【完結】私なりのヒロイン頑張ってみます。ヒロインが儚げって大きな勘違いですわね

との

文字の大きさ
43 / 93

43.全校集会

しおりを挟む
 全校集会の朝、学園は異常な熱気に包まれていた。

「素敵!!」
「お二人が並ぶとまるで絵画みたい」

「ねえ、もう一人はどなた?」
「見たことないけど格好いいわね」


 壇上には既に生徒会役員が集まりリチャード王子の姿も見えた。リチャード王子の横に立っているのはルーク・マクルーガー辺境伯の弟だろう。背の高いリチャード王子殿下より頭半分以上高く広い肩幅で周りを圧倒している。


「静粛に! これより全校集会をはじめます」

 ウルリカのこえで静まりかえった生徒達が居住まいを正した。アリエノールが壇上中央に立つとあちこちから『ほおっ』と溜息が漏れた。はじまりの挨拶の後今年度各役員の秘書の紹介が行われた。

「生徒会長秘書、一年Sクラス、セアラ・レトビア。
書記秘書、一年Sクラス、ローランド・アーカンソー。
会計秘書、一年Sクラス、ケント・タイラー。
広報秘書、一年Aクラス、サミュエル・アイシュタイン。
以上4名が生徒会役員の補佐を行います」

 名前を呼ばれるたびに起立した4人の生徒が一斉に頭を下げた。


「副会長は?」
「いないって事はないわよね」


 ウルリカの秘書が発表されなかったのでざわつきはじめた生徒達にアリエノールがにっとりと微笑んで話をはじめた。

「皆様の疑問には後程お答えするとして、その前に3月に行われる剣技大会についてご説明します」

 アリエノールが場の注目を集めた後、ウルリカが説明をはじめた。

「今回の剣技大会の外部講師は昨年卒業されたリチャード第二王子殿下が担当されます。
既に参加申し込みははじまっておりますが、期限は来週金曜日の昼休み終了まで。
その後はいかなる理由があっても参加不可となります。
練習の開始は翌週の水曜日から。
練習日は毎週月曜日・水曜日・金曜日の放課後。土日は基本自主練習となります。
全ての練習に参加する事が参加条件となります。
参加申し込みした生徒は17日間の訓練後試験を受け、出場者は二次試験の結果で決定します」

 滑舌の良いウルリカの説明が終わりリチャードが壇上に立った。

「噂好きの学生達ならもう知っていると思いますが、今回の剣技大会はかなりの激戦になると予想されています。練習日が増えた為学業との両立が大変になると思いますが、大会に出場したいと思う者だけでなく真剣に剣技を習得したい者にも参加して欲しい。
あー。但し中途半端はお断りだから、そんな奴がいたらケツを蹴り上げるからそのつもりでいてくれ。
それに、成績が落ちた奴にもお仕置きな」

 真面目な挨拶からはじまり、キラキラと目を輝かせている令嬢と顔を引き攣らせた令息から笑いをとったリチャード王子は堂々と壇上横の席に戻った。

「きゃあ、やっぱり素敵」
「真面目と不真面目がセットって」

「練習見に行くぞ」
「わたくしも!」



「最後に編入生の紹介です。ルーク、前へ」

 ぎしりと椅子の音が聞こえるような大男がアリエノールの横に並んだ。

「一年Sクラスに月曜日から編入する予定のルーク・マクルーガーです。ベルスペクト王国は10年ぶりなので宜しく頼みます」

 大きな体に似合う無骨な挨拶の後さっさと席に戻ってしまったルークはリチャードから何やら突っ込みを入れられたらしく苦笑いを浮かべながらガシガシと頭を掻いている。


「マクルーガーって辺境伯の?」
「おっきい」
「アリエノール様が潰れちゃいそう」


「ちなみに彼が副会長秘書を努めます。一年生だけど剣技大会にも出場するので、特に上級生の皆さん頑張って下さいね」


 応援された上級生が『おー!』と意味不明な雄叫びを上げた。





 全校集会が終わり教室に戻った生徒達はルークの話で盛り上がっていた。学園では毎年剣技大会の代表選手と優勝者を当てる賭けが行われており、ルークの登場で番狂わせが起こりそうだと騒ぎ立てていた。

「辺境伯の弟でしょ? 強いに決まってるわ」
「アリエノール様がわざわざ発表したんだよ、強いに決まってる」

「いくら身体が大きくても二年生のグレイ・ガーラント様には勝てないわ」
「三年生のタイラー・ヒックス様で決まりだよ」



 入り口のドアが開きオーシエン先生が入って来ると教室が静まりかえった。


「編入生についてはさっき挨拶があったから知っているな。生徒会役員の秘書も大会の参加者も学業重視でやるように。
それと、再来週は各教科小テストを予定しているから気を抜かず頑張ってくれ。以上だ」

 担任が教室を出て行くと顔を引き攣らせていた生徒達がガックリと肩を落とした。

「新学期、はじまったばかりなのに」
「もう無理⋯⋯今度こそ補習が」




 週末に引っ越したセアラの部屋はウルリカの隣だった。

 一部三階建ての寮は一階に受付と複数の談話室があり購買と広い食堂は渡り廊下で繋がった下位貴族用の寮と併用になっている。二階には伯爵や侯爵令嬢の部屋があり、二階の一部と三階が王族と公爵令嬢の部屋になっている。

 王族の部屋はソファとテーブルの他に食事を取れるダイニングテーブルもあり、朝夕の食事はここに運ばれてくる。隣室に学習机やベッドがあり侍女の為の部屋も付いている。


「朝は声をかけさせていただきますのでアリエノール様とわたくしと一緒にお食事をしていただきます。夕食も同様になりますが諸事情でお一人になられる場合にはお部屋に運ばれてくるまでお待ち下さい。
一階の食堂はお使いになられませんよう。
購買に用のある場合は必ず侍女に依頼するか侍女をお連れ下さい」


 この部屋に移動してからメアリーアンがセアラの専属でつくことになった。

『専属でメイドをつけるなら是非にってメアリーアンが志願したの。メアリーアンがあんな風に自分の意志を口にするのは珍しいから叶えてあげたいの。
メアリーアンなら護衛としても優秀だから必要だと思ったら学園への行き帰りも頼むと良いわ』

しおりを挟む
感想 60

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢に仕立て上げられたので領地に引きこもります(長編版)

下菊みこと
恋愛
ギフトを駆使して領地経営! 小説家になろう様でも投稿しています。

【完結】断罪された悪役令嬢は、本気で生きることにした

きゅちゃん
ファンタジー
帝国随一の名門、ロゼンクロイツ家の令嬢ベルティア・フォン・ロゼンクロイツは、突如として公の場で婚約者であるクレイン王太子から一方的に婚約破棄を宣告される。その理由は、彼女が平民出身の少女エリーゼをいじめていたという濡れ衣。真実はエリーゼこそが王太子の心を奪うために画策した罠だったにも関わらず、ベルティアは悪役令嬢として断罪され、社交界からの追放と学院退学の処分を受ける。 全てを失ったベルティアだが、彼女は諦めない。これまで家の期待に応えるため「完璧な令嬢」として生きてきた彼女だが、今度は自分自身のために生きると決意する。軍事貴族の嫡男ヴァルター・フォン・クリムゾンをはじめとする協力者たちと共に、彼女は自らの名誉回復と真実の解明に挑む。 その過程で、ベルティアは王太子の裏の顔や、エリーゼの正体、そして帝国に忍び寄る陰謀に気づいていく。かつては社交界のスキルだけを磨いてきた彼女だが、今度は魔法や剣術など実戦的な力も身につけながら、自らの道を切り開いていく。 失われた名誉、隠された真実、そして予期せぬ恋。断罪された「悪役令嬢」が、自分の物語を自らの手で紡いでいく、爽快復讐ファンタジー。

『処刑されるたびに12歳に戻る悪役令嬢、7回目の人生は「何もせず寝て過ごす」ことに決めたら、なぜか周囲が勝手に勘違いして聖女扱いされています

六角
恋愛
公爵令嬢リリアーナは、18歳の誕生日に必ず断罪・処刑されては12歳に戻るという地獄のループを6回も繰り返していた。 真面目に努力しても、剣を極めても、裏社会を支配しても、結局は殺される運命。 心折れた彼女は、7回目の人生でついに決意する。 「もう頑張らない。どうせ死ぬなら、今回はひたすら寝て過ごそう」と。 しかし、安眠を求めて「うるさい」と敵を黙らせれば『王者の覇気』と恐れられ、寝ぼけて放った魔法は『神の奇跡』と崇められ、枕への異常なこだわりは『深遠なる儀式』と誤解されてしまう。 気がつけば、ストーカー気味のヤンデレ王子、パン屋の元ヒロイン、狂犬の如きライバル令嬢、元部下の暗殺者、そして不眠症の魔王までもが彼女の信者となり、リリアーナは意図せずして国を、そして世界を救う「最強の聖女」へと祭り上げられていく。 「お願いだから、私を寝かせて!」 睡眠欲だけで運命(システム)さえもねじ伏せる、無気力悪役令嬢の痛快勘違いサクセス(?)ストーリー!

悪役令嬢がヒロインからのハラスメントにビンタをぶちかますまで。

倉桐ぱきぽ
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生した私は、ざまぁ回避のため、まじめに生きていた。 でも、ヒロイン(転生者)がひどい!   彼女の嘘を信じた推しから嫌われるし。無実の罪を着せられるし。そのうえ「ちゃんと悪役やりなさい」⁉ シナリオ通りに進めたいヒロインからのハラスメントは、もう、うんざり! 私は私の望むままに生きます!! 本編+番外編3作で、40000文字くらいです。 ⚠途中、視点が変わります。サブタイトルをご覧下さい。

虐げられた人生に疲れたので本物の悪女に私はなります

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
伯爵家である私の家には両親を亡くして一緒に暮らす同い年の従妹のカサンドラがいる。当主である父はカサンドラばかりを溺愛し、何故か実の娘である私を虐げる。その為に母も、使用人も、屋敷に出入りする人達までもが皆私を馬鹿にし、時には罠を這って陥れ、その度に私は叱責される。どんなに自分の仕業では無いと訴えても、謝罪しても許されないなら、いっそ本当の悪女になることにした。その矢先に私の婚約者候補を名乗る人物が現れて、話は思わぬ方向へ・・? ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

死に物狂いで支えた公爵家から捨てられたので、回帰後は全財産を盗んで消えてあげます 〜今さら「戻れ」と言われても、私は隣国の皇太子妃ですので〜

しょくぱん
恋愛
「お前のような無能、我が公爵家の恥だ!」 公爵家の長女エルゼは、放蕩者の父や無能な弟に代わり、寝る間も惜しんで領地経営と外交を支えてきた。しかし家族は彼女の功績を奪った挙句、政治犯の濡れ衣を着せて彼女を処刑した。 死の間際、エルゼは誓う。 「もし次があるのなら――二度と、あいつらのために働かない」 目覚めると、そこは処刑の二年前。 再び「仕事」を押し付けようとする厚顔無恥な家族に対し、エルゼは優雅に微笑んだ。 「ええ、承知いたしました。ただし、これからは**『代金』**をいただきますわ」 隠し金庫の鍵、領地の権利書、優秀な人材、そして莫大な隠し資産――。 エルゼは公爵家のすべてを自分名義に書き換え、着々と「もぬけの殻」にしていく。 そんな彼女の前に、隣国の冷徹な皇太子シオンが現れ、驚くべき提案を持ちかけてきて……? 「君のような恐ろしい女性を、独り占めしたくなった」 資産を奪い尽くして亡命した令嬢と、彼女を溺愛する皇太子。 一方、すべてを失った公爵家が泣きついてくるが、もう遅い。 あなたの家の金庫も、土地も、働く人間も――すべて私のものですから。

無事にバッドエンドは回避できたので、これからは自由に楽しく生きていきます。

木山楽斗
恋愛
悪役令嬢ラナトゥーリ・ウェルリグルに転生した私は、無事にゲームのエンディングである魔法学校の卒業式の日を迎えていた。 本来であれば、ラナトゥーリはこの時点で断罪されており、良くて国外追放になっているのだが、私は大人しく生活を送ったおかげでそれを回避することができていた。 しかしながら、思い返してみると私の今までの人生というものは、それ程面白いものではなかったように感じられる。 特に友達も作らず勉強ばかりしてきたこの人生は、悪いとは言えないが少々彩りに欠けているような気がしたのだ。 せっかく掴んだ二度目の人生を、このまま終わらせていいはずはない。 そう思った私は、これからの人生を楽しいものにすることを決意した。 幸いにも、私はそれ程貴族としてのしがらみに縛られている訳でもない。多少のわがままも許してもらえるはずだ。 こうして私は、改めてゲームの世界で新たな人生を送る決意をするのだった。 ※一部キャラクターの名前を変更しました。(リウェルド→リベルト)

婚約破棄された悪役令嬢、実は最強聖女でした〜辺境で拾った彼に一途に愛され、元婚約者が泣きついてきてももう遅い〜

usako
恋愛
王太子の婚約者でありながら「悪女」と呼ばれ婚約破棄された公爵令嬢リディア。 国外追放されたその日、命を救ってくれたのは無骨な騎士ルークだった。 彼に導かれた辺境の地で、本来の力――“聖女”としての奇跡が目覚める。 新たな人生を歩み始めた矢先、かつて自分を貶めた王太子が後悔とともに現れるが……。 もう遅い。彼女は真の愛を知ってしまったから――。 ざまぁと溺愛が交錯する、爽快逆転ラブファンタジー。

処理中です...