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9.おすすめは舞台俳優
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「流石に違うと思うなあ」
「しかしながら最後までお手紙を下さっていたのはこの方ですし。何度もご訪問の知らせが来た覚えがございます」
「うちに?」
「はい。ご訪問は全てお断りしておりましたが、かなりの頻度でご連絡をいただいたと記憶しております」
「多分抗議と言うか文句が言いたかったんだろうね。セバスは知らないと思うけど、リリスティーナはこの家に酷い仕打ちをしたんだ」
執務室でデイビッドとセバスがツノを突き合わせている資料からピックアップした名前は【エアリアス・オーエン伯爵令嬢】
「リリスティーナの最初の婚約者が現在のマックス・オーエン伯爵なんだ。リリスティーナは彼と婚約破棄して直ぐにサミュエル王子殿下に鞍替えしたんだ。それ以来口も聞いてないってブリトニーが言ってた。
彼には好きな女性がいたそうで婚約破棄された直ぐ後に特別許可証をとって速攻で結婚したんだ。リリスティーナの気が変わって戻ってこられたら困るからだろうって、社交界では有名な話だよ。
リリスティーナは好きな女性がいたオーエンと無理矢理婚約したくせにとっとと王子乗り換えたからオーエン家と絶縁状態になったって」
「それでも話を聞いてみて損はないかと思います。好意的に思っている相手より不快に思う相手の情報の方が頭に残りやすいものですから」
「そう言うもの? そうか、じゃあ行ってみるかな。オーエン家のタウンハウスならここからそんなに遠くないし、先触れを出している時間はないし」
馬車に乗り込み半信半疑でオーエン伯爵のタウンハウスに乗り込んだデイビッドはすんなりと応接間に通されて驚いていた。
(セバスの言った通りだ。余程リリスティーナの文句を言いたいらしい)
社交界の華として様々なパーティーに引っ張りだこのエアリアス・オーエンは目を見張るほどの美しさだった。ハーフアップにしたハニーブロンドにダイヤモンドを散りばめたエメラルドの髪飾りをつけ贅沢にレースを使ったリーフグリーンのドレスを着たエアリアスはデイビッドの挨拶を無視してさっさとソファに座ってしまった。
「あまり時間がありませんの。リリスティーナの事をお聞きになりたいとか」
「はい、先ずはエアリアス様にご不快な話をお聞かせする無礼をお許し下さい」
「慣れておりますわ。長い間社交界におりますと貴族なんて醜聞騒ぎが何よりもお好きな方々の集まりだと思えてくるくらいですもの」
幼い頃からはっきりと自己主張するタイプだったがここ数年はそれに拍車がかかっており、エアリアスの歯に絹着せぬ物言いは社交界の風物詩とまで言われている。
「長い間わたくしの訪問を拒絶しておられたディーセル伯爵家の方が何の御用かしら」
「実は恥ずかしながらリリスティーナの居場所を探しておりまして」
エアリアスはデイビッドが話しやすくなるように声掛けするつもりはないようで冷ややかな目でそっぽを向いている。
「過去には色々やらかした人というか、色々あった人ですがリリスティーナは今では私の大切な妻です。ところが私の監督が行き届かず使用人がリリスティーナに不快な思いをさせていたようで⋯⋯昼過ぎから探しておりますが何処にいるのか分からなくて」
「まあ、リリスティーナは使用人に虐められてるって伯爵家を飛び出してしまわれたの?」
「まあ、そう言う事になります。自業自得なところもなくはないのですが結婚したからにはリリスティーナを守っていこうと思っておりました。
過去の経緯を考えるとオーエン伯爵家の方に相談するのは筋違いかと思いましたが他に相談できるあてがなくて」
「過去ねえ。どこまでご存じなのかしら?」
「正直に申し上げます。詮索好きなわけではありませんが社交界ではとても有名な話ですから、かなり詳しく知っていると思います」
「そう、つまりリリスティーナからは何も聞いておられないのね」
初めてエアリアスがデイビッドを正面から見つめた。エアリアスの翠眼はキラキラと輝きあまりの美しさにデイビッドは思わず息をのんだ。
(これが噂の⋯⋯この瞳で見つめられたら魂を抜かれると言うのは大袈裟な話じゃないな。しかも抜けるような白い肌と⋯⋯)
デイビッドが蕩けたような顔でエアリアスを見つめていると、エアリアスが手に持っていた扇子をパチリと音を立てて閉じデイビッドが我に返った。
「リリスティーナから何もお聞きになっておられないのなら、生憎ですけれどお手伝いできることはなさそうですわ」
「レディの過去の過ちを蒸し返すのは紳士としてできませんでした。ですが「いいえ、リリスティーナが話さなかったのであればそれは信用していなかったから」」
「どう言う意味でしょうか? 私達は結婚して3年経ちます。誤解からこのような事になってはおりますが心は今も繋がっていると思っています」
エアリアスが口元をセンスで隠しクスクスと笑いはじめた。笑い声も素晴らしい、こんな女性を射止めるのは一体どんな奴なんだろうと妬み半分尊敬半分でデイビッドはエアリアスを見つめ続けた。
「ごめんなさいね。ここへいらっしゃるよりどこか場末の劇場の舞台の方がお似合いだと思うと可笑しくて」
「随分笑えない冗談を仰るのですね」
「冗談ではありませんわ。本気で言っておりますの」
苦笑いを浮かべたデイビッドを冷ややかに見つめ返したエアリアスはふと思いついたように話をしはじめた。
「リリスティーナから話を聞いておられない、教えてももらえない旦那様に折角ですからここ数年のお話を教えて差し上げますわ」
「しかしながら最後までお手紙を下さっていたのはこの方ですし。何度もご訪問の知らせが来た覚えがございます」
「うちに?」
「はい。ご訪問は全てお断りしておりましたが、かなりの頻度でご連絡をいただいたと記憶しております」
「多分抗議と言うか文句が言いたかったんだろうね。セバスは知らないと思うけど、リリスティーナはこの家に酷い仕打ちをしたんだ」
執務室でデイビッドとセバスがツノを突き合わせている資料からピックアップした名前は【エアリアス・オーエン伯爵令嬢】
「リリスティーナの最初の婚約者が現在のマックス・オーエン伯爵なんだ。リリスティーナは彼と婚約破棄して直ぐにサミュエル王子殿下に鞍替えしたんだ。それ以来口も聞いてないってブリトニーが言ってた。
彼には好きな女性がいたそうで婚約破棄された直ぐ後に特別許可証をとって速攻で結婚したんだ。リリスティーナの気が変わって戻ってこられたら困るからだろうって、社交界では有名な話だよ。
リリスティーナは好きな女性がいたオーエンと無理矢理婚約したくせにとっとと王子乗り換えたからオーエン家と絶縁状態になったって」
「それでも話を聞いてみて損はないかと思います。好意的に思っている相手より不快に思う相手の情報の方が頭に残りやすいものですから」
「そう言うもの? そうか、じゃあ行ってみるかな。オーエン家のタウンハウスならここからそんなに遠くないし、先触れを出している時間はないし」
馬車に乗り込み半信半疑でオーエン伯爵のタウンハウスに乗り込んだデイビッドはすんなりと応接間に通されて驚いていた。
(セバスの言った通りだ。余程リリスティーナの文句を言いたいらしい)
社交界の華として様々なパーティーに引っ張りだこのエアリアス・オーエンは目を見張るほどの美しさだった。ハーフアップにしたハニーブロンドにダイヤモンドを散りばめたエメラルドの髪飾りをつけ贅沢にレースを使ったリーフグリーンのドレスを着たエアリアスはデイビッドの挨拶を無視してさっさとソファに座ってしまった。
「あまり時間がありませんの。リリスティーナの事をお聞きになりたいとか」
「はい、先ずはエアリアス様にご不快な話をお聞かせする無礼をお許し下さい」
「慣れておりますわ。長い間社交界におりますと貴族なんて醜聞騒ぎが何よりもお好きな方々の集まりだと思えてくるくらいですもの」
幼い頃からはっきりと自己主張するタイプだったがここ数年はそれに拍車がかかっており、エアリアスの歯に絹着せぬ物言いは社交界の風物詩とまで言われている。
「長い間わたくしの訪問を拒絶しておられたディーセル伯爵家の方が何の御用かしら」
「実は恥ずかしながらリリスティーナの居場所を探しておりまして」
エアリアスはデイビッドが話しやすくなるように声掛けするつもりはないようで冷ややかな目でそっぽを向いている。
「過去には色々やらかした人というか、色々あった人ですがリリスティーナは今では私の大切な妻です。ところが私の監督が行き届かず使用人がリリスティーナに不快な思いをさせていたようで⋯⋯昼過ぎから探しておりますが何処にいるのか分からなくて」
「まあ、リリスティーナは使用人に虐められてるって伯爵家を飛び出してしまわれたの?」
「まあ、そう言う事になります。自業自得なところもなくはないのですが結婚したからにはリリスティーナを守っていこうと思っておりました。
過去の経緯を考えるとオーエン伯爵家の方に相談するのは筋違いかと思いましたが他に相談できるあてがなくて」
「過去ねえ。どこまでご存じなのかしら?」
「正直に申し上げます。詮索好きなわけではありませんが社交界ではとても有名な話ですから、かなり詳しく知っていると思います」
「そう、つまりリリスティーナからは何も聞いておられないのね」
初めてエアリアスがデイビッドを正面から見つめた。エアリアスの翠眼はキラキラと輝きあまりの美しさにデイビッドは思わず息をのんだ。
(これが噂の⋯⋯この瞳で見つめられたら魂を抜かれると言うのは大袈裟な話じゃないな。しかも抜けるような白い肌と⋯⋯)
デイビッドが蕩けたような顔でエアリアスを見つめていると、エアリアスが手に持っていた扇子をパチリと音を立てて閉じデイビッドが我に返った。
「リリスティーナから何もお聞きになっておられないのなら、生憎ですけれどお手伝いできることはなさそうですわ」
「レディの過去の過ちを蒸し返すのは紳士としてできませんでした。ですが「いいえ、リリスティーナが話さなかったのであればそれは信用していなかったから」」
「どう言う意味でしょうか? 私達は結婚して3年経ちます。誤解からこのような事になってはおりますが心は今も繋がっていると思っています」
エアリアスが口元をセンスで隠しクスクスと笑いはじめた。笑い声も素晴らしい、こんな女性を射止めるのは一体どんな奴なんだろうと妬み半分尊敬半分でデイビッドはエアリアスを見つめ続けた。
「ごめんなさいね。ここへいらっしゃるよりどこか場末の劇場の舞台の方がお似合いだと思うと可笑しくて」
「随分笑えない冗談を仰るのですね」
「冗談ではありませんわ。本気で言っておりますの」
苦笑いを浮かべたデイビッドを冷ややかに見つめ返したエアリアスはふと思いついたように話をしはじめた。
「リリスティーナから話を聞いておられない、教えてももらえない旦那様に折角ですからここ数年のお話を教えて差し上げますわ」
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