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30.ルイスの受難とハンナ
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「なっ何でだ? ペナルティか?」
ハンナの仕事を手伝わされると聞かされたルイスが真っ青になって立ち上がった。
ルイスは計算と書類仕事が大嫌いで個人で仕事を請け負っていた時は毎回イライザに頭を下げて手伝って貰っていたらしい。社員になって一番嬉しかったのはそれらを事務職の人が担当してくれる事だった。
「書類仕事じゃなくて貴族について学んで貰うの。グレイ男爵に会った時直ぐにこれはダメだって気付いたの。昼前なのに男爵が着ていたのは夜会服で生地も仕立ても酷かった。
デイジーのドレスは色合いは兎も角昼なのに襟ぐりが大きく空いてて普通は夜にしか着ないものだった。ドレスの飾りについていたキラキラはただのガラス玉だしレースは子供の手仕事並み。
一番のポイントは靴。ボロボロだったでしょう?
貴族はプライドの塊だから見かけを一番に気にするの。そこに気づけば貴族としてどの程度の資産があるかある程度想像がつくようになるわ」
「俺はハンナにその、服とか・・いや、それはちょっと。無理だ、覚えらんねえ」
ルイスは額に脂汗をかき頭をガシガシと掻いてハンナに助けを求めたが、ハンナは肩をすくめてウインクしただけ。
「無理なら諦める。最近は貴族絡みの大物の物件が増えてきてるけどルイスには昔ながらの貸家を担当して貰えばいい事だから。大物は・・私が設計士に同行するようにするか手を出さないか考える」
「あーもー、くそ! 分かった。期間は?」
「さあ、ハンナのお墨付きが出れば終了かしら。ハンナはいつもの仕事と並行して出来るようにスケジュールとか内容とかを決めてね」
「了解! 今までで一番楽しそうな仕事だわ。綺麗なものを見て目の保養をしながら給料を貰うなんて最高の職場だわ」
ソフィーはニコニコしながら引き出しを開け鞄を取り出した。ハンナはニヤニヤ笑いが止まらないようでルイスに睨まれている。
「ねえ、イライザにバイトしてもらってもいい? ルイスの教育って時間がかかりそうだし、状況によってはイライザが一緒の方が話が早そう」
「良いよ、全部任せる。バイト代に追加でカフェと子供へのお土産付きで交渉してみて。という事で後は宜しくー」
ルイスの服を全て選んでいるイライザが一緒なら勉強は捗りそうだとハンナの意見に感心した。ルイスが着ているスーツは高価な物ではないが品が良く生地もしっかり選んである。何よりルイスにとても良く似合っている。
(うん、ハンナとイライザのセンスなら文句なしね!)
「午後は学校に行って来る。元々今日と明日は学校の日だったんだからいいでしょ?」
真っ青な顔で呆然としているルイスと『経費でカフェ、貴族街に近いとこに新しくできたちょっとお高いあの店から攻略しようかなぁ・・』と大喜びのハンナを置いて、ソフィーはいそいそと出かけて行った。
まずは大通りにある噴水広場でレオと落ち合い食事の後に犬を見に行く約束になっている。
(夕方、学校にサラが来るから急がなくちゃ)
ソフィー達がジュードと対峙していた頃ジョシュアの豪邸では・・。
「あれ? レオ兄様は今日もお出かけ?」
「ああ」
部屋でレオが着替えをしているとノックもなしに入ってきたジョシュアが獲物を見つけた狩人のように目をキラーンと輝かせた。レオは警戒心マックスでジョシュアから目を逸らし意味もなく引き出しを開けて中を覗き込んだ。
「誰と~何処に行くのかな? 毎日お出かけしてばかりで寂しいから今日は私と遊んで欲しかったんだけどな~」
ジョシュアがパタパタと近づいてきてレオの腕に手をかけて下から顔を覗き込んできた。レオは慌ててジョシュアの肩を掴んで引き剥がした。
「俺の任務は終わったろ? お前の依頼は済ませたから久しぶりの王都を楽しんでるんだ。夕食までには帰ってくると思うから、多分」
レオは保育学校の様子を話した時ジョシュアが本題よりもソフィーの事を聞きたがっていることに気がついた。
(俺を怖がらずに対応する女性がいたのが珍しいんだろうが、下手に興味を持たれたら面倒臭いからな)
その後大急ぎで服を仕立て直そうとしたのが不味かった。執事に仕立て屋の場所を聞いたのをジョシュアが聞きつけて部屋に飛び込んできたのだ。
「何々? オシャレに興味のないレオ兄様が? 一体どうしたの?」
ジョシュアがレオの為に準備していた部屋のワードローブには数えきれないほどの服がかけてあったが、どれも装飾過多でレオの好みとはかけ離れていた。
(サイズがピッタリだったのが怖いが)
その中から最もシンプルな物を選び出し大至急で仕立て屋に渡しコートの派手な袖飾りを直しシャツのジャボや袖口のレースを取り外した。翌朝届いたのは派手な刺繍飾りもプリーツもない少し丈の短いウエストコートとジャボや袖口飾りのないシンプルな麻のシャツ。クラヴァットを付ける予定はない。
「そういうシンプルなのもレオ兄様に似合ってるとは思うのよ。でも地味すぎない? (てか、滅茶苦茶カッコいいんだけどね)もう少し華やかな方がいいと思うの。もしかしてこれから会う人の好みに合わせてるとか?」
ジョシュアが可愛らしい微笑みを浮かべて首を傾げレオから情報を引き出そうとした。こうなるとジョシュアは猟犬並みのしつこさを発揮するが、レオは出来る限り無表情を保ちジョシュアの興味を逸らそうとした。
(昔から本当に口が硬いのよね~。どうやって吐かせようかしら? それとももう少しの間放置してからのほうが効果的?)
ハンナの仕事を手伝わされると聞かされたルイスが真っ青になって立ち上がった。
ルイスは計算と書類仕事が大嫌いで個人で仕事を請け負っていた時は毎回イライザに頭を下げて手伝って貰っていたらしい。社員になって一番嬉しかったのはそれらを事務職の人が担当してくれる事だった。
「書類仕事じゃなくて貴族について学んで貰うの。グレイ男爵に会った時直ぐにこれはダメだって気付いたの。昼前なのに男爵が着ていたのは夜会服で生地も仕立ても酷かった。
デイジーのドレスは色合いは兎も角昼なのに襟ぐりが大きく空いてて普通は夜にしか着ないものだった。ドレスの飾りについていたキラキラはただのガラス玉だしレースは子供の手仕事並み。
一番のポイントは靴。ボロボロだったでしょう?
貴族はプライドの塊だから見かけを一番に気にするの。そこに気づけば貴族としてどの程度の資産があるかある程度想像がつくようになるわ」
「俺はハンナにその、服とか・・いや、それはちょっと。無理だ、覚えらんねえ」
ルイスは額に脂汗をかき頭をガシガシと掻いてハンナに助けを求めたが、ハンナは肩をすくめてウインクしただけ。
「無理なら諦める。最近は貴族絡みの大物の物件が増えてきてるけどルイスには昔ながらの貸家を担当して貰えばいい事だから。大物は・・私が設計士に同行するようにするか手を出さないか考える」
「あーもー、くそ! 分かった。期間は?」
「さあ、ハンナのお墨付きが出れば終了かしら。ハンナはいつもの仕事と並行して出来るようにスケジュールとか内容とかを決めてね」
「了解! 今までで一番楽しそうな仕事だわ。綺麗なものを見て目の保養をしながら給料を貰うなんて最高の職場だわ」
ソフィーはニコニコしながら引き出しを開け鞄を取り出した。ハンナはニヤニヤ笑いが止まらないようでルイスに睨まれている。
「ねえ、イライザにバイトしてもらってもいい? ルイスの教育って時間がかかりそうだし、状況によってはイライザが一緒の方が話が早そう」
「良いよ、全部任せる。バイト代に追加でカフェと子供へのお土産付きで交渉してみて。という事で後は宜しくー」
ルイスの服を全て選んでいるイライザが一緒なら勉強は捗りそうだとハンナの意見に感心した。ルイスが着ているスーツは高価な物ではないが品が良く生地もしっかり選んである。何よりルイスにとても良く似合っている。
(うん、ハンナとイライザのセンスなら文句なしね!)
「午後は学校に行って来る。元々今日と明日は学校の日だったんだからいいでしょ?」
真っ青な顔で呆然としているルイスと『経費でカフェ、貴族街に近いとこに新しくできたちょっとお高いあの店から攻略しようかなぁ・・』と大喜びのハンナを置いて、ソフィーはいそいそと出かけて行った。
まずは大通りにある噴水広場でレオと落ち合い食事の後に犬を見に行く約束になっている。
(夕方、学校にサラが来るから急がなくちゃ)
ソフィー達がジュードと対峙していた頃ジョシュアの豪邸では・・。
「あれ? レオ兄様は今日もお出かけ?」
「ああ」
部屋でレオが着替えをしているとノックもなしに入ってきたジョシュアが獲物を見つけた狩人のように目をキラーンと輝かせた。レオは警戒心マックスでジョシュアから目を逸らし意味もなく引き出しを開けて中を覗き込んだ。
「誰と~何処に行くのかな? 毎日お出かけしてばかりで寂しいから今日は私と遊んで欲しかったんだけどな~」
ジョシュアがパタパタと近づいてきてレオの腕に手をかけて下から顔を覗き込んできた。レオは慌ててジョシュアの肩を掴んで引き剥がした。
「俺の任務は終わったろ? お前の依頼は済ませたから久しぶりの王都を楽しんでるんだ。夕食までには帰ってくると思うから、多分」
レオは保育学校の様子を話した時ジョシュアが本題よりもソフィーの事を聞きたがっていることに気がついた。
(俺を怖がらずに対応する女性がいたのが珍しいんだろうが、下手に興味を持たれたら面倒臭いからな)
その後大急ぎで服を仕立て直そうとしたのが不味かった。執事に仕立て屋の場所を聞いたのをジョシュアが聞きつけて部屋に飛び込んできたのだ。
「何々? オシャレに興味のないレオ兄様が? 一体どうしたの?」
ジョシュアがレオの為に準備していた部屋のワードローブには数えきれないほどの服がかけてあったが、どれも装飾過多でレオの好みとはかけ離れていた。
(サイズがピッタリだったのが怖いが)
その中から最もシンプルな物を選び出し大至急で仕立て屋に渡しコートの派手な袖飾りを直しシャツのジャボや袖口のレースを取り外した。翌朝届いたのは派手な刺繍飾りもプリーツもない少し丈の短いウエストコートとジャボや袖口飾りのないシンプルな麻のシャツ。クラヴァットを付ける予定はない。
「そういうシンプルなのもレオ兄様に似合ってるとは思うのよ。でも地味すぎない? (てか、滅茶苦茶カッコいいんだけどね)もう少し華やかな方がいいと思うの。もしかしてこれから会う人の好みに合わせてるとか?」
ジョシュアが可愛らしい微笑みを浮かべて首を傾げレオから情報を引き出そうとした。こうなるとジョシュアは猟犬並みのしつこさを発揮するが、レオは出来る限り無表情を保ちジョシュアの興味を逸らそうとした。
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