【完結】大切にするってお約束しましたよね。忘れた人には⋯⋯お仕置きしたい人が大集合しました

との

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15.思い出したデイビッド

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「当家の使用人が陰でリリスティーナにとても酷い態度をとっていたことに昨日初めて気付いたのです。勿論断固とした処分を申し渡すつもりでおりますし、2度とそのようなことにならないとリリスティーナに伝えたいと思っております」

「使用人に問題がありましたの?」

「はい、長年仕えてる者達がまさかあのようなことをするなんてショックで昨夜はあまり寝つけませんでした」

「問題は使用人なのですか?」

「はい、リリスティーナには責任はありません」

「うーん、申し訳ありませんがその程度では何も申し上げられませんわ。しかもとても的外れ」

「どこにいるのか全くわからなくて本当に悩んでいるんです」

「ディーセル伯爵はとても困ってらっしゃるのね」

「はい」

「わたくしはディーセル伯爵のお友達ではありませんから⋯⋯ディーセル伯爵が困っておられるならご自身の仲の良いご友人を頼るべきだと思いますわ」

「私の友人はリリスティーナとの関わりがないので相談してもどうにもならないのがわかっているんです」


「一つお聞きしたいのですが、何故リリスティーナと結婚しようと思われたのかしら?」

「それは勿論愛しているから。一緒にいて大切にしたいと思ったからです」

「一緒に過ごしていらっしゃいましたの?」

「えっ?」

「ディーセル伯爵は社交界ではいつも別の女性といらしてたでしょう? であれば他の時間はリリスティーナと過ごしておられたのかなって思いましたの」

「⋯⋯それは、普段は仕事で忙しくしておりますし」

「社交は別の女性と過ごし残りの時間は全てお仕事ですの? 朝食や夜会のない夜、お屋敷でお仕事をされた日なら昼食の時間もありましてよ?
お仕事の合間の休憩時間に一緒にお茶を飲んだり、お庭の散歩とか。
あら、これってうちのお父様達のお話になっていますわね」

「あ、その。子供がおりますし」

「3人でご一緒に住んでらっしゃるのですよね」

「社交界の方は皆さんお詳しいんですね」

「あら、いつも一緒に夜会に出席なさる方が公言なさってますの。ご存じありません?」

「え?」

「伯爵家の内装を近々変える予定だからその後お茶会を開くとか、お部屋はまあまあの広さだけど子供の泣き声が煩いのは壁が薄いのかもとか。
一番お母様がお怒りだったのは『引っ越した際リリスティーナのお部屋の移動が済んでなかったからひどく待たされたし壁紙を新しくする暇もなかった』って言う話でしたわね」

「ブリトニーはそんな事を外で公言しているのですか!?」

「他にも色々ありますけど、問題はそこではないと思いますわ」

「ではどこなのですか? 家族のプライベートな事柄や不満を外で話すなんて問題じゃありませんか」

「うーん、一番大切なことに気付いてらっしゃらないようなのでこれ以上お話しても意味がなさそうですわ」

「一番大切なことですか?」

「ええ、今のお話だけでもとても大切な事が2つもありましたの。それさえわからない方と暮らしてリリスティーナが幸せになれるとは思えませんわ」

「何が問題なのか教えて頂くことはできませんか?」

「少しはご自身でお考えになられた方が良いと思いますけど⋯⋯いつも一緒にパーティーに出席しておられる方は一緒に住んでおられるのでしょう? その方とは社交以外ではどのように過ごしておられたのかしら」

「それは⋯⋯」

「食事とかお茶をしたり買い物などに付き合ったり? リリスティーナとも同じようにされていたのかしら?」

「⋯⋯」

「同じ屋根の下に2人の女性が同居しておられて上手くバランスを取るのは大変そうですわ。同じように大切にしておられましたの?」

「⋯⋯リリスティーナから何か聞いておられるのですか?」

「いいえ、お母様とわたくしで勝手に心配していただけですわ」

(そう言えば結婚前にリリスティーナと約束したのは⋯⋯同じように大切にするって)

「同じようにできていなかったと反省しています。新しい使用人を入れて今後はもっと厳しく指導するつもりでおります」

「試験で言うと赤点以下、0点ですわね。
一番問題があるのが誰かわかっていらっしゃるかしら?」

「えーっと、それは。ちょっと多すぎて誰がとは決めにくいですね」

(リリスティーナを傷付けたのって屋敷の使用人全部とブリトニーだろ。数えきれない程いる)


「どうして3人一緒のお屋敷に住む事になさいましたの?」

「それは⋯⋯とても私的なことでして」

「リリスティーナはどうお考えだったのかしらって。社交界でもそういう方はいらっしゃらないでしょう? お母様達の代でも聞いた事がないそうですわ。
リリスティーナはどんな気持ちだったのかしら。お部屋の移動までされたようですし」

「あの時リリスティーナは⋯⋯部屋を」

(いや、あれ?⋯⋯あの時は馬車を降りた時にブリトニーがリリスティーナを驚かせようって言い出して、)


 ブリトニーの妊娠が分かった直後、デイビッドはセバスにブリトニー用の部屋の準備を頼んだ。

『直ぐに子供部屋も必要になるからそのつもりで。もうじき6か月なんだ。それなのに私に迷惑をかけたくないって内緒にしてたんだよ。ここのところおかしな行動をとるから浮気でもしてるのかって不安になってたんだ』

『それは、おめでとうございます』

 セバスに祝われ領地の両親の喜ぶ顔を思い浮かべたデイビッドはふとリリスティーナの事を思い出した。

『リリスティーナにはまだ内緒にしてくれ。タイミングをみて私から話しておくから』

 その後1週間デイビッドはブリトニーの元で幸せを噛み締めリリスティーナの事をすっかり忘れていた。


『ねえ、新居に初めて入る時はお姫様抱っこで玄関を入るものよ』

『えーっ、それは流石に拙いだろ?』

『大丈夫、リリスティーナはこういう冗談が大好きだもの。ねっ』

 子供ができて幸せいっぱいだったデイビッドはブリトニーを抱き抱え玄関をくぐった。満面の笑みを浮かべた2人を見たリリスティーナの顔に浮かんでいたのはショックと恐怖。

『これは一体、何のおつもりですか?』

 リリスティーナに伝え忘れていた事をようやく思い出したデイビッドだが⋯⋯。

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