【完結】婚約してる? 婚約破棄した? ところであなたはどなたですか?

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34.作戦会議とソフィーのアイデア

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「今ある鉄柵を完全に変えてしまうか別のものをプラスするか・・あの鍵は役立たずだから。門番の代わりも考える必要がある」

「柵を完全に変えるのと追加するのとではどちらが良いのかしら? 鍵は簡単に変えられる。門番の代わりについては少し考えてみたの」

「現状では強度と高さが足りてない。俺達なら一瞬で敷地内に入れる」

「結構な強度があると思ってた。ベルセルク以外でも入れるの?」

「ああ、入れる。あの手の柵はあちこちの屋敷で見かけるが実際はとても危険なんだ。慣れてる奴なら簡単に登れるしちょっとした機材があればあっという間に壊せる。
鉄柵は目隠しの役に立たないから別の素材、例えばメイソン邸のような石壁や煉瓦を使うと良いがかなりの広さがあるから結構値が張る。
追加するなら柵を補強して常緑樹を植える手がある」

「常緑樹? 目隠しにはなるけど防犯面では役に立たなくないかしら」

「柵の上に忍び返しを追加して柵と常緑樹の間に忍び返し付きの背の低い柵を追加する。
ボックスウッドなら目隠しには完璧なんだが成長が遅いから・・。プリペットなんかがオススメだと思う」

「完全に遮ってしまうより圧迫感がなくて良いかもしれないわね。夏には白い花が咲いて甘い香りがするから子供達が喜ぶかも」

 プリペットは2メートル位の常緑樹。葉の色は緑だけのものや白い斑の入ったシルバープリペット、黄色い斑の入ったプリペットレモンライムなどがある。

「プリペットなら丈夫だし手入れもそれほど大変じゃないみたいだ」

 昨日の夜常緑樹を植えることを思いついたレオは図書室でガーデニングについて調べて来た。いそいそと図書室に向かうレオを見かけたジョシュアに『レオ兄様がニヤけてる!』と思われていたのには全く気付いていない。
 レオの密やかな努力を知らないソフィーは『高位貴族の方の知識って凄い』と感心していた。

(紅茶や食事くらいではお礼にならないわ。何かお礼の品を考えなくちゃ)



「防犯としてだけを考えたらどちらがオススメかしら?」

「背の低い柵を追加するなら常緑樹だな」

「じゃあ早速業者に連絡して見積もりを貰うわ。鍵はもっと丈夫なものを2つ付けるのはどう?」

「それでいいと思う。面倒にはなるが種類の違うものを2つ付ければ鍵開けに時間がかかるからね」

「門扉のとこで屋敷の中に聞こえるほどの音でベルが鳴るとご近所迷惑だから、屋敷の中で鳴る呼び鈴をつけられたらって。それで、門扉の所で紐を引くとホールで音がするように出来ればと思って考えてみたの」

 ソフィーが考えているのは門扉のところからホールまで配管を通し、門扉で紐を引くと玄関の中で音がするというもの。

「面白そうだ。その方法が出来たら色んな家で使いたがるかもな」

「配管の中を通す紐の素材が一番のポイントだと思うの。柔軟性があって丈夫なもの」

「若しくは簡単に修理できる方法があれば」

「そうか、素材探しよりそっちの方が可能性高そうだわ」

(ソフィーの発想は面白い。仕事でアイデアを提供すると言ってたがかなり優秀なのかも)

「ソフィーの家族は何をしてる人なんだい?」

「えっ?」

 新しい計画に夢中になっていたソフィーは突然冷水を浴びせられたように青褪め顔を引き攣らせた。

「特に理由があって聞いたわけじゃないんだ。仕事をしながらこれだけの事業を興しただけでも凄いが、今のようなアイデアとか・・。どんな親御さんに育てられたのかと、無理に聞こうと思ってるわけじゃないんだ。今の質問は忘れせてくれ」

 噴水広場で会った時から終始和かだったソフィーの突然の豹変にレオは慌てて弁解した。

(家族とは上手くいってないのか? ここの資金とかを裕福な親から援助してもらってるんだと思ってたんだが)

「家族とは長い間会ってないの。最後に聞いた噂では帝国にいるとか。今もそうなのかは分からないわ」

「嫌なことを思い出させて悪かった」

 苦笑いを浮かべたソフィーは肩をすくめて話を続けた。

「気を遣わせてごめんなさい。突然だったからちょっと驚いてしまって。両親と姉に最後に会ったのは6歳の時なの。その後何年かして別の家の養子になったんだけど、そこの家の方とは手紙をやりとりしているくらい」

「そうなのか。話しにくいことを聞いてしまった」

「気にしないで。私だってレオのご兄弟の事とか平気で聞いていたもの。これだけの資金をどうやって調達してるのかが気になっているんでしょう?」

「ああ、てっきりご両親からの援助だと思ってたんだ」

「レオは王都は久しぶりだって言ってたし貴族の方とはそれ程ご縁があるわけじゃないから知らなくて当然なんだけど【ソラージュ不動産】って言う会社をやってるの。そこのお給料と貯金で賄ってる」

「会社をやってるってことは社長? でもソフィーはまだ、えっと」

「現在23歳で仕事をはじめたのは16歳の時。会社を立ち上げたのが20歳で保育学校を作るって動きはじめたのは22際の時。
とても優秀な人たちに恵まれたのと戦後で需要があったから会社は順調だし資金繰りにも問題はないの」

「16歳か・・俺はまだ暢気に学校に通ってた頃だ」

「学校には行ってなくて16歳まで働いていたとこのご主人様が色々教えて下さったの。文字・計算・一般常識やその他諸々。すごく感謝してるの」

(そうか、俺が不満タラタラで過ごしたり渋々騎士修道会に入ってた頃ソフィーは家族の支えもなく働いてたんだ)

「あまり気にされると逆に申し訳ない気持ちになってしまいそうだわ。忙しかったけど・・今も忙しいけどやりがいもあって楽しんでるし次の目標も決まってるの。一緒に仕事をしてるハンナに言わせると私は能天気で直感で走り出すから後始末が大変なんですって」

「それは何だかわかる気がする。見ず知らずの俺を信用して相談したり意見をきいたりするし」

(見ず知らずってほどではないんだけど・・)



 トントンとノックの音がしてローリーが声をかけた。

「ソフィー、サラさんがいらっしゃいました。ここにお通しします?」

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