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29.ジュードの処遇決めました
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グレイ男爵との対面から3日後にソフィーはジュードを呼び出した。数日の日をあけたのはあっさりと問題が解決されたとジュードに思われない為。暫くはビクビクと怯え悩んでもらった方がいいだろうという判断によるもの。
ソフィーの仕事部屋の大きな机を前にしたソフィーの他にハンナとルイスがソファに腰掛けていた。
ノックの音が響きジュードが静かに入ってきた。
「元気そうで安心したわ。早速話を進めさせてもらうわね。
ジュードが詐欺に引っかかったのは運が悪かったとも言えるけど、仕事中に声をかけるなんてあり得ないし会社を巻き込んだ事も許すことはできない。
問題は会社への虚偽の報告と横領、もっと問題なのは無関係だった人を犯罪に巻き込んだ事。真面目に仕事をしていたサラを共犯者にして、ルイスに横領の罪をきせた。
で、ジュードには2つの提案をします。
犯罪者として法律の裁きを受けるか・・現場監督のデレクの下で2年間工事作業員として働くか」
「デレクの下で工事作業員・・」
ジュードはソフィーの提案を聞いて呆然としていた。ジュードは今まで力仕事など一度もしたことがない。父親は平民にしては収入の良い薬師で母親は専業主婦。一人っ子で大切に育てられ見た目も良く学業も優秀。
「前科者にはなるけどそれ程大きな罪には問われないと思うの。裁判所は平民の会社で起きた犯罪の取り調べにはそれほど力を入れないと聞くから。まあ、次の就職先を見つける時はちょっと苦労するかも。
デレクの下で働くのは体力的にはとてもハードだわ。もしそちらを選ぶなら正規の給料を払うし罪も問わない。きちんと仕事をしたなら2年後再試験して今と同じ職種に戻ってもらうつもり」
デレクは現場監督の中では一番の脳筋タイプ。仕事は迅速で丁寧だが寡黙な性格のせいなのか口より先に手が出るのが玉に瑕。
作業員の定着率は低いが彼の指導を生き抜いた者達は皆、業界でトップクラスの実力をつけあの手この手で他社から引き合いがくるほど。
但しそんな実力をつけた者達はデレクの下を離れたがらないので、少数精鋭の作業集団【ソラージュ不動産の懐刀】と言われ厳しい条件や繊細な作業のある現場を主に担当している。
因みにルイスの担当する第一設計部は【ソラージュ不動産の頭脳】と言われている。
「一晩考えて答えを出して。明日私は出かけてるかもだからその時はハンナかルイスに伝えてくれたらいいわ」
「あの、デレクのとこで働きます」
「本当に? じっくり考えなくていいの?」
「犯罪者になるくらいなら現場の方がマシですから。今までの知識も活かせますし」
ジュードは勘違いをしているようだが直ぐに気がつくだろうとソフィーは何も言わないことに決めた。
「分かったわ。じゃあ明日の朝7時にランサム通りの作業場へ。向こうに着いたらデレクの指示に従って頂戴。問題行動が報告されたらその時点で退社してもらうから頑張って」
「ルイスさん、2年後に必ず戻ってきます。その時はどうか宜しくお願いします」
ジュードが意気揚々と部屋を出る後ろ姿をハンナとルイスが複雑そうな顔で見ていた。
「なにあれ、巫山戯てるの!? もー、さっさと訴えてやればよかったのよ。ソフィーは甘すぎだと思うわよ」
「いや、俺は賛成だな。訴えて犯罪者になったとしても奴は変わらんがデレクの下でなら根性を叩き直せるかもしれん。俺はいい方法だと思うぞ」
「話には聞いてるけどデレクのとこってそんなに大変なの?」
「初めての肉体労働は慣れるまで大変だがソフィーの目的はそこじゃないんだろ?」
「そう、デレクの下であの集団の中で働くことが出来たらジュードの甘えた考えや選民意識が覆ると思うの」
「さっきのジュードは犯罪者が鉱山奴隷として刑期を務める気分みたいだったがな。
まー、目が覚めるか逃げ出してクズのまま生きてくか」
「訴えるのは嫌だけどそのまま許すわけにはいかないから、だったら勉強してもらおうかなって」
「ジュードの設計は見た目はいいがただそれだけ。よその会社なら結構持て囃されるだろう。たが、デレクは建てる家のコンセプトを理解した上で長く快適に住む家を作る」
「ジュードの性格そのものって事ね。人間性ってそういうとこに出るもんねえ」
「それに、このまま野放しにしたらジュードは必ずうちの悪口を言いふらすと思うの。犯罪者になったのはアイツのせいだ、会社を辞めなきゃいけなくなったのはアイツのせいだ。責任をなすりつけた会社が悪いんだって言い出すと思う」
「うっ、めちゃめちゃ想像出来る」
「ジュードは今のところ口だけで生きてるからどうなるかデレクからの報告が楽しみだわ。デレクは姑息な手を使う人が嫌いだからジュードが今までのように安易なものの考え方で仕事をしようとしたらコテンパンにやっつけてくれるわね。
話は変わるんだけど、グレイ男爵とデイジーっていつもあんな服装だったの?」
「ん? そうだな。デイジーはよく覚えてないが2人ともあんなもんだった気がするぞ?」
ルイスは今でこそ打ち合わせにはスーツを着用しているが、必要に迫られて仕方なく奥さんの見立てた物を着ているだけ。なので生地や仕立て・流行・TPOなどは全く気にしていない。
「ルイスは今の仕事が終わったら暫くの間通常業務に加えてハンナの下でも働いてもらうわね」
「「・・はあ?」」
ハンナが目を丸くしルイスが真っ青になって硬直した。
ソフィーの仕事部屋の大きな机を前にしたソフィーの他にハンナとルイスがソファに腰掛けていた。
ノックの音が響きジュードが静かに入ってきた。
「元気そうで安心したわ。早速話を進めさせてもらうわね。
ジュードが詐欺に引っかかったのは運が悪かったとも言えるけど、仕事中に声をかけるなんてあり得ないし会社を巻き込んだ事も許すことはできない。
問題は会社への虚偽の報告と横領、もっと問題なのは無関係だった人を犯罪に巻き込んだ事。真面目に仕事をしていたサラを共犯者にして、ルイスに横領の罪をきせた。
で、ジュードには2つの提案をします。
犯罪者として法律の裁きを受けるか・・現場監督のデレクの下で2年間工事作業員として働くか」
「デレクの下で工事作業員・・」
ジュードはソフィーの提案を聞いて呆然としていた。ジュードは今まで力仕事など一度もしたことがない。父親は平民にしては収入の良い薬師で母親は専業主婦。一人っ子で大切に育てられ見た目も良く学業も優秀。
「前科者にはなるけどそれ程大きな罪には問われないと思うの。裁判所は平民の会社で起きた犯罪の取り調べにはそれほど力を入れないと聞くから。まあ、次の就職先を見つける時はちょっと苦労するかも。
デレクの下で働くのは体力的にはとてもハードだわ。もしそちらを選ぶなら正規の給料を払うし罪も問わない。きちんと仕事をしたなら2年後再試験して今と同じ職種に戻ってもらうつもり」
デレクは現場監督の中では一番の脳筋タイプ。仕事は迅速で丁寧だが寡黙な性格のせいなのか口より先に手が出るのが玉に瑕。
作業員の定着率は低いが彼の指導を生き抜いた者達は皆、業界でトップクラスの実力をつけあの手この手で他社から引き合いがくるほど。
但しそんな実力をつけた者達はデレクの下を離れたがらないので、少数精鋭の作業集団【ソラージュ不動産の懐刀】と言われ厳しい条件や繊細な作業のある現場を主に担当している。
因みにルイスの担当する第一設計部は【ソラージュ不動産の頭脳】と言われている。
「一晩考えて答えを出して。明日私は出かけてるかもだからその時はハンナかルイスに伝えてくれたらいいわ」
「あの、デレクのとこで働きます」
「本当に? じっくり考えなくていいの?」
「犯罪者になるくらいなら現場の方がマシですから。今までの知識も活かせますし」
ジュードは勘違いをしているようだが直ぐに気がつくだろうとソフィーは何も言わないことに決めた。
「分かったわ。じゃあ明日の朝7時にランサム通りの作業場へ。向こうに着いたらデレクの指示に従って頂戴。問題行動が報告されたらその時点で退社してもらうから頑張って」
「ルイスさん、2年後に必ず戻ってきます。その時はどうか宜しくお願いします」
ジュードが意気揚々と部屋を出る後ろ姿をハンナとルイスが複雑そうな顔で見ていた。
「なにあれ、巫山戯てるの!? もー、さっさと訴えてやればよかったのよ。ソフィーは甘すぎだと思うわよ」
「いや、俺は賛成だな。訴えて犯罪者になったとしても奴は変わらんがデレクの下でなら根性を叩き直せるかもしれん。俺はいい方法だと思うぞ」
「話には聞いてるけどデレクのとこってそんなに大変なの?」
「初めての肉体労働は慣れるまで大変だがソフィーの目的はそこじゃないんだろ?」
「そう、デレクの下であの集団の中で働くことが出来たらジュードの甘えた考えや選民意識が覆ると思うの」
「さっきのジュードは犯罪者が鉱山奴隷として刑期を務める気分みたいだったがな。
まー、目が覚めるか逃げ出してクズのまま生きてくか」
「訴えるのは嫌だけどそのまま許すわけにはいかないから、だったら勉強してもらおうかなって」
「ジュードの設計は見た目はいいがただそれだけ。よその会社なら結構持て囃されるだろう。たが、デレクは建てる家のコンセプトを理解した上で長く快適に住む家を作る」
「ジュードの性格そのものって事ね。人間性ってそういうとこに出るもんねえ」
「それに、このまま野放しにしたらジュードは必ずうちの悪口を言いふらすと思うの。犯罪者になったのはアイツのせいだ、会社を辞めなきゃいけなくなったのはアイツのせいだ。責任をなすりつけた会社が悪いんだって言い出すと思う」
「うっ、めちゃめちゃ想像出来る」
「ジュードは今のところ口だけで生きてるからどうなるかデレクからの報告が楽しみだわ。デレクは姑息な手を使う人が嫌いだからジュードが今までのように安易なものの考え方で仕事をしようとしたらコテンパンにやっつけてくれるわね。
話は変わるんだけど、グレイ男爵とデイジーっていつもあんな服装だったの?」
「ん? そうだな。デイジーはよく覚えてないが2人ともあんなもんだった気がするぞ?」
ルイスは今でこそ打ち合わせにはスーツを着用しているが、必要に迫られて仕方なく奥さんの見立てた物を着ているだけ。なので生地や仕立て・流行・TPOなどは全く気にしていない。
「ルイスは今の仕事が終わったら暫くの間通常業務に加えてハンナの下でも働いてもらうわね」
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ハンナが目を丸くしルイスが真っ青になって硬直した。
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