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12.俺は偵察には不向き
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「ライバルがいたの。ううん、もしかしたら私のアイデアを盗んだのかも」
「そんな酔狂な奴がいるとは思えんが」
「それがいたの! もー吃驚しちゃったわ。半年も前からオープンしてるんですって」
「・・競合相手がいるのは良いことだと思うぞ。切磋琢磨って言葉知ってるか?」
ジョシュアがレオナルドの言葉を聞いた途端、物凄く嫌そうに眉間に皺を寄せた。
「レオ兄様の悪いとこはそうやって難しい言葉を使うとこだわ。兎に角、そのライバルを偵察して来て欲しいの。屋敷の内装はどんな風なのかとかどんな教育をしてるのかとか」
「無理、別の奴に頼んでくれ」
「なんで? 騎士団では調査とか偵察とかするって聞いたのに」
「騎士修道会。確かに調査とか偵察はするが俺が幼児学校なんて覗いたら速攻で警備隊を呼ばれる」
「レオ兄様って魔王みたいだものねえ。だからね、子供を預けたいから見学に来ましたって言えば良いと思うの」
「はあ? 子供なんていないぞ?」
「見学だから良いのよ。子供は家に置いてきましたって言うの。で、預けるかどうか決めるために中を見たいって言えば良いじゃない」
「だったら、ジョシュアが行って自分の目で確かめた方が良いだろ?」
「ジョージアナ。私の名前はジョージアナよ。今度さっきの名前で呼んだらタダじゃおかないんだからね! 今晩ベッドに潜り込んで、昔みたいに子守唄を歌わせるわよ。
それとさっきの質問に答えるけど、私はライバル校の校長になるんだから顔を見られちゃ後々面倒になるわ」
ジョシュアが何気にレオナルドの黒歴史を持ち出してきた。
ジョシュアは子供の頃何かと理由をつけてはレオナルドのベッドに潜り込んできた。その上子守唄を歌ってくれないと寝ないと駄々をこねる。
その暗黒の歴史は16歳のレオナルドが部屋に鍵をつけて出入り禁止にするまで続いた。
(俺の子守唄・・地獄の唸り・・)
「俺が父親に見えると思うのか?」
「うーん、見えない。でも年齢から言ったら子供の二人や三人いてもおかしくないし、いんじゃないかな」
「父上に頼めば良いだろ? 爵位をマーカスに譲って暇にしてるだろうからな」
「それこそダメだよ、お父様に頼んだら余計なこと言いそうだもん。『うちの子もはじめるんですよー、わっはっは』みたいな」
「・・親父あるあるだな」
着替える暇も休憩する暇もないまま屋敷を追い出されたレオナルドは件の幼児学校にやって来たが、そこはジョシュアの屋敷から馬車なら30分という意外な程近い場所。瀟洒な佇まいのその屋敷は周りの家から少し離れた場所にあった。
(貴族街と平民街の中間辺り、いや平民街寄りか? 治安はどうなんだろう)
周りの民家との間に遮蔽物がないので全体の雰囲気や様子がよく見える。屋敷の左にある窓から横切る女性の姿がはっきりと見えた。
(かなり不用心だな。鉄柵も簡単に登れそうだし)
屋敷を囲む鉄柵は綺麗に磨かれており、見える範囲の前庭には刈り込まれた芝生と花壇が夏の日差しに輝いている。二階建ての屋敷は綺麗に修繕されており、レオナルドが感じた屋敷のイメージは裕福な商人の邸宅か貴族の隠れ家。
(ジョージアナの屋敷とは随分と趣が違うが本当にここが幼児学校か? それにしても隠れて観察できる場所がないな)
鉄柵に沿って歩きながらチラチラと中の様子を伺った。あまり長居すると不審者扱いされてしまいそうなのでレオナルドは声をかけたいと思ったが、門扉は鍵が閉まっていて門番がいない。
門のところで暫く悩んでいると玄関のドアが開いて女性が小走りにやってきた。手には逆さに持った箒を握りしめている。
(だよな、そうなると思った)
「何のご用ですか?」
門の近くで彷徨いていた不審者を頭から足元までじっくりとチェックしたソフィーは、眉間に皺を寄せ仁王立ちしているレオナルドを警戒心全開で睨みつけた。
「ここで幼児学校をやってると聞いたんだが」
「確かにそうですが? 正確には保育学校です」
「子供を預けたいんで話を聞かせてもらえないかなと思って」
「・・お断りします」
(ったく、だから嫌だったんだ)
「理由を聞かせてもらえるかな?」
「うちは無理なので他を当たってもらえますか?」
警戒心を緩めないソフィーにレオナルドは『だよな』と思いながらもなんとか話を続けられないかと悩んだが、ソフィーは箒の柄をますます強く握りしめ少し後ろに下がった。
(この人が暴れたらこの鉄柵じゃ持ち堪えられないかも)
「ここには大切な子供たちがいます。だから、あなたの様な人は中に入れられないんです」
「はぁ、俺のような奴ってどんな奴? 何もしてないんだが」
着いたばかりで屋敷を追い出された上に冷たい態度を取られたレオナルドはムッとして何も持っていない事をアピールする様に両掌を上に向けて見せた。
(大きい手、捕まったら潰されちゃいそう)
「・・そうだけど、あなたってまるで・・」
「まるで?」
「丸太のフォークで牛を丸ごと平らげそうなんだもの」
「丸太で牛?」
「兎に角ここは・・」
「ブハッ・・」
レオが吹き出し大声で笑いはじめた。
「わっ、笑うことないでしょ。だってほんとに」
「ああ、いつも魔王とかベルセルクとか言われる」
「それはちょっと言い過ぎ。そんなに怖そうじゃないわ」
ソフィーが眉を顰めるとレオは腕を組んで片眉を上げた。箒を握りしめているくせに怖くないと言うなんて・・レオナルドは眉間に皺を寄せて口の端を歪めた。
「でも、丸太のフォークだろ?」
「そんな酔狂な奴がいるとは思えんが」
「それがいたの! もー吃驚しちゃったわ。半年も前からオープンしてるんですって」
「・・競合相手がいるのは良いことだと思うぞ。切磋琢磨って言葉知ってるか?」
ジョシュアがレオナルドの言葉を聞いた途端、物凄く嫌そうに眉間に皺を寄せた。
「レオ兄様の悪いとこはそうやって難しい言葉を使うとこだわ。兎に角、そのライバルを偵察して来て欲しいの。屋敷の内装はどんな風なのかとかどんな教育をしてるのかとか」
「無理、別の奴に頼んでくれ」
「なんで? 騎士団では調査とか偵察とかするって聞いたのに」
「騎士修道会。確かに調査とか偵察はするが俺が幼児学校なんて覗いたら速攻で警備隊を呼ばれる」
「レオ兄様って魔王みたいだものねえ。だからね、子供を預けたいから見学に来ましたって言えば良いと思うの」
「はあ? 子供なんていないぞ?」
「見学だから良いのよ。子供は家に置いてきましたって言うの。で、預けるかどうか決めるために中を見たいって言えば良いじゃない」
「だったら、ジョシュアが行って自分の目で確かめた方が良いだろ?」
「ジョージアナ。私の名前はジョージアナよ。今度さっきの名前で呼んだらタダじゃおかないんだからね! 今晩ベッドに潜り込んで、昔みたいに子守唄を歌わせるわよ。
それとさっきの質問に答えるけど、私はライバル校の校長になるんだから顔を見られちゃ後々面倒になるわ」
ジョシュアが何気にレオナルドの黒歴史を持ち出してきた。
ジョシュアは子供の頃何かと理由をつけてはレオナルドのベッドに潜り込んできた。その上子守唄を歌ってくれないと寝ないと駄々をこねる。
その暗黒の歴史は16歳のレオナルドが部屋に鍵をつけて出入り禁止にするまで続いた。
(俺の子守唄・・地獄の唸り・・)
「俺が父親に見えると思うのか?」
「うーん、見えない。でも年齢から言ったら子供の二人や三人いてもおかしくないし、いんじゃないかな」
「父上に頼めば良いだろ? 爵位をマーカスに譲って暇にしてるだろうからな」
「それこそダメだよ、お父様に頼んだら余計なこと言いそうだもん。『うちの子もはじめるんですよー、わっはっは』みたいな」
「・・親父あるあるだな」
着替える暇も休憩する暇もないまま屋敷を追い出されたレオナルドは件の幼児学校にやって来たが、そこはジョシュアの屋敷から馬車なら30分という意外な程近い場所。瀟洒な佇まいのその屋敷は周りの家から少し離れた場所にあった。
(貴族街と平民街の中間辺り、いや平民街寄りか? 治安はどうなんだろう)
周りの民家との間に遮蔽物がないので全体の雰囲気や様子がよく見える。屋敷の左にある窓から横切る女性の姿がはっきりと見えた。
(かなり不用心だな。鉄柵も簡単に登れそうだし)
屋敷を囲む鉄柵は綺麗に磨かれており、見える範囲の前庭には刈り込まれた芝生と花壇が夏の日差しに輝いている。二階建ての屋敷は綺麗に修繕されており、レオナルドが感じた屋敷のイメージは裕福な商人の邸宅か貴族の隠れ家。
(ジョージアナの屋敷とは随分と趣が違うが本当にここが幼児学校か? それにしても隠れて観察できる場所がないな)
鉄柵に沿って歩きながらチラチラと中の様子を伺った。あまり長居すると不審者扱いされてしまいそうなのでレオナルドは声をかけたいと思ったが、門扉は鍵が閉まっていて門番がいない。
門のところで暫く悩んでいると玄関のドアが開いて女性が小走りにやってきた。手には逆さに持った箒を握りしめている。
(だよな、そうなると思った)
「何のご用ですか?」
門の近くで彷徨いていた不審者を頭から足元までじっくりとチェックしたソフィーは、眉間に皺を寄せ仁王立ちしているレオナルドを警戒心全開で睨みつけた。
「ここで幼児学校をやってると聞いたんだが」
「確かにそうですが? 正確には保育学校です」
「子供を預けたいんで話を聞かせてもらえないかなと思って」
「・・お断りします」
(ったく、だから嫌だったんだ)
「理由を聞かせてもらえるかな?」
「うちは無理なので他を当たってもらえますか?」
警戒心を緩めないソフィーにレオナルドは『だよな』と思いながらもなんとか話を続けられないかと悩んだが、ソフィーは箒の柄をますます強く握りしめ少し後ろに下がった。
(この人が暴れたらこの鉄柵じゃ持ち堪えられないかも)
「ここには大切な子供たちがいます。だから、あなたの様な人は中に入れられないんです」
「はぁ、俺のような奴ってどんな奴? 何もしてないんだが」
着いたばかりで屋敷を追い出された上に冷たい態度を取られたレオナルドはムッとして何も持っていない事をアピールする様に両掌を上に向けて見せた。
(大きい手、捕まったら潰されちゃいそう)
「・・そうだけど、あなたってまるで・・」
「まるで?」
「丸太のフォークで牛を丸ごと平らげそうなんだもの」
「丸太で牛?」
「兎に角ここは・・」
「ブハッ・・」
レオが吹き出し大声で笑いはじめた。
「わっ、笑うことないでしょ。だってほんとに」
「ああ、いつも魔王とかベルセルクとか言われる」
「それはちょっと言い過ぎ。そんなに怖そうじゃないわ」
ソフィーが眉を顰めるとレオは腕を組んで片眉を上げた。箒を握りしめているくせに怖くないと言うなんて・・レオナルドは眉間に皺を寄せて口の端を歪めた。
「でも、丸太のフォークだろ?」
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