31 / 93
31.剣技大会とグレイ・ガーラント
しおりを挟む
「優勝候補はケールズ騎士学校2年生のマーカス・シルバンとサワシリア学園3年生のイーサン・ホズウェル。我が学園だと3年生のタイラー・ヒックスか2年生のグレイ・ガーラントかしら」
「グレイ・ガーラント様はミリセント様の?」
「ええ、我が家の長男なんだけどアリエノールに袖にされてから立派な脳筋に成長したみたい」
「シルスお兄様とミリセントが婚約したばかりの頃のお話じゃない。だから、わたくし達がまだ5歳の時のお話よ。あれ以来グレイはわたくしの側にはやって来ないの」
シルス王太子は現在20歳でミリセントとリチャードは18歳。アリエノールとグレイは16歳なので11年前の話になる。
『姉様がシルス様と結婚するなら僕はアリエノール様と結婚する!』
シルス王太子とミリセントの婚約式の後大勢の前で叫んだグレイはアリエノールに履いていた靴で頭を殴られて気絶した。
それ以来『女は怖い』と剣の道を突き進んでいると言う。
「今ではリチャードのようになりたいって言ってるのよ。リチャードは剣と馬術に秀でてるから理想なんですって。
王宮に遊びに来てはリチャードの執務室で待ちぼうけを喰らってるの」
埃をかぶったリチャードの執務室でリチャードを待つ間素振りをしているグレイは女官達に可愛がられているらしい。
「グレイは最近の噂に興味を惹かれているらしいから宜しくね。お母様から頼まれているの。グレイが男色に走らずに済むかもって」
「もう間に合わなそうだから、男色から戻ってくるの間違いかも」
「まあ、やっぱりそう思う? 公爵家を継ぐ者がいなくなった時の為に早めに誰か探さなくてはってお母様が仰るの」
(男色自体はオーケーなんだ。うん、個人の自由よね)
思った以上に会話が進み夜会のことをすっかり忘れていた3人は慌てて大広間に戻って行った。
国王は宰相達とまだ談話しており、マーシャル夫人は王妃殿下に捕まっていた。シルス王太子とリチャード王子はそれぞれの友人や知人に囲まれており、アメリアやシャーロット達は勿論リチャード王子の側にいる。
「良かった、まだ大丈夫そうだわ。捕まらないうちに王妃殿下のところまで行きましょう。チョーカーのお話もまだお聞きしていないんだもの」
セアラ達が入ったドアから壇上までそれ程距離がないので誰にもに咎められずたどり着けるだろう⋯⋯と思っていたが、後一歩というところで後ろから声がかかった。
「セアラ嬢、こんばんは」
「⋯⋯こんばんは」
セアラ自身公爵令嬢で今は王女と王太子の婚約者と一緒にいる。下位の伯爵令嬢から声をかけてきた礼儀知らずの二人に戸惑ったセアラの横でアリエノールとミリセントが顔を見合わせた。
声をかけてきたのはユリス・デンロー伯爵令嬢とジーニア・アルセント伯爵令嬢。シャーロット達の取り巻きの二人なので近くにいることは多いが話をしたことはない。
(いつも少し離れたところでニヤニヤひそひそ話して感じが悪いと思っていた二人だわ)
「あの、少しお時間をいただきたくて」
緊張しているのかジーニアの声がうわずっている。
「何かありましたの? もし宜しければわたくしがお聞きしますわ。どうぞ遠慮なく仰って?」
セアラの代わりにアリエノールが答えるとユリスが『ひっ!』と失礼な声を上げ、ギギギと音がしそうな動きでジーニアがアリエノールと目を合わせた。
「あ、あの。アリッエノール王女殿下のお手を煩わすほどではなくて。セアラに⋯⋯セアラさん⋯⋯様にちょっとお話が、その」
「テラスでも構いませんか? そこなら話しやすいかと」
真面な用ではないだろうが断るのは難しそうだと諦めたセアラが提案したがジーニア達が首を横に振った。
「いっいえ、できればその⋯⋯」
「良かったら控室をお使いになる?」
「はっ、はい。是非!」
「ではわたくしの侍女に案内させるわね。メアリーアン、セアラとご友人を控室にご案内して。お話が終わられたらセアラをわたくしのところに案内してね」
「あ! 私達だけで大丈夫です。場所さえ教えていただければ」
「お二人ともお優しいのね。王宮では結構迷子になられる方が多いから心配なの。だからわたくしのためだと思って案内させてくださらないかしら」
少し申し訳なさそうな顔のアリエノールの頼みを断ることのできる強者はいない。モジモジと言い訳を考えていた二人は結局諦めたようで侍女について広間を出て行った。小さく頭を下げたセアラがその後を続く。
「やらかすつもりね」
「間違いなく。メアリーアンがついていれば大丈夫だけど、一体何を考えているのかしら?」
ついさっきまでいた控室に戻ってきたセアラは物珍しげに部屋を見回す二人を見つめていた。
「凄い! ここって王族専用の控室よね」
「うちの応接室より広いわ」
「取り敢えずお座りになります?」
隣の部屋まで見に行きそうな勢いの二人に業を煮やしたセアラが声をかけると、はっと我に帰った二人がソファに並んで座った。
二人の正面にセアラが座った後もソファを触って感嘆の息をこぼしたりテーブルにかけられたクロスを触ったりと話が進まない。
「あの、ご用がおありだとか。何かありました?」
「あっ、ええ。ほら私達って学園であまり話したことがないでしょう? 折角だから是非お話ししたくて。ねぇ」
ユリスに同意を求めるジーニア。
「ええ、そうなの。さっき両親に言われたの、セアラ⋯⋯様と仲良くしろって。あの、オレンジジュースを持ってきてくれる?」
入り口の前にいるメアリーアンにユリスが注文するとドアを開けたメアリーアンがドア向こうに向けて何か指示を出すのが見えた。メイドがいたのかもしれない、注文を出した後ドアを閉めたメアリーアンは部屋から出ずそのまま待機している。
「あの人ずっとあそこにいるってこと?」
「まずいわ。どうしよう」
「でも、やるしかないんだから」
(しでかしますってはっきり聞こえてるんだけど⋯⋯)
顔を突き合わせてヒソヒソとしているように見えて丸聞こえの作戦会議中、オレンジジュースが3つ運ばれてきた。
「あのセアラの首につけてるそれ、近くで見てもいい?」
「え? あの、ええ」
ユリスがセアラの隣に座った。
「私の方を向いて目を閉じて」
「目を?」
「そう、こっちを向いてもらわないと正面から見えないし、目を開けてたら落ち着かないもの」
(こんな安直なことが上手くいくと思ってるのかしら? オレンジジュースをドレスに溢すかそれとも⋯⋯)
目を瞑ったふりで様子を伺っていると⋯⋯。
「オレンジジュースは溢したらいけないから避けておくわね」
「すごく綺麗な宝石ね。これってレトビア公爵様に頂いたの?」
しきりに話しかけるユリスをよそにジーニアは移動したオレンジジュースに何か入れている。
(薬?⋯⋯作戦が杜撰すぎて突っ込めない!)
「もう良いわ。なんだか珍しかったから見せてもらったんだけど⋯⋯取り敢えず乾杯しましょうよ」
ジーニアがセアラにグラスを渡した。
「じゃあ、私達の友情に乾杯!!」
ジーニアとユリスがジュースを口にしながらセアラの動向を凝視している。
セアラはグラスに口を付けかけて⋯⋯。
「グレイ・ガーラント様はミリセント様の?」
「ええ、我が家の長男なんだけどアリエノールに袖にされてから立派な脳筋に成長したみたい」
「シルスお兄様とミリセントが婚約したばかりの頃のお話じゃない。だから、わたくし達がまだ5歳の時のお話よ。あれ以来グレイはわたくしの側にはやって来ないの」
シルス王太子は現在20歳でミリセントとリチャードは18歳。アリエノールとグレイは16歳なので11年前の話になる。
『姉様がシルス様と結婚するなら僕はアリエノール様と結婚する!』
シルス王太子とミリセントの婚約式の後大勢の前で叫んだグレイはアリエノールに履いていた靴で頭を殴られて気絶した。
それ以来『女は怖い』と剣の道を突き進んでいると言う。
「今ではリチャードのようになりたいって言ってるのよ。リチャードは剣と馬術に秀でてるから理想なんですって。
王宮に遊びに来てはリチャードの執務室で待ちぼうけを喰らってるの」
埃をかぶったリチャードの執務室でリチャードを待つ間素振りをしているグレイは女官達に可愛がられているらしい。
「グレイは最近の噂に興味を惹かれているらしいから宜しくね。お母様から頼まれているの。グレイが男色に走らずに済むかもって」
「もう間に合わなそうだから、男色から戻ってくるの間違いかも」
「まあ、やっぱりそう思う? 公爵家を継ぐ者がいなくなった時の為に早めに誰か探さなくてはってお母様が仰るの」
(男色自体はオーケーなんだ。うん、個人の自由よね)
思った以上に会話が進み夜会のことをすっかり忘れていた3人は慌てて大広間に戻って行った。
国王は宰相達とまだ談話しており、マーシャル夫人は王妃殿下に捕まっていた。シルス王太子とリチャード王子はそれぞれの友人や知人に囲まれており、アメリアやシャーロット達は勿論リチャード王子の側にいる。
「良かった、まだ大丈夫そうだわ。捕まらないうちに王妃殿下のところまで行きましょう。チョーカーのお話もまだお聞きしていないんだもの」
セアラ達が入ったドアから壇上までそれ程距離がないので誰にもに咎められずたどり着けるだろう⋯⋯と思っていたが、後一歩というところで後ろから声がかかった。
「セアラ嬢、こんばんは」
「⋯⋯こんばんは」
セアラ自身公爵令嬢で今は王女と王太子の婚約者と一緒にいる。下位の伯爵令嬢から声をかけてきた礼儀知らずの二人に戸惑ったセアラの横でアリエノールとミリセントが顔を見合わせた。
声をかけてきたのはユリス・デンロー伯爵令嬢とジーニア・アルセント伯爵令嬢。シャーロット達の取り巻きの二人なので近くにいることは多いが話をしたことはない。
(いつも少し離れたところでニヤニヤひそひそ話して感じが悪いと思っていた二人だわ)
「あの、少しお時間をいただきたくて」
緊張しているのかジーニアの声がうわずっている。
「何かありましたの? もし宜しければわたくしがお聞きしますわ。どうぞ遠慮なく仰って?」
セアラの代わりにアリエノールが答えるとユリスが『ひっ!』と失礼な声を上げ、ギギギと音がしそうな動きでジーニアがアリエノールと目を合わせた。
「あ、あの。アリッエノール王女殿下のお手を煩わすほどではなくて。セアラに⋯⋯セアラさん⋯⋯様にちょっとお話が、その」
「テラスでも構いませんか? そこなら話しやすいかと」
真面な用ではないだろうが断るのは難しそうだと諦めたセアラが提案したがジーニア達が首を横に振った。
「いっいえ、できればその⋯⋯」
「良かったら控室をお使いになる?」
「はっ、はい。是非!」
「ではわたくしの侍女に案内させるわね。メアリーアン、セアラとご友人を控室にご案内して。お話が終わられたらセアラをわたくしのところに案内してね」
「あ! 私達だけで大丈夫です。場所さえ教えていただければ」
「お二人ともお優しいのね。王宮では結構迷子になられる方が多いから心配なの。だからわたくしのためだと思って案内させてくださらないかしら」
少し申し訳なさそうな顔のアリエノールの頼みを断ることのできる強者はいない。モジモジと言い訳を考えていた二人は結局諦めたようで侍女について広間を出て行った。小さく頭を下げたセアラがその後を続く。
「やらかすつもりね」
「間違いなく。メアリーアンがついていれば大丈夫だけど、一体何を考えているのかしら?」
ついさっきまでいた控室に戻ってきたセアラは物珍しげに部屋を見回す二人を見つめていた。
「凄い! ここって王族専用の控室よね」
「うちの応接室より広いわ」
「取り敢えずお座りになります?」
隣の部屋まで見に行きそうな勢いの二人に業を煮やしたセアラが声をかけると、はっと我に帰った二人がソファに並んで座った。
二人の正面にセアラが座った後もソファを触って感嘆の息をこぼしたりテーブルにかけられたクロスを触ったりと話が進まない。
「あの、ご用がおありだとか。何かありました?」
「あっ、ええ。ほら私達って学園であまり話したことがないでしょう? 折角だから是非お話ししたくて。ねぇ」
ユリスに同意を求めるジーニア。
「ええ、そうなの。さっき両親に言われたの、セアラ⋯⋯様と仲良くしろって。あの、オレンジジュースを持ってきてくれる?」
入り口の前にいるメアリーアンにユリスが注文するとドアを開けたメアリーアンがドア向こうに向けて何か指示を出すのが見えた。メイドがいたのかもしれない、注文を出した後ドアを閉めたメアリーアンは部屋から出ずそのまま待機している。
「あの人ずっとあそこにいるってこと?」
「まずいわ。どうしよう」
「でも、やるしかないんだから」
(しでかしますってはっきり聞こえてるんだけど⋯⋯)
顔を突き合わせてヒソヒソとしているように見えて丸聞こえの作戦会議中、オレンジジュースが3つ運ばれてきた。
「あのセアラの首につけてるそれ、近くで見てもいい?」
「え? あの、ええ」
ユリスがセアラの隣に座った。
「私の方を向いて目を閉じて」
「目を?」
「そう、こっちを向いてもらわないと正面から見えないし、目を開けてたら落ち着かないもの」
(こんな安直なことが上手くいくと思ってるのかしら? オレンジジュースをドレスに溢すかそれとも⋯⋯)
目を瞑ったふりで様子を伺っていると⋯⋯。
「オレンジジュースは溢したらいけないから避けておくわね」
「すごく綺麗な宝石ね。これってレトビア公爵様に頂いたの?」
しきりに話しかけるユリスをよそにジーニアは移動したオレンジジュースに何か入れている。
(薬?⋯⋯作戦が杜撰すぎて突っ込めない!)
「もう良いわ。なんだか珍しかったから見せてもらったんだけど⋯⋯取り敢えず乾杯しましょうよ」
ジーニアがセアラにグラスを渡した。
「じゃあ、私達の友情に乾杯!!」
ジーニアとユリスがジュースを口にしながらセアラの動向を凝視している。
セアラはグラスに口を付けかけて⋯⋯。
12
あなたにおすすめの小説
【完結】断罪された悪役令嬢は、本気で生きることにした
きゅちゃん
ファンタジー
帝国随一の名門、ロゼンクロイツ家の令嬢ベルティア・フォン・ロゼンクロイツは、突如として公の場で婚約者であるクレイン王太子から一方的に婚約破棄を宣告される。その理由は、彼女が平民出身の少女エリーゼをいじめていたという濡れ衣。真実はエリーゼこそが王太子の心を奪うために画策した罠だったにも関わらず、ベルティアは悪役令嬢として断罪され、社交界からの追放と学院退学の処分を受ける。
全てを失ったベルティアだが、彼女は諦めない。これまで家の期待に応えるため「完璧な令嬢」として生きてきた彼女だが、今度は自分自身のために生きると決意する。軍事貴族の嫡男ヴァルター・フォン・クリムゾンをはじめとする協力者たちと共に、彼女は自らの名誉回復と真実の解明に挑む。
その過程で、ベルティアは王太子の裏の顔や、エリーゼの正体、そして帝国に忍び寄る陰謀に気づいていく。かつては社交界のスキルだけを磨いてきた彼女だが、今度は魔法や剣術など実戦的な力も身につけながら、自らの道を切り開いていく。
失われた名誉、隠された真実、そして予期せぬ恋。断罪された「悪役令嬢」が、自分の物語を自らの手で紡いでいく、爽快復讐ファンタジー。
『処刑されるたびに12歳に戻る悪役令嬢、7回目の人生は「何もせず寝て過ごす」ことに決めたら、なぜか周囲が勝手に勘違いして聖女扱いされています
六角
恋愛
公爵令嬢リリアーナは、18歳の誕生日に必ず断罪・処刑されては12歳に戻るという地獄のループを6回も繰り返していた。 真面目に努力しても、剣を極めても、裏社会を支配しても、結局は殺される運命。 心折れた彼女は、7回目の人生でついに決意する。 「もう頑張らない。どうせ死ぬなら、今回はひたすら寝て過ごそう」と。
しかし、安眠を求めて「うるさい」と敵を黙らせれば『王者の覇気』と恐れられ、寝ぼけて放った魔法は『神の奇跡』と崇められ、枕への異常なこだわりは『深遠なる儀式』と誤解されてしまう。 気がつけば、ストーカー気味のヤンデレ王子、パン屋の元ヒロイン、狂犬の如きライバル令嬢、元部下の暗殺者、そして不眠症の魔王までもが彼女の信者となり、リリアーナは意図せずして国を、そして世界を救う「最強の聖女」へと祭り上げられていく。
「お願いだから、私を寝かせて!」 睡眠欲だけで運命(システム)さえもねじ伏せる、無気力悪役令嬢の痛快勘違いサクセス(?)ストーリー!
悪役令嬢がヒロインからのハラスメントにビンタをぶちかますまで。
倉桐ぱきぽ
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生した私は、ざまぁ回避のため、まじめに生きていた。
でも、ヒロイン(転生者)がひどい!
彼女の嘘を信じた推しから嫌われるし。無実の罪を着せられるし。そのうえ「ちゃんと悪役やりなさい」⁉
シナリオ通りに進めたいヒロインからのハラスメントは、もう、うんざり!
私は私の望むままに生きます!!
本編+番外編3作で、40000文字くらいです。
⚠途中、視点が変わります。サブタイトルをご覧下さい。
虐げられた人生に疲れたので本物の悪女に私はなります
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
伯爵家である私の家には両親を亡くして一緒に暮らす同い年の従妹のカサンドラがいる。当主である父はカサンドラばかりを溺愛し、何故か実の娘である私を虐げる。その為に母も、使用人も、屋敷に出入りする人達までもが皆私を馬鹿にし、時には罠を這って陥れ、その度に私は叱責される。どんなに自分の仕業では無いと訴えても、謝罪しても許されないなら、いっそ本当の悪女になることにした。その矢先に私の婚約者候補を名乗る人物が現れて、話は思わぬ方向へ・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
死に物狂いで支えた公爵家から捨てられたので、回帰後は全財産を盗んで消えてあげます 〜今さら「戻れ」と言われても、私は隣国の皇太子妃ですので〜
しょくぱん
恋愛
「お前のような無能、我が公爵家の恥だ!」
公爵家の長女エルゼは、放蕩者の父や無能な弟に代わり、寝る間も惜しんで領地経営と外交を支えてきた。しかし家族は彼女の功績を奪った挙句、政治犯の濡れ衣を着せて彼女を処刑した。
死の間際、エルゼは誓う。 「もし次があるのなら――二度と、あいつらのために働かない」
目覚めると、そこは処刑の二年前。 再び「仕事」を押し付けようとする厚顔無恥な家族に対し、エルゼは優雅に微笑んだ。
「ええ、承知いたしました。ただし、これからは**『代金』**をいただきますわ」
隠し金庫の鍵、領地の権利書、優秀な人材、そして莫大な隠し資産――。 エルゼは公爵家のすべてを自分名義に書き換え、着々と「もぬけの殻」にしていく。
そんな彼女の前に、隣国の冷徹な皇太子シオンが現れ、驚くべき提案を持ちかけてきて……?
「君のような恐ろしい女性を、独り占めしたくなった」
資産を奪い尽くして亡命した令嬢と、彼女を溺愛する皇太子。 一方、すべてを失った公爵家が泣きついてくるが、もう遅い。 あなたの家の金庫も、土地も、働く人間も――すべて私のものですから。
無事にバッドエンドは回避できたので、これからは自由に楽しく生きていきます。
木山楽斗
恋愛
悪役令嬢ラナトゥーリ・ウェルリグルに転生した私は、無事にゲームのエンディングである魔法学校の卒業式の日を迎えていた。
本来であれば、ラナトゥーリはこの時点で断罪されており、良くて国外追放になっているのだが、私は大人しく生活を送ったおかげでそれを回避することができていた。
しかしながら、思い返してみると私の今までの人生というものは、それ程面白いものではなかったように感じられる。
特に友達も作らず勉強ばかりしてきたこの人生は、悪いとは言えないが少々彩りに欠けているような気がしたのだ。
せっかく掴んだ二度目の人生を、このまま終わらせていいはずはない。
そう思った私は、これからの人生を楽しいものにすることを決意した。
幸いにも、私はそれ程貴族としてのしがらみに縛られている訳でもない。多少のわがままも許してもらえるはずだ。
こうして私は、改めてゲームの世界で新たな人生を送る決意をするのだった。
※一部キャラクターの名前を変更しました。(リウェルド→リベルト)
婚約破棄された悪役令嬢、実は最強聖女でした〜辺境で拾った彼に一途に愛され、元婚約者が泣きついてきてももう遅い〜
usako
恋愛
王太子の婚約者でありながら「悪女」と呼ばれ婚約破棄された公爵令嬢リディア。
国外追放されたその日、命を救ってくれたのは無骨な騎士ルークだった。
彼に導かれた辺境の地で、本来の力――“聖女”としての奇跡が目覚める。
新たな人生を歩み始めた矢先、かつて自分を貶めた王太子が後悔とともに現れるが……。
もう遅い。彼女は真の愛を知ってしまったから――。
ざまぁと溺愛が交錯する、爽快逆転ラブファンタジー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる