54 / 92
アカデミー、後期
18.会議室
しおりを挟む
ミリアはシーモア先生に連れられ、会議室に入って行った。そこには学長以下30名近い先生達が席についていた。
「ミリア・オルグレンを連行しました」
「まるで犯罪者のような言い方ですね」
シーモア先生の言葉に、学長が眉を顰める。
「アカデミーで不正行為を行った奴は、犯罪者と一緒でしょう。特に、私の授業で不正を行うなど許し難い行為です」
と、ワドル先生の声。
「では、オルグレンさん。こちらへ」
学長が手招きした。一つぽつんと置いてある席に座らされる。
「予想はついているのかもしれませんが、ダンジョン攻略試験の事について、いくつか質問があります」
「はい」
「オルグレンさんの魔物の討伐数が問題になっています。それについて何か言う事は?」
「特にありません」
「不正をしたんでしょ?」デイビス先生の声。
「不正はしていません」
「巫山戯るな、あんな討伐数あり得ん」ランバート先生。
「落ち着いて下さい」
「オルグレンさん、試験中に何か変わった事はありましたか?」
「出てきた魔物を倒しただけです」
「どうやって?」
「魔法で」
ミリアは学長を見た。
【鑑定】 状態異常 無
「記録石の内容を精査しても?」
「はい、構いません」
ドアにノックの音が響いた。入り口近くの先生がドアを開けて確認し、
「ライリー殿下がいらしてます。どうしますか? オルグレンの弁護をしたいとか」
チラリとミリアを見た学長は、
「取り敢えず入ってもらいましょう」
ライリー殿下が、グレースと腕を組み会議室に入ってきた。
「大切な会議中お邪魔します。今日は、クラスメートの問題を話し合っていると聞いたので。参加させて頂けますか?」
「隣の方は、別のクラスですね」
「一応同じオルグレンですから、きちんと責任を取るのを見届けさせてください。宰相である父からも、申しつかっておりますの」
「困りましたね、生徒が参加するべきではありません。お引き取りを願います」
「王子権限でも?」
「そこまで仰いますか?」
「はい」
悩んでいた学長だが、
「少しオルグレンさんと2人だけで話して見ましょう。オルグレンさん、こちらへ」
ミリアは、隣の部屋に案内された。
「さて、何が起こっているのかミリアは知っているのかしら?」
ミリアは少し考えた後、
「二つ教えていただいて良いでしょうか?」
「幾つでも聞いてちょうだい」
「何度か学長に面談を申込みましたが、お忙しいそうですね」
「いつ? 全く聞いてませんよ。誰が言ったの? どんなに忙しくても、生徒からの面談希望を断った事はありません」
「毎回断られました。学長は魔法を弾く魔道具をつけておられますか?」
「着けているわ。アカデミーで、とんでもないことが起こっているようね」
「ミリア・オルグレンを連行しました」
「まるで犯罪者のような言い方ですね」
シーモア先生の言葉に、学長が眉を顰める。
「アカデミーで不正行為を行った奴は、犯罪者と一緒でしょう。特に、私の授業で不正を行うなど許し難い行為です」
と、ワドル先生の声。
「では、オルグレンさん。こちらへ」
学長が手招きした。一つぽつんと置いてある席に座らされる。
「予想はついているのかもしれませんが、ダンジョン攻略試験の事について、いくつか質問があります」
「はい」
「オルグレンさんの魔物の討伐数が問題になっています。それについて何か言う事は?」
「特にありません」
「不正をしたんでしょ?」デイビス先生の声。
「不正はしていません」
「巫山戯るな、あんな討伐数あり得ん」ランバート先生。
「落ち着いて下さい」
「オルグレンさん、試験中に何か変わった事はありましたか?」
「出てきた魔物を倒しただけです」
「どうやって?」
「魔法で」
ミリアは学長を見た。
【鑑定】 状態異常 無
「記録石の内容を精査しても?」
「はい、構いません」
ドアにノックの音が響いた。入り口近くの先生がドアを開けて確認し、
「ライリー殿下がいらしてます。どうしますか? オルグレンの弁護をしたいとか」
チラリとミリアを見た学長は、
「取り敢えず入ってもらいましょう」
ライリー殿下が、グレースと腕を組み会議室に入ってきた。
「大切な会議中お邪魔します。今日は、クラスメートの問題を話し合っていると聞いたので。参加させて頂けますか?」
「隣の方は、別のクラスですね」
「一応同じオルグレンですから、きちんと責任を取るのを見届けさせてください。宰相である父からも、申しつかっておりますの」
「困りましたね、生徒が参加するべきではありません。お引き取りを願います」
「王子権限でも?」
「そこまで仰いますか?」
「はい」
悩んでいた学長だが、
「少しオルグレンさんと2人だけで話して見ましょう。オルグレンさん、こちらへ」
ミリアは、隣の部屋に案内された。
「さて、何が起こっているのかミリアは知っているのかしら?」
ミリアは少し考えた後、
「二つ教えていただいて良いでしょうか?」
「幾つでも聞いてちょうだい」
「何度か学長に面談を申込みましたが、お忙しいそうですね」
「いつ? 全く聞いてませんよ。誰が言ったの? どんなに忙しくても、生徒からの面談希望を断った事はありません」
「毎回断られました。学長は魔法を弾く魔道具をつけておられますか?」
「着けているわ。アカデミーで、とんでもないことが起こっているようね」
30
あなたにおすすめの小説
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』
ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。
全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。
「私と、パーティを組んでくれませんか?」
これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!
詠唱? それ、気合を入れるためのおまじないですよね? ~勘違い貴族の規格外魔法譚~
Gaku
ファンタジー
「次の人生は、自由に走り回れる丈夫な体が欲しい」
病室で短い生涯を終えた僕、ガクの切実な願いは、神様のちょっとした(?)サービスで、とんでもなく盛大な形で叶えられた。
気がつけば、そこは剣と魔法が息づく異世界。貴族の三男として、念願の健康な体と、ついでに規格外の魔力を手に入れていた!
これでようやく、平和で自堕落なスローライフが送れる――はずだった。
だが、僕には一つ、致命的な欠点があった。それは、この世界の魔法に関する常識が、綺麗さっぱりゼロだったこと。
皆が必死に唱える「詠唱」を、僕は「気合を入れるためのおまじない」だと勘違い。僕の魔法理論は、いつだって「体内のエネルギーを、ぐわーっと集めて、どーん!」。
その結果、
うっかり放った火の玉で、屋敷の壁に風穴を開けてしまう。
慌てて土魔法で修復すれば、なぜか元の壁より遥かに豪華絢爛な『匠の壁』が爆誕し、屋敷の新たな観光名所に。
「友達が欲しいな」と軽い気持ちで召喚魔法を使えば、天変地異の末に伝説の魔獣フェンリル(ただし、手のひらサイズの超絶可愛い子犬)を呼び出してしまう始末。
僕はただ、健康な体でのんびり暮らしたいだけなのに!
行く先々で無自覚に「やりすぎ」てしまい、気づけば周囲からは「無詠唱の暴君」「歩く災害」など、実に不名誉なあだ名で呼ばれるようになっていた……。
そんな僕が、ついに魔法学園へ入学!
当然のように入学試験では的を“消滅”させて試験官を絶句させ、「関わってはいけないヤバい奴」として輝かしい孤立生活をスタート!
しかし、そんな規格外な僕に興味を持つ、二人の変わり者が現れた。
魔法の真理を探求する理論オタクの「レオ」と、強者との戦いを求める猪突猛進な武闘派女子の「アンナ」。
この二人との出会いが、モノクロだった僕の世界を、一気に鮮やかな色に変えていく――!
勘違いと無自覚チートで、知らず知らずのうちに世界を震撼させる!
腹筋崩壊のドタバタコメディを軸に、個性的な仲間たちとの友情、そして、世界の謎に迫る大冒険が、今、始まる!
転生貴族の移動領地~家族から見捨てられた三子の俺、万能な【スライド】スキルで最強領地とともに旅をする~
名無し
ファンタジー
とある男爵の三子として転生した主人公スラン。美しい海辺の辺境で暮らしていたが、海賊やモンスターを寄せ付けなかった頼りの父が倒れ、意識不明に陥ってしまう。兄姉もまた、スランの得たスキル【スライド】が外れと見るや、彼を見捨ててライバル貴族に寝返る。だが、そこから【スライド】スキルの真価を知ったスランの逆襲が始まるのであった。
神眼の鑑定師~女勇者に追放されてからの成り上がり~大地の精霊に気に入られてアイテム作りで無双します
すもも太郎
ファンタジー
伝説級勇者パーティーを首になったニースは、ギルドからも放逐されて傷心の旅に出る。
その途中で大地の精霊と運命の邂逅を果たし、精霊に認められて加護を得る。
出会った友人たちと共に成り上がり、いつの日にか国家の運命を変えるほどの傑物となって行く。
そんなニースの大活躍を知った元のパーティーが追いかけてくるが、彼らはみじめに落ちぶれて行きあっという間に立場が逆転してしまう。
大精霊の力を得た鑑定師の神眼で、透視してモンスター軍団や敵国を翻弄したり、創り出した究極のアイテムで一般兵が超人化したりします。
今にも踏み潰されそうな弱小国が超大国に打ち勝っていくサクセスストーリーです。
※ハッピーエンドです
さんざん馬鹿にされてきた最弱精霊使いですが、剣一本で魔物を倒し続けたらパートナーが最強の『大精霊』に進化したので逆襲を始めます。
ヒツキノドカ
ファンタジー
誰もがパートナーの精霊を持つウィスティリア王国。
そこでは精霊によって人生が決まり、また身分の高いものほど強い精霊を宿すといわれている。
しかし第二王子シグは最弱の精霊を宿して生まれたために王家を追放されてしまう。
身分を剥奪されたシグは冒険者になり、剣一本で魔物を倒して生計を立てるようになる。しかしそこでも精霊の弱さから見下された。ひどい時は他の冒険者に襲われこともあった。
そんな生活がしばらく続いたある日――今までの苦労が報われ精霊が進化。
姿は美しい白髪の少女に。
伝説の大精霊となり、『天候にまつわる全属性使用可』という規格外の能力を得たクゥは、「今まで育ててくれた恩返しがしたい!」と懐きまくってくる。
最強の相棒を手に入れたシグは、今まで自分を見下してきた人間たちを見返すことを決意するのだった。
ーーーーーー
ーーー
閲覧、お気に入り登録、感想等いつもありがとうございます。とても励みになります!
※2020.6.8お陰様でHOTランキングに載ることができました。ご愛読感謝!
【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】
最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。
戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。
目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。
ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!
彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!!
※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中
追放された無能鑑定士、実は世界最強の万物解析スキル持ち。パーティーと国が泣きついてももう遅い。辺境で美少女とスローライフ(?)を送る
夏見ナイ
ファンタジー
貴族の三男に転生したカイトは、【鑑定】スキルしか持てず家からも勇者パーティーからも無能扱いされ、ついには追放されてしまう。全てを失い辺境に流れ着いた彼だが、そこで自身のスキルが万物の情報を読み解く最強スキル【万物解析】だと覚醒する! 隠された才能を見抜いて助けた美少女エルフや獣人と共に、カイトは辺境の村を豊かにし、古代遺跡の謎を解き明かし、強力な魔物を従え、着実に力をつけていく。一方、カイトを切り捨てた元パーティーと王国は凋落の一途を辿り、彼の築いた豊かさに気づくが……もう遅い! 不遇から成り上がる、痛快な逆転劇と辺境スローライフ(?)が今、始まる!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる