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9.レトビア公爵家の秘密
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「多分だけどその書類にある一文が引っかかってレトビアは未だに公に出来ないでいるんじゃないかと考えてるの。イーバリス神殿の襲撃で得た支援金によって戦況を覆し祖国を勝利を導いたレトビア公爵家は現王家と同等の権利を有していると見做し、摂政の位に任ずるって明記されてるから」
「それを公にすればレトビア公爵家は襲撃に加わった他の貴族から抗議される⋯⋯」
「その通りよ。あの指示書は諸刃の刃なの。王家にとって命取りなのは勿論だけど、襲撃時のメンバーの殆どは今でもレトビア公爵家の派閥に属してるからこのことを知ったら一気に瓦解するでしょうね。
一貴族のみを優遇し続けてきた王家と利益を独り占めし続けてきたレトビア公爵家。国が紛糾するどころか内乱が起きるかも。そうなれば他国からの侵略もあり得るわ」
「アリエノール王女殿下の目的はその指示書という事でしょうか?」
「それが手に入れば一番だけど、何代も前から手を替え品を替え探し続けてるけど上手くいかないのだから見つけるのは難しいと思うの」
「では⋯⋯なにを」
セアラはアリエノール王女の話があまりに衝撃的な内容過ぎて自分が何故この話を聞いているのか、話を聞いて良かったのか混乱してきた。
(王女殿下のお話はレトビアの呪いについてだと思ってたのがとんでもないことになってきたわ。王女殿下は何故こんな重要なことを私みたいな者に話しておられるのかしら?)
聞かなければ良かったと思ったセアラだったが今更何も出来ませんとは言えない状況になっていることに気付き青褪め足がカタカタと震えはじめた。
「わた、わたくしのような者にお手伝いできる事があるとは思えません。お聞きしたお話とレトビアの呪いの関連もわからないと言いますか⋯⋯」
「ここまで話してしまったけどセアラを無理矢理巻き込むつもりはないの。もしセアラが無理だと思ったら王家で保護するつもり。
王命でセアラをレトビア公爵家から引き離してあげるわ。王家やレトビアとは関わらない家の婚約者を決めても良いし別の家の養女にする事もできる。勿論その時はホプキンス伯爵家への援助もするから心配しないで」
協力するしかない所まで追い詰められたと思っていたセアラはアリエノール王女の言葉を聞いて呆然とした。驚きすぎて目を見開いて凝視したアリエノール王女の態度には嘘や誤魔化しは感じられない。
公爵家での軟禁生活、学習要項の強化、シャーロット達の監視、イリスのいる寮への立ち入り禁止、外出禁止⋯⋯。このまま18歳を迎えるしかないのかと不安と焦りでいっぱいだったセアラは、国の為に動いているアリエノール王女と違い自分の悩みがとても小さな事に思えてきた。
「申し訳ありませんでした。そんな大変な事が起きているとは知らず、わたくしはずっと自分の事しか考えてなくて。それなのにわたくしの事までお気遣い頂いて」
「レトビアの呪いについてセアラが悩むのは当然のことだわ。もし呪いが本当ならとても大事な事ですもの。レトビアの呪いのことだけであったとしてもセアラには声をかけようと思っていたの。
これから数年不安を抱えたまま生活するなんて間違っているもの。そんな状況を作ったレトビア公爵とホプキンス伯爵には腹を立ててるのよ」
「お父様は現実主義者で、呪いとか全然信じていないので。それにうちはもうどうにもならないほど追い詰められていて仕方なかったんです」
「例えそうだとしても⋯⋯。綺麗事だって言われるかもしれないけど娘を不安な気持ちにさせるような養子縁組をするのは間違っているわ。ホプキンス伯爵がレトビア公爵の思惑に気付いてなかったとは思えないから」
アリエノール王女の真摯な言葉にセアラはホロホロと涙を流した。誰とも話せない、何もできない状況の中で初めて見えた一条の光。理不尽だと抗議する事も助けてほしいと願う事も出来ず焦りばかりが膨らむ日々の中眠れない夜を過ごすしかなかったセアラは覚悟を決めた。
「ありがとうございます。レトビア公爵邸にいる時は監視付きの軟禁状態なのでお役に立てるかどうかわかりませんがわたくしに出来ることがあればお教えください。微力ながらお手伝いさせていただければと思います」
アリエノールの前向きな言葉に涙を拭いて深呼吸したセアラは真っ直ぐアリエノールの顔を見つめた。
「正直に言うとわたくし達も今手詰まりなの。でも仲間が増えれば打開策が見つかるかもしれないと思うのよ。何しろ今回レトビア公爵家は初のイレギュラーな状態になってるから。
わたくしの側の仲間は生徒会副会長のウルリカとリチャード第二王子と王子の側近が3人。シルス王太子と婚約者のミリセント・カーマイン公爵令嬢。勿論、下で見張をしてくれている令嬢達も信用できるわ」
「私は兄のライルが王都の友人宅に滞在して調べてくれているのと、幼馴染のイリス・ラーニアとイリスのお母様が味方です」
「ラーニア子爵令嬢ね。とても聡明で意思のはっきりした令嬢だと報告がきてるわ。きっとお母様譲りなのね。ラーニア嬢のお父様はどう?」
「ラーニア子爵もとても素晴らしい方なのですが父と⋯⋯ホプキンス伯爵ととても親しいので協力が得られないと聞いています」
既に現状は確認済みなのかアリエノール王女は小さく頷いて話を続けた。
「レトビア公爵はリチャードとアメリアの婚約を狙っているの。公爵の狙いなのかアメリアの希望なのかわからないけど。
だからね、それを利用しようかと思ってるの」
「?」
「セアラにはヒロインになってもらいたいの。去年隣国で立て続けに起きた婚約破棄騒動覚えてるかしら? あれを利用しようと思うのよ」
アリエノールがチラッとウルリカを見るとウルリカが鞄から本を二冊出してテーブルに置いた。
「それを公にすればレトビア公爵家は襲撃に加わった他の貴族から抗議される⋯⋯」
「その通りよ。あの指示書は諸刃の刃なの。王家にとって命取りなのは勿論だけど、襲撃時のメンバーの殆どは今でもレトビア公爵家の派閥に属してるからこのことを知ったら一気に瓦解するでしょうね。
一貴族のみを優遇し続けてきた王家と利益を独り占めし続けてきたレトビア公爵家。国が紛糾するどころか内乱が起きるかも。そうなれば他国からの侵略もあり得るわ」
「アリエノール王女殿下の目的はその指示書という事でしょうか?」
「それが手に入れば一番だけど、何代も前から手を替え品を替え探し続けてるけど上手くいかないのだから見つけるのは難しいと思うの」
「では⋯⋯なにを」
セアラはアリエノール王女の話があまりに衝撃的な内容過ぎて自分が何故この話を聞いているのか、話を聞いて良かったのか混乱してきた。
(王女殿下のお話はレトビアの呪いについてだと思ってたのがとんでもないことになってきたわ。王女殿下は何故こんな重要なことを私みたいな者に話しておられるのかしら?)
聞かなければ良かったと思ったセアラだったが今更何も出来ませんとは言えない状況になっていることに気付き青褪め足がカタカタと震えはじめた。
「わた、わたくしのような者にお手伝いできる事があるとは思えません。お聞きしたお話とレトビアの呪いの関連もわからないと言いますか⋯⋯」
「ここまで話してしまったけどセアラを無理矢理巻き込むつもりはないの。もしセアラが無理だと思ったら王家で保護するつもり。
王命でセアラをレトビア公爵家から引き離してあげるわ。王家やレトビアとは関わらない家の婚約者を決めても良いし別の家の養女にする事もできる。勿論その時はホプキンス伯爵家への援助もするから心配しないで」
協力するしかない所まで追い詰められたと思っていたセアラはアリエノール王女の言葉を聞いて呆然とした。驚きすぎて目を見開いて凝視したアリエノール王女の態度には嘘や誤魔化しは感じられない。
公爵家での軟禁生活、学習要項の強化、シャーロット達の監視、イリスのいる寮への立ち入り禁止、外出禁止⋯⋯。このまま18歳を迎えるしかないのかと不安と焦りでいっぱいだったセアラは、国の為に動いているアリエノール王女と違い自分の悩みがとても小さな事に思えてきた。
「申し訳ありませんでした。そんな大変な事が起きているとは知らず、わたくしはずっと自分の事しか考えてなくて。それなのにわたくしの事までお気遣い頂いて」
「レトビアの呪いについてセアラが悩むのは当然のことだわ。もし呪いが本当ならとても大事な事ですもの。レトビアの呪いのことだけであったとしてもセアラには声をかけようと思っていたの。
これから数年不安を抱えたまま生活するなんて間違っているもの。そんな状況を作ったレトビア公爵とホプキンス伯爵には腹を立ててるのよ」
「お父様は現実主義者で、呪いとか全然信じていないので。それにうちはもうどうにもならないほど追い詰められていて仕方なかったんです」
「例えそうだとしても⋯⋯。綺麗事だって言われるかもしれないけど娘を不安な気持ちにさせるような養子縁組をするのは間違っているわ。ホプキンス伯爵がレトビア公爵の思惑に気付いてなかったとは思えないから」
アリエノール王女の真摯な言葉にセアラはホロホロと涙を流した。誰とも話せない、何もできない状況の中で初めて見えた一条の光。理不尽だと抗議する事も助けてほしいと願う事も出来ず焦りばかりが膨らむ日々の中眠れない夜を過ごすしかなかったセアラは覚悟を決めた。
「ありがとうございます。レトビア公爵邸にいる時は監視付きの軟禁状態なのでお役に立てるかどうかわかりませんがわたくしに出来ることがあればお教えください。微力ながらお手伝いさせていただければと思います」
アリエノールの前向きな言葉に涙を拭いて深呼吸したセアラは真っ直ぐアリエノールの顔を見つめた。
「正直に言うとわたくし達も今手詰まりなの。でも仲間が増えれば打開策が見つかるかもしれないと思うのよ。何しろ今回レトビア公爵家は初のイレギュラーな状態になってるから。
わたくしの側の仲間は生徒会副会長のウルリカとリチャード第二王子と王子の側近が3人。シルス王太子と婚約者のミリセント・カーマイン公爵令嬢。勿論、下で見張をしてくれている令嬢達も信用できるわ」
「私は兄のライルが王都の友人宅に滞在して調べてくれているのと、幼馴染のイリス・ラーニアとイリスのお母様が味方です」
「ラーニア子爵令嬢ね。とても聡明で意思のはっきりした令嬢だと報告がきてるわ。きっとお母様譲りなのね。ラーニア嬢のお父様はどう?」
「ラーニア子爵もとても素晴らしい方なのですが父と⋯⋯ホプキンス伯爵ととても親しいので協力が得られないと聞いています」
既に現状は確認済みなのかアリエノール王女は小さく頷いて話を続けた。
「レトビア公爵はリチャードとアメリアの婚約を狙っているの。公爵の狙いなのかアメリアの希望なのかわからないけど。
だからね、それを利用しようかと思ってるの」
「?」
「セアラにはヒロインになってもらいたいの。去年隣国で立て続けに起きた婚約破棄騒動覚えてるかしら? あれを利用しようと思うのよ」
アリエノールがチラッとウルリカを見るとウルリカが鞄から本を二冊出してテーブルに置いた。
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