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第八章 いざ、決戦!

21.マジ!? 蓼食う虫を初めて見たかも

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「不敬だぞ! 其奴を捕まえろ!!」

 2階席から野太い怒鳴り声が響いた。

「不敬上等でございます。モラヴィアスに一泡吹かせたい帝国と、帝国のご機嫌を取るためなら平民を切り捨てるモラヴィアス王国に対して、敬意などかけらも待ち合わせておりません。
テオドール皇子殿下、私を不敬でお斬りになられますか?」

(腐っても天才皇子だから何か裏がある。別の理由でこの国に乗り込んできてわざと生徒達を唆した。その理由は分かんないけど、ここで不敬はない。博打だけどね。理由があれば私の勝ち、理由がなければ負け⋯⋯ひゃあ、どちどちドキドキする~)

「いや、不敬などと思っていないから騒がないでくれ。私は純粋にコンプトンに興味があっただけなんだ。平民の孤児で学園初の満点入学と聞けば気になって当然だよ。私の興味が皆を混乱させたのなら、行動を戒めなくてはね。コンプトン、悪かった」

 テオドールが皇子らしい上品な仕草で席に腰を下ろした。

(勝った! 勝ったけど、腹が黒すぎて何考えてるのか読めなかったよ~)





「まだ質問があるのですが、あまりに平民平民と騒がしいので先にお知らせしておきます」

 ミリーは1階席の生徒達と2回席の父兄を見回して声をゆっくりと声を上げた。

「⋯⋯、私は平民ですがアーバスノット公爵家が後見をしてくださっています。養子縁組はしておりませんので、ファミリーネームはコンプトンのままです。学園には届出をしておりますので、必要であればご確認ください」

 ホールの中がシンと静まり返った。騒然とする生徒達の騒ぎを目にした2階席の父兄達も不安を隠せない。

「これが本当の事ならとんでもないことになるぞ」

「もし、うちの子がやらかしていたら⋯⋯」


「どうしよう我が家なんて簡単に潰されてしまうよ」

「アーバスノット公爵家って?」

「もうダメだ⋯⋯家に帰ったら叩き出される」



「奨学生の貧乏人だと多くの方から何度も蔑まれてきましたが、私が奨学生なのは奨学生の条件に見合う試験結果だったから。
今回合格した平民が私だけだった事を考えると、議会が平民の受け入れを拒否しなければ、奨学生は私ではなかったかもしれませんが」

「満点だったのにそれ以上なんてないだろ?」

「面接とかも点数になるって言いたいんだよ」

「でも、公爵家の後見なら」



「今年だけ平民の入学生が私しかいないのは何故なのか。疑問に思う方がおられるなら、議員の方にお聞きになられれば答えがわかるでしょう」

「何か知ってるなら勿体ぶらずに言えばいいだろ!?」

「私が説明しなければならない理由はありません。勝手な憶測や野望や妬みで人を傷つけ続けた方達に対して親切心など持てませんので」

 冷ややかな目つきと突き放したようなミリーの言葉は12歳とは思えない。




「さて、ミッドランド侯爵令嬢が退屈しておられますし、本題に戻させていただきます」

 ミリーの話が生徒達に向かったので、終わったと安心していたユーフェミアが顔を引き攣らせた。

「ミッドランド侯爵令嬢。この国で『真実の愛』が持て囃されるようになったキッカケはご存知ですか?」

「知ってるに決まってるじゃない! 我がミッドランド侯爵家の令嬢が政略より崇高なる愛を選んだのよ! そんな事、この国の者なら誰でも知っているわ」

 そんなことも知らないのかとユーフェミアは鼻で笑った。

「その通りですね。ところで、その時愛を選んだ令嬢が捨てた『政略のお相手』はどなたでした?」

「え?」

「政略で決まったお相手はどなただったのか、ミッドランド侯爵家の方がご存知ないのですか? それはあまりにもお相手に対して失礼だと思いませんか?
婚約と言う契約を正当な手続きもせずに破棄した結果、誰が被害を受けたのか何が起きたのかもご存知ない? それは随分と無責任な家門でいらっしゃいますね。
どなたかご存知の方はおられますか?」

「そう言えば、ミッドランド侯爵家だったとしか知らないわ」

「侯爵家のお相手なら高位貴族だよな」

「それってマズいんじゃないの?」


「私の行動で帝国との間に不和が生まれたらどう責任を取るのかと仰られましたが、覚えておられますか? 昨日の話ですけど。
因みに、今の帝国とモラヴィアス王国の関係は? この国で最も厳しいラグズラット女子修道院を優秀な成績で卒業されたのですからご存じですよね?」

「そ、それは⋯⋯これから勉強しようと思ってるから」

 国同士の繋がりがあれば社交界で話がでる事もあるが、帝国について聞いた事がないとユーフェミアは初めて気が付いた。

(大変だわ! テオドール様の国の事を調べておかなくちゃ。何も知らないなんて可哀想じゃない。
でも、モラヴィアス王国の社交界で話にも出ない国だなんて、案外ショボい国なのかも。それは嫌! せめて今と同じ暮らしが出来ないなら今回のお話はお断りだってはっきり言うしかないわね。
クリストフ様との婚約を破棄しておかなくて良かったのかも)


「今までに帝国との間に不和が起きるような事件はなかったのですか? 仮に何か問題が起きていたなら、問題を起こした方やその家は帝国に対してきちんと責任をとったのでしょうか?」

「問題なんて起きてないはずよ。じゃなきゃテオドール様が来るはずないもの」

「それは本当ですか? あり得ない気がしますけど」

「いいわ、教えてあげる。テオドール様、ここまできたんですもの。もうお話ししても構いませんでしょう?
テオドール様はわたくしの評判をお聞きになられて会いに来られたの。臨時講師のお話は単なる出会いの場なのよ。
お父様やお母様も社交界の方々も仰っておられたわ。ミッドランド侯爵家にまた『真実の愛』が生まれたって。
勿論わたくしだってこれほどまでに望んで下さったのだから、今と同じかそれ以上の暮らしを約束してくれるなら、帝国へ嫁いであげても良いと思っているわ。
第三皇子なのは残念だけど、わたくしの魅力で皇太子に押し上げて差し上げれば良いんだもの」

(マジかあ、予想を超える妄想だな。帝国が縁を結ぶとしても、ミッドランド侯爵家だけはないと思うんだけどなぁ。いや、妄想にしては筋が通ってる部分があるような。
もしかしてマジでユーフェミアを迎えにきた? 趣味は悪いが⋯⋯お似合いかも。
ここまでユーフェミアが話しててもクソ皇子が何も言わないとこを見ると⋯⋯おおおお~、いやっほう)

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