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28.ターニャ王女の危険な有備無患
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「ライラは筋がいいぞ、そこら辺の女性騎士なんぞ足元にも及ばん。おまけにノアが陰湿な戦い方を教えているからな、私でもたまにヒヤッとすることがあるくらいだ」
「揶揄わないで下さい。と言うか、今それ関係ありませんし、陰湿って」
「ライラ、私に秘密にしてたの? 狡い」
ミリセントのジト目から目線を逸らしたライラが苦笑いしているノアに気付いた。
いつの間にか応接室に入ってきていたデレクが部屋の隅で腹を抱えて笑いを堪えていた。
(ターニャ王女、空気読んで下さい。それといつのまにか勅令とか⋯⋯時間的に絶対にありえないんですけど?)
朝一番に生徒会室から箱を回収して賊を討伐しがてら第三騎士団に行った。その後ウェイン・マーシャルの捕縛に向かうことになったのは予定外だった。
ハンター副団長がウェインの捕縛に来る前に医者や警ら隊の報告書を集め第二騎士団に連絡に行ったが、マーシャル伯爵邸の前で待ち続けた時間を合わせたとしても間に合うはずがない。
なにしろ、メイヨー公爵邸に向かうと決めたのはウェイン捕縛の後なのだから。
ライラの疑問に気付いたターニャ王女がサムズアップした。
「ライラ、こういうのを『有備無患』というんだぞ」
(そ、備えあれば憂いなしって⋯⋯うーん、ターニャ様が仰るとなんだか違う気がしてくるのは、ご本人のご気性のせいかしら)
ターニャのお陰で和らいだ時を狙ってジェラルドが走り出し、箱を暖炉に放り込もうとしたがデレクに蹴りを入れられて吹っ飛んだ。
「中身はいらないんですけど、その箱は大切な記念の品なので燃やされるのは困ります」
「は?」
証拠書類が入っていると信じていたジェラルドはライラの説明に唖然とした。
「そのままの状態で持ってくるわけないです。箱はハーヴィーからの贈り物みたいなものですから大切に扱ってもらわなくては」
ノアがポケットから出した鍵で箱を開けると、大量の白紙が出てきた。
「この通り、ハーヴィーは鍵をノアに預けていたんです。そんなことがあったなんて全然知らなくて驚きましたの」
「くそぉぉぉー!!」
ライラが屋敷に帰ってこれたのは夜も遅い時間だった。
マーシャル伯爵家はウェインが逮捕された後、ルシンダや夫人が隠していた貴金属を持って逃走しようとしていたところを逮捕された。マーシャル伯爵は王宮で仕事をしている最中に第二騎士団から召喚状が届いた時点で覚悟を決めたようで、私物などが全て処分された机はきれいに片付けられていたという。
飛び入り参加したミリセントはライラがメイヨー公爵家を訪れた時ジェラルドの部屋に来ていた。ライラが来たというのに部屋で待つように言ったジェラルドに不信を抱いたミリセントが様子を見に階下へ降りると、武装した騎士団員が何人もいて緊迫した様子になっていた。
応接室に行こうとするのを止められたミリセントが、それならと強引に隣室に入り込みライラとジェラルドの話を聞いてしまった。
調査や取り調べが終わるまで内密に進められることになった為メイヨー公爵家の醜態は当面公にならないはずだが、ターンブリー侯爵にだけは第二騎士団から報告がなされることになった。
「とんでもない一日だったわ」
サラが淹れてくれたハーブティーが緊張の連続で疲れ切った体に染み渡る気がした。
「確かに、朝の時点ではこれほど忙しい一日になるとは思いませんでした」
「朝の襲撃がなければ今日のうちにマーシャル伯爵邸に押しかけるつもりはなかったの。詳しい話を聞きたいと思っていただけだったんだけど、急転直下とは正にこの事ね」
「王宮騎士団に向かったのはそのせいだったんですか?」
「警ら隊は信用できないし、貴族相手だからいずれお願いする時のために顔つなぎをしておこうと思ったの。人柄とかも知っておきたかったし」
「貴族相手なら直接第二騎士団に話をされれば良かったのではありませんか?」
「⋯⋯ターニャ様が出てこられたら色々面倒になるかなって。結局同じことになってしまったけど」
口に出しては言えないがターニャ王女は猪突猛進と勇猛果敢を体現した脳筋だと思っている。真っ直ぐすぎる性格が良くもあり⋯⋯面倒でもある、とても魅力的な女性。
「メイヨー公爵家まで今日のうちに片付ける必要はあったのですか?」
「腹が立ちすぎたの。ほんの少しの時間でも放置しておくのが許せなくなったと言うか、我慢できなくて」
ハーヴィーへの仕打ちだけでなく大切な幼馴染だと言いながら陰口を叩いていた、大切な婚約者だと言いながら裏切っていた。
「追い詰められる自信はあったから、法廷で証言できる証人を立てることさえできれば自供だけでいけると思ったの」
「⋯⋯二度と同じ事をしないで下さい。今回、相手が手を出してこなかったのは運が良かっただけです。ひとり手にかけるたびにストッパーは緩くなるそうですから、非常に危険だったんですからね」
「わかってるわ。同じ事はもうしない。多分ね」
「ノア、お嬢様はお疲れだと思うわ」
ライラの曖昧な返事に不満そうな顔をしていたノアだったが、サラの忠告で既に真夜中を過ぎている事を思い出した。
「それではこれで失礼致します。明日はどうされますか?」
「学園には行くつもりよ。どうしても起きられなかったら休むかもだけど、明日の選択授業が幾何だからできれば出席したいの」
「畏まりました。それでは、良い夜を」
湯浴みを済ませてベッドに入ったライラは枕に頭がつくと同時に眠りについた。
「こんな夜更けになんだよ!」
夜遅くにこっそりと帰ってきたビクトールがベッドに入ろうとしているとノックの音がして子飼の使用人の声がした。
「ビクトール様にお知らせしたいことがございまして」
小さくドアを開けて入ってきた使用人はニヤニヤといやらしい笑みを浮かべていた。
ビクトールは屋敷の使用人の何人かに小遣いをやって耳寄りな情報を集めさせている。
「明日じゃダメなのか?」
「恐らく、ビクトール様が直ぐにでもお知りになられたいかと思いまして」
「⋯⋯入れ、くだらん事だったらタダじゃおかないからな」
「ハーヴィー様ですが、ジェラルド・メイヨー公爵令息の手にかかって亡くなられたそうでございます」
「なんだって!?」
「既に逮捕されていますが調査が終わるまでは公にしないとか」
「ふーん、別に俺には関係ないしな」
「左様でございますか?」
「ん?」
「旦那様も奥様も大変気落ちしておられますし、メイヨー公爵家への怒りで周りが見えなくなっているほどでございます」
「⋯⋯ふーん」
「先程も、執務室のドアが開いたままになっておりまして」
「⋯⋯」
「今はお二方とも寝室で話し込んでおられます」
「よくやった! ほら」
普段の小遣いより多めの情報料を貰った使用人はいそいそと部屋を出て行った。
「へっへ! 俺様の時代がやってくるぜ!!」
「揶揄わないで下さい。と言うか、今それ関係ありませんし、陰湿って」
「ライラ、私に秘密にしてたの? 狡い」
ミリセントのジト目から目線を逸らしたライラが苦笑いしているノアに気付いた。
いつの間にか応接室に入ってきていたデレクが部屋の隅で腹を抱えて笑いを堪えていた。
(ターニャ王女、空気読んで下さい。それといつのまにか勅令とか⋯⋯時間的に絶対にありえないんですけど?)
朝一番に生徒会室から箱を回収して賊を討伐しがてら第三騎士団に行った。その後ウェイン・マーシャルの捕縛に向かうことになったのは予定外だった。
ハンター副団長がウェインの捕縛に来る前に医者や警ら隊の報告書を集め第二騎士団に連絡に行ったが、マーシャル伯爵邸の前で待ち続けた時間を合わせたとしても間に合うはずがない。
なにしろ、メイヨー公爵邸に向かうと決めたのはウェイン捕縛の後なのだから。
ライラの疑問に気付いたターニャ王女がサムズアップした。
「ライラ、こういうのを『有備無患』というんだぞ」
(そ、備えあれば憂いなしって⋯⋯うーん、ターニャ様が仰るとなんだか違う気がしてくるのは、ご本人のご気性のせいかしら)
ターニャのお陰で和らいだ時を狙ってジェラルドが走り出し、箱を暖炉に放り込もうとしたがデレクに蹴りを入れられて吹っ飛んだ。
「中身はいらないんですけど、その箱は大切な記念の品なので燃やされるのは困ります」
「は?」
証拠書類が入っていると信じていたジェラルドはライラの説明に唖然とした。
「そのままの状態で持ってくるわけないです。箱はハーヴィーからの贈り物みたいなものですから大切に扱ってもらわなくては」
ノアがポケットから出した鍵で箱を開けると、大量の白紙が出てきた。
「この通り、ハーヴィーは鍵をノアに預けていたんです。そんなことがあったなんて全然知らなくて驚きましたの」
「くそぉぉぉー!!」
ライラが屋敷に帰ってこれたのは夜も遅い時間だった。
マーシャル伯爵家はウェインが逮捕された後、ルシンダや夫人が隠していた貴金属を持って逃走しようとしていたところを逮捕された。マーシャル伯爵は王宮で仕事をしている最中に第二騎士団から召喚状が届いた時点で覚悟を決めたようで、私物などが全て処分された机はきれいに片付けられていたという。
飛び入り参加したミリセントはライラがメイヨー公爵家を訪れた時ジェラルドの部屋に来ていた。ライラが来たというのに部屋で待つように言ったジェラルドに不信を抱いたミリセントが様子を見に階下へ降りると、武装した騎士団員が何人もいて緊迫した様子になっていた。
応接室に行こうとするのを止められたミリセントが、それならと強引に隣室に入り込みライラとジェラルドの話を聞いてしまった。
調査や取り調べが終わるまで内密に進められることになった為メイヨー公爵家の醜態は当面公にならないはずだが、ターンブリー侯爵にだけは第二騎士団から報告がなされることになった。
「とんでもない一日だったわ」
サラが淹れてくれたハーブティーが緊張の連続で疲れ切った体に染み渡る気がした。
「確かに、朝の時点ではこれほど忙しい一日になるとは思いませんでした」
「朝の襲撃がなければ今日のうちにマーシャル伯爵邸に押しかけるつもりはなかったの。詳しい話を聞きたいと思っていただけだったんだけど、急転直下とは正にこの事ね」
「王宮騎士団に向かったのはそのせいだったんですか?」
「警ら隊は信用できないし、貴族相手だからいずれお願いする時のために顔つなぎをしておこうと思ったの。人柄とかも知っておきたかったし」
「貴族相手なら直接第二騎士団に話をされれば良かったのではありませんか?」
「⋯⋯ターニャ様が出てこられたら色々面倒になるかなって。結局同じことになってしまったけど」
口に出しては言えないがターニャ王女は猪突猛進と勇猛果敢を体現した脳筋だと思っている。真っ直ぐすぎる性格が良くもあり⋯⋯面倒でもある、とても魅力的な女性。
「メイヨー公爵家まで今日のうちに片付ける必要はあったのですか?」
「腹が立ちすぎたの。ほんの少しの時間でも放置しておくのが許せなくなったと言うか、我慢できなくて」
ハーヴィーへの仕打ちだけでなく大切な幼馴染だと言いながら陰口を叩いていた、大切な婚約者だと言いながら裏切っていた。
「追い詰められる自信はあったから、法廷で証言できる証人を立てることさえできれば自供だけでいけると思ったの」
「⋯⋯二度と同じ事をしないで下さい。今回、相手が手を出してこなかったのは運が良かっただけです。ひとり手にかけるたびにストッパーは緩くなるそうですから、非常に危険だったんですからね」
「わかってるわ。同じ事はもうしない。多分ね」
「ノア、お嬢様はお疲れだと思うわ」
ライラの曖昧な返事に不満そうな顔をしていたノアだったが、サラの忠告で既に真夜中を過ぎている事を思い出した。
「それではこれで失礼致します。明日はどうされますか?」
「学園には行くつもりよ。どうしても起きられなかったら休むかもだけど、明日の選択授業が幾何だからできれば出席したいの」
「畏まりました。それでは、良い夜を」
湯浴みを済ませてベッドに入ったライラは枕に頭がつくと同時に眠りについた。
「こんな夜更けになんだよ!」
夜遅くにこっそりと帰ってきたビクトールがベッドに入ろうとしているとノックの音がして子飼の使用人の声がした。
「ビクトール様にお知らせしたいことがございまして」
小さくドアを開けて入ってきた使用人はニヤニヤといやらしい笑みを浮かべていた。
ビクトールは屋敷の使用人の何人かに小遣いをやって耳寄りな情報を集めさせている。
「明日じゃダメなのか?」
「恐らく、ビクトール様が直ぐにでもお知りになられたいかと思いまして」
「⋯⋯入れ、くだらん事だったらタダじゃおかないからな」
「ハーヴィー様ですが、ジェラルド・メイヨー公爵令息の手にかかって亡くなられたそうでございます」
「なんだって!?」
「既に逮捕されていますが調査が終わるまでは公にしないとか」
「ふーん、別に俺には関係ないしな」
「左様でございますか?」
「ん?」
「旦那様も奥様も大変気落ちしておられますし、メイヨー公爵家への怒りで周りが見えなくなっているほどでございます」
「⋯⋯ふーん」
「先程も、執務室のドアが開いたままになっておりまして」
「⋯⋯」
「今はお二方とも寝室で話し込んでおられます」
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