散されたらしく、図書室に、俺たちの交流を観に来る人たちが多くなった。

「……あのさ」

 いつも通り、弥生くんが座っている隣に座ると、弥生くんが口を開いた。

「ん?」
「本に興味がないなら、図書室に来るのはやめてくれない?」

 弥生くんは本から目を離さずにそう言った。

「え」
「キミはキャーキャー言われるのが好きみたいだけど、僕はそうでもない。月王子って呼ばれるのも、好きではないんだ」

 見抜かれていた。月王子と2人で居れば、いつもとは違う種類の反応が、周りから貰えるのが正直楽しい。俺は見抜けなかった。弥生くんが俺のことをうざがっていたことに。拒絶的な反応を今まで隠されていたから……いや、俺が人の感情に疎いから、こうなってしまった。

「……ごめん」
「本を読みに来るなら良いけど、僕目当てで来るのはやめてくれ。僕たち目当ての人が増えたせいで、本来図書室を使いたい人が来なくなってしまう」
「……そうだな」

 俺は席を立ち、本棚を見る。弥生くんとの交流は無くしたくない。ならば、弥生くんが本を読むのが好きなように、俺も本を好きになろう。そうすれば仲良くなれるかもしれない。俺が弥生くんに話しかけなければ、関わりはなくなる。そうすれば、王子たちの会合だなんて盛り上がっていた人たちは、図書室に来なくなるだろう。その時だ、弥生くんに話しかけるのは。それまでは大人しく、本を読もう。

 しかし、俺は本に今まで興味が無かった。どれを選べば良いのかよく分からない。本を好きになるには、まず本を読み切る習慣をつけるのが良いのかもしれない。そのために、薄い本を選ぼう。……なんか薄い本って言い方は意味合いが違くなってくる気がするけど、ま、良いや。

 本棚を見ていると、見覚えのあるタイトルが目に入った。たしか、ドラマ化されていた作品だ。ドラマになってるなら、たぶん面白いだろう。本の厚さもそんなにない。これにしよう。本を手に取り、さきほどまで座っていた弥生くんの隣に向かおうとして、やめた。王子が2人並んで本を読んでるのも、絵になって話題になるかもしれない。俺は、できるだけ弥生くんから離れた席に座った。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

平凡な男子高校生が、素敵な、ある意味必然的な運命をつかむお話。

しゅ
BL
平凡な男子高校生が、非凡な男子高校生にベタベタで甘々に可愛がられて、ただただ幸せになる話です。 基本主人公目線で進行しますが、1部友人達の目線になることがあります。 一部ファンタジー。基本ありきたりな話です。 それでも宜しければどうぞ。

私の庇護欲を掻き立てるのです

まめ
BL
ぼんやりとした受けが、よく分からないうちに攻めに囲われていく話。

幼馴染み

BL
高校生の真琴は、隣に住む幼馴染の龍之介が好き。かっこよくて品行方正な人気者の龍之介が、かわいいと噂の井野さんから告白されたと聞いて……。 高校生同士の瑞々しくて甘酸っぱい恋模様。

宮本くんと事故チューした結果

たっぷりチョコ
BL
 女子に人気の宮本くんと事故チューしてしまった主人公の話。  読み切り。

アイドルくん、俺の前では生活能力ゼロの甘えん坊でした。~俺の住み込みバイト先は後輩の高校生アイドルくんでした。

天音ねる(旧:えんとっぷ)
BL
家計を助けるため、住み込み家政婦バイトを始めた高校生・桜井智也。豪邸の家主は、寝癖頭によれよれTシャツの青年…と思いきや、その正体は学校の後輩でキラキラ王子様アイドル・橘圭吾だった!? 学校では完璧、家では生活能力ゼロ。そんな圭吾のギャップに振り回されながらも、世話を焼く日々にやりがいを感じる智也。 ステージの上では完璧な王子様なのに、家ではカップ麺すら作れない究極のポンコツ男子。 智也の作る温かい手料理に胃袋を掴まれた圭吾は、次第に心を許し、子犬のように懐いてくる。 「先輩、お腹すいた」「どこにも行かないで」 無防備な素顔と時折見せる寂しげな表情に、智也の心は絆されていく。 住む世界が違うはずの二人。秘密の契約から始まる、甘くて美味しい青春ラブストーリー!

溺愛系とまではいかないけど…過保護系カレシと言った方が 良いじゃねぇ? って親友に言われる僕のカレシさん

315 サイコ
BL
潔癖症で対人恐怖症の汐織は、一目惚れした1つ上の三波 道也に告白する。  が、案の定…  対人恐怖症と潔癖症が、災いして号泣した汐織を心配して手を貸そうとした三波の手を叩いてしまう。  そんな事が、あったのにも関わらず仮の恋人から本当の恋人までなるのだが…  三波もまた、汐織の対応をどうしたらいいのか、戸惑っていた。  そこに汐織の幼馴染みで、隣に住んでいる汐織の姉と付き合っていると言う戸室 久貴が、汐織の頭をポンポンしている場面に遭遇してしまう…   表紙のイラストは、Days AIさんで作らせていただきました。

逃げるが勝ち

うりぼう
BL
美形強面×眼鏡地味 ひょんなことがきっかけで知り合った二人。 全力で追いかける強面春日と全力で逃げる地味眼鏡秋吉の攻防。

【完結】口遊むのはいつもブルージー 〜双子の兄に惚れている後輩から、弟の俺が迫られています〜

星寝むぎ
BL
お気に入りやハートを押してくださって本当にありがとうございます! 心から嬉しいです( ; ; ) ――ただ幸せを願うことが美しい愛なら、これはみっともない恋だ―― “隠しごとありの年下イケメン攻め×双子の兄に劣等感を持つ年上受け” 音楽が好きで、SNSにひっそりと歌ってみた動画を投稿している桃輔。ある日、新入生から唐突な告白を受ける。学校説明会の時に一目惚れされたらしいが、出席した覚えはない。なるほど双子の兄のことか。人違いだと一蹴したが、その新入生・瀬名はめげずに毎日桃輔の元へやってくる。 イタズラ心で兄のことを隠した桃輔は、次第に瀬名と過ごす時間が楽しくなっていく――

処理中です...