29 / 34
29.10歳のルーナと18歳のマシューの出会い
しおりを挟む
執務室でルーナが日報を確認しているとドアがノックされガストンの声がした。
「開いてるわ」
不満げなガストンがまだ髪が濡れたままのマシューを連れて執務室に入って来た。
「綺麗になったみたいで良かったわ。あのままでは宿に入れなかったもの」
「・・(宿?)」
「お腹は空いてないかしら。良ければ食べながら話したいの」
マシューの返事を待たずソファに座ったルーナは向かいの椅子をマシューに勧めてさっさとサンドイッチを食べはじめた。
(なんだ、コイツは。警戒心とか常識とかないのかよ。そんなだから学校にも行かず遊び惚けてるんだろうな)
「ルーナ様、コイツの尋問は俺達でやりますからね」
ルーナの独断にイライラしたガストンが呑気にサンドイッチにパクつくルーナを見下ろしながら断言したが、ルーナはガストンの放つ威圧など気にも止めずマシューに話しかけた。
「名無しさんは何かお仕事はしてる?」
「・・」
「うちで働いて貰えないかしら?」
「「はあ?」」
マシューとガストンが仲良く声を揃え、ルーナの後ろで紅茶を準備していたアリシアは呆れ顔で溜息をついた。
「ルーナ様、コイツは屋敷に忍び込んだコソ泥ですよ!」
「うーん、忍び込んだのは確かよね。ウォルデン侯爵家のみんなはとても優秀なのに、その目を掻い潜って忍び込んだ。
名無しさんはこそ泥するほどお金には困ってないわ」
「ルーナ様、なんでコイツのことをそう思われたんですか?」
「この人の靴ね、かなり使い込んで傷だらけだったけど新しい傷の方が多かったの。元々の材質は高価な物だし今日の為に準備したんじゃないかしら」
「・・(あんな暗いとこで靴の傷が見えたって? 絶対嘘だね)」
「それにラベンダーの石鹸に反応してたでしょう? 石鹸自体ある程度余裕のある人じゃないと買えないし、名無しさんはラベンダーの香りの石鹸がまだ市場には出回ってないって知ってたみたい。
ついでに言うとこの国の平民は麻のシャツを着るのが一般的。だから名無しさんは宿に泊まってると思ったの。今回の祝賀会で他国から来られた方だわ」
「・・(聞いてる話と違う。コイツが遊び呆けてる役立たず?)」
「ここには何かを調べに来たんでしょう? お仕事の都合もあるから無理にとは言わないけど、その気があるなら・・うーん、執事見習いはどうかしら?」
「嬢ちゃん! あんた何考えてんだ!? こんな素性の分からんやつを屋敷に入れるってのか!?」
「名無しさんは探したければ家探しすればいいし、ガストンは詮索されたくなければちゃんと監視すればいいわ。但し二人ともお仕事はちゃんとしてね」
「こんな馬鹿げた話、連絡されてもいいんですか?」
「良いわよ。ジョージなら『敷地内に入り込まれたなど訓練時間が足りなかったようですね』って言ってみんな訓練場行きじゃないかしら?」
(なんかコイツ・・面白い)
「えーっと、じゃあ3日後にまた来るんで働かせてもらえますか?」
「はあ、貴様ぁ!! 馬鹿も休み休み言え!」
怒りで真っ赤な顔になったガストンがマシューに掴みかかった。
「ガストン! ジョージに頼む前に私が訓練計画立てるわよ。屋敷に忍び込まれた護衛は・・鍛えちゃう?」
「いや、あの。大丈夫です。但しコイツが少しでも怪しい素振りを見せたらボコボコにしていいですよね」
「良いんじゃないかしら? その程度の覚悟もなくうちに忍び込んだのなら速攻で簀巻きにして侯爵領の訓練所に送り込むわ」
「俺がどんな出自でも気にならないんですか?」
「うちはメイドや料理人も含めて戦闘集団なの。でもまだ伸び代があるからその人達の中で情報収集を頑張ってくれる人がいるなんて実戦での訓練より役に立ちそうだと思うの」
「脳筋かよ」
マシューが思わず呟いた一言にルーナが嬉しそうに声を上げて笑った。
「ありがとう。久しぶりに笑ったわ。私が脳筋ならお父様譲りってことね。
お見送りはガストンにお願いするわ。夜も遅いし宿まで送った方がよければネイサンに頼んでくれるかしら? 私はもう休みます」
ちょこんと膝を曲げ略式の挨拶をしたルーナはさっさと執務室を出て行った。
「あれが侯爵家の令嬢? 破天荒すぎないか?」
「いい気になるなよ。ウォルデン侯爵家を甘く見たら痛い目に遭うぞ」
「簡単に忍び込めたが?」
「くそっ! 覚えてろ」
マシューの第一印象は【珍獣ルーナ】
翌朝、マシューは王宮に滞在している父親の元を訪れた。
「ほう、随分面白い令嬢だな」
「面白いと言うよりあり得ない生き物を見てるみたいでした。頭が良くて判断力もあります。大人顔負けに口が立つし見た目も・・。そう言うと高評価に聞こえますが、未知の生物とか珍獣って感じです」
「だが、お前が帰らないとなるとライリーは二人分働き続けることになるぞ」
「セドリックの為だから頑張れと伝えて下さい」
「・・(ふーん、セドリックの為? 昨日の夜遅くルーナ様から既に手紙が届いていると知ったらマシューの奴なんて言うかな)」
マシューが侯爵家に忍び込んだ夜、何も知らなかったウィルソンの元にルーナからの手紙が届いた。
『ご都合が宜しければ当家はいつでもお待ちしております。どうぞお気軽にお越しください』
(こんな夜遅くに非常識な・・。ナーガルザリア王家のご機嫌をとるどころか逆効果になると分からんのか。王子の婚約者になって調子に乗ってるのかパレードに参加できなくて焦っているのか。しかし、ウォルデン侯爵家は子供の躾も出来てないのか)
と、呆れ果てていたウィルソンだったが、翌朝マシューから話を聞いて考えを改めた。
(マシューの素性を調べ速攻であの手紙を送ってきたとは。うーん、ルーナ様が何を考えておられるのか俄然興味が湧いてきた。
このまま潰してしまうのは惜しいし、陛下にはもう少しお時間を頂きたいと言ってみるか。
まさかとは思うがこちらの意図を理解している・・いや、それは流石にあり得んか。相手は10歳の子供だ)
ウィルソンの予想が当たっていたと知るのはこれより数年後、この祝賀会の直後からセドリックに手紙が届きはじめたと聞いた時だった。
ルーナはナーガルザリア王国が急遽祝賀会に参加する事になったと聞いた時、ナーガルザリア王国に動きがあると気付いた。漠然とした不安は他国の男が屋敷に侵入した事で確信に変わった。
それなら一旦懐に入れてしまえばいい。ナーガルザリア以外の国の間諜なら適当な情報を与えてさっさとお引き取り願うつもりだったが間諜は運良くナーガルザリアの王子だった。
(ラッキーだったわ。とても役に立ってくれそうだから暫くお借りしちゃおう)
(ルーナ嬢か。敵にしたら恐ろしいが味方に出来れば。グレイソン王子はいずれ凋落するのは目に見えてるし、マシューの頑張り次第だな)
その後ナーガルザリアに帰国した風を装ったマシューは言葉通り3日後に侯爵家の裏口に現れガストンの下で執事見習いとして働きはじめた。
「開いてるわ」
不満げなガストンがまだ髪が濡れたままのマシューを連れて執務室に入って来た。
「綺麗になったみたいで良かったわ。あのままでは宿に入れなかったもの」
「・・(宿?)」
「お腹は空いてないかしら。良ければ食べながら話したいの」
マシューの返事を待たずソファに座ったルーナは向かいの椅子をマシューに勧めてさっさとサンドイッチを食べはじめた。
(なんだ、コイツは。警戒心とか常識とかないのかよ。そんなだから学校にも行かず遊び惚けてるんだろうな)
「ルーナ様、コイツの尋問は俺達でやりますからね」
ルーナの独断にイライラしたガストンが呑気にサンドイッチにパクつくルーナを見下ろしながら断言したが、ルーナはガストンの放つ威圧など気にも止めずマシューに話しかけた。
「名無しさんは何かお仕事はしてる?」
「・・」
「うちで働いて貰えないかしら?」
「「はあ?」」
マシューとガストンが仲良く声を揃え、ルーナの後ろで紅茶を準備していたアリシアは呆れ顔で溜息をついた。
「ルーナ様、コイツは屋敷に忍び込んだコソ泥ですよ!」
「うーん、忍び込んだのは確かよね。ウォルデン侯爵家のみんなはとても優秀なのに、その目を掻い潜って忍び込んだ。
名無しさんはこそ泥するほどお金には困ってないわ」
「ルーナ様、なんでコイツのことをそう思われたんですか?」
「この人の靴ね、かなり使い込んで傷だらけだったけど新しい傷の方が多かったの。元々の材質は高価な物だし今日の為に準備したんじゃないかしら」
「・・(あんな暗いとこで靴の傷が見えたって? 絶対嘘だね)」
「それにラベンダーの石鹸に反応してたでしょう? 石鹸自体ある程度余裕のある人じゃないと買えないし、名無しさんはラベンダーの香りの石鹸がまだ市場には出回ってないって知ってたみたい。
ついでに言うとこの国の平民は麻のシャツを着るのが一般的。だから名無しさんは宿に泊まってると思ったの。今回の祝賀会で他国から来られた方だわ」
「・・(聞いてる話と違う。コイツが遊び呆けてる役立たず?)」
「ここには何かを調べに来たんでしょう? お仕事の都合もあるから無理にとは言わないけど、その気があるなら・・うーん、執事見習いはどうかしら?」
「嬢ちゃん! あんた何考えてんだ!? こんな素性の分からんやつを屋敷に入れるってのか!?」
「名無しさんは探したければ家探しすればいいし、ガストンは詮索されたくなければちゃんと監視すればいいわ。但し二人ともお仕事はちゃんとしてね」
「こんな馬鹿げた話、連絡されてもいいんですか?」
「良いわよ。ジョージなら『敷地内に入り込まれたなど訓練時間が足りなかったようですね』って言ってみんな訓練場行きじゃないかしら?」
(なんかコイツ・・面白い)
「えーっと、じゃあ3日後にまた来るんで働かせてもらえますか?」
「はあ、貴様ぁ!! 馬鹿も休み休み言え!」
怒りで真っ赤な顔になったガストンがマシューに掴みかかった。
「ガストン! ジョージに頼む前に私が訓練計画立てるわよ。屋敷に忍び込まれた護衛は・・鍛えちゃう?」
「いや、あの。大丈夫です。但しコイツが少しでも怪しい素振りを見せたらボコボコにしていいですよね」
「良いんじゃないかしら? その程度の覚悟もなくうちに忍び込んだのなら速攻で簀巻きにして侯爵領の訓練所に送り込むわ」
「俺がどんな出自でも気にならないんですか?」
「うちはメイドや料理人も含めて戦闘集団なの。でもまだ伸び代があるからその人達の中で情報収集を頑張ってくれる人がいるなんて実戦での訓練より役に立ちそうだと思うの」
「脳筋かよ」
マシューが思わず呟いた一言にルーナが嬉しそうに声を上げて笑った。
「ありがとう。久しぶりに笑ったわ。私が脳筋ならお父様譲りってことね。
お見送りはガストンにお願いするわ。夜も遅いし宿まで送った方がよければネイサンに頼んでくれるかしら? 私はもう休みます」
ちょこんと膝を曲げ略式の挨拶をしたルーナはさっさと執務室を出て行った。
「あれが侯爵家の令嬢? 破天荒すぎないか?」
「いい気になるなよ。ウォルデン侯爵家を甘く見たら痛い目に遭うぞ」
「簡単に忍び込めたが?」
「くそっ! 覚えてろ」
マシューの第一印象は【珍獣ルーナ】
翌朝、マシューは王宮に滞在している父親の元を訪れた。
「ほう、随分面白い令嬢だな」
「面白いと言うよりあり得ない生き物を見てるみたいでした。頭が良くて判断力もあります。大人顔負けに口が立つし見た目も・・。そう言うと高評価に聞こえますが、未知の生物とか珍獣って感じです」
「だが、お前が帰らないとなるとライリーは二人分働き続けることになるぞ」
「セドリックの為だから頑張れと伝えて下さい」
「・・(ふーん、セドリックの為? 昨日の夜遅くルーナ様から既に手紙が届いていると知ったらマシューの奴なんて言うかな)」
マシューが侯爵家に忍び込んだ夜、何も知らなかったウィルソンの元にルーナからの手紙が届いた。
『ご都合が宜しければ当家はいつでもお待ちしております。どうぞお気軽にお越しください』
(こんな夜遅くに非常識な・・。ナーガルザリア王家のご機嫌をとるどころか逆効果になると分からんのか。王子の婚約者になって調子に乗ってるのかパレードに参加できなくて焦っているのか。しかし、ウォルデン侯爵家は子供の躾も出来てないのか)
と、呆れ果てていたウィルソンだったが、翌朝マシューから話を聞いて考えを改めた。
(マシューの素性を調べ速攻であの手紙を送ってきたとは。うーん、ルーナ様が何を考えておられるのか俄然興味が湧いてきた。
このまま潰してしまうのは惜しいし、陛下にはもう少しお時間を頂きたいと言ってみるか。
まさかとは思うがこちらの意図を理解している・・いや、それは流石にあり得んか。相手は10歳の子供だ)
ウィルソンの予想が当たっていたと知るのはこれより数年後、この祝賀会の直後からセドリックに手紙が届きはじめたと聞いた時だった。
ルーナはナーガルザリア王国が急遽祝賀会に参加する事になったと聞いた時、ナーガルザリア王国に動きがあると気付いた。漠然とした不安は他国の男が屋敷に侵入した事で確信に変わった。
それなら一旦懐に入れてしまえばいい。ナーガルザリア以外の国の間諜なら適当な情報を与えてさっさとお引き取り願うつもりだったが間諜は運良くナーガルザリアの王子だった。
(ラッキーだったわ。とても役に立ってくれそうだから暫くお借りしちゃおう)
(ルーナ嬢か。敵にしたら恐ろしいが味方に出来れば。グレイソン王子はいずれ凋落するのは目に見えてるし、マシューの頑張り次第だな)
その後ナーガルザリアに帰国した風を装ったマシューは言葉通り3日後に侯爵家の裏口に現れガストンの下で執事見習いとして働きはじめた。
32
あなたにおすすめの小説
「地味ブス」と捨てられた私、文化祭の大型スクリーンで王子様の裏の顔を全校生に配信します
スカッと文庫
恋愛
「お前みたいな地味女、引き立て役にもならないんだよ」
眼鏡にボサボサ頭の特待生・澪(みお)は、全校生徒が見守る中、恋人だった学園の王子・ハルトから冷酷に捨てられた。
隣には、可憐な微笑みを浮かべる転校生・エマ。
エマの自作自演により「いじめの犯人」という濡れ衣まで着せられ、学園中から蔑まれる澪。
しかし、彼女を嘲笑う者たちはまだ知らない。
彼女が眼鏡の奥に、誰もが平伏す「真実の美貌」と、学園さえも支配できる「最強の背景」を隠していることを――。
「……ねぇ、文化祭、最高のステージにしてあげる」
裏切りへのカウントダウンが今、始まる。
スクリーンの裏側を暴き、傲慢な王子と偽りのヒロインを奈落へ突き落とす、痛快・学園下剋上ファンタジー!
わざわざ証拠まで用意してくれたみたいなのですが、それ、私じゃないですよね?
ここあ
恋愛
「ヴァレリアン!この場をもって、宣言しようではないか!俺はお前と婚約破棄をさせていただく!」
ダンスパーティの途中、伯爵令嬢の私・ヴァレリアンは、侯爵家のオランジェレス様に婚約破棄を言い渡されてしまった。
一体どういう理由でなのかしらね?
あるいは、きちんと証拠もお揃いなのかしら。
そう思っていたヴァレリアンだが…。
※誤字脱字等あるかもしれません!
※設定はゆるふわです。
※題名やサブタイトルの言葉がそのまま出てくるとは限りません。
※現代の文明のようなものが混じっていますが、ファンタジーの物語なのでご了承ください。
政略結婚だからと諦めていましたが、離縁を決めさせていただきました
あおくん
恋愛
父が決めた結婚。
顔を会わせたこともない相手との結婚を言い渡された私は、反論することもせず政略結婚を受け入れた。
これから私の家となるディオダ侯爵で働く使用人たちとの関係も良好で、旦那様となる義両親ともいい関係を築けた私は今後上手くいくことを悟った。
だが婚姻後、初めての初夜で旦那様から言い渡されたのは「白い結婚」だった。
政略結婚だから最悪愛を求めることは考えてはいなかったけれど、旦那様がそのつもりなら私にも考えがあります。
どうか最後まで、その強気な態度を変えることがないことを、祈っておりますわ。
※いつものゆるふわ設定です。拙い文章がちりばめられています。
最後はハッピーエンドで終えます。
公爵家の家政を10年回した私が出ていったら、3ヶ月で領地が破綻しました
歩人
ファンタジー
エレナは公爵家に嫁いで10年、夫は愛人に入れ込み、義母には「家政婦代わり」と
罵られた。だが領地の財務も、商会との交渉も、使用人の管理も、全部エレナが
やっていた。ある日、義母から「あなたの代わりなんていくらでもいる」と言われ、
エレナは静かに離縁届を出した。「では、代わりの方にお任せください」
辺境の町で小さな商会を開いたエレナ。10年間の実務経験は伊達ではなかった。
商会はたちまち繁盛する。一方、エレナがいなくなった公爵家は3ヶ月で経営破綻。
元夫が「戻ってこい」と泣きつくが——
「お断りです。あと、10年分の未払い給金を請求いたしますね」
悪役断罪?そもそも何かしましたか?
SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。
男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。
あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。
えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。
勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。
婚約破棄された宰相です。 正直、婚約者も宰相も辞めたかったので丁度よかったです
鍛高譚
恋愛
内容紹介
「婚約破棄だ! そして宰相もクビだ!」
王宮の舞踏会で突然そう宣言したのは、女性問題を繰り返す問題王太子ユリウス。
婚約者であり王国宰相でもあるレティシアは、静かに答えた。
「かしこまりました」
――正直、本当に辞めたかったので。
これまで王太子の女性問題の後始末、慰謝料交渉、教会対応、社交界の火消し……
すべて押し付けられていたレティシアは、婚約も宰相職もあっさり辞任。
そしてその瞬間――
王宮が止まった。
料理人が動かない。
書類が処理されない。
伝令がいない。
ついにはトイレの汚物回収まで止まり、王宮は大混乱。
さらに王太子の新たな女性問題が発覚し、教会は激怒。
噂は王都中に広がり、王宮は完全に統治不能に。
そしてついに――
教会・貴族・王家が下した決断は、
「王太子廃嫡」
そして。
「レティシア、女王即位」
婚約破棄して宰相をクビにした結果、
王宮を止めてしまった元王太子の末路とは――?
これは、婚約破棄された宰相が女王になるまでの
完全自業自得ざまぁ物語。
処刑台の皇妃、回帰して復讐を誓う ~冷酷公爵と偽りの婚約者~ おまえたちは許さない!
秦江湖
ファンタジー
皇妃エリアーナは、夫である皇帝アランと、たった一人の親友イザベラの策略により、無実の罪で処刑される。
民衆に罵られ、アランの冷酷な目とイザベラの嘲笑を「始まりの景色」として目に焼き付けながら絶命した彼女は、しかし、処刑の記憶を持ったまま三年前の過去に回帰する。
「おまえたちは許さない」
二度目の人生。
エリアーナの目的はただ一つ、自分を陥れた二人への完璧な復讐。
彼女はまず、アラン(皇太子)からの婚約内示を拒絶。そして、アラン最大の政敵である「北の冷血公爵」ルシアン・ヴァレリウスに接触する。
1周目で得た「未来の知識」を対価に、エリアーナはルシアンに持ちかける。
「貴方様には帝国の覇権を。わたくしには復讐の舞台を。そのための『契約婚約』を――」
憎悪を糧に生きる皇妃と、氷の瞳を持つ公爵。
二人の偽りの婚約の行く末は……
だから聖女はいなくなった
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」
レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。
彼女はその婚約破棄を黙って受け入れた。さらに彼女は、新たにキンバリーと婚約したアイニスに聖女の証である首飾りを手渡すと姿を消した。
だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。
キンバリーの弟であるサディアスが、兄のためにもラティアーナを探し始める。だが、彼女を探していくうちに、なぜ彼女がキンバリーとの婚約破棄を受け入れ、聖女という地位を退いたのかの理由を知る――。
※7万字程度の中編です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる