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00.あの人達は今! 計画性だけは山盛り
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少し時を遡り、年が明け学園へ向かう馬車には青い顔のサブリナと寝不足で赤い目のセシルが乗っていた。
「課題できたの?」
「勿論だわ。そう言うセシルこそできましたの?」
「まあね⋯⋯あ~あ、せっかく聖王国に帰ったのに、友達と遊ぶ暇もなかったじゃん」
「私もですわ。新学期がはじまったらすぐに試験よね?(私は問題ないけれど)セシルは大丈夫なの?」
「教会より簡単だから多分?⋯⋯でもさぁ、いい男もいないし⋯⋯やめようかな」
教会の試験は⋯⋯座学は自己採点。実技は担当司教か司祭と2人で行うため、どんな点数をとっても他人に結果を知られることはなかったのだが。
「順位つけるとか発表するとか⋯⋯マジ理解できない」
「課題だらけですしねぇ」
ダンゼリアム王国に向かう馬車の中は、どんよりとした空気に包まれていた。
「ロクサーナが好き勝手するからだよね」
「本当ですわね。教会と話してくれるようにお母様にお願いしておきましたの」
サブリナの母セルバン伯爵夫人は、とある有力な侯爵夫人の開催するサロンに毎回参加している。個人的なお茶会などの交流もあり、その席でロクサーナの勝手な行動を広めてくれると言う。
『ひとりくらい⋯⋯なんて安易に考えてるのかしら。サロンにいらした方々がこの話を聞けば、すぐに動いて下さるから心配しないで』
「私も⋯⋯ トーリス商会経由で話をしてもらう予定」
セシルの父、ファーラム子爵はトーリス商会を通じて教会の枢機卿に圧をかけると言う。
『ノックス枢機卿には色々貸しがあるから、ロクサーナを学園に戻すくらい簡単なことだ。先日も希少な魔導具を献上したばかりだしな』
「今度の試験には間に合わないけど」
「間に合わないわね」
部屋の片付けができないセシルも、メイドをひとり連れて来た。
2人が新しく選んだメイド達は⋯⋯。
『教会で座学が得意だった子』
メイド達は大量のドレスと一緒に、2台目の馬車の中で居眠り中。
遊ぶ準備は万全で、試験と課題の対策もバッチリ⋯⋯のはず。
サブリナ達よりももっと慌てているはずのレベッカは聖王国には帰らず、ポンコツ王子達と最高の年末年始を過ごしていた。
「ふっふふ~ん、私のお陰でアーノルドの趣味も少しよくなってきたよね~⋯⋯今までで一番マシかも」
贈られてきたドレスを胸に当てて、鏡に写る自分の姿にほくそ笑むレベッカは、課題や補習がわりの宿題のことなどすっかり忘れている。
「ビクトールはケチくさい贈り物ばっかりだし、トーマスの趣味はリボンだらけとか⋯⋯ガキくさいし。その点、アーノルドは使いたい放題のお金持ちだからね~」
11月にアーノルドが風邪を引いた時に唯一の危機があったが、それを乗り越えたレベッカは⋯⋯今や怖いものなし。
「あの時はマジでやばかったけど⋯⋯風邪なんてひくアーノルドが悪いのよ。そんな事で聖女に頼ろうなんて、失礼しちゃうよ」
『何故アーノルドの熱は下がらないの!?』
『聖女ならばなんとかなさい!!』
『⋯⋯ごめんなさい。今、聖女の力を奪われてて⋯⋯ロクサーナは呪いが得意だから⋯⋯』
「ロクサーナが呪いをかけたなんて言ってないもんね。私ってばあったまいい~。でもさぁ、聖王のブローチってやっぱすごいよ。アレを使ったら次の日には、アーノルドの熱が下がってたんだもん。
ロクサーナは聖女だなんてえらそうに言ってるけど、本当はブローチの力だったんだよ」
いえいえ、たまたまのタイミングですからね⋯⋯などと教えてくれる人はおらず、ご満悦のレベッカ。
あの後ロクサーナがすぐにいなくなったのも、レベッカにとってはとても都合が良かった。
『ロクサーナがいなくなった途端聖女の力が⋯⋯ 本当にロクサーナの呪いだったなんて⋯⋯レベッカ、疑ってごめんなさいね』
王妃とアーノルドから届いたお詫びの品は、最高級の絹でできたドレスとアクセサリーのセット。
「ブローチさえあれば、次期王妃間違いなし! だってさぁ、貴重な聖女様には王妃様がふさわしいでしょ?
グレイソンは王子になって、お姉様ぶってるイライザは王子妃になるんだからさぁ、今みたいにえらそうにしてたら王宮から追い出しちゃうかもね~」
魔法の適性がなく、教会で修練を受けたことのないレベッカのメイドは、何を言っているのかさっぱり分からない。
『適当に相槌を打ってればご機嫌だから、ほっときゃいいわ。ご機嫌なら仕事が楽だしね』
「それにしても⋯⋯ちょっと熱を下げたくらいじゃインパルトにかけるよね。何かいい方法ないかなぁ」
(それを言うなら『インパクト』だし? ホント、こいつ頭悪いわ~。給料が良いから我慢してるけどさぁ)
「ねえ、聖女の祈りとかどうかな? 真っ白のローブ着て、大勢の前で祈るのって聖女っぽくない?」
ドレスを床に投げ捨てて、両手を上げてクルクルと回りながら⋯⋯不思議なポーズをとるレベッカ。
(ああっ、皺になるう! 踏むな、踏むなってばあ!)
慌ててドレスを回収したメイドは、めんどくさそうに答えた。
「⋯⋯(あ~も~、やっぱ皺になってるじゃん!)もう終わっちゃいましたけど諸魂の日ですかねえ。もう終わっちゃいましたけど」
「そう、それよそれ! その、なんとかの日をやろう。お父様に光を出す魔導具を送ってもらって、パーっと派手な演出を追加するの! 聖女になったのに、な~んか地味だからさぁ、ばぁっと派手な光がキラキラ~ってさせた方がかっこいいもんね!」
いえいえ、ヒールアクアの光なんてちょぼちょぼしか出ませんから⋯⋯ブローチなんて役に立ってませんしね⋯⋯なんて、教えてくれる人がいても聞いてないだろうけど。
ソファに座ってボリボリとビスコッティを食い散らかすレベッカ。
「なにこれ、固くてクソ不味いじゃん。なんでこんなもん置いとくのよ!」
「それは王妃様からの贈り物ですね。コーヒーやエスプレッソに浸して食べることが一般的だと、メモがついてましたけど」
「⋯⋯なら、早く言いなさいよ!」
床に散らばったビスコッティのカケラを集めているメイドの横に、フロランタンの包み紙が落ちてきた。
「それより今月の終わりくらいにやろう! んで、王家とか貴族とか呼んで⋯⋯そうだ! この間見た騎士がかっこ良かったんだった。聖女の護衛騎士にしてあげたら喜ぶはずよね」
王宮に入り浸るレベッカがたまたま見かけたのは、団長を探しにやってきていたロバート。彼は騎士団の哀れな社畜の幼馴染で、社畜君に切り捨てられた青年。
腕はまだまだだが、見た目はいい。遠くからでも目立つ高い背と、キラッキラの鮮やかな金髪。広い肩幅とすらっと伸びた足には、騎士団の制服がよく似合っていた。
「優しそうなイケメンで、アーノルドなんかより大人の魅力って感じ⋯⋯聖女の後ろに立つのって見た目が一番大事だし、私に声をかけられて嬉しそうにしてたから、選んであげなくちゃガッカリするはず」
護衛は見た目より腕前だなんて言えないし言わないメイドは、ゴミを捨てて制服の改造に取り掛かった。
(学期の始まりは制服の改造チェックとか⋯⋯わけわかんないし。ああ、もう辞めたい)
「冒険者も呼んであげようかなぁ。冒険者って魔法が使えなくて、騎士とかにもなれない可哀想な人じゃん。そんな人にも仕事をあげたら、民衆の事も考えてる優しい聖女って感じがするもんね」
大々的に『諸魂の日』と言う聖女イベントが発表され、王宮でもその準備が着々と進められていた。
レベッカは王宮に仕立て屋を呼び、何よりも大切な新しいドレスの試着を⋯⋯。
「地味すぎ! この生地、ドレスにしたらキラキラしてるって言ったじゃない⋯⋯聖女の光が当たったらキラキラ輝くのが狙いなのに、やり直しなさい!」
「い、今からですと出発までに間に合わなく⋯⋯それに、最高級ランクのシルクでして、柔らかい手触りでこれ以上輝く布はアラクネの魔糸で織った布しか⋯⋯ただ、その布はほとんど入手ができないので⋯⋯予算的にも⋯⋯」
「誰が言ったのよ? 聖女のドレスをケチるなんて最低じゃん!」
「お、お、王妃様が⋯⋯この布でと仰られました」
「ケチくさいわねえ、だったらいいわ。小粒のダイヤを全体に散りばめて! それならできるわよね⋯⋯それから、胸元を⋯⋯」
「課題できたの?」
「勿論だわ。そう言うセシルこそできましたの?」
「まあね⋯⋯あ~あ、せっかく聖王国に帰ったのに、友達と遊ぶ暇もなかったじゃん」
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「教会より簡単だから多分?⋯⋯でもさぁ、いい男もいないし⋯⋯やめようかな」
教会の試験は⋯⋯座学は自己採点。実技は担当司教か司祭と2人で行うため、どんな点数をとっても他人に結果を知られることはなかったのだが。
「順位つけるとか発表するとか⋯⋯マジ理解できない」
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ダンゼリアム王国に向かう馬車の中は、どんよりとした空気に包まれていた。
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「本当ですわね。教会と話してくれるようにお母様にお願いしておきましたの」
サブリナの母セルバン伯爵夫人は、とある有力な侯爵夫人の開催するサロンに毎回参加している。個人的なお茶会などの交流もあり、その席でロクサーナの勝手な行動を広めてくれると言う。
『ひとりくらい⋯⋯なんて安易に考えてるのかしら。サロンにいらした方々がこの話を聞けば、すぐに動いて下さるから心配しないで』
「私も⋯⋯ トーリス商会経由で話をしてもらう予定」
セシルの父、ファーラム子爵はトーリス商会を通じて教会の枢機卿に圧をかけると言う。
『ノックス枢機卿には色々貸しがあるから、ロクサーナを学園に戻すくらい簡単なことだ。先日も希少な魔導具を献上したばかりだしな』
「今度の試験には間に合わないけど」
「間に合わないわね」
部屋の片付けができないセシルも、メイドをひとり連れて来た。
2人が新しく選んだメイド達は⋯⋯。
『教会で座学が得意だった子』
メイド達は大量のドレスと一緒に、2台目の馬車の中で居眠り中。
遊ぶ準備は万全で、試験と課題の対策もバッチリ⋯⋯のはず。
サブリナ達よりももっと慌てているはずのレベッカは聖王国には帰らず、ポンコツ王子達と最高の年末年始を過ごしていた。
「ふっふふ~ん、私のお陰でアーノルドの趣味も少しよくなってきたよね~⋯⋯今までで一番マシかも」
贈られてきたドレスを胸に当てて、鏡に写る自分の姿にほくそ笑むレベッカは、課題や補習がわりの宿題のことなどすっかり忘れている。
「ビクトールはケチくさい贈り物ばっかりだし、トーマスの趣味はリボンだらけとか⋯⋯ガキくさいし。その点、アーノルドは使いたい放題のお金持ちだからね~」
11月にアーノルドが風邪を引いた時に唯一の危機があったが、それを乗り越えたレベッカは⋯⋯今や怖いものなし。
「あの時はマジでやばかったけど⋯⋯風邪なんてひくアーノルドが悪いのよ。そんな事で聖女に頼ろうなんて、失礼しちゃうよ」
『何故アーノルドの熱は下がらないの!?』
『聖女ならばなんとかなさい!!』
『⋯⋯ごめんなさい。今、聖女の力を奪われてて⋯⋯ロクサーナは呪いが得意だから⋯⋯』
「ロクサーナが呪いをかけたなんて言ってないもんね。私ってばあったまいい~。でもさぁ、聖王のブローチってやっぱすごいよ。アレを使ったら次の日には、アーノルドの熱が下がってたんだもん。
ロクサーナは聖女だなんてえらそうに言ってるけど、本当はブローチの力だったんだよ」
いえいえ、たまたまのタイミングですからね⋯⋯などと教えてくれる人はおらず、ご満悦のレベッカ。
あの後ロクサーナがすぐにいなくなったのも、レベッカにとってはとても都合が良かった。
『ロクサーナがいなくなった途端聖女の力が⋯⋯ 本当にロクサーナの呪いだったなんて⋯⋯レベッカ、疑ってごめんなさいね』
王妃とアーノルドから届いたお詫びの品は、最高級の絹でできたドレスとアクセサリーのセット。
「ブローチさえあれば、次期王妃間違いなし! だってさぁ、貴重な聖女様には王妃様がふさわしいでしょ?
グレイソンは王子になって、お姉様ぶってるイライザは王子妃になるんだからさぁ、今みたいにえらそうにしてたら王宮から追い出しちゃうかもね~」
魔法の適性がなく、教会で修練を受けたことのないレベッカのメイドは、何を言っているのかさっぱり分からない。
『適当に相槌を打ってればご機嫌だから、ほっときゃいいわ。ご機嫌なら仕事が楽だしね』
「それにしても⋯⋯ちょっと熱を下げたくらいじゃインパルトにかけるよね。何かいい方法ないかなぁ」
(それを言うなら『インパクト』だし? ホント、こいつ頭悪いわ~。給料が良いから我慢してるけどさぁ)
「ねえ、聖女の祈りとかどうかな? 真っ白のローブ着て、大勢の前で祈るのって聖女っぽくない?」
ドレスを床に投げ捨てて、両手を上げてクルクルと回りながら⋯⋯不思議なポーズをとるレベッカ。
(ああっ、皺になるう! 踏むな、踏むなってばあ!)
慌ててドレスを回収したメイドは、めんどくさそうに答えた。
「⋯⋯(あ~も~、やっぱ皺になってるじゃん!)もう終わっちゃいましたけど諸魂の日ですかねえ。もう終わっちゃいましたけど」
「そう、それよそれ! その、なんとかの日をやろう。お父様に光を出す魔導具を送ってもらって、パーっと派手な演出を追加するの! 聖女になったのに、な~んか地味だからさぁ、ばぁっと派手な光がキラキラ~ってさせた方がかっこいいもんね!」
いえいえ、ヒールアクアの光なんてちょぼちょぼしか出ませんから⋯⋯ブローチなんて役に立ってませんしね⋯⋯なんて、教えてくれる人がいても聞いてないだろうけど。
ソファに座ってボリボリとビスコッティを食い散らかすレベッカ。
「なにこれ、固くてクソ不味いじゃん。なんでこんなもん置いとくのよ!」
「それは王妃様からの贈り物ですね。コーヒーやエスプレッソに浸して食べることが一般的だと、メモがついてましたけど」
「⋯⋯なら、早く言いなさいよ!」
床に散らばったビスコッティのカケラを集めているメイドの横に、フロランタンの包み紙が落ちてきた。
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王宮に入り浸るレベッカがたまたま見かけたのは、団長を探しにやってきていたロバート。彼は騎士団の哀れな社畜の幼馴染で、社畜君に切り捨てられた青年。
腕はまだまだだが、見た目はいい。遠くからでも目立つ高い背と、キラッキラの鮮やかな金髪。広い肩幅とすらっと伸びた足には、騎士団の制服がよく似合っていた。
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護衛は見た目より腕前だなんて言えないし言わないメイドは、ゴミを捨てて制服の改造に取り掛かった。
(学期の始まりは制服の改造チェックとか⋯⋯わけわかんないし。ああ、もう辞めたい)
「冒険者も呼んであげようかなぁ。冒険者って魔法が使えなくて、騎士とかにもなれない可哀想な人じゃん。そんな人にも仕事をあげたら、民衆の事も考えてる優しい聖女って感じがするもんね」
大々的に『諸魂の日』と言う聖女イベントが発表され、王宮でもその準備が着々と進められていた。
レベッカは王宮に仕立て屋を呼び、何よりも大切な新しいドレスの試着を⋯⋯。
「地味すぎ! この生地、ドレスにしたらキラキラしてるって言ったじゃない⋯⋯聖女の光が当たったらキラキラ輝くのが狙いなのに、やり直しなさい!」
「い、今からですと出発までに間に合わなく⋯⋯それに、最高級ランクのシルクでして、柔らかい手触りでこれ以上輝く布はアラクネの魔糸で織った布しか⋯⋯ただ、その布はほとんど入手ができないので⋯⋯予算的にも⋯⋯」
「誰が言ったのよ? 聖女のドレスをケチるなんて最低じゃん!」
「お、お、王妃様が⋯⋯この布でと仰られました」
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