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第八章 いざ、決戦!
22.この世界にも作ろうじゃないか『接近禁止命令』
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首を傾げたギルバートと、ユーフェミアの話の途中で腰を上げかけたまま固まっているテオドール。
満面の笑みを浮かべたユーフェミアは嬉しそうに(硬直したままの)テオドールに向かって両手を小さく振っていた。
「それはおめでとうございます! 1日も早いご婚約の成立とお輿入れをお祈りいたしております」
「コ、コンプトン!」
「現在のご婚約者の方はトールス侯爵家令息のクリストフ様だったでしょうか? もしかして、ミッドランド侯爵家の伝統芸である『婚約破棄の前に逃避行』を予定しておられましたか? それでしたら益々お急ぎになられませんと。ここにおられる方の中にはトールス家と縁戚の方もおられますから『秘密の逃避行』にならなくなりますものね」
「コンプトン、待ってくれ!」
「会場の皆様はこのおめでたいお話の証人と言えるのでしょうが⋯⋯ミッドランド侯爵家はトールス侯爵家との婚約中に、帝国のテオドール第三皇子殿下との『真実の愛』を見つけておられて、すでに皇太子位の簒奪まで計画しておられるとバレてしまいますもの」
「お願いだから話を聞いてくれぇぇぇ!」
「2階席には議会の議長や副議長もおられるそうなので、すぐに話が纏まりそうですのに!」
(いや~、これでクソ皇子に邪魔されずに済むじゃん。誰だよ途中で話の邪魔をしようとした奴は! 帰ったらこの件もお祝いに入れちゃおう。ああ、こんな時はタップダンスだよね。やり方は知らんけど)
「コンプトン、私の話を聞いてくれ!」
「⋯⋯クソ皇⋯⋯皇子殿下、おめでとうございます。心よりお祝いを申し上げ⋯⋯」
「だから、違うんだ! 私はユーフェミア様との婚約など望んでいない。ちょっとした行き違いというか、ミッドランド侯爵家が勘違いをしているだけで」
テオドールの説明は彼女に浮気がバレた男のようにしか聞こえない。
「三角関係?」
「ユーフェミア様とコンプトンを天秤にかけてたのかしら」
「テオドール皇子殿下、誤解を招くような発言はお控えください。殿下が誰と縁を結ぼうが私には一切関係ございません。
殿下と私の間には友情も信頼もありませんのに、それ以外の感情が芽生えるはずがありません。あるとしたら嫌悪感に近い不快感とでも申しましょうか。このままこの国に滞在されるのであれば『接近禁止命令』を出していただきたいと思っているくらいです」
テオドールの言動で散々な目に遭ったミリーは、二度と関わりたくない。
「説明をさせてもらえないのか」
「今必要です? 殿下とミッドランド侯爵家の間に行き違いがあるのなら、場を設けて話し合いをされればよろしいかと存じます。私を含め会場におられる方には関係ございませんので」
「しかし、トールス侯爵家には関係がある。いや、関係はない? とにかく、ここで話を聞いてもらいたい。このまま解散されては困るからな」
「はぁ、ギルバート王子殿下、どうなさいますか?」
「え、俺に聞くの?」
完全にお客様状態だったギルバートが素っ頓狂な声を上げて自分を指差した。
「この会場内では殿下の地位が一番高いので」
「えーっと、じゃあ簡単に説明してもらおうかな」
「ギルバート王子殿下、ありがとう。今回の留学は私が願い出て決まった事なんだ。帝国とモラヴィアス王国は国交が断絶しているので皇帝陛下の許可はなかなか⋯⋯いや、それは関係ないので割愛しよう。
数年前からこの国に小さくない変化が起きているだろう? 私はその理由を知りたくて留学してきたんだ。
ただ、それを公にすれば警戒されると思い言葉を濁したんだが、それを誤解した者が勝手な行動をとっていたらしい」
「えーっと、つまりミッドランド侯爵令嬢との婚約は⋯⋯」
「あるわけがないだろう! 帝国を軽んじて謝罪さえ行わず愚弄した者を許すほど帝国のプライドは低くない⋯⋯モラヴィアス王国の使者は形ばかりの謝罪の言葉と共に『愛に勝るものなどない』『運命には逆らえない』と言ったそうだ。
この国とミッドランド侯爵家を許す? 我が国にはその理由がないのでね」
「⋯⋯そ、そうよね。今はそう。わたくしが婚約破棄をしてから正式な発表をってお話だったわ。わたくしが少し先走って⋯⋯」
「だから、違うんだ! 私が気になった変化とは蕎麦と肥料開発なんだ! 蕎麦の危険性を知っていたのが誰なのか、貝を肥料にと発案したのが誰なのか、どこからその知識を得たのか!
この国で知識人と言われている貴族を調べさせた時、ミッドランド侯爵家も含まれていた。ただそれだけなんだ」
(⋯⋯マジか。ミリーちゃん、もの凄~くヤバかったのね~。まだバレてないけど、帝国が本気になるまでになんとかしなきゃ。冗談じゃないっつうの)
「蕎麦と肥料⋯⋯確かに兄上がそんな話をしてたような気がする」
(その程度かい! 王家、ボケてんな)
国交のない国の情報まで集めている帝国と、国内の情報さえ理解できていないモラヴィアス。調査の為なら単独で乗り込む皇子と、なんとなく聞いたことがあるだけでスルーしている王子。
国力の違いはこんなところにも如実に現れている。
「では、それ以上の話は時間と場所を改めて個別で話し合ってもらうって事でいいかな?」
よく分からない話に巻き込まれたくないギルバートが話を終わらせた。
不満そうなミッドランド侯爵達だったが、ギルバートの決定に不満を述べる勇気はなく、ユーフェミアだけが何故か満面の笑みだった。
(あの話でどうやったらポジティブになれるのか、解せぬ)
「さて最も大切な話に移らせていただきます」
メイナードへお願いしたのは『最も大切な話』と言う言葉を聞いたら侯爵達を拘束する事。
(ミッドランド侯爵をガッツリ抑えておけるのは、メイナードだけだと思うんだよね~。絶対の絶対に暴れるから、命懸けで暴れまくるの確定だもん。頑張れゾウさん、頼んだぞ!)
「ミッドランド侯爵令嬢はご成婚の暁には、やはりご家族揃って顔合わせをされるのでしょうか?」
「ふふっ、もちろんだわ。コンプトンは知らないみたいだけど、わたくしの家族はとて~も仲が良くて有名なの」
何も知らされていないギルバートが不安そうな顔でミリーを見つめている。ミッドランド侯爵家の仲の良さは社交界で有名だから、この話になんの意味があるのか分からない。
「妹様も?」
「あ、あの子は連れていけないわ。だって病弱で家から出せないの」
ミッドランド侯爵が何やら騒ぎ始めたが、メイナードがしっかりと押さえ込んでいるよう。モゴモゴと曇った声が聞こえるが、ユーフェミアとの会話の邪魔になるほどではない。
「そうでした。病弱で誰も一度も会った事がないんでした。どのようなご病気なのですか? お名前は?」
満面の笑みを浮かべたユーフェミアは嬉しそうに(硬直したままの)テオドールに向かって両手を小さく振っていた。
「それはおめでとうございます! 1日も早いご婚約の成立とお輿入れをお祈りいたしております」
「コ、コンプトン!」
「現在のご婚約者の方はトールス侯爵家令息のクリストフ様だったでしょうか? もしかして、ミッドランド侯爵家の伝統芸である『婚約破棄の前に逃避行』を予定しておられましたか? それでしたら益々お急ぎになられませんと。ここにおられる方の中にはトールス家と縁戚の方もおられますから『秘密の逃避行』にならなくなりますものね」
「コンプトン、待ってくれ!」
「会場の皆様はこのおめでたいお話の証人と言えるのでしょうが⋯⋯ミッドランド侯爵家はトールス侯爵家との婚約中に、帝国のテオドール第三皇子殿下との『真実の愛』を見つけておられて、すでに皇太子位の簒奪まで計画しておられるとバレてしまいますもの」
「お願いだから話を聞いてくれぇぇぇ!」
「2階席には議会の議長や副議長もおられるそうなので、すぐに話が纏まりそうですのに!」
(いや~、これでクソ皇子に邪魔されずに済むじゃん。誰だよ途中で話の邪魔をしようとした奴は! 帰ったらこの件もお祝いに入れちゃおう。ああ、こんな時はタップダンスだよね。やり方は知らんけど)
「コンプトン、私の話を聞いてくれ!」
「⋯⋯クソ皇⋯⋯皇子殿下、おめでとうございます。心よりお祝いを申し上げ⋯⋯」
「だから、違うんだ! 私はユーフェミア様との婚約など望んでいない。ちょっとした行き違いというか、ミッドランド侯爵家が勘違いをしているだけで」
テオドールの説明は彼女に浮気がバレた男のようにしか聞こえない。
「三角関係?」
「ユーフェミア様とコンプトンを天秤にかけてたのかしら」
「テオドール皇子殿下、誤解を招くような発言はお控えください。殿下が誰と縁を結ぼうが私には一切関係ございません。
殿下と私の間には友情も信頼もありませんのに、それ以外の感情が芽生えるはずがありません。あるとしたら嫌悪感に近い不快感とでも申しましょうか。このままこの国に滞在されるのであれば『接近禁止命令』を出していただきたいと思っているくらいです」
テオドールの言動で散々な目に遭ったミリーは、二度と関わりたくない。
「説明をさせてもらえないのか」
「今必要です? 殿下とミッドランド侯爵家の間に行き違いがあるのなら、場を設けて話し合いをされればよろしいかと存じます。私を含め会場におられる方には関係ございませんので」
「しかし、トールス侯爵家には関係がある。いや、関係はない? とにかく、ここで話を聞いてもらいたい。このまま解散されては困るからな」
「はぁ、ギルバート王子殿下、どうなさいますか?」
「え、俺に聞くの?」
完全にお客様状態だったギルバートが素っ頓狂な声を上げて自分を指差した。
「この会場内では殿下の地位が一番高いので」
「えーっと、じゃあ簡単に説明してもらおうかな」
「ギルバート王子殿下、ありがとう。今回の留学は私が願い出て決まった事なんだ。帝国とモラヴィアス王国は国交が断絶しているので皇帝陛下の許可はなかなか⋯⋯いや、それは関係ないので割愛しよう。
数年前からこの国に小さくない変化が起きているだろう? 私はその理由を知りたくて留学してきたんだ。
ただ、それを公にすれば警戒されると思い言葉を濁したんだが、それを誤解した者が勝手な行動をとっていたらしい」
「えーっと、つまりミッドランド侯爵令嬢との婚約は⋯⋯」
「あるわけがないだろう! 帝国を軽んじて謝罪さえ行わず愚弄した者を許すほど帝国のプライドは低くない⋯⋯モラヴィアス王国の使者は形ばかりの謝罪の言葉と共に『愛に勝るものなどない』『運命には逆らえない』と言ったそうだ。
この国とミッドランド侯爵家を許す? 我が国にはその理由がないのでね」
「⋯⋯そ、そうよね。今はそう。わたくしが婚約破棄をしてから正式な発表をってお話だったわ。わたくしが少し先走って⋯⋯」
「だから、違うんだ! 私が気になった変化とは蕎麦と肥料開発なんだ! 蕎麦の危険性を知っていたのが誰なのか、貝を肥料にと発案したのが誰なのか、どこからその知識を得たのか!
この国で知識人と言われている貴族を調べさせた時、ミッドランド侯爵家も含まれていた。ただそれだけなんだ」
(⋯⋯マジか。ミリーちゃん、もの凄~くヤバかったのね~。まだバレてないけど、帝国が本気になるまでになんとかしなきゃ。冗談じゃないっつうの)
「蕎麦と肥料⋯⋯確かに兄上がそんな話をしてたような気がする」
(その程度かい! 王家、ボケてんな)
国交のない国の情報まで集めている帝国と、国内の情報さえ理解できていないモラヴィアス。調査の為なら単独で乗り込む皇子と、なんとなく聞いたことがあるだけでスルーしている王子。
国力の違いはこんなところにも如実に現れている。
「では、それ以上の話は時間と場所を改めて個別で話し合ってもらうって事でいいかな?」
よく分からない話に巻き込まれたくないギルバートが話を終わらせた。
不満そうなミッドランド侯爵達だったが、ギルバートの決定に不満を述べる勇気はなく、ユーフェミアだけが何故か満面の笑みだった。
(あの話でどうやったらポジティブになれるのか、解せぬ)
「さて最も大切な話に移らせていただきます」
メイナードへお願いしたのは『最も大切な話』と言う言葉を聞いたら侯爵達を拘束する事。
(ミッドランド侯爵をガッツリ抑えておけるのは、メイナードだけだと思うんだよね~。絶対の絶対に暴れるから、命懸けで暴れまくるの確定だもん。頑張れゾウさん、頼んだぞ!)
「ミッドランド侯爵令嬢はご成婚の暁には、やはりご家族揃って顔合わせをされるのでしょうか?」
「ふふっ、もちろんだわ。コンプトンは知らないみたいだけど、わたくしの家族はとて~も仲が良くて有名なの」
何も知らされていないギルバートが不安そうな顔でミリーを見つめている。ミッドランド侯爵家の仲の良さは社交界で有名だから、この話になんの意味があるのか分からない。
「妹様も?」
「あ、あの子は連れていけないわ。だって病弱で家から出せないの」
ミッドランド侯爵が何やら騒ぎ始めたが、メイナードがしっかりと押さえ込んでいるよう。モゴモゴと曇った声が聞こえるが、ユーフェミアとの会話の邪魔になるほどではない。
「そうでした。病弱で誰も一度も会った事がないんでした。どのようなご病気なのですか? お名前は?」
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