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42.ボッチ確定
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翌日からシャーロット達がセアラと距離を置くようになった代わりに小さな虐めがはじまった。
歩いていると突然人が飛び出してきてぶつかってきたり、移動教室の後に鞄に入れておいた教科書がなくなっていたり⋯⋯。
(アメリアからというよりもグレイスの指示かしら。謝るつもりはないけど昨日のアレはやりすぎたわ)
入学以来シャーロット達が常に周りを取り囲んでいたので、セアラには友達と言える人がいないことに気が付いた。授業の合間や休憩時間に声をかけてくれる人も一緒に食堂に行く人もいない。
(うん、これって結構寂しいかも)
木曜日の昼休憩、売店で購入したパンを持って図書館裏のベンチに腰掛けたセアラは悪戯されないようにと持ってきた鞄を横に置いて溜息をついた。
前日の昼、食堂で一人食事をしていると後ろから『ドン!』と椅子を蹴られた。慌てて振り返ると見たことのない生徒がニヤリと笑っていなくなる。一度だけならまだしも食堂にいる間に何度もやられたセアラは食堂の利用を諦めた。
(はあ、この調子だと明日の集会の後はどうなることかしら)
気が重いなあと思いながらちまちまとパンを齧っているとカサコソと葉を踏む音がして人影が近づいてきた。
「あの、レトビア様⋯⋯ ミレニア・イーディスと申します」
恐る恐る声をかけてきたのはミレニア・イーディス子爵令嬢で、隣に並んでいるのは婚約者のナダル・ブラウン伯爵令息。
「無礼は承知の上でお声をかけさせていただきました。今少しお時間をいただいても宜しいでしょうか?」
「ええ、勿論構いませんわ」
「あの、先日不正疑惑をかけてレトビア様を非難したナダル・ブラウンと申します。覚えておられるでしょうか? それで、その事をお詫びをしたくてお声をかけさせていただきました。申し訳ありませんでした!」
直角になるほど頭を下げて微動だにしないナダルの隣でミレニアも頭を下げた。
「こんな所までわざわざご足労かけてこちらこそ申し訳ございません。もう終わった事ですしお気になさいませんよう」
「でも、そのせいでイリス嬢が休学させられたのかも」
「イリスの休学の理由が例えなんであろうとブラウン様が謝罪なさるようなことではありません。どうかお気になさらずいて下さいませ。
イリスとは物心つく前からのお友達ですの。だから、ブラウン様が気にしていたとイリスが聞いたらわたくしと同じ事を言うと断言できます」
ナダルは入学以来勉強について行くのが思った以上に大変すぎて悩んでいたと言う。そこに叱責する父親からの手紙が届き頭を抱えていた。
「学習要綱が変わったのはSクラスだけなんです。⋯⋯それなのにまさか一位だなんて」
ブラウン伯爵家は反レトビア公爵派らしい。レトビア家のアメリアがBクラスにいる事で溜飲を下げていたブラウン伯爵は手紙の中で『せめてセアラには負けるな』と書いていた。
期末試験の結果によっては弟に跡を継がせるとまで言われていたナダルは頭に血が上ってしまった。
「噂ではレトビア様はSクラスギリギリだったって聞いていたので勘違いしてしまいました」
「入学試験の結果は知らされていないので本当のところは分かっていないのですが、Sクラスギリギリの成績だったと言われたり女子で一番だと言われたりしておりますの」
「そうなんだ⋯⋯本当に申し訳ありませんでした」
「あの、セアラ様はいつもは食堂に行かれてたと思うのですが、ここで食事されていたんですか? しかも鞄まで」
セアラの横に置いてある少し膨らんだ鞄とパンを見ながらミレニアが首を傾げた。
「ちょっと気分転換に来てみたの。たまには良いかなって思ったものですから」
「⋯⋯やっぱりあの噂は本当なんですね。シャーロット様達が周りにいなくなったから虐めがはじまったって」
「まあ、そんな噂が?」
「すごく不快な話なんです! 今までのも酷かったけど今まで以上に」
「じゃあ聞かなかったことにするわ。その方が精神衛生上良さそうだもの」
「あの、もし良ければこれからご一緒させていただけませんか? お友達になりたいとかそんな贅沢は考えてなくて⋯⋯。教室移動の時とかお昼とかをご一緒できたら」
「ありがとう。そのお気持ちだけいただくわ」
「やっぱり私じゃダメでしょうか?」
「とんでもないわ。そう言う意味じゃなくて、一緒に行動したら間違いなくご迷惑をおかけすることになると思うの。
明日の全体集会で正式に生徒会長秘書に任命されると決まったの。アリエノール様はとても人気がおありになるでしょう? 私のような者が近くでお仕事をさせていただくなんて疑問視する方がおられると思うの。
そうなるとまた新しい噂が流れそうだなって」
「そんな! アリエノール様がお決めになられた事ですのに」
「剣技大会の準備で生徒会は忙しくなるからアリエノール様とご一緒する事も多いってお聞きしたし、今回はリチャード王子殿下が講師としてお越しになるから益々大変だそうなの」
「そうですね。王女殿下だけでなくリチャード王子殿下の近くに行くチャンスだと思う人はいっぱいいそうです。お二方とも婚約者はまだ決まっておられないから」
「でも、リチャード王子殿下はアメリア様に決まられたって」
「父上の話ではまだ決まってないって。これ以上レトビア公爵派が権力を持たないようアメリア様との婚約は阻止するようカーマイン公爵様が動いておられるって。あっ!」
(カーマイン公爵? 夜会でお会いした方だわ。確か前国王陛下の弟君)
「はあ、それ言っちゃダメなやつ。ナダルには大切な事言えないわ。そんなだから弟に跡を継がせるとか言われるんじゃないの?」
「ごめん」
「セアラ様⋯⋯あの」
「大丈夫。わたくし落ちかけたパンに夢中で何も聞いておりませんでしたの。
そうは言ってもレトビア公爵家の養女相手だと心配ですわよね」
(放っておいても良いけど⋯⋯)
「そっ、そうですね。ナダル、どうすんのよ」
「では、直ぐに公表される話で情報交換にもなりませんけれど⋯⋯」
歩いていると突然人が飛び出してきてぶつかってきたり、移動教室の後に鞄に入れておいた教科書がなくなっていたり⋯⋯。
(アメリアからというよりもグレイスの指示かしら。謝るつもりはないけど昨日のアレはやりすぎたわ)
入学以来シャーロット達が常に周りを取り囲んでいたので、セアラには友達と言える人がいないことに気が付いた。授業の合間や休憩時間に声をかけてくれる人も一緒に食堂に行く人もいない。
(うん、これって結構寂しいかも)
木曜日の昼休憩、売店で購入したパンを持って図書館裏のベンチに腰掛けたセアラは悪戯されないようにと持ってきた鞄を横に置いて溜息をついた。
前日の昼、食堂で一人食事をしていると後ろから『ドン!』と椅子を蹴られた。慌てて振り返ると見たことのない生徒がニヤリと笑っていなくなる。一度だけならまだしも食堂にいる間に何度もやられたセアラは食堂の利用を諦めた。
(はあ、この調子だと明日の集会の後はどうなることかしら)
気が重いなあと思いながらちまちまとパンを齧っているとカサコソと葉を踏む音がして人影が近づいてきた。
「あの、レトビア様⋯⋯ ミレニア・イーディスと申します」
恐る恐る声をかけてきたのはミレニア・イーディス子爵令嬢で、隣に並んでいるのは婚約者のナダル・ブラウン伯爵令息。
「無礼は承知の上でお声をかけさせていただきました。今少しお時間をいただいても宜しいでしょうか?」
「ええ、勿論構いませんわ」
「あの、先日不正疑惑をかけてレトビア様を非難したナダル・ブラウンと申します。覚えておられるでしょうか? それで、その事をお詫びをしたくてお声をかけさせていただきました。申し訳ありませんでした!」
直角になるほど頭を下げて微動だにしないナダルの隣でミレニアも頭を下げた。
「こんな所までわざわざご足労かけてこちらこそ申し訳ございません。もう終わった事ですしお気になさいませんよう」
「でも、そのせいでイリス嬢が休学させられたのかも」
「イリスの休学の理由が例えなんであろうとブラウン様が謝罪なさるようなことではありません。どうかお気になさらずいて下さいませ。
イリスとは物心つく前からのお友達ですの。だから、ブラウン様が気にしていたとイリスが聞いたらわたくしと同じ事を言うと断言できます」
ナダルは入学以来勉強について行くのが思った以上に大変すぎて悩んでいたと言う。そこに叱責する父親からの手紙が届き頭を抱えていた。
「学習要綱が変わったのはSクラスだけなんです。⋯⋯それなのにまさか一位だなんて」
ブラウン伯爵家は反レトビア公爵派らしい。レトビア家のアメリアがBクラスにいる事で溜飲を下げていたブラウン伯爵は手紙の中で『せめてセアラには負けるな』と書いていた。
期末試験の結果によっては弟に跡を継がせるとまで言われていたナダルは頭に血が上ってしまった。
「噂ではレトビア様はSクラスギリギリだったって聞いていたので勘違いしてしまいました」
「入学試験の結果は知らされていないので本当のところは分かっていないのですが、Sクラスギリギリの成績だったと言われたり女子で一番だと言われたりしておりますの」
「そうなんだ⋯⋯本当に申し訳ありませんでした」
「あの、セアラ様はいつもは食堂に行かれてたと思うのですが、ここで食事されていたんですか? しかも鞄まで」
セアラの横に置いてある少し膨らんだ鞄とパンを見ながらミレニアが首を傾げた。
「ちょっと気分転換に来てみたの。たまには良いかなって思ったものですから」
「⋯⋯やっぱりあの噂は本当なんですね。シャーロット様達が周りにいなくなったから虐めがはじまったって」
「まあ、そんな噂が?」
「すごく不快な話なんです! 今までのも酷かったけど今まで以上に」
「じゃあ聞かなかったことにするわ。その方が精神衛生上良さそうだもの」
「あの、もし良ければこれからご一緒させていただけませんか? お友達になりたいとかそんな贅沢は考えてなくて⋯⋯。教室移動の時とかお昼とかをご一緒できたら」
「ありがとう。そのお気持ちだけいただくわ」
「やっぱり私じゃダメでしょうか?」
「とんでもないわ。そう言う意味じゃなくて、一緒に行動したら間違いなくご迷惑をおかけすることになると思うの。
明日の全体集会で正式に生徒会長秘書に任命されると決まったの。アリエノール様はとても人気がおありになるでしょう? 私のような者が近くでお仕事をさせていただくなんて疑問視する方がおられると思うの。
そうなるとまた新しい噂が流れそうだなって」
「そんな! アリエノール様がお決めになられた事ですのに」
「剣技大会の準備で生徒会は忙しくなるからアリエノール様とご一緒する事も多いってお聞きしたし、今回はリチャード王子殿下が講師としてお越しになるから益々大変だそうなの」
「そうですね。王女殿下だけでなくリチャード王子殿下の近くに行くチャンスだと思う人はいっぱいいそうです。お二方とも婚約者はまだ決まっておられないから」
「でも、リチャード王子殿下はアメリア様に決まられたって」
「父上の話ではまだ決まってないって。これ以上レトビア公爵派が権力を持たないようアメリア様との婚約は阻止するようカーマイン公爵様が動いておられるって。あっ!」
(カーマイン公爵? 夜会でお会いした方だわ。確か前国王陛下の弟君)
「はあ、それ言っちゃダメなやつ。ナダルには大切な事言えないわ。そんなだから弟に跡を継がせるとか言われるんじゃないの?」
「ごめん」
「セアラ様⋯⋯あの」
「大丈夫。わたくし落ちかけたパンに夢中で何も聞いておりませんでしたの。
そうは言ってもレトビア公爵家の養女相手だと心配ですわよね」
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「そっ、そうですね。ナダル、どうすんのよ」
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