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SSランク登用試験

最終話

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「だからぁ、なっ? 頼む」

 手を合わせ、アメリアを拝み倒すバリー。

「ごめんなさい。私にはちょっと無理かなって」

「ほんのちょっとで良いんだ、なっ? おいノア、お前からも頼んでくれよ。友達だろ?」

「諦めろ、往生際の悪い奴だな」

「でもよぉ、知りたいじゃん? 出来るようになりたいじゃん? なぁ、どうやって覚えたんだ?」
「それを聞いても、真似はできないと思います」

「やる、何でもやる! だから、なっ?」

 余りにもしつこいバリーに、
「ノアさん、どうしよう」

 ノアが意地悪そうな顔で、
「バリー? 本気でアメリアの真似したいんだ?」
「ああ、覚えるのはそれが一番早いだろ? 詠唱破棄覚えたら、戦いがすっごい楽になる」

 バリーは登用試験の翌日から、アメリアの所に日参し、詠唱破棄の方法を教えろとせっついていた。

 アメリアが渋々立ち上がった。

「ノアさんかライリー様、手伝ってもらえますか? 私では力が足りないと思うんです」

「ライリー、お前が手伝ってやれ。俺だとこいつバリーを殺しかねん」
 ノアがニヤついている。

「「?」」
 バリーとライリーが、キョトンとしている中、
「ライリー様、そこの箒を持ってきてください。で、バリーさんを跡が残る位、思いっきり叩いてくださいね。
バリーさんは次の攻撃が来るまでに、ヒールで跡を消してください。はい、はじめ」

「えっ、ちょっちょっと待って。なにそれ」
 バリーが慌てている。

「ヒール使えませんか?」
「いや、使えるよ。でもそのやり方って、おかしくない?」
「このやり方しか知らないんで。だから教えられないって」

「・・そうやって覚えたって事?」
「はい。あの頃魔法使いたくても、忙しくて詠唱してる暇がなくて」

 アメリアは、遠い目をしている。

「アメリアちゃんって、元女侯爵だったよね」
「後継者だったらしいですけど、全然知らなかったんで」


 アメリアはノアやエラ達と一緒に、ギルド本部の近くに間借りしている。

 各国や教会からの要請は、ギルド本部長経由。直接連絡は許されていない。

 学長はアカデミーに復職した。アメリアとライリーは、次の学期から復学する為にと、学長から送られてくる膨大な課題に、四苦八苦している。

 エラはギルドを退職し、アメリアとノアの秘書になった。アメリアがアカデミーに通う間は、学長の補佐を行い経営などの勉強をする予定。

 今日もヴィルとギーは、アメリアの側でのんびり昼寝中。

「ぎゃあ、待って。ライリー君、もっとゆっくり。ヒール間に合わないって。痛っ、マジもっとそっとしてくれー」

 あの日から、バリーの叫び声が響き渡っている。詠唱破棄を覚えるのは、当分先のようだ。

 バリーが根を上げる前に、最近はライリーがもうやだ! と、バリーから逃げ回りはじめた。


「次はノアさんが、SSランクになる番ですよ?」
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みんなの感想(4件)

mokomoon
2022.10.14 mokomoon

素敵なお話読めて良かった(*´・ω-)b
ありがとうございましたm(_ _)m

との
2022.10.15 との

ありがとうございます。
そう言っていただけるととても嬉しいです😊😊

解除
菊ぞぉ
2022.05.15 菊ぞぉ

続きが読みたい作品です。
ノアさんのSS昇格とか、学校生活とか。
まだまだ、長い人生。
主人公がどんな活躍、伝説を作って行くのか、ワクワクします。
『チビすけ』脱却、素敵な大人の女性に成長するのか?、作者様の脳内世界を読ませていただけたら幸いです。

との
2022.05.15 との

ありがとうございます。
すごく嬉しいです😆😆ノアさんのランクアップ頑張ります

解除
しはの
2021.08.18 しはの

楽しくて一気読みしてしまいました。
続きがあれば読みたいくらいです。
素敵な作品ありがとうございました

との
2021.08.18 との

ありがとうございます😊
楽しんで頂けて嬉しかったです

解除
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