【完結】私なりのヒロイン頑張ってみます。ヒロインが儚げって大きな勘違いですわね

との

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7.眉間に皺を寄せたシャーロット達

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 緊張で少しこわばったセアラの声が予想以上に教室内に響いたようでお喋りをしていた生徒達が一斉に黙り込んでセアラを凝視した。

「ではわたくし達もご一緒いたしますわ。わたくし達を差し置いてお昼をご一緒されたい方がおられるなんて是非お友達になりたいですわ。ねえ、みなさんもそう思いになられるでしょう?」

「ええ、是非ご一緒いたしましょう。どんな方なのかとっても楽しみですわ」

 シャーロット達の嫌味を聞いたイリスがガタンと音を立てて立ち上がった。

「今日はあの、わた「皆さん、ご機嫌よう。今年の一学年の生徒は随分元気が良くていらっしゃるのね。今までとは様子が違うから驚きましたわ」」


 意を決して話しはじめたイリスの言葉を遮りSクラスの教室に入って来たのは、美しいハニーブロンドをハーフアップにした気品溢れる令嬢を筆頭にした数人の生徒だった。

「嘘!!」
「「アリエノール王女殿下だわ!」」

 一斉に頭を下げる生徒達。優雅な仕草で生徒達に頭を上げさせたのはこの学園の二年生で学年首位をキープし続けている生徒会長のアリエノール・ベルスペクト王女殿下。眉目秀麗・温厚篤実・成績優秀と三拍子揃っていると言われているアリエノール王女は教室の中を見回しにっこりと微笑んだ。

((はぁ、素敵!))


 緊張で固まる生徒や微笑みに魅了されて呆然とする生徒達の中でいち早く立ち直ったのはシャーロットだった。
 メイヨー侯爵家令嬢として王女と何度もお茶会で会ったことのあるシャーロットは得意満面で王女に話しかけた。

「お久しぶりでございます、アリエノール王女殿下。わざわざこのようなところまでお越し頂かなくともご連絡をいただきましたらわたくしの方からお伺い致しましたのに」

 この教室の中でレトビア公爵家を除けば自分の家が一番爵位が高く王女と面識もあるシャーロットは王女がわざわざ自分を訪ねて来たと思い舞い上がっていた。


「気を遣ってくださってありがとう。ご用がある時はそうさせていただくわね。
今日はセアラ・レトビア様にご用があって参りましたの。いらっしゃるかしら」

「「「えっ!」」」

 王女の言葉に驚いたのはのはシャーロットとグレイスとセアラ。シャーロット達の高慢ちきな普段の態度に不満を抱いている生徒達がクスリと笑う声に顔を赤くしたシャーロットが『キッ!』と振り返りセアラを睨んだ。

「あの、わたくしがセアラ・レトビアでございます」

 恐る恐るセアラが返事をするとアリエノールがにっこりと微笑んでセアラの手をとった。

「これから少しお時間をいただけるかしら? 生徒会のことで少しばかりお願いがあるの。詳しくは食堂で話しましょう」

「生徒会?」
「じゃあセアラ様が選ばれたのね」
「やっぱりな」

 聞こえてきた小声に益々不機嫌になったシャーロットはこわばった笑みを浮かべアリエノールの方に近づいて行った。

「あの、アリエノール様! わたくしもご一緒して宜しいでしょうか? あの、えっと、セアラ様とはいつもお昼をご一緒している仲でございますし、生徒会のことなら尚更⋯⋯お兄様から生徒会の活動について聞いておりますから色々お手伝いできると存じます」

 シャーロットの兄は在学中に生徒会の書記を務めておりシャーロットもいずれは自分も生徒会に所属するつもりで活動内容などのレクチャーを受けていた。

「ごめんなさいね、今日御用があるのはセアラ様だけなの。シャーロット様とはまたお茶会でお会いしましょう。
急にお邪魔してお騒がせしてしまってごめんなさいね」

 何が起きたのか理解できないままのセアラは華やかなアリエノール王女の一団に問答無用でドナドナされて行った。

(なんでアリエノール様があんな女を!)

 生徒達の前で恥をかかされたと感じたシャーロットは扇子を握りしめ怒りで顔を歪めていた。

(セアラ、大丈夫かな?)

 最新の話題で盛り上がる生徒達をよそにイリスは不安げな顔をしてセアラ達の後ろ姿を見送っていた。



 広々とした食堂には既に多くの生徒がやってきており、活気のある騒めきに包まれていた。余裕を持って設置されたテーブルで既に食事をはじめている生徒や料理を待つ生徒がアリエノール達の登場に目を輝かせた。

 アリエノール達はここ最近は王族専用の部屋で食事を摂ることが多く食堂奥にある中二階の生徒会専用の半個室はあまり使っていなかったので、学年の違う生徒は久しぶりにみるアリエノールの美しさに呆然としている。

 注目されているアリエノール達の一団の後をついて歩くセアラは内心冷や汗をかきながら極力周りを意識しないようにしていた。

(みんなの目が痛いわ)


 アリエノールに連れられてやって来た中二階の生徒会用の部屋にセアラを伴って入ったのは生徒会長のアリエノール王女と副会長の侯爵家令嬢ウルリカ・ルクセルのみで、その他の四人の生徒は階段のすぐ下の席についた。

「急に連れ出してごめんなさいね。要件はわかっておられると思うのだけど」

 この学園の生徒会役員はそれぞれ一人ずつ秘書を選ぶことができる。新生徒会役員はまだ誰も秘書を選んでおらず誰が選ばれるのか学園内で話題の中心になっていた。

 しかも今年度の生徒会長は国内でも人気の高い王女殿下なので注目度は上がる一方。生徒会で王子や王女の秘書に任命された者は学園卒業後も王宮に職を得たり側近や女官に取り立てられることが多い為、希望者のアピール合戦もヒートアップしていると噂されていた。

「まさかとは思いますが生徒会の方の秘書のお話でしょうか?」

「ええ、そのまさかよ。セアラと呼んでいいかしら? セアラにわたくしの秘書になっていただきたいの。今年の一年生の女性で最も成績が良かったのは貴方だってご存じかしら?」

「いえ、Sクラスでは下の方だと聞いております」

「ではわたくしの方が正しい情報を持っているようね。ここ数ヶ月の様子を見させて頂いてセアラにお願いしようと思ったのだけど如何かしら?」

「恥ずかしながら授業について行くことも精一杯な有様なので、わたくしでは務まらないのではないかと思います」

「今年の学習要項がおかしなことになっているのは知っているわ。しかも一年生のSクラスのみ」

 アリエノールはくすくすと笑いながら『一体誰の思惑かしらね』とウルリカと目を合わせている。


 アリエノール王女に声をかけてもらったのは嬉しいがセアラには時間がなかった。予習復習の時間もだが、レトビア家について調べたいのに何も手をつけられていないのだ。

「申し訳ありません。とてもありがたいお話なのですがわたくしではお役に立てないと思います」

 セアラが頭を下げるとアリエノールとウルリカが真顔になった。



「⋯⋯【呪われしレトビアの長女】」

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