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52.国王の疑問とマシュー達
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レオはソフィーの生育歴や職歴、家族との関係の全てを順を追って説明した。
「つまりあの者は長年家族の誰とも関わりを持っていなかったと? 証拠は?」
「ソフィーがメイドとして支えていた主人の専属執事と侍女が控え室におります。その他に銀行取引の明細、20歳で会社を設立して後の日報と不動産会社と保育学校の帳簿一式。
16歳から20歳までの日報はございませんが必要であれば共に仕事をしていた平民2名が証人となると申しております。
本当にソフィーが詐欺の首謀者であればどこかしらに不審な金の流れがあるはず。詐欺の実行犯にそれなりの金を渡していなければなりません」
「会社など叩けばいくらでも埃が出るであろう」
「ソフィーに限ってそれはあり得ません。残念に思うほど要領が悪いので」
「要領のお・・仮にあの者を助け出せたならばその後はどうする?」
「帝国で悪事を働いた者達の身柄の引き渡しを要求し王国で裁くか、帝国に委ねるかのいずれかではないかと具申致します」
「良かろう、あの者を連れてまいれ。その間に控え室の証人とやらの話を聞こうではないか」
「陛下! お待ちください。近衛からの報告を聞いてからでも遅くはありません」
「では、団長の報告も聞こう。余の指示は不満か?」
「滅相もございません」
宰相が目配せすると部屋の隅に控えていた補佐官が走り出した。
マシューとアリシアが呼び出しを受け謁見室に入ってきた。
6歳のソフィーが父親に売られたその瞬間から16歳までの詳細が語られ、父親がソフィーを売り渡した時の契約書が提出された。
マシュー達の話が終わり近衛騎士団団長に連れられたソフィーが謁見室に入って来た。襟の詰まった長袖のドレスは足首まですっぽりと覆っている。後ろで一つに纏めた髪は紐で結ばれ蒼白な顔には傷一つない。外から見えるのは手首から先と裸足の足先のみ。
(予想通り、見えないところだけ狙ったな)
近衛騎士団団長が腕を掴み上げてはいるが、ソフィーは背筋を伸ばしまっすぐに歩いて来た。諦念を浮かべた目・目の下のクマ、引き結ばれた口元の新しい皺、震える握り拳・・。
大臣達にはソフィーの堂々とした態度が犯罪者の開き直りに見えるようで眉間に皺を寄せ口を歪めた。
「面を上げよ」
顔を上げレオ達を目にしたソフィーが目を見開いた。
(なんでここに・・マシュー様やアリシア様まで)
「団長、報告を」
宰相の声かけで団長が話しはじめた。
「連日の取り調べに対し反省の色もなく一切口を開こうと致しません。もう少し厳しく詮議するべきだと思われます」
「ソフィーと申したな。話してみよ」
「恐れながら私から申し上げることは何もございません」
「では罪を認めるか?」
「・・どうぞ陛下の御心のままに」
「そこにいる者達は皆、其方の無実の証明のために参った者達だがそれを見ても何も申さぬと?」
「話す言葉の持ち合わせがございませんので」
「このような状況になるまで親と姉を放置していたのは何故だ? 1度目に婚約者から連絡が来た時訴えることができたはず。2度目も然り。
《未必の故意》と言う言葉の意味は分かるか?」
「はい」
「幼くして事業をはじめ王都でも有数の企業に・・それだけの才覚のある其方が何故彼奴らを放置しておった」
「・・」
「言わぬか・・では仕方あるまい。全てを明らかに出来なかった此奴らには罰を与えねばならん」
「お待ち下さい! この方々は関係ありません。この方達を罰するのはおやめ下さい」
淡々と現状を受け止め終わりが来るのを待っているだけのように見えたソフィーが突然暴れ出した。驚いた団長の手を振り解いたソフィーは床に頭を擦り付け土下座した。
「どうかお願いいたします。あの方達は何の関係もございません」
小声で話していた大臣達はソフィーの慌てふためく様子に不審げな顔で口を閉ざし謁見室内は異様な静けさに包まれた。
「偽善であろう」
「しおらしくしておれば許されると?」
「随分と元気そうだ、近衛にしては手加減しすぎでは?」
「この者達のために土下座できる其方が何故自分の事は口を開かぬのか。
レオナルドよ、其方は理由を知っておるのであろうな」
「はい、存じております」
ソフィーが慌てて顔を上げレオを見遣った。
(まさか、そんな事・・絶対に、絶対にダメ!)
「話が進まぬ。さてさて、どうしたものか」
言葉とは裏腹に楽しげな顔をした国王。
「陛下にご覧頂きたい書類がございます。出来れば陛下お一人でご覧になっていただきたいのですが」
「ほう、宰相や大臣達にも見せてはならぬ書類か」
「(ああ、やっぱり)ダメ! レオ、それはやめて! お願いだから!」
「レオナルド、書類をここへ」
レオが玉座に向けて歩き出すとソフィーが立ち上がりレオに飛びかかって書類をもぎ取ろうとした。
「うぐっ」
レオが思わずソフィーの手を掴むとソフィーから呻き声が漏れた。
(酷い汗だ・・マズい、このままじゃ)
左手に書類を持ち右手でソフィーの腕を掴んだままレオが囁いた。
「ソフィー、大丈夫か?」
「お願い、それを返して」
レオの腕から逃れようと暴れるソフィーと微動だにせず心配げな顔でソフィーを見下ろすレオ。
マシューがレオの手から書類を取り上げ国王の元に歩きはじめた。レオはマシューを追いかけようとしたソフィーをそっと抱え込んだが、ソフィーは痛む身体をものともせず拘束を逃れようと暴れた。
「マシュー様、ダメです! お願い!」
「ソフィー、これは元々私が預かっていたものだ。これを預かる時頂いたお言葉は『必要な時には使え』だった。意味は分かるね」
「分かりません! 今は必要な時じゃない!」
ソフィーの懇願を無視してマシューは書類を国王に手渡した。
パラパラと国王が書類を捲る音。興味津々でヒソヒソと話す大臣達。
「ああ、そんな・・ごめんなさい。ほんとにごめんなさい」
崩れ落ちるように座り込んだソフィーを抱えるようにしてしゃがみこんだレオはソフィーの着ているドレスのあちこちに広く血が滲んでいることに気付いた。
(まだ新しい。クソっ!)
「これの詳細を知る者は青の間に参れ」
国王の宣言を聞いたソフィーがグラっと揺れ意識を失った。
『頑張ってる孫がね・・』
「つまりあの者は長年家族の誰とも関わりを持っていなかったと? 証拠は?」
「ソフィーがメイドとして支えていた主人の専属執事と侍女が控え室におります。その他に銀行取引の明細、20歳で会社を設立して後の日報と不動産会社と保育学校の帳簿一式。
16歳から20歳までの日報はございませんが必要であれば共に仕事をしていた平民2名が証人となると申しております。
本当にソフィーが詐欺の首謀者であればどこかしらに不審な金の流れがあるはず。詐欺の実行犯にそれなりの金を渡していなければなりません」
「会社など叩けばいくらでも埃が出るであろう」
「ソフィーに限ってそれはあり得ません。残念に思うほど要領が悪いので」
「要領のお・・仮にあの者を助け出せたならばその後はどうする?」
「帝国で悪事を働いた者達の身柄の引き渡しを要求し王国で裁くか、帝国に委ねるかのいずれかではないかと具申致します」
「良かろう、あの者を連れてまいれ。その間に控え室の証人とやらの話を聞こうではないか」
「陛下! お待ちください。近衛からの報告を聞いてからでも遅くはありません」
「では、団長の報告も聞こう。余の指示は不満か?」
「滅相もございません」
宰相が目配せすると部屋の隅に控えていた補佐官が走り出した。
マシューとアリシアが呼び出しを受け謁見室に入ってきた。
6歳のソフィーが父親に売られたその瞬間から16歳までの詳細が語られ、父親がソフィーを売り渡した時の契約書が提出された。
マシュー達の話が終わり近衛騎士団団長に連れられたソフィーが謁見室に入って来た。襟の詰まった長袖のドレスは足首まですっぽりと覆っている。後ろで一つに纏めた髪は紐で結ばれ蒼白な顔には傷一つない。外から見えるのは手首から先と裸足の足先のみ。
(予想通り、見えないところだけ狙ったな)
近衛騎士団団長が腕を掴み上げてはいるが、ソフィーは背筋を伸ばしまっすぐに歩いて来た。諦念を浮かべた目・目の下のクマ、引き結ばれた口元の新しい皺、震える握り拳・・。
大臣達にはソフィーの堂々とした態度が犯罪者の開き直りに見えるようで眉間に皺を寄せ口を歪めた。
「面を上げよ」
顔を上げレオ達を目にしたソフィーが目を見開いた。
(なんでここに・・マシュー様やアリシア様まで)
「団長、報告を」
宰相の声かけで団長が話しはじめた。
「連日の取り調べに対し反省の色もなく一切口を開こうと致しません。もう少し厳しく詮議するべきだと思われます」
「ソフィーと申したな。話してみよ」
「恐れながら私から申し上げることは何もございません」
「では罪を認めるか?」
「・・どうぞ陛下の御心のままに」
「そこにいる者達は皆、其方の無実の証明のために参った者達だがそれを見ても何も申さぬと?」
「話す言葉の持ち合わせがございませんので」
「このような状況になるまで親と姉を放置していたのは何故だ? 1度目に婚約者から連絡が来た時訴えることができたはず。2度目も然り。
《未必の故意》と言う言葉の意味は分かるか?」
「はい」
「幼くして事業をはじめ王都でも有数の企業に・・それだけの才覚のある其方が何故彼奴らを放置しておった」
「・・」
「言わぬか・・では仕方あるまい。全てを明らかに出来なかった此奴らには罰を与えねばならん」
「お待ち下さい! この方々は関係ありません。この方達を罰するのはおやめ下さい」
淡々と現状を受け止め終わりが来るのを待っているだけのように見えたソフィーが突然暴れ出した。驚いた団長の手を振り解いたソフィーは床に頭を擦り付け土下座した。
「どうかお願いいたします。あの方達は何の関係もございません」
小声で話していた大臣達はソフィーの慌てふためく様子に不審げな顔で口を閉ざし謁見室内は異様な静けさに包まれた。
「偽善であろう」
「しおらしくしておれば許されると?」
「随分と元気そうだ、近衛にしては手加減しすぎでは?」
「この者達のために土下座できる其方が何故自分の事は口を開かぬのか。
レオナルドよ、其方は理由を知っておるのであろうな」
「はい、存じております」
ソフィーが慌てて顔を上げレオを見遣った。
(まさか、そんな事・・絶対に、絶対にダメ!)
「話が進まぬ。さてさて、どうしたものか」
言葉とは裏腹に楽しげな顔をした国王。
「陛下にご覧頂きたい書類がございます。出来れば陛下お一人でご覧になっていただきたいのですが」
「ほう、宰相や大臣達にも見せてはならぬ書類か」
「(ああ、やっぱり)ダメ! レオ、それはやめて! お願いだから!」
「レオナルド、書類をここへ」
レオが玉座に向けて歩き出すとソフィーが立ち上がりレオに飛びかかって書類をもぎ取ろうとした。
「うぐっ」
レオが思わずソフィーの手を掴むとソフィーから呻き声が漏れた。
(酷い汗だ・・マズい、このままじゃ)
左手に書類を持ち右手でソフィーの腕を掴んだままレオが囁いた。
「ソフィー、大丈夫か?」
「お願い、それを返して」
レオの腕から逃れようと暴れるソフィーと微動だにせず心配げな顔でソフィーを見下ろすレオ。
マシューがレオの手から書類を取り上げ国王の元に歩きはじめた。レオはマシューを追いかけようとしたソフィーをそっと抱え込んだが、ソフィーは痛む身体をものともせず拘束を逃れようと暴れた。
「マシュー様、ダメです! お願い!」
「ソフィー、これは元々私が預かっていたものだ。これを預かる時頂いたお言葉は『必要な時には使え』だった。意味は分かるね」
「分かりません! 今は必要な時じゃない!」
ソフィーの懇願を無視してマシューは書類を国王に手渡した。
パラパラと国王が書類を捲る音。興味津々でヒソヒソと話す大臣達。
「ああ、そんな・・ごめんなさい。ほんとにごめんなさい」
崩れ落ちるように座り込んだソフィーを抱えるようにしてしゃがみこんだレオはソフィーの着ているドレスのあちこちに広く血が滲んでいることに気付いた。
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