108 / 126
97.幻術を解く方法が分からない
しおりを挟む
その違和感は、山の湧き水が溢れて細い川をなした先にある、小さな草地に置かれた狼の毛皮が原因のよう。
近くに魔物や動物の気配はなく、索敵の範囲を広げても小動物の気配さえ感じられない。
「それはそれで怪しい気もするけど、ここからじゃ良くわかんないし⋯⋯少し近付いてみようか」
隠蔽と気配遮断をかけてふわふわと飛んでいくと、カーネーションやチューリップと一緒に、プリムラやパンジーが花開き、その中に月桂樹を使った冠が置かれている不思議な光景が目に入った。
「カーネーションやチューリップは今の季節だけど、プリムラやパンジーは秋だよね?」
冠に使われている月桂樹の葉は瑞々しく、間に飾られている小花も生き生きとして作りたてとしか思えない。近くに落ちているのは山羊の角でできたゴブレット。
(狼の毛皮にいくつかの魔力が重なって層を⋯⋯いや、魔力が絡まり合ってる。こんなの初めて見た⋯⋯ジルベルト司祭に話したら、悔しがるんだろうなぁ。
複数の魔物の魔力を絡み合わせてるのは土魔法と、なんだろう? 知らない魔法とか複合魔法とかかな? あ、魔物の魔力を吸収する為に闇魔法が使われてる。だから劣化してないんだね)
誰かが置き忘れたのか、わざと置いているのか分からないが⋯⋯白にグレーや薄茶が入った毛皮はしっとりとした艶を帯び、値段をつけるとしたらかなりの高級品だろう。
(その上この複雑な魔力が防御力をアップしてて、劣化防止とかしてるんだもん、天井知らずのお値段ってやつだね。これを見たら付与魔法で安心してたなんて恥ずかし~。
これ作ったのって魔力操作の天才かも⋯⋯はっ! もしかしてクロちゃん達かミュウ達の仲間とか!? それなら納得出来すぎるじゃん。
それにしても魔力操作で持ち物にいろんな効果をつけるとか、ドレインした魔物の魔力から能力を引き出すとか⋯⋯ううっ、教えて欲しい。是非是非会いた~い)
欲望がダダ漏れになったロクサーナが、狼の毛皮がある草地に転移した。
「すみませーん、誰かいませんか~、怪しい者じゃないです~。お話聞か⋯⋯あ、なんか音が聞こえた。ねえ、なんか音がしたよね。聞こえたでしょ?」
【転移する前に周りの様子を確認!】
「はい、すんません」
【ロクサーナは、いーっつも注意力散漫だから。僕達心配】
「ううっ、仰るとおりで⋯⋯返す言葉もございません」
ロクサーナを叱ったのはミュウとウルウル。ピッピがジルベルト達の方に着いて行ったのは森の中だからか。
(アラクネと一緒になってジルベルト親衛隊だ~とか言ってたから、ネタ集めとやらに行ったのかも)
「むむ! また聞こえた。音⋯⋯じゃなくて今のは歌声? 人がいない森の中で歌が聞こえると言えばニュンペーくらいしか⋯⋯も、も、もしかしてカネーンス!?」
慌てて索敵をはじめたロクサーナだが、声が届きそうな範囲にそれらしき気配は感じられない。
(エリアを広げる? いや、幻術にかかってるカネーンスの歌だったとしたら、通常の索敵じゃ見つからないはず⋯⋯だったら、さっき見たやつを真似てみればできるかも!」
ロクサーナは大きく息を吸って目を閉じ、ゆっくりと魔力を広げていった。
(薄く平らに⋯⋯もっと薄く出来るはず。イメージは、静まりかえった水面に朝露が落ちて広がる波紋みたいに、同じ速度で広がっていく。いつもと違う魔力や気配を)
狼の毛皮に薄く纏いついていた魔力は別の魔力と馴染み、それでいて元の魔力を維持していた。繊細なベールのように薄くしなやかで力強く、何者にも惑わされない純粋な⋯⋯。
(ニュンペーは精霊。歌う力が残っているなら感じ取れるはず⋯⋯ミュウ達のように、混じりっけのない透き通るような魔力を纏っているはず⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯いた!)
見つけた気配に結界を張りつつ、転移した先にあったのは小さな空気の揺らぎ。手のひらより小さい陽炎は、ロクサーナの結界の中で今にも消えそうになっている。
「カネーンス?」
何も答えず結界の中をふよふよと漂う陽炎から感じるのは不安と恐怖⋯⋯混乱し全てを諦めてる。
(初めてミュウと会った頃の私に似てるかも。精気が足りなくて実体化できないのはミュウと似てる)
「確か精気は⋯⋯自然界にある純粋で神聖な気で、木や草花なんかから集めるんだよね。それから⋯⋯ミュウ達が精気を集めて、死にかけてた私に分け与えてくれた⋯⋯だから、私は今も生きてる」
【ダメだ! ロクサーナ、やめろ!!】
ミュウは人の決定に干渉しないと言う誓約を無視して、ロクサーナの前に飛び出した。
【数千年、幻術に囚われ続けてるコイツを助ける為に、どれほどの精気が必要か分かってないだろ! 人間の生命が一つや二つあったところで足りやしない。ロクサーナがどれほど頑張っても、死ぬまで頑張っても足りないんだ!】
精霊は精気によって生きているが、人もまた精気がなくては生きていけない。違いはそれを知っているかいないかだけ⋯⋯精霊は自然が全ての生きとし生けるものを守っていると知っているが、人は何も知ろうとせず傲慢に生を貪っているだけ。
【幻術に囚われたまま精気を与えれば、カネーンスに送られた精気の大半は、キルケーに届くんだ。ロクサーナが生命を賭けてもカネーンスは助けられない。なのに、届けた精気を糧にして、キルケーは悪事を働くんだぞ!】
「それでも、ほっとけないよ。ミュウが私を見捨てなかったように、私も目の前の精霊を助けてあげたい」
目の前で消えそうになっているカネーンスは、幻術のせいで最後の一線を越えられずにいるのだろう。
(このまま見捨てることはできないって思うのに、精気を送るだけじゃ助けられないなんて! キルケーの幻術を解くほどの智慧が私にあれば、カネーンスを助けられるのに⋯⋯ごめん、ごめんね)
両手を胸の前で組んだロクサーナの目から涙が一雫流れ落ちた。
組んだ両手にポタリと落ちた涙⋯⋯初夏の日差しに輝いた涙が白銀の光を放つと、晴れた空から暖かな雨が降り注ぎはじめた。
【ロクサーナ⋯⋯】
木が葉を広げ一気に伸びた茎に蕾がつき、花が一斉に満開を迎える。
雲が流れ夜空に星が輝き⋯⋯朝日に空が染め上がり、青く小さな果実が大きく育ち赤く熟した甘い匂いを撒き散らした。
草が生い茂り、花びらが舞い散り木が赤く紅葉し⋯⋯大きく育った葉がヒラヒラと舞い落ちる。
降り続く雨が雪に変わり、凍りついた霜柱がパキンと音を立てて折れた。
雪が解け泥濘んだ土から流れた水が大地に染み込み、乾いた土に新芽や花が顔を覗かせ⋯⋯白く輝き続けるロクサーナの周りで季節が巡っていく。何度も花が咲いては枯れて再び芽を出し、高く伸びた木々が枯れて若木が育っていく。
わずかな時間で春から暑い夏へ、実りの秋から全てが凍りつく冬へ。
何度も何度も季節を繰り返し、花や草木が育っては枯れていく⋯⋯幻想的な世界の中で、ロクサーナだけが輝いていた。
ロクサーナの背に現れたのはうっすらと透き通った大きな羽。真っ白な羽の先までロクサーナの魔力が届くと、精気と重なり合い淡い金色の神気に包まれていく。
どれほどの時間が経ったのか分からないが、ロクサーナを包む光が消えた時には、まるで何もなかったように鳥が鳴き、兎が草の中から顔を出していた。
結界の中にいた小さな陽炎は、白い小花と月桂樹の葉でできた冠をつけ、手のひらに乗るくらいの光の玉に姿を変えていた。
【クルル⋯⋯クルックゥ⋯⋯】
鳩が鳴くような柔らかい鳴き声はカネーンスの声だろう。ロクサーナの張った結界の中で淡い光を揺らしているのは、お礼代わりに手を振っているつもりかも。
【幻術、解けてるじゃん】
「う、うん⋯⋯なんかよく分かんないけど、解けたなら良かった⋯⋯助けてくれた人⋯⋯精霊? ありがとうご⋯⋯」
ロクサーナの膝が力を失い、ガクッと音を立てるように地面に倒れ込んだ。
「へ? な、なんか⋯⋯力⋯⋯入んな⋯⋯か⋯⋯も」
蒼白の顔で気を失ったロクサーナの頭を、ミュウが優しく撫でた。
近くに魔物や動物の気配はなく、索敵の範囲を広げても小動物の気配さえ感じられない。
「それはそれで怪しい気もするけど、ここからじゃ良くわかんないし⋯⋯少し近付いてみようか」
隠蔽と気配遮断をかけてふわふわと飛んでいくと、カーネーションやチューリップと一緒に、プリムラやパンジーが花開き、その中に月桂樹を使った冠が置かれている不思議な光景が目に入った。
「カーネーションやチューリップは今の季節だけど、プリムラやパンジーは秋だよね?」
冠に使われている月桂樹の葉は瑞々しく、間に飾られている小花も生き生きとして作りたてとしか思えない。近くに落ちているのは山羊の角でできたゴブレット。
(狼の毛皮にいくつかの魔力が重なって層を⋯⋯いや、魔力が絡まり合ってる。こんなの初めて見た⋯⋯ジルベルト司祭に話したら、悔しがるんだろうなぁ。
複数の魔物の魔力を絡み合わせてるのは土魔法と、なんだろう? 知らない魔法とか複合魔法とかかな? あ、魔物の魔力を吸収する為に闇魔法が使われてる。だから劣化してないんだね)
誰かが置き忘れたのか、わざと置いているのか分からないが⋯⋯白にグレーや薄茶が入った毛皮はしっとりとした艶を帯び、値段をつけるとしたらかなりの高級品だろう。
(その上この複雑な魔力が防御力をアップしてて、劣化防止とかしてるんだもん、天井知らずのお値段ってやつだね。これを見たら付与魔法で安心してたなんて恥ずかし~。
これ作ったのって魔力操作の天才かも⋯⋯はっ! もしかしてクロちゃん達かミュウ達の仲間とか!? それなら納得出来すぎるじゃん。
それにしても魔力操作で持ち物にいろんな効果をつけるとか、ドレインした魔物の魔力から能力を引き出すとか⋯⋯ううっ、教えて欲しい。是非是非会いた~い)
欲望がダダ漏れになったロクサーナが、狼の毛皮がある草地に転移した。
「すみませーん、誰かいませんか~、怪しい者じゃないです~。お話聞か⋯⋯あ、なんか音が聞こえた。ねえ、なんか音がしたよね。聞こえたでしょ?」
【転移する前に周りの様子を確認!】
「はい、すんません」
【ロクサーナは、いーっつも注意力散漫だから。僕達心配】
「ううっ、仰るとおりで⋯⋯返す言葉もございません」
ロクサーナを叱ったのはミュウとウルウル。ピッピがジルベルト達の方に着いて行ったのは森の中だからか。
(アラクネと一緒になってジルベルト親衛隊だ~とか言ってたから、ネタ集めとやらに行ったのかも)
「むむ! また聞こえた。音⋯⋯じゃなくて今のは歌声? 人がいない森の中で歌が聞こえると言えばニュンペーくらいしか⋯⋯も、も、もしかしてカネーンス!?」
慌てて索敵をはじめたロクサーナだが、声が届きそうな範囲にそれらしき気配は感じられない。
(エリアを広げる? いや、幻術にかかってるカネーンスの歌だったとしたら、通常の索敵じゃ見つからないはず⋯⋯だったら、さっき見たやつを真似てみればできるかも!」
ロクサーナは大きく息を吸って目を閉じ、ゆっくりと魔力を広げていった。
(薄く平らに⋯⋯もっと薄く出来るはず。イメージは、静まりかえった水面に朝露が落ちて広がる波紋みたいに、同じ速度で広がっていく。いつもと違う魔力や気配を)
狼の毛皮に薄く纏いついていた魔力は別の魔力と馴染み、それでいて元の魔力を維持していた。繊細なベールのように薄くしなやかで力強く、何者にも惑わされない純粋な⋯⋯。
(ニュンペーは精霊。歌う力が残っているなら感じ取れるはず⋯⋯ミュウ達のように、混じりっけのない透き通るような魔力を纏っているはず⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯いた!)
見つけた気配に結界を張りつつ、転移した先にあったのは小さな空気の揺らぎ。手のひらより小さい陽炎は、ロクサーナの結界の中で今にも消えそうになっている。
「カネーンス?」
何も答えず結界の中をふよふよと漂う陽炎から感じるのは不安と恐怖⋯⋯混乱し全てを諦めてる。
(初めてミュウと会った頃の私に似てるかも。精気が足りなくて実体化できないのはミュウと似てる)
「確か精気は⋯⋯自然界にある純粋で神聖な気で、木や草花なんかから集めるんだよね。それから⋯⋯ミュウ達が精気を集めて、死にかけてた私に分け与えてくれた⋯⋯だから、私は今も生きてる」
【ダメだ! ロクサーナ、やめろ!!】
ミュウは人の決定に干渉しないと言う誓約を無視して、ロクサーナの前に飛び出した。
【数千年、幻術に囚われ続けてるコイツを助ける為に、どれほどの精気が必要か分かってないだろ! 人間の生命が一つや二つあったところで足りやしない。ロクサーナがどれほど頑張っても、死ぬまで頑張っても足りないんだ!】
精霊は精気によって生きているが、人もまた精気がなくては生きていけない。違いはそれを知っているかいないかだけ⋯⋯精霊は自然が全ての生きとし生けるものを守っていると知っているが、人は何も知ろうとせず傲慢に生を貪っているだけ。
【幻術に囚われたまま精気を与えれば、カネーンスに送られた精気の大半は、キルケーに届くんだ。ロクサーナが生命を賭けてもカネーンスは助けられない。なのに、届けた精気を糧にして、キルケーは悪事を働くんだぞ!】
「それでも、ほっとけないよ。ミュウが私を見捨てなかったように、私も目の前の精霊を助けてあげたい」
目の前で消えそうになっているカネーンスは、幻術のせいで最後の一線を越えられずにいるのだろう。
(このまま見捨てることはできないって思うのに、精気を送るだけじゃ助けられないなんて! キルケーの幻術を解くほどの智慧が私にあれば、カネーンスを助けられるのに⋯⋯ごめん、ごめんね)
両手を胸の前で組んだロクサーナの目から涙が一雫流れ落ちた。
組んだ両手にポタリと落ちた涙⋯⋯初夏の日差しに輝いた涙が白銀の光を放つと、晴れた空から暖かな雨が降り注ぎはじめた。
【ロクサーナ⋯⋯】
木が葉を広げ一気に伸びた茎に蕾がつき、花が一斉に満開を迎える。
雲が流れ夜空に星が輝き⋯⋯朝日に空が染め上がり、青く小さな果実が大きく育ち赤く熟した甘い匂いを撒き散らした。
草が生い茂り、花びらが舞い散り木が赤く紅葉し⋯⋯大きく育った葉がヒラヒラと舞い落ちる。
降り続く雨が雪に変わり、凍りついた霜柱がパキンと音を立てて折れた。
雪が解け泥濘んだ土から流れた水が大地に染み込み、乾いた土に新芽や花が顔を覗かせ⋯⋯白く輝き続けるロクサーナの周りで季節が巡っていく。何度も花が咲いては枯れて再び芽を出し、高く伸びた木々が枯れて若木が育っていく。
わずかな時間で春から暑い夏へ、実りの秋から全てが凍りつく冬へ。
何度も何度も季節を繰り返し、花や草木が育っては枯れていく⋯⋯幻想的な世界の中で、ロクサーナだけが輝いていた。
ロクサーナの背に現れたのはうっすらと透き通った大きな羽。真っ白な羽の先までロクサーナの魔力が届くと、精気と重なり合い淡い金色の神気に包まれていく。
どれほどの時間が経ったのか分からないが、ロクサーナを包む光が消えた時には、まるで何もなかったように鳥が鳴き、兎が草の中から顔を出していた。
結界の中にいた小さな陽炎は、白い小花と月桂樹の葉でできた冠をつけ、手のひらに乗るくらいの光の玉に姿を変えていた。
【クルル⋯⋯クルックゥ⋯⋯】
鳩が鳴くような柔らかい鳴き声はカネーンスの声だろう。ロクサーナの張った結界の中で淡い光を揺らしているのは、お礼代わりに手を振っているつもりかも。
【幻術、解けてるじゃん】
「う、うん⋯⋯なんかよく分かんないけど、解けたなら良かった⋯⋯助けてくれた人⋯⋯精霊? ありがとうご⋯⋯」
ロクサーナの膝が力を失い、ガクッと音を立てるように地面に倒れ込んだ。
「へ? な、なんか⋯⋯力⋯⋯入んな⋯⋯か⋯⋯も」
蒼白の顔で気を失ったロクサーナの頭を、ミュウが優しく撫でた。
91
あなたにおすすめの小説
冤罪で処刑されたら死に戻り、前世の記憶が戻った悪役令嬢は、元の世界に帰る方法を探す為に婚約破棄と追放を受け入れたら、伯爵子息様に拾われました
ゆうき
恋愛
ワガママ三昧な生活を送っていた悪役令嬢のミシェルは、自分の婚約者と、長年に渡っていじめていた聖女によって冤罪をでっちあげられ、処刑されてしまう。
その後、ミシェルは不思議な夢を見た。不思議な既視感を感じる夢の中で、とある女性の死を見せられたミシェルは、目を覚ますと自分が処刑される半年前の時間に戻っていた。
それと同時に、先程見た夢が自分の前世の記憶で、自分が異世界に転生したことを知る。
記憶が戻ったことで、前世のような優しい性格を取り戻したミシェルは、前世の世界に残してきてしまった、幼い家族の元に帰る術を探すため、ミシェルは婚約者からの婚約破棄と、父から宣告された追放も素直に受け入れ、貴族という肩書きを隠し、一人外の世界に飛び出した。
初めての外の世界で、仕事と住む場所を見つけて懸命に生きるミシェルはある日、仕事先の常連の美しい男性――とある伯爵家の令息であるアランに屋敷に招待され、自分の正体を見破られてしまったミシェルは、思わぬ提案を受ける。
それは、魔法の研究をしている自分の専属の使用人兼、研究の助手をしてほしいというものだった。
だが、その提案の真の目的は、社交界でも有名だった悪役令嬢の性格が豹変し、一人で外の世界で生きていることを不審に思い、自分の監視下におくためだった。
変に断って怪しまれ、未来で起こる処刑に繋がらないようにするために、そして優しいアランなら信用できると思ったミシェルは、その提案を受け入れた。
最初はミシェルのことを疑っていたアランだったが、徐々にミシェルの優しさや純粋さに惹かれていく。同時に、ミシェルもアランの魅力に惹かれていくことに……。
これは死に戻った元悪役令嬢が、元の世界に帰るために、伯爵子息と共に奮闘し、互いに惹かれて幸せになる物語。
⭐︎小説家になろう様にも投稿しています。全話予約投稿済です⭐︎
婚約破棄された地味伯爵令嬢は、隠れ錬金術師でした~追放された辺境でスローライフを始めたら、隣国の冷徹魔導公爵に溺愛されて最強です~
ふわふわ
恋愛
地味で目立たない伯爵令嬢・エルカミーノは、王太子カイロンとの政略婚約を強いられていた。
しかし、転生聖女ソルスティスに心を奪われたカイロンは、公開の舞踏会で婚約破棄を宣言。「地味でお前は不要!」と嘲笑う。
周囲から「悪役令嬢」の烙印を押され、辺境追放を言い渡されたエルカミーノ。
だが内心では「やったー! これで自由!」と大喜び。
実は彼女は前世の記憶を持つ天才錬金術師で、希少素材ゼロで最強ポーションを作れるチート級の才能を隠していたのだ。
追放先の辺境で、忠実なメイド・セシルと共に薬草園を開き、のんびりスローライフを始めるエルカミーノ。
作ったポーションが村人を救い、次第に評判が広がっていく。
そんな中、隣国から視察に来た冷徹で美麗な魔導公爵・ラクティスが、エルカミーノの才能に一目惚れ(?)。
「君の錬金術は国宝級だ。僕の国へ来ないか?」とスカウトし、腹黒ながらエルカミーノにだけ甘々溺愛モード全開に!
一方、王都ではソルスティスの聖魔法が効かず魔瘴病が流行。
エルカミーノのポーションなしでは国が危機に陥り、カイロンとソルスティスは後悔の渦へ……。
公開土下座、聖女の暴走と転生者バレ、国際的な陰謀……
さまざまな試練をラクティスの守護と溺愛で乗り越え、エルカミーノは大陸の救済者となり、幸せな結婚へ!
**婚約破棄ざまぁ×隠れチート錬金術×辺境スローライフ×冷徹公爵の甘々溺愛**
胸キュン&スカッと満載の異世界ファンタジー、全32話完結!
辺境は独自路線で進みます! ~見下され搾取され続けるのは御免なので~
紫月 由良
恋愛
辺境に領地を持つマリエ・オリオール伯爵令嬢は、貴族学院の食堂で婚約者であるジョルジュ・ミラボーから婚約破棄をつきつけられた。二人の仲は険悪で修復不可能だったこともあり、マリエは快諾すると学院を早退して婚約者の家に向かい、その日のうちに婚約が破棄された。辺境=田舎者という風潮によって居心地が悪くなっていたため、これを機に学院を退学して領地に引き籠ることにした。
魔法契約によりオリオール伯爵家やフォートレル辺境伯家は国から離反できないが、関わり合いを最低限にして独自路線を歩むことに――。
※小説家になろう、カクヨムにも投稿しています
真面目くさった女はいらないと婚約破棄された伯爵令嬢ですが、王太子様に求婚されました。実はかわいい彼の溺愛っぷりに困っています
綾森れん
恋愛
「リラ・プリマヴェーラ、お前と交わした婚約を破棄させてもらう!」
公爵家主催の夜会にて、リラ・プリマヴェーラ伯爵令嬢はグイード・ブライデン公爵令息から言い渡された。
「お前のような真面目くさった女はいらない!」
ギャンブルに財産を賭ける婚約者の姿に公爵家の将来を憂いたリラは、彼をいさめたのだが逆恨みされて婚約破棄されてしまったのだ。
リラとグイードの婚約は政略結婚であり、そこに愛はなかった。リラは今でも7歳のころ茶会で出会ったアルベルト王子の優しさと可愛らしさを覚えていた。しかしアルベルト王子はそのすぐあとに、毒殺されてしまった。
夜会で恥をさらし、居場所を失った彼女を救ったのは、美しい青年歌手アルカンジェロだった。
心優しいアルカンジェロに惹かれていくリラだが、彼は高い声を保つため、少年時代に残酷な手術を受けた「カストラート(去勢歌手)」と呼ばれる存在。教会は、子孫を残せない彼らに結婚を禁じていた。
禁断の恋に悩むリラのもとへ、父親が新たな婚約話をもってくる。相手の男性は親子ほども歳の離れた下級貴族で子だくさん。数年前に妻を亡くし、後妻に入ってくれる女性を探しているという、悪い条件の相手だった。
望まぬ婚姻を強いられ未来に希望を持てなくなったリラは、アルカンジェロと二人、教会の勢力が及ばない国外へ逃げ出す計画を立てる。
仮面舞踏会の夜、二人の愛は通じ合い、結ばれる。だがアルカンジェロが自身の秘密を打ち明けた。彼の正体は歌手などではなく、十年前に毒殺されたはずのアルベルト王子その人だった。
しかし再び、王権転覆を狙う暗殺者が迫りくる。
これは、愛し合うリラとアルベルト王子が二人で幸せをつかむまでの物語である。
悪女と呼ばれた聖女が、聖女と呼ばれた悪女になるまで
渡里あずま
恋愛
アデライトは婚約者である王太子に無実の罪を着せられ、婚約破棄の後に断頭台へと送られた。
……だが、気づけば彼女は七歳に巻き戻っていた。そしてアデライトの傍らには、彼女以外には見えない神がいた。
「見たくなったんだ。悪を知った君が、どう生きるかを。もっとも、今後はほとんど干渉出来ないけどね」
「……十分です。神よ、感謝します。彼らを滅ぼす機会を与えてくれて」
※※※
冤罪で父と共に殺された少女が、巻き戻った先で復讐を果たす物語(大団円に非ず)
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
復縁は絶対に受け入れません ~婚約破棄された有能令嬢は、幸せな日々を満喫しています~
水空 葵
恋愛
伯爵令嬢のクラリスは、婚約者のネイサンを支えるため、幼い頃から血の滲むような努力を重ねてきた。社交はもちろん、本来ならしなくても良い執務の補佐まで。
ネイサンは跡継ぎとして期待されているが、そこには必ずと言っていいほどクラリスの尽力があった。
しかし、クラリスはネイサンから婚約破棄を告げられてしまう。
彼の隣には妹エリノアが寄り添っていて、潔く離縁した方が良いと思える状況だった。
「俺は真実の愛を見つけた。だから邪魔しないで欲しい」
「分かりました。二度と貴方には関わりません」
何もかもを諦めて自由になったクラリスは、その時間を満喫することにする。
そんな中、彼女を見つめる者が居て――
◇5/2 HOTランキング1位になりました。お読みいただきありがとうございます。
※他サイトでも連載しています
(完結)お荷物聖女と言われ追放されましたが、真のお荷物は追放した王太子達だったようです
しまうま弁当
恋愛
伯爵令嬢のアニア・パルシスは婚約者であるバイル王太子に突然婚約破棄を宣言されてしまうのでした。
さらにはアニアの心の拠り所である、聖女の地位まで奪われてしまうのでした。
訳が分からないアニアはバイルに婚約破棄の理由を尋ねましたが、ひどい言葉を浴びせつけられるのでした。
「アニア!お前が聖女だから仕方なく婚約してただけだ。そうでなけりゃ誰がお前みたいな年増女と婚約なんかするか!!」と。
アニアの弁明を一切聞かずに、バイル王太子はアニアをお荷物聖女と決めつけて婚約破棄と追放をさっさと決めてしまうのでした。
挙句の果てにリゼラとのイチャイチャぶりをアニアに見せつけるのでした。
アニアは妹のリゼラに助けを求めましたが、リゼラからはとんでもない言葉が返ってきたのでした。
リゼラこそがアニアの追放を企てた首謀者だったのでした。
アニアはリゼラの自分への悪意を目の当たりにして愕然しますが、リゼラは大喜びでアニアの追放を見送るのでした。
信じていた人達に裏切られたアニアは、絶望して当てもなく宿屋生活を始めるのでした。
そんな時運命を変える人物に再会するのでした。
それはかつて同じクラスで一緒に学んでいた学友のクライン・ユーゲントでした。
一方のバイル王太子達はアニアの追放を喜んでいましたが、すぐにアニアがどれほどの貢献をしていたかを目の当たりにして自分達こそがお荷物であることを思い知らされるのでした。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
全25話執筆済み 完結しました
「僕が望んだのは、あなたではありません」と婚約破棄をされたのに、どうしてそんなに大切にするのでしょう。【短編集】
長岡更紗
恋愛
異世界恋愛短編詰め合わせです。
気になったものだけでもおつまみください!
『君を買いたいと言われましたが、私は売り物ではありません』
『悪役令嬢は、友の多幸を望むのか』
『わたくしでは、お姉様の身代わりになりませんか?』
『婿に来るはずだった第五王子と婚約破棄します! その後にお見合いさせられた副騎士団長と結婚することになりましたが、溺愛されて幸せです。 』
『婚約破棄された悪役令嬢だけど、騎士団長に溺愛されるルートは可能ですか?』
他多数。
他サイトにも重複投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる