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12.手強いヒューゴは情報通
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ロンデリー子爵の馬車に乗り込んだリチャード。
「共同の資産と言うことは半分は向こうのものと言うことですかな?」
「対等の立場であれば。卿は伯爵で彼方は元平民、平等とは言えません。当然全て返却させます。
平民など我ら貴族の為にいるようなものですから」
「正にその通り! 奴らは私達貴族にせっせと貢げばいいんだ。それ以外に生きる意味などない奴らだしな」
「これはこれは。お久しぶりです、マルフォー伯爵」
「離婚届を持って来てやったのだ。さっさとサインをしてもらおう」
ガードナー男爵家の応接室に案内されたリチャードとロンデリー子爵は、勧められる前にソファにどっかりと腰を下ろし対面に座ったヒューゴを睨みつけた。
メイドが紅茶を準備して退出した。
応接室にはソファに座る三人以外に壁際に四人の男達が立っている。
「それから我が屋敷から持ち出した品々を返してもらおう」
「ルーシーからは私物のみを持ち出したと聞いておりますが?」
リチャードの来ている古びた洋服はサイズが合わなくなっているようで、腹のボタンが飛びそうになっている。
「絵画や貴重品、家具などはマルフォー伯爵家の物。このままでは犯罪者になりますぞ。騎士団に連絡するか、裁判をおこすか」
「ほう、それは大変なことですな。
ではルーシーが持ち帰ったものがマルフォー伯爵家の物であると言う証拠はお持ちですかな?
ああ、冷めてしまったかもしれませんが、お茶をどうぞ。特にマルフォー卿は喉が乾いておられるのでは?」
そう言えば伯爵邸でお茶が出てこなかったな? と思い出し、『ルーシーが食品庫の中身まで持って行った』んだったと今更気付いたロンデリー子爵だった。
「商業ギルドにも手を回したそうだな」
「何のことを仰っておられるのか分かりませんが?」
「貴様らのせいでどこの商会も物を売らんと言ってきたそうだ」
「ああ、ルーシーが離婚を申し付けられたので今後請求書は全てマルフォー伯爵家に送るように連絡をした件ですかな?
法律上なんの問題もないと思いますが。
ロンデリー子爵殿は法律家でいらっしゃる。間違いがあればお教え頂けますかな?」
「それは・・しかしまだ離婚が確定していないのだから。離婚が確定する前に商業ギルドに手を回すのは人道的に間違っている」
「さて、元々マルフォー伯爵家の支払いをルーシーの個人資産から全て出していたことの方がおかしな事だと思いますな。
窃盗事件として裁判所に訴えるなり、騎士団を寄越すなりどちらでも好きになされば良い」
「裁判となると困るのは其方ではないかな? ここは大人しく離婚届にサインをして持ち出した物をマルフォー伯爵に返した方が身の為だと思うが?」
「ルーシーが出かけている為離婚届はお預かりするしかありませんな。
それに裁判になって困るのがどちらかと言うのは議論の残る所だと」
「裁判になっても良いと? そんな事になればガードナー家の金の流れが全て洗い出されてしまうのですぞ。
痛くない腹ではなく・・痛い腹を探られて平民落ちする覚悟があるようですな」
「ロンデリー卿言う通りだ。平民落ちしたくなければ此方が優しくしているうちに言うことを聞くんだな」
「言葉にはお気をつけ下さい。脅しか恐喝だと取られるような言動はされない方が宜しいですぞ」
「マルフォー卿、ここは一旦引き上げましょう。どうやら話の分からない方のようだ。次は裁判所でお会いする事になりますが宜しいですね」
「そう言えば、ロンデリー卿はオクステール大学では法学を学ばれたとか。
オクステール大学では以前学位売買が頻繁に行われていたそうですなぁ。
その時のリストがあちこちに出回っているのをご存知ですかな?」
「・・何が言いたい?」
それまで傲慢な態度でヒューゴを睨んでいたロンデリーが言葉に詰まった。
「いや、ただの世間話と思っていただければ。
単なる噂話ですが、リストにはかなりの名前があるようで確認が取れ次第学位の剥奪等があるとか。
同じ大学に通われていたロンデリー卿にしてみれば、ご友人のこととか色々ご心配があるのではないかと思いましてな」
「・・なんの問題もない。我が友人を貶めるような発言は控えていただこう」
「次は裁判所でしたかな? 楽しみにしております」
「共同の資産と言うことは半分は向こうのものと言うことですかな?」
「対等の立場であれば。卿は伯爵で彼方は元平民、平等とは言えません。当然全て返却させます。
平民など我ら貴族の為にいるようなものですから」
「正にその通り! 奴らは私達貴族にせっせと貢げばいいんだ。それ以外に生きる意味などない奴らだしな」
「これはこれは。お久しぶりです、マルフォー伯爵」
「離婚届を持って来てやったのだ。さっさとサインをしてもらおう」
ガードナー男爵家の応接室に案内されたリチャードとロンデリー子爵は、勧められる前にソファにどっかりと腰を下ろし対面に座ったヒューゴを睨みつけた。
メイドが紅茶を準備して退出した。
応接室にはソファに座る三人以外に壁際に四人の男達が立っている。
「それから我が屋敷から持ち出した品々を返してもらおう」
「ルーシーからは私物のみを持ち出したと聞いておりますが?」
リチャードの来ている古びた洋服はサイズが合わなくなっているようで、腹のボタンが飛びそうになっている。
「絵画や貴重品、家具などはマルフォー伯爵家の物。このままでは犯罪者になりますぞ。騎士団に連絡するか、裁判をおこすか」
「ほう、それは大変なことですな。
ではルーシーが持ち帰ったものがマルフォー伯爵家の物であると言う証拠はお持ちですかな?
ああ、冷めてしまったかもしれませんが、お茶をどうぞ。特にマルフォー卿は喉が乾いておられるのでは?」
そう言えば伯爵邸でお茶が出てこなかったな? と思い出し、『ルーシーが食品庫の中身まで持って行った』んだったと今更気付いたロンデリー子爵だった。
「商業ギルドにも手を回したそうだな」
「何のことを仰っておられるのか分かりませんが?」
「貴様らのせいでどこの商会も物を売らんと言ってきたそうだ」
「ああ、ルーシーが離婚を申し付けられたので今後請求書は全てマルフォー伯爵家に送るように連絡をした件ですかな?
法律上なんの問題もないと思いますが。
ロンデリー子爵殿は法律家でいらっしゃる。間違いがあればお教え頂けますかな?」
「それは・・しかしまだ離婚が確定していないのだから。離婚が確定する前に商業ギルドに手を回すのは人道的に間違っている」
「さて、元々マルフォー伯爵家の支払いをルーシーの個人資産から全て出していたことの方がおかしな事だと思いますな。
窃盗事件として裁判所に訴えるなり、騎士団を寄越すなりどちらでも好きになされば良い」
「裁判となると困るのは其方ではないかな? ここは大人しく離婚届にサインをして持ち出した物をマルフォー伯爵に返した方が身の為だと思うが?」
「ルーシーが出かけている為離婚届はお預かりするしかありませんな。
それに裁判になって困るのがどちらかと言うのは議論の残る所だと」
「裁判になっても良いと? そんな事になればガードナー家の金の流れが全て洗い出されてしまうのですぞ。
痛くない腹ではなく・・痛い腹を探られて平民落ちする覚悟があるようですな」
「ロンデリー卿言う通りだ。平民落ちしたくなければ此方が優しくしているうちに言うことを聞くんだな」
「言葉にはお気をつけ下さい。脅しか恐喝だと取られるような言動はされない方が宜しいですぞ」
「マルフォー卿、ここは一旦引き上げましょう。どうやら話の分からない方のようだ。次は裁判所でお会いする事になりますが宜しいですね」
「そう言えば、ロンデリー卿はオクステール大学では法学を学ばれたとか。
オクステール大学では以前学位売買が頻繁に行われていたそうですなぁ。
その時のリストがあちこちに出回っているのをご存知ですかな?」
「・・何が言いたい?」
それまで傲慢な態度でヒューゴを睨んでいたロンデリーが言葉に詰まった。
「いや、ただの世間話と思っていただければ。
単なる噂話ですが、リストにはかなりの名前があるようで確認が取れ次第学位の剥奪等があるとか。
同じ大学に通われていたロンデリー卿にしてみれば、ご友人のこととか色々ご心配があるのではないかと思いましてな」
「・・なんの問題もない。我が友人を貶めるような発言は控えていただこう」
「次は裁判所でしたかな? 楽しみにしております」
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