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7.教会に行こう
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翌日の朝早く着替えを済ませたルーシーが食堂でコーヒーを飲んでいると、無精髭を生やしたヒューゴが真っ赤になった目を擦りながら現れた。
「おはよう。父さん目が真っ赤よ」
「おう、調子に乗ってちょっと飲み過ぎた。そう言うお前は大丈夫か?」
ヒューゴは椅子に座りながら、メイドに『朝食はいらないからコーヒーだけでいい』と伝えた。
「父さんみたいにガブガブ飲んでないから大丈夫。この後教会に行ってから弁護士事務所に行ってくる」
「無理するな、あんまり寝てないんだろ? 手伝いならいくらでもいるんだ。帰って来たら昼寝でもして一日位ゆっくりしたらいいんじゃないか?」
ルーシーは目の下にクマを作り、青白い顔で無理矢理朝食を詰め込んでいるように見えた。
昨夜ワインを勧めるべきではなかったのかもと反省頻りのヒューゴだった。
「ありがとう。資料の整理とか清書とか、後数字に強い人がいると助かる」
「分かった。手配しとく」
婚姻等については教会法の規定で定められており、十分な理由があると認められない限り離婚が成立する事はない。
妻の側から離婚を求める事ができるのは白い結婚のみだが夫の側は、
・身分の違い
・妻の姦通
・肉体的欠陥や貧困
等の理由があれば離婚できる。
今回リチャードは恐らく身分の違いを理由に離婚を求めるつもりだとルーシー達は考えている。
一代貴族を嫌悪している彼らの狙いはガードナー男爵家の凋落。
現在のこの国の法律では、高位貴族と平民の結婚は認められていないので、ガードナー男爵家が平民に落とされれば離婚は無条件で成立する。
「さて、行ってくるわね。帰りは夕方になるからリチャードが怒鳴り込んで来るのを見れないかもだけど、離婚が成立するまでは会わないつもりだから宜しくね」
「ああ、任せとけ。念の為何人か人を呼んでおく。お前の方こそ気をつけるんだぞ」
「アレックスとジェイクに同行を頼んだから大丈夫」
二人はフリーカンパニーの黒衣団に所属している。
殆どのフリーカンパニーは正規の仕事以外に定期的に略奪を行い生計を立てているが、ガードナー商会は黒衣団と契約を結び、護衛や警備等を依頼している。
アレックスは両刃の剣、ジェイクはランスを持ちマントの下には軽装の鎧をつけている。
「カニンガムの奴が喜ぶな」
騎乗した護衛の二人とアリスを連れたルーシーの馬車は教会にやって来た。
正面の扉を開けると狭い前室があり司祭が声をかけて来た。
「今日はどのようなご用件でしょうか?」
「離婚についてご相談したく参りました」
女性からの離婚相談は多いのか、司祭は驚く様子も見せず次の扉に向けて進んで行った。
「では此方へどうぞ」
扉の中に入るとそこは広々とした聖堂で、正面に十字架の掲げられた祭壇があった。
両側には火が灯された蝋燭があり、数人の信者が椅子に腰掛け祈りを捧げているように見受けられた。
入り口横の水盤に入っている聖水に指先を浸し十字を切る。
司祭の後をついて聖堂の左端を進み、途中のドアから入った先にある応接室に案内された。
アレックスとジェイクは応接室の外に立ち、ルーシーはアリスと共に応接室に入って行った。
ルーシーの物腰から貴族だと推測されたのだろう、案内された応接室には深く赤みがかった色合いのウォールナットの高級な応接セットが置かれていた。
テーブルの足はカブリオール足。テーブルクロスには繊細な刺繍が施されている。
刺繍入りのベルベットのソファはゆったりとした作り。
(ゴシック装飾特有のひだ模様の入った輸入品で・・かなりの高級品。気を付けないと、もしかしたら)
「どうぞおかけください。今お茶をお持ちします」
ノックの音が聞こえ助祭がお茶のセットを運んできた。
お茶を出し終わった助祭が退出すると司祭は徐に話し始めた。
「おはよう。父さん目が真っ赤よ」
「おう、調子に乗ってちょっと飲み過ぎた。そう言うお前は大丈夫か?」
ヒューゴは椅子に座りながら、メイドに『朝食はいらないからコーヒーだけでいい』と伝えた。
「父さんみたいにガブガブ飲んでないから大丈夫。この後教会に行ってから弁護士事務所に行ってくる」
「無理するな、あんまり寝てないんだろ? 手伝いならいくらでもいるんだ。帰って来たら昼寝でもして一日位ゆっくりしたらいいんじゃないか?」
ルーシーは目の下にクマを作り、青白い顔で無理矢理朝食を詰め込んでいるように見えた。
昨夜ワインを勧めるべきではなかったのかもと反省頻りのヒューゴだった。
「ありがとう。資料の整理とか清書とか、後数字に強い人がいると助かる」
「分かった。手配しとく」
婚姻等については教会法の規定で定められており、十分な理由があると認められない限り離婚が成立する事はない。
妻の側から離婚を求める事ができるのは白い結婚のみだが夫の側は、
・身分の違い
・妻の姦通
・肉体的欠陥や貧困
等の理由があれば離婚できる。
今回リチャードは恐らく身分の違いを理由に離婚を求めるつもりだとルーシー達は考えている。
一代貴族を嫌悪している彼らの狙いはガードナー男爵家の凋落。
現在のこの国の法律では、高位貴族と平民の結婚は認められていないので、ガードナー男爵家が平民に落とされれば離婚は無条件で成立する。
「さて、行ってくるわね。帰りは夕方になるからリチャードが怒鳴り込んで来るのを見れないかもだけど、離婚が成立するまでは会わないつもりだから宜しくね」
「ああ、任せとけ。念の為何人か人を呼んでおく。お前の方こそ気をつけるんだぞ」
「アレックスとジェイクに同行を頼んだから大丈夫」
二人はフリーカンパニーの黒衣団に所属している。
殆どのフリーカンパニーは正規の仕事以外に定期的に略奪を行い生計を立てているが、ガードナー商会は黒衣団と契約を結び、護衛や警備等を依頼している。
アレックスは両刃の剣、ジェイクはランスを持ちマントの下には軽装の鎧をつけている。
「カニンガムの奴が喜ぶな」
騎乗した護衛の二人とアリスを連れたルーシーの馬車は教会にやって来た。
正面の扉を開けると狭い前室があり司祭が声をかけて来た。
「今日はどのようなご用件でしょうか?」
「離婚についてご相談したく参りました」
女性からの離婚相談は多いのか、司祭は驚く様子も見せず次の扉に向けて進んで行った。
「では此方へどうぞ」
扉の中に入るとそこは広々とした聖堂で、正面に十字架の掲げられた祭壇があった。
両側には火が灯された蝋燭があり、数人の信者が椅子に腰掛け祈りを捧げているように見受けられた。
入り口横の水盤に入っている聖水に指先を浸し十字を切る。
司祭の後をついて聖堂の左端を進み、途中のドアから入った先にある応接室に案内された。
アレックスとジェイクは応接室の外に立ち、ルーシーはアリスと共に応接室に入って行った。
ルーシーの物腰から貴族だと推測されたのだろう、案内された応接室には深く赤みがかった色合いのウォールナットの高級な応接セットが置かれていた。
テーブルの足はカブリオール足。テーブルクロスには繊細な刺繍が施されている。
刺繍入りのベルベットのソファはゆったりとした作り。
(ゴシック装飾特有のひだ模様の入った輸入品で・・かなりの高級品。気を付けないと、もしかしたら)
「どうぞおかけください。今お茶をお持ちします」
ノックの音が聞こえ助祭がお茶のセットを運んできた。
お茶を出し終わった助祭が退出すると司祭は徐に話し始めた。
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