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63.集まれ、ポンコツファミリー
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「まず、ポンコツ王子への返答ですね。たかが弱小国の王妃よりも今の立場の方が気に入ってますから、お断りです。だって⋯⋯王妃よりも聖女筆頭の方が断然自由に生きられるし。なんの役にも立たない『王妃』の座なんて⋯⋯何それ、ゲロまずって感じですね」
ガタガタン! ガシャン!
【裏で、暴れてるよ~。ププッ!】
「(プフッ)そ、それに、どこかの国で⋯⋯この国の王妃と私のどちらかひとりが移住すると言ったら、間違いなく私が選ばれる自信がありますしね。本当に実力のある聖女はどこの国でも垂涎の的ですから」
ム、ムキィィィぃ⋯⋯ドタン⋯⋯バタン⋯⋯
【すご~い、国王に拳が飛んで一発KO!】
「(クッ、グフッ)となると、対価としてポンコツが差し出すものには価値がないので、そんな契約はお断りします。
レオンへの返答ですけど⋯⋯何の対価もなく私の慈悲狙い、妄想が酷すぎて危ない人の発想にしか聞こえない。
『お互いに助け合う』とか『任せる』とか。具体的にはレオンは何ができる? 何を任せられる?」
「えっと、それは⋯⋯すぐには思いつかないけど」
「一生思いつかないって断言してあげる。
だって、夢想家のレオンは都合の悪い事を忘れるのが得意で、当たり前のように相手を利用する人だから。感謝は口先だけだしね。
無償で与え続けてくれる人が欲しいなら、ママのお膝の上に戻るべき」
「王妃様より聖女の方が良いって⋯⋯そうなの?」
「聖女って治療だけなんじゃないの?」
【閉鎖的な国で暮らしてると、イメージ湧かないんだね~】
「王妃の方が凄そうだけど」
「ええ! 聖女の方がカッコよくないか?」
疑問が飛び交うなかでロクサーナがパンパンと手を叩いた。
「さて、ここからは雛壇の陰におられる方々にも是非とも参加していただきたいと思っております。国王陛下並びに王妃殿下、王太子殿下とイライザ様⋯⋯堂々とお出ましになられませ!」
バタバタ⋯⋯ガタン⋯⋯ガラガラガシャン
会場中に、雛壇裏の派手な音が聞こえてきた。
「父上! 出てきてこいつを懲らしめてください! さあ!」
「陛下や王妃様の前で吠えずらかかせてやるからな!」
「ロクサーナ、今のうちに土下座したらどうですか?」
「ま、待って! ロクサーナは勘違いを⋯⋯俺が説明しますから」
(ポンコツ&愉快な仲間達+妄想野郎⋯⋯相変わらず状況分かってないんだ、いいけどね~)
「陛下達が出てきたら、あんたなんてボコボコにされるんだからね! 処刑よ、処刑! アーノルドだけじゃなくて、グレイソンだってあたしの味方なんだからね!」
(ええっ! もう捕獲済み!? はっや~)
雛壇の横のドアが開き、国王夫妻とグレイソン王太子とイライザが出てきた。
(うわあ、国王の左目の周りが腫れてる)
「さて、皆様がお揃いになられたところで、続きをはじ⋯⋯」
「なんであんたが仕切ってんのよ! アーノルド、言ってやって。アイツの話なんか誰も聞きたくないって!」
「レベッカ! 貴様は黙っておれ! 聖女だと偽り我が国を愚弄しおって⋯⋯衛兵!」
壁際に立っていた衛兵が慌てて飛び出し⋯⋯。
「きゃあぁぁぁ! ちょっ、やめて! アーノルド、助けて⋯⋯レオン!⋯⋯ビクト⋯⋯触んなぁぁ⋯⋯誰か助⋯⋯モゴッモガッ⋯⋯」
暴れるレベッカを拘束し、猿轡を噛ませた。
「聖女バーラムよ、これで元凶は消えた。多少の行き違いがあったようじゃが、これからも我が国の聖女とし⋯⋯」
「私、この国の聖女じゃありませんから」
「いや、しかし⋯⋯其方は婚約者候補筆頭であろう? アーノルドが不満ならグレイソンも帰ってきておるぞ?」
「「陛下!」」
シンクロした叫び声はイライザと父親のネイトリッジ公爵だろう。初お目見えのグレイソン王太子は、王妃に似た見た目で線の細い陰湿⋯⋯気弱そうな男だった。
「えっと、初めて会うよね。王太子のグレイソンだ。これから仲良くし⋯⋯」
「しませんよ? するわけないじゃないですか」
「ぶ、無礼だぞ! 父上や兄上にそのような事を言ってただです⋯⋯」
「ぜんっぜん、問題ありませんね。さて、メンツも揃った事ですし、はじめましょう」
くるりと振り返ったロクサーナの笑顔にパーティーの参加者達が後退りした。
この後何があるのか想像もつかず、保護者達は近くの者と顔を見合わせ、卒業生達は目を吊り上げて睨みつけてきた。
「せっかくの記念すべき卒業パーティーが横道に逸れてしまいましたが⋯⋯ 卒業生の方々、おめでとうございます。
このようなおめでたい日に申し上げるのは非常に心苦しく思いますが、ここまできたら全て終わらせたいと思う次第です。
苦情のある方は後ほど、愚かな喜劇をはじめたポンコツ王子か、それを許し裏で観劇中だった王家にお願いしたいと思っております。
毎年行われておりました聖王国からの魔法士派遣についてですが、重大な問題が発覚いたしました。簡単に言いますと、虚偽の申請と報告による依頼料のチョロまかしですね。
聖王国のダンゼリアム王国担当者達はすでに拘束されております。
国と王家に加え関係貴族の方々に対し、聖王国より正式に依頼料及び慰謝料の支払いを求める予定でおります。
毎年起きていた人為的スタンピードについても、原因の調査と犯人の捕縛は完了し⋯⋯」
「ま、待て待て待て! スタンピードが人為的だと!」
「はい。自国の利益のために人為的にスタンピードを起こした者達と、スタンピードが続く事で利益を得られる者達の⋯⋯合体技ですね」
「⋯⋯我が国は被害者だよな」
「いったい誰がそんな事を!?」
「この国が被害者⋯⋯それには異論がございます。もし、この国が被害者であるならばスタンピードの原因究明に乗り出していたはず。それをしなかった国や王家にはそれ相応の理由がありました⋯⋯ですよね?」
ロクサーナがチラッと振り返ると、国王とグレイソンが目を泳がせ、青褪めた王妃の陰に隠れようとして3人で揉み合いになっている。アーノルドはすでに雛壇横の扉から逃げだそうとして、目を吊り上げたイライザに捕まっていた。
(国王達はダンゼリアム王国を帝国に売り渡し、爵位を得る約束を取り付けていたんだよね)
「余、余は何も知らん! 勝手なことを申すでない!」
「証拠はすでに揃っておりますし⋯⋯。国際法に基づき、国庫及び王家・官僚の資産等を凍結する旨の書状が本日中に、届けられることになっております。
逃亡や資産隠しの兆候が見られた場合、その場で逮捕監禁となりますのでご注意の程を」
会場からコソコソと逃げだそうとしていた貴族がピタリと足を止めた。
(最初に気付いたのは騎士団に行った時)
長い間訓練に使用した気配がなく手入れした痕跡もない訓練場や、だらしなく座り込んで無駄話に興じる騎士団員の着崩したヨレヨレの制服。
最後に修理したのがいつなのか分からないほど傷んだ建物や、壊れていないのが不思議なほど古い魔導具。
倉庫と見間違えそうな団長の部屋の棚にあった見事な装飾の剣は、鑑定すると間違いなくドワーフ作で、帝国で見た剣と同じ作者の物だった。
(団長は帝国と繋がりがあって、かなりの高級取りの可能性ありって感じかな。めちゃめちゃ臭う⋯秘密のお金が流れてるのは王家だけじゃなさそう)
(で、調査しました~。その結果⋯⋯)
ガタガタン! ガシャン!
【裏で、暴れてるよ~。ププッ!】
「(プフッ)そ、それに、どこかの国で⋯⋯この国の王妃と私のどちらかひとりが移住すると言ったら、間違いなく私が選ばれる自信がありますしね。本当に実力のある聖女はどこの国でも垂涎の的ですから」
ム、ムキィィィぃ⋯⋯ドタン⋯⋯バタン⋯⋯
【すご~い、国王に拳が飛んで一発KO!】
「(クッ、グフッ)となると、対価としてポンコツが差し出すものには価値がないので、そんな契約はお断りします。
レオンへの返答ですけど⋯⋯何の対価もなく私の慈悲狙い、妄想が酷すぎて危ない人の発想にしか聞こえない。
『お互いに助け合う』とか『任せる』とか。具体的にはレオンは何ができる? 何を任せられる?」
「えっと、それは⋯⋯すぐには思いつかないけど」
「一生思いつかないって断言してあげる。
だって、夢想家のレオンは都合の悪い事を忘れるのが得意で、当たり前のように相手を利用する人だから。感謝は口先だけだしね。
無償で与え続けてくれる人が欲しいなら、ママのお膝の上に戻るべき」
「王妃様より聖女の方が良いって⋯⋯そうなの?」
「聖女って治療だけなんじゃないの?」
【閉鎖的な国で暮らしてると、イメージ湧かないんだね~】
「王妃の方が凄そうだけど」
「ええ! 聖女の方がカッコよくないか?」
疑問が飛び交うなかでロクサーナがパンパンと手を叩いた。
「さて、ここからは雛壇の陰におられる方々にも是非とも参加していただきたいと思っております。国王陛下並びに王妃殿下、王太子殿下とイライザ様⋯⋯堂々とお出ましになられませ!」
バタバタ⋯⋯ガタン⋯⋯ガラガラガシャン
会場中に、雛壇裏の派手な音が聞こえてきた。
「父上! 出てきてこいつを懲らしめてください! さあ!」
「陛下や王妃様の前で吠えずらかかせてやるからな!」
「ロクサーナ、今のうちに土下座したらどうですか?」
「ま、待って! ロクサーナは勘違いを⋯⋯俺が説明しますから」
(ポンコツ&愉快な仲間達+妄想野郎⋯⋯相変わらず状況分かってないんだ、いいけどね~)
「陛下達が出てきたら、あんたなんてボコボコにされるんだからね! 処刑よ、処刑! アーノルドだけじゃなくて、グレイソンだってあたしの味方なんだからね!」
(ええっ! もう捕獲済み!? はっや~)
雛壇の横のドアが開き、国王夫妻とグレイソン王太子とイライザが出てきた。
(うわあ、国王の左目の周りが腫れてる)
「さて、皆様がお揃いになられたところで、続きをはじ⋯⋯」
「なんであんたが仕切ってんのよ! アーノルド、言ってやって。アイツの話なんか誰も聞きたくないって!」
「レベッカ! 貴様は黙っておれ! 聖女だと偽り我が国を愚弄しおって⋯⋯衛兵!」
壁際に立っていた衛兵が慌てて飛び出し⋯⋯。
「きゃあぁぁぁ! ちょっ、やめて! アーノルド、助けて⋯⋯レオン!⋯⋯ビクト⋯⋯触んなぁぁ⋯⋯誰か助⋯⋯モゴッモガッ⋯⋯」
暴れるレベッカを拘束し、猿轡を噛ませた。
「聖女バーラムよ、これで元凶は消えた。多少の行き違いがあったようじゃが、これからも我が国の聖女とし⋯⋯」
「私、この国の聖女じゃありませんから」
「いや、しかし⋯⋯其方は婚約者候補筆頭であろう? アーノルドが不満ならグレイソンも帰ってきておるぞ?」
「「陛下!」」
シンクロした叫び声はイライザと父親のネイトリッジ公爵だろう。初お目見えのグレイソン王太子は、王妃に似た見た目で線の細い陰湿⋯⋯気弱そうな男だった。
「えっと、初めて会うよね。王太子のグレイソンだ。これから仲良くし⋯⋯」
「しませんよ? するわけないじゃないですか」
「ぶ、無礼だぞ! 父上や兄上にそのような事を言ってただです⋯⋯」
「ぜんっぜん、問題ありませんね。さて、メンツも揃った事ですし、はじめましょう」
くるりと振り返ったロクサーナの笑顔にパーティーの参加者達が後退りした。
この後何があるのか想像もつかず、保護者達は近くの者と顔を見合わせ、卒業生達は目を吊り上げて睨みつけてきた。
「せっかくの記念すべき卒業パーティーが横道に逸れてしまいましたが⋯⋯ 卒業生の方々、おめでとうございます。
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苦情のある方は後ほど、愚かな喜劇をはじめたポンコツ王子か、それを許し裏で観劇中だった王家にお願いしたいと思っております。
毎年行われておりました聖王国からの魔法士派遣についてですが、重大な問題が発覚いたしました。簡単に言いますと、虚偽の申請と報告による依頼料のチョロまかしですね。
聖王国のダンゼリアム王国担当者達はすでに拘束されております。
国と王家に加え関係貴族の方々に対し、聖王国より正式に依頼料及び慰謝料の支払いを求める予定でおります。
毎年起きていた人為的スタンピードについても、原因の調査と犯人の捕縛は完了し⋯⋯」
「ま、待て待て待て! スタンピードが人為的だと!」
「はい。自国の利益のために人為的にスタンピードを起こした者達と、スタンピードが続く事で利益を得られる者達の⋯⋯合体技ですね」
「⋯⋯我が国は被害者だよな」
「いったい誰がそんな事を!?」
「この国が被害者⋯⋯それには異論がございます。もし、この国が被害者であるならばスタンピードの原因究明に乗り出していたはず。それをしなかった国や王家にはそれ相応の理由がありました⋯⋯ですよね?」
ロクサーナがチラッと振り返ると、国王とグレイソンが目を泳がせ、青褪めた王妃の陰に隠れようとして3人で揉み合いになっている。アーノルドはすでに雛壇横の扉から逃げだそうとして、目を吊り上げたイライザに捕まっていた。
(国王達はダンゼリアム王国を帝国に売り渡し、爵位を得る約束を取り付けていたんだよね)
「余、余は何も知らん! 勝手なことを申すでない!」
「証拠はすでに揃っておりますし⋯⋯。国際法に基づき、国庫及び王家・官僚の資産等を凍結する旨の書状が本日中に、届けられることになっております。
逃亡や資産隠しの兆候が見られた場合、その場で逮捕監禁となりますのでご注意の程を」
会場からコソコソと逃げだそうとしていた貴族がピタリと足を止めた。
(最初に気付いたのは騎士団に行った時)
長い間訓練に使用した気配がなく手入れした痕跡もない訓練場や、だらしなく座り込んで無駄話に興じる騎士団員の着崩したヨレヨレの制服。
最後に修理したのがいつなのか分からないほど傷んだ建物や、壊れていないのが不思議なほど古い魔導具。
倉庫と見間違えそうな団長の部屋の棚にあった見事な装飾の剣は、鑑定すると間違いなくドワーフ作で、帝国で見た剣と同じ作者の物だった。
(団長は帝国と繋がりがあって、かなりの高級取りの可能性ありって感じかな。めちゃめちゃ臭う⋯秘密のお金が流れてるのは王家だけじゃなさそう)
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