58 / 126
53.熊を弄ぶついでに、おっさんも
しおりを挟む
バシャバシャと派手な水音がして、桟橋がミシッバキバキッと音を立てたかと思うと、ウルサが桟橋によじ登ってきた。
「チビは元気にしてたみてえだな。お前、たまには連絡してこいよ。全然連絡して来ねえから、どこかで死んでんじゃねえかって、心配してたんだぜ」
何事もなさそうに話すウルサの足元には、ピンク色の海水が溜まっている。
「大型の熊は、少々の傷じゃあ致命傷にはならない⋯⋯チビ言うし、やめとこうかなあ」
ぶつぶつと独り言を言っていたロクサーナが、仕方なさそうにウルサを回復した。
「サザエの壺焼き3個」
「はあ? 勝手に回復して金とんのかよ!」
「なら、傷をもう一回⋯⋯」
ロクサーナが人差し指を向けると、ウルサが首を横に振った。
「払う! いや、買ってくるから。海水が染みて凄え痛かったんだ」
熊でも傷は痛むらしい。
「で、ウルサさんは何をしでかしたの?」
「⋯⋯へ? な、な、なんのことかなぁ。デカいサザエが売り切れる前に屋台に行⋯⋯」
慌てて目を逸らしたウルサの目線の前に回り込んだ。
「ウールーサー! シーミアさんは大人は自分で責任取るって言ったけど、どうも私の仕事の邪魔になりそうなことをやらかしてる気がする。
もしかして、旧ロクサーナ・コレクションの凄~くカッコいい船を、クソ領主に取り上げられたり?」
「いや、それはねえって。動かせねえだけだからチビは心配すんな。船は見ての通り完璧な状態だからな」
「はぁ、全部言ってるようなもんじゃない。やっぱりウルサの頭は空っぽだわ」
「ええっ! 漁協ギルドが漁業権を停止してきた? んで、利用時間は朝1時間? 船を動かせる距離が半径5メートル? なにそれ、虐めじゃん」
漁業ギルドは漁港の管理運営を行う。利用時間や港内での帆走区域の指定などを決め、ギルド員に漁業権を販売している。
「クソ領主とズブなギルドって事かあ。半径5メートルを1時間だけチャプチャプとか⋯⋯子供の遊びか?⋯⋯意味わからん」
沖合の島に行きたいロクサーナの取れる手段は⋯⋯空を飛んで行くか、大人の問題に首を突っ込んで壊滅させるか。
「しばらくの間、チビの依頼は受けれねえがチビなら空を飛べるもんな」
仁王立ちして腰に手を当てたロクサーナが、ウルサを見上げて指を突きつけた。
「5回⋯⋯熊が5回もチビ扱いした~! そんな礼儀知らずには天誅じゃあ! 子供に尻拭いされて赤っ恥をかきやがれぇぇ」
【ああ、スイッチ入っちゃった~】
【かきやがれぇぇ⋯⋯ロクサーナ、頑張れ~。ピッピ、お手伝いしちゃうも~ん】
「赤、赤っ恥って」
「こないだのイカ焼きのおっちゃんに会いに行ってくる!」
「あ、おい。待てぇぇ!」
身体強化をかけて走り去ったロクサーナの後を、ウルサが必死に追いかけて行った。
「シーミア、チビを引っ捕まえねえと⋯⋯ロクサーナが暴走したらヤバくね?」
「え~、面白そうじゃない? ロクサーナとウルサってさ、ボケとツッコミみたいよね~」
ウルサに最後まで責任取らせたかったシーミアだったが⋯⋯ロクサーナがしでかす横でオロオロする方が、ウルサには堪えるかも。
「お、面白そう⋯⋯おっ、お、親子」
「ホント! 元気一杯でぶっ飛んだ思考に育った子供に振り回される、間抜けなパパね」
「おじさーん、イカ焼きのおじさんは⋯⋯んん? どこ」
「はあ、はあ⋯⋯グラントは⋯⋯はあ、はあ⋯⋯別んとこで屋台を⋯⋯」
「そっか⋯⋯えーっと、あっちだね」
一度会っただけの屋台のおじさんを、あっという間に索敵で見つけ出したロクサーナが走り出した。
「こんな人混みん中で、どうやって見つけたんだよ! くっそぉ、迷子になったらケツを叩いてやるからな」
ぶつぶつ言いながらロクサーナを後を追って走り出した。
ウルサがたどり着いた時には、屋台の横に座り込んでハフハフしながらサザエの壺焼きを食べるロクサーナの姿があった。
「お、ウルサか。銀貨3枚な⋯⋯毎度あり~⋯⋯なら、明日の朝にでも行ってくりゃいいんだな」
「おい、グラ⋯⋯」
「そう、仕込みなら手伝うからね」
「朝の市のあとに行って⋯⋯まあ、もしもの時には頼むかな」
「おい、お前らなんの話してんだよ!」
「へ? おじさんに漁師さんになってもらうの。名前だけね~」
「⋯⋯はあ!? グラントが漁師って」
「はあ、美味しかった~。お土産分焼けた?」
サザエの壺焼きを15個、ウルサに持たせて港へ向かうロクサーナは呑気に鼻歌を歌っている。
想像以上に美味しかったサザエ。『次は何にしようかなぁ』とキョロキョロしながら歩くロクサーナが背中から突き飛ばされた。
「おやおやぁ、デカいウルサに隠れててぇ、ちっこすぎて見えなかった~」
「おい、子供に何やってんだ!」
両手が塞がっているウルサがロクサーナの横にしゃがみ込んだ。
「怪我してねえか? あー、膝小僧を擦りむいて。おい、テメェ⋯⋯」
「漁師ギルドを出禁になった漁師のウルサはぁ、ガキの守りで駄賃を稼ぐってかあ? 随分と落ちぶれたもんだよなあ」
「おじさん、ありがとう! ウルサさんにぶつかってたらサザエの壺焼きがダメになるとこだったよ⋯⋯あっ、おじさん程度の攻撃じゃ、ウルサさんはびくともしないか⋯⋯テヘッ、間違えて謝っちゃった。
そうだ! おじさん臭すぎるからさ、たまにはお風呂に入ったほうがいいよ~」
「こんのクソガキがぁぁ! 大人を舐めたらタダじゃおかねえからな!」
ロクサーナにつかみかかった臭いオヤジの腹に、身体強化をかけない飛び蹴りが決まった。
グボォォ!
「こんのクッソ臭いジジイがぁぁ! ガキだと思って舐めたらタダじゃおかねえからな! じゃあね~」
無邪気な笑顔で毒舌を吐いたロクサーナが『ふっふふ~ん』と調子ハズレの鼻歌を歌いながら、屋台に飛びついた。
「おばちゃん、これって帆立だよね? 15本ちょうだいな。んでさあ、貝殻ってどうしてるの」
「毎度あり、すぐ焼くから待っててね。貝殻はね、山に埋めるんだよ⋯⋯使い道がないのに嵩張って邪魔だからねえ」
「ええ! そ、そ、そんなもったいない⋯⋯それ、売って! 捨ててるなら安く売って欲しい」
ホタテの貝殻は、飼料や肥料に洗剤まで作れる優れもので、殺菌もしてくれる。捨てるなんて勿体なさすぎる魅惑の存在。
「そりゃ良いけどさ、何枚くらい欲しいんだい?」
「全部! 他の人で帆立の貝殻を捨ててる人のも買いたいの」
鶏のエサにすれば割れにくい卵が産まれ、肥料にすれば土壌を改良してくれて作物が育ちやすくなる。
洗剤にすれば、洗浄力が高くて川を汚さない。
熱を加えると驚くほどの抗菌性を発揮して、食べれば口やお腹の中の有害物質を排除する。
貝殻を高温で焼いて水に溶かして飲むだけで、除菌・抗菌・消臭効果等を発揮する。
(昔の人の知識ってすごいよね)
これは、教会の書庫の奥の奥⋯⋯埃まみれの棚にあった本で覚えた知識。
かつて自然の物を利用する知恵が発達していた頃の記録で、魔法が発展するにつれて忘れられた大切な知恵のひとつ。
(魔力や魔法が減っている⋯⋯これからは自然の恵みをもっと学んで感謝するべきだよ)
上位精霊から大聖女と言われるほど、今世で最強の聖女・魔法士のロクサーナは、誰よりも自然懐古主義者だった。
「チビは元気にしてたみてえだな。お前、たまには連絡してこいよ。全然連絡して来ねえから、どこかで死んでんじゃねえかって、心配してたんだぜ」
何事もなさそうに話すウルサの足元には、ピンク色の海水が溜まっている。
「大型の熊は、少々の傷じゃあ致命傷にはならない⋯⋯チビ言うし、やめとこうかなあ」
ぶつぶつと独り言を言っていたロクサーナが、仕方なさそうにウルサを回復した。
「サザエの壺焼き3個」
「はあ? 勝手に回復して金とんのかよ!」
「なら、傷をもう一回⋯⋯」
ロクサーナが人差し指を向けると、ウルサが首を横に振った。
「払う! いや、買ってくるから。海水が染みて凄え痛かったんだ」
熊でも傷は痛むらしい。
「で、ウルサさんは何をしでかしたの?」
「⋯⋯へ? な、な、なんのことかなぁ。デカいサザエが売り切れる前に屋台に行⋯⋯」
慌てて目を逸らしたウルサの目線の前に回り込んだ。
「ウールーサー! シーミアさんは大人は自分で責任取るって言ったけど、どうも私の仕事の邪魔になりそうなことをやらかしてる気がする。
もしかして、旧ロクサーナ・コレクションの凄~くカッコいい船を、クソ領主に取り上げられたり?」
「いや、それはねえって。動かせねえだけだからチビは心配すんな。船は見ての通り完璧な状態だからな」
「はぁ、全部言ってるようなもんじゃない。やっぱりウルサの頭は空っぽだわ」
「ええっ! 漁協ギルドが漁業権を停止してきた? んで、利用時間は朝1時間? 船を動かせる距離が半径5メートル? なにそれ、虐めじゃん」
漁業ギルドは漁港の管理運営を行う。利用時間や港内での帆走区域の指定などを決め、ギルド員に漁業権を販売している。
「クソ領主とズブなギルドって事かあ。半径5メートルを1時間だけチャプチャプとか⋯⋯子供の遊びか?⋯⋯意味わからん」
沖合の島に行きたいロクサーナの取れる手段は⋯⋯空を飛んで行くか、大人の問題に首を突っ込んで壊滅させるか。
「しばらくの間、チビの依頼は受けれねえがチビなら空を飛べるもんな」
仁王立ちして腰に手を当てたロクサーナが、ウルサを見上げて指を突きつけた。
「5回⋯⋯熊が5回もチビ扱いした~! そんな礼儀知らずには天誅じゃあ! 子供に尻拭いされて赤っ恥をかきやがれぇぇ」
【ああ、スイッチ入っちゃった~】
【かきやがれぇぇ⋯⋯ロクサーナ、頑張れ~。ピッピ、お手伝いしちゃうも~ん】
「赤、赤っ恥って」
「こないだのイカ焼きのおっちゃんに会いに行ってくる!」
「あ、おい。待てぇぇ!」
身体強化をかけて走り去ったロクサーナの後を、ウルサが必死に追いかけて行った。
「シーミア、チビを引っ捕まえねえと⋯⋯ロクサーナが暴走したらヤバくね?」
「え~、面白そうじゃない? ロクサーナとウルサってさ、ボケとツッコミみたいよね~」
ウルサに最後まで責任取らせたかったシーミアだったが⋯⋯ロクサーナがしでかす横でオロオロする方が、ウルサには堪えるかも。
「お、面白そう⋯⋯おっ、お、親子」
「ホント! 元気一杯でぶっ飛んだ思考に育った子供に振り回される、間抜けなパパね」
「おじさーん、イカ焼きのおじさんは⋯⋯んん? どこ」
「はあ、はあ⋯⋯グラントは⋯⋯はあ、はあ⋯⋯別んとこで屋台を⋯⋯」
「そっか⋯⋯えーっと、あっちだね」
一度会っただけの屋台のおじさんを、あっという間に索敵で見つけ出したロクサーナが走り出した。
「こんな人混みん中で、どうやって見つけたんだよ! くっそぉ、迷子になったらケツを叩いてやるからな」
ぶつぶつ言いながらロクサーナを後を追って走り出した。
ウルサがたどり着いた時には、屋台の横に座り込んでハフハフしながらサザエの壺焼きを食べるロクサーナの姿があった。
「お、ウルサか。銀貨3枚な⋯⋯毎度あり~⋯⋯なら、明日の朝にでも行ってくりゃいいんだな」
「おい、グラ⋯⋯」
「そう、仕込みなら手伝うからね」
「朝の市のあとに行って⋯⋯まあ、もしもの時には頼むかな」
「おい、お前らなんの話してんだよ!」
「へ? おじさんに漁師さんになってもらうの。名前だけね~」
「⋯⋯はあ!? グラントが漁師って」
「はあ、美味しかった~。お土産分焼けた?」
サザエの壺焼きを15個、ウルサに持たせて港へ向かうロクサーナは呑気に鼻歌を歌っている。
想像以上に美味しかったサザエ。『次は何にしようかなぁ』とキョロキョロしながら歩くロクサーナが背中から突き飛ばされた。
「おやおやぁ、デカいウルサに隠れててぇ、ちっこすぎて見えなかった~」
「おい、子供に何やってんだ!」
両手が塞がっているウルサがロクサーナの横にしゃがみ込んだ。
「怪我してねえか? あー、膝小僧を擦りむいて。おい、テメェ⋯⋯」
「漁師ギルドを出禁になった漁師のウルサはぁ、ガキの守りで駄賃を稼ぐってかあ? 随分と落ちぶれたもんだよなあ」
「おじさん、ありがとう! ウルサさんにぶつかってたらサザエの壺焼きがダメになるとこだったよ⋯⋯あっ、おじさん程度の攻撃じゃ、ウルサさんはびくともしないか⋯⋯テヘッ、間違えて謝っちゃった。
そうだ! おじさん臭すぎるからさ、たまにはお風呂に入ったほうがいいよ~」
「こんのクソガキがぁぁ! 大人を舐めたらタダじゃおかねえからな!」
ロクサーナにつかみかかった臭いオヤジの腹に、身体強化をかけない飛び蹴りが決まった。
グボォォ!
「こんのクッソ臭いジジイがぁぁ! ガキだと思って舐めたらタダじゃおかねえからな! じゃあね~」
無邪気な笑顔で毒舌を吐いたロクサーナが『ふっふふ~ん』と調子ハズレの鼻歌を歌いながら、屋台に飛びついた。
「おばちゃん、これって帆立だよね? 15本ちょうだいな。んでさあ、貝殻ってどうしてるの」
「毎度あり、すぐ焼くから待っててね。貝殻はね、山に埋めるんだよ⋯⋯使い道がないのに嵩張って邪魔だからねえ」
「ええ! そ、そ、そんなもったいない⋯⋯それ、売って! 捨ててるなら安く売って欲しい」
ホタテの貝殻は、飼料や肥料に洗剤まで作れる優れもので、殺菌もしてくれる。捨てるなんて勿体なさすぎる魅惑の存在。
「そりゃ良いけどさ、何枚くらい欲しいんだい?」
「全部! 他の人で帆立の貝殻を捨ててる人のも買いたいの」
鶏のエサにすれば割れにくい卵が産まれ、肥料にすれば土壌を改良してくれて作物が育ちやすくなる。
洗剤にすれば、洗浄力が高くて川を汚さない。
熱を加えると驚くほどの抗菌性を発揮して、食べれば口やお腹の中の有害物質を排除する。
貝殻を高温で焼いて水に溶かして飲むだけで、除菌・抗菌・消臭効果等を発揮する。
(昔の人の知識ってすごいよね)
これは、教会の書庫の奥の奥⋯⋯埃まみれの棚にあった本で覚えた知識。
かつて自然の物を利用する知恵が発達していた頃の記録で、魔法が発展するにつれて忘れられた大切な知恵のひとつ。
(魔力や魔法が減っている⋯⋯これからは自然の恵みをもっと学んで感謝するべきだよ)
上位精霊から大聖女と言われるほど、今世で最強の聖女・魔法士のロクサーナは、誰よりも自然懐古主義者だった。
126
あなたにおすすめの小説
冤罪で処刑されたら死に戻り、前世の記憶が戻った悪役令嬢は、元の世界に帰る方法を探す為に婚約破棄と追放を受け入れたら、伯爵子息様に拾われました
ゆうき
恋愛
ワガママ三昧な生活を送っていた悪役令嬢のミシェルは、自分の婚約者と、長年に渡っていじめていた聖女によって冤罪をでっちあげられ、処刑されてしまう。
その後、ミシェルは不思議な夢を見た。不思議な既視感を感じる夢の中で、とある女性の死を見せられたミシェルは、目を覚ますと自分が処刑される半年前の時間に戻っていた。
それと同時に、先程見た夢が自分の前世の記憶で、自分が異世界に転生したことを知る。
記憶が戻ったことで、前世のような優しい性格を取り戻したミシェルは、前世の世界に残してきてしまった、幼い家族の元に帰る術を探すため、ミシェルは婚約者からの婚約破棄と、父から宣告された追放も素直に受け入れ、貴族という肩書きを隠し、一人外の世界に飛び出した。
初めての外の世界で、仕事と住む場所を見つけて懸命に生きるミシェルはある日、仕事先の常連の美しい男性――とある伯爵家の令息であるアランに屋敷に招待され、自分の正体を見破られてしまったミシェルは、思わぬ提案を受ける。
それは、魔法の研究をしている自分の専属の使用人兼、研究の助手をしてほしいというものだった。
だが、その提案の真の目的は、社交界でも有名だった悪役令嬢の性格が豹変し、一人で外の世界で生きていることを不審に思い、自分の監視下におくためだった。
変に断って怪しまれ、未来で起こる処刑に繋がらないようにするために、そして優しいアランなら信用できると思ったミシェルは、その提案を受け入れた。
最初はミシェルのことを疑っていたアランだったが、徐々にミシェルの優しさや純粋さに惹かれていく。同時に、ミシェルもアランの魅力に惹かれていくことに……。
これは死に戻った元悪役令嬢が、元の世界に帰るために、伯爵子息と共に奮闘し、互いに惹かれて幸せになる物語。
⭐︎小説家になろう様にも投稿しています。全話予約投稿済です⭐︎
婚約破棄された地味伯爵令嬢は、隠れ錬金術師でした~追放された辺境でスローライフを始めたら、隣国の冷徹魔導公爵に溺愛されて最強です~
ふわふわ
恋愛
地味で目立たない伯爵令嬢・エルカミーノは、王太子カイロンとの政略婚約を強いられていた。
しかし、転生聖女ソルスティスに心を奪われたカイロンは、公開の舞踏会で婚約破棄を宣言。「地味でお前は不要!」と嘲笑う。
周囲から「悪役令嬢」の烙印を押され、辺境追放を言い渡されたエルカミーノ。
だが内心では「やったー! これで自由!」と大喜び。
実は彼女は前世の記憶を持つ天才錬金術師で、希少素材ゼロで最強ポーションを作れるチート級の才能を隠していたのだ。
追放先の辺境で、忠実なメイド・セシルと共に薬草園を開き、のんびりスローライフを始めるエルカミーノ。
作ったポーションが村人を救い、次第に評判が広がっていく。
そんな中、隣国から視察に来た冷徹で美麗な魔導公爵・ラクティスが、エルカミーノの才能に一目惚れ(?)。
「君の錬金術は国宝級だ。僕の国へ来ないか?」とスカウトし、腹黒ながらエルカミーノにだけ甘々溺愛モード全開に!
一方、王都ではソルスティスの聖魔法が効かず魔瘴病が流行。
エルカミーノのポーションなしでは国が危機に陥り、カイロンとソルスティスは後悔の渦へ……。
公開土下座、聖女の暴走と転生者バレ、国際的な陰謀……
さまざまな試練をラクティスの守護と溺愛で乗り越え、エルカミーノは大陸の救済者となり、幸せな結婚へ!
**婚約破棄ざまぁ×隠れチート錬金術×辺境スローライフ×冷徹公爵の甘々溺愛**
胸キュン&スカッと満載の異世界ファンタジー、全32話完結!
辺境は独自路線で進みます! ~見下され搾取され続けるのは御免なので~
紫月 由良
恋愛
辺境に領地を持つマリエ・オリオール伯爵令嬢は、貴族学院の食堂で婚約者であるジョルジュ・ミラボーから婚約破棄をつきつけられた。二人の仲は険悪で修復不可能だったこともあり、マリエは快諾すると学院を早退して婚約者の家に向かい、その日のうちに婚約が破棄された。辺境=田舎者という風潮によって居心地が悪くなっていたため、これを機に学院を退学して領地に引き籠ることにした。
魔法契約によりオリオール伯爵家やフォートレル辺境伯家は国から離反できないが、関わり合いを最低限にして独自路線を歩むことに――。
※小説家になろう、カクヨムにも投稿しています
真面目くさった女はいらないと婚約破棄された伯爵令嬢ですが、王太子様に求婚されました。実はかわいい彼の溺愛っぷりに困っています
綾森れん
恋愛
「リラ・プリマヴェーラ、お前と交わした婚約を破棄させてもらう!」
公爵家主催の夜会にて、リラ・プリマヴェーラ伯爵令嬢はグイード・ブライデン公爵令息から言い渡された。
「お前のような真面目くさった女はいらない!」
ギャンブルに財産を賭ける婚約者の姿に公爵家の将来を憂いたリラは、彼をいさめたのだが逆恨みされて婚約破棄されてしまったのだ。
リラとグイードの婚約は政略結婚であり、そこに愛はなかった。リラは今でも7歳のころ茶会で出会ったアルベルト王子の優しさと可愛らしさを覚えていた。しかしアルベルト王子はそのすぐあとに、毒殺されてしまった。
夜会で恥をさらし、居場所を失った彼女を救ったのは、美しい青年歌手アルカンジェロだった。
心優しいアルカンジェロに惹かれていくリラだが、彼は高い声を保つため、少年時代に残酷な手術を受けた「カストラート(去勢歌手)」と呼ばれる存在。教会は、子孫を残せない彼らに結婚を禁じていた。
禁断の恋に悩むリラのもとへ、父親が新たな婚約話をもってくる。相手の男性は親子ほども歳の離れた下級貴族で子だくさん。数年前に妻を亡くし、後妻に入ってくれる女性を探しているという、悪い条件の相手だった。
望まぬ婚姻を強いられ未来に希望を持てなくなったリラは、アルカンジェロと二人、教会の勢力が及ばない国外へ逃げ出す計画を立てる。
仮面舞踏会の夜、二人の愛は通じ合い、結ばれる。だがアルカンジェロが自身の秘密を打ち明けた。彼の正体は歌手などではなく、十年前に毒殺されたはずのアルベルト王子その人だった。
しかし再び、王権転覆を狙う暗殺者が迫りくる。
これは、愛し合うリラとアルベルト王子が二人で幸せをつかむまでの物語である。
【完結】婚約破棄された悪役令嬢ですが、魔法薬の勉強をはじめたら留学先の皇子に求婚されました
楠結衣
恋愛
公爵令嬢のアイリーンは、婚約者である第一王子から婚約破棄を言い渡される。
王子の腕にすがる男爵令嬢への嫌がらせを謝罪するように求められるも、身に覚えのない謝罪はできないと断る。その態度に腹を立てた王子から国外追放を命じられてしまった。
アイリーンは、王子と婚約がなくなったことで諦めていた魔法薬師になる夢を叶えることを決意。
薬草の聖地と呼ばれる薬草大国へ、魔法薬の勉強をするために向う。
魔法薬の勉強をする日々は、とても充実していた。そこで出会ったレオナード王太子の優しくて甘い態度に心惹かれていくアイリーン。
ところが、アイリーンの前に再び第一王子が現れ、アイリーンの心は激しく動揺するのだった。
婚約破棄され、諦めていた魔法薬師の夢に向かって頑張るアイリーンが、彼女を心から愛する優しいドラゴン獣人である王太子と愛を育むハッピーエンドストーリーです。
旦那様、離婚しましょう ~私は冒険者になるのでご心配なくっ~
榎夜
恋愛
私と旦那様は白い結婚だ。体の関係どころか手を繋ぐ事もしたことがない。
ある日突然、旦那の子供を身籠ったという女性に離婚を要求された。
別に構いませんが......じゃあ、冒険者にでもなろうかしら?
ー全50話ー
婚約を破棄され辺境に追いやられたけれど、思っていたより快適です!
さこの
恋愛
婚約者の第五王子フランツ殿下には好きな令嬢が出来たみたい。その令嬢とは男爵家の養女で親戚筋にあたり現在私のうちに住んでいる。
婚約者の私が邪魔になり、身分剥奪そして追放される事になる。陛下や両親が留守の間に王都から追放され、辺境の町へと行く事になった。
100キロ以内近寄るな。100キロといえばクレマン? そこに第三王子フェリクス殿下が来て“グレマン”へ行くようにと言う。クレマンと“グレマン”だと方向は真逆です。
追放と言われましたので、屋敷に帰り準備をします。フランツ殿下が王族として下した命令は自分勝手なものですから、陛下達が帰って来たらどうなるでしょう?
この野菜は悪役令嬢がつくりました!
真鳥カノ
ファンタジー
幼い頃から聖女候補として育った公爵令嬢レティシアは、婚約者である王子から突然、婚約破棄を宣言される。
花や植物に『恵み』を与えるはずの聖女なのに、何故か花を枯らしてしまったレティシアは「偽聖女」とまで呼ばれ、どん底に落ちる。
だけどレティシアの力には秘密があって……?
せっかくだからのんびり花や野菜でも育てようとするレティシアは、どこでもやらかす……!
レティシアの力を巡って動き出す陰謀……?
色々起こっているけれど、私は今日も野菜を作ったり食べたり忙しい!
毎日2〜3回更新予定
だいたい6時30分、昼12時頃、18時頃のどこかで更新します!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる