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63.セアラVSアメリア 断罪の時
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「待ちなさい!! 一体全体どういうつもり!?」
選手達の前までツカツカとやって来たアメリアに会場中が息を呑んだ。
「セレモニーだって言ったのが聞こえなかったかな?」
セアラを背に隠したリチャード王子が無表情で肩をすくめた。
「もう、遠慮なんてしないで一言お願いしてくだされば良かったのよ。リチャードのお願いなら聞いて差し上げましたのに」
拗ねたような仕草でリチャードを見つめるアメリアは金で縁取りし豪華な花模様を刺繍した白いガウンと真っ赤なペチコートを身につけている。赤いストマッカーにはエメラルドが煌めき大粒のルビーが輝くティアラと幅の広いブレスレットが異彩を放っていた。
「気持ちだけ受け取っておくよ。セレモニーはもうはじまっているし君はその邪魔をしている。下がってくれ」
「祝福なら私がやってあげるわ。それはわたくしにこそ相応しいのだから」
レトビア公爵が不安げな様子でアメリアの方へジリジリと歩きはじめた。それに気付いたリチャードがチラリと視線を向けると護衛がゆっくりと公爵の元へ向かっていった。
「結構だ。俺はここにいる女神⋯⋯セアラこそ女神に相応しいと思った。そして、選手達も皆セアラの祝福を受けたいと願ってくれたよ」
夜会の前日行われた代表選手達の顔合わせにリチャード王子は制服姿のセアラを伴った。
『まあ、明日のは単なるセレモニーだから本物の神の祝福があるわけではないんだけど。
300年前の初戦前夜に王家で行われた儀式を再現したいと思うんだ。
その時祝福を授けたのは初代王妃になられた方の妹だと伝えられている。で、セアラにその役をお願いしようと思うんだがどうかな?』
『それでしたら立場的にはアリエノール王女殿下になられるのでは?』
『そうなんだけどアリエノールが嫌がるんだ。そんな事をしたら毎年自分がやらなくてはいけなくなるって。来年からは女神も3校の中から選ぶようにしたいって』
セアラが女神役をする事は満場一致で受け入れられたが、当の本人は『選手達は王子の言葉に忖度しただけ』だと申し訳なく思っていた。
「まさか! そこにいる娼婦が女神に相応しいだなんて。一体どんな方法で言い聞かせたのかしら。紛い物の女神なんて不要だと思いません?」
肝心な一言を言わないアメリアを挑発するようにセアラが声をかけた。
「王家の宝物庫に秘蔵されていたティアラとブレスレットを王妃様よりお借りした際、例えわたくしが只人であっても心から祈るとお約束致しましたの。国の宝を身につけたわたくしでは分不相応だと仰るのでしょうか?」
「はっ! そんなチャチなティアラが国の宝ですって!? なんて貧相な宝物なのかしら。わたくしがつけているのは本物の聖女のティアラよ! 下がりなさい!!」
「アメリア、黙れ!!」
レトビア公爵が叫びアメリアに向けて走り出しかけたが衛兵がすかさず剣を構え公爵の前に立ち塞がった。
「くそっ! どけ! 邪魔だ、退け!! アメリア戻ってこい、それ以上口を出すな!!」
抵抗して衛兵と揉み合いになった公爵が床に押さえ込まれた。会場にいた人達は公爵の異様な行動に眉を顰めた。折角のセレモニーを邪魔するアメリアは不快だが公爵の様子は只事ではない。
「二人ともたかがセレモニーに」
「興がそがれてしまうわ」
「このような場で大声を上げるなんて」
反レトビア公爵派がこれ見よがしに言いレトビア公爵派は無言で顔を見合わせた。
身も世もなく暴れ叫び続ける公爵を衛兵達が力任せに押さえつけた。
「ぐっ! アッ、アメリアァァァ⋯⋯」
「お父様に手を出さないで!!」
「わたくしには選手の方々に祝福を与える資格がないと仰られるのでしょうか?」
大声で叫んだアメリアの言葉を無視してセアラの凛とした声が聞こえた。はっと振り返ったアメリアがセアラを睨みつけた。
「ええ、わたくしが唯一選手達に祝福を与えられるの。だって、私のつけているティアラは本物だけどアンタのそれは偽物・おもちゃ・紛い物。
わたくしの祝福なら本当の加護を得られるの」
「あらまあ、そのようなお話の事をなんて言うかご存知かしら。嘘・出まかせ・法螺話。貴族令嬢がそのような浅はかな世迷言を仰るなんて。アメリア様のティアラが本物だと言われましても⋯⋯。その根拠がわかりかねますわ」
「帝国の神殿にあった宝物。聖女のティアラだと言えば頭の悪いアンタでもわかるでしょう?」
「300年前に当時のレトビア侯爵家とその一派が襲撃した神殿の宝物と言う事ですの?」
「そうよ、ようやくわかったかしら? わたくしが女神に相応しいって。いえ、わたくしは聖女だから聖女の祝福を授けてあげるわ」
「そのような事⋯⋯証拠でもなくては誰も信じませんわ」
かすかに笑ったセアラに馬鹿にされたと思ったアメリアが言い募った。
「宝箱よ! ティアラの入っていた宝箱には由来とか色々書いてある紙が入っていたもの。古語で書かれてたから読めなかったけどイーバリス教の印が押されていたわ!」
アメリアの言葉に会場中が騒めいた。
「嘘だろ!?」
「だって」
「アメリア様のお言葉が正しいのであればレトビア公爵家はこの国を謀ったと言うことになりますわね」
「はあ? 何を言ってるのよ。リチャード、この女を不敬罪で捕まえなさい!」
「俺は何故命令されているんだ? たかが貴族令嬢に」
「リチャード!! 婚約者に向かってなんて事を。酷いわ」
「アメリア嬢が俺の婚約者の振りをしてるのは知っていたが、婚約した覚えはないな」
「だったら王命を出させるわ。リチャードは知らないのね、レトビア公爵家は王家より上なのよ。わたくしはリチャードと結婚してあげる。そうすればリチャードもわたくしのようになんだってできるようになるわ」
「レトビア公爵様。こちらにきていただけますかしら?」
衛兵に腕を拘束されたレトビア公爵が連れてこられた。髪が乱れ豪奢なコートの袖が破れかかっている。セアラを睨みつける目は血走り唇を噛み締めていた。
選手達の前までツカツカとやって来たアメリアに会場中が息を呑んだ。
「セレモニーだって言ったのが聞こえなかったかな?」
セアラを背に隠したリチャード王子が無表情で肩をすくめた。
「もう、遠慮なんてしないで一言お願いしてくだされば良かったのよ。リチャードのお願いなら聞いて差し上げましたのに」
拗ねたような仕草でリチャードを見つめるアメリアは金で縁取りし豪華な花模様を刺繍した白いガウンと真っ赤なペチコートを身につけている。赤いストマッカーにはエメラルドが煌めき大粒のルビーが輝くティアラと幅の広いブレスレットが異彩を放っていた。
「気持ちだけ受け取っておくよ。セレモニーはもうはじまっているし君はその邪魔をしている。下がってくれ」
「祝福なら私がやってあげるわ。それはわたくしにこそ相応しいのだから」
レトビア公爵が不安げな様子でアメリアの方へジリジリと歩きはじめた。それに気付いたリチャードがチラリと視線を向けると護衛がゆっくりと公爵の元へ向かっていった。
「結構だ。俺はここにいる女神⋯⋯セアラこそ女神に相応しいと思った。そして、選手達も皆セアラの祝福を受けたいと願ってくれたよ」
夜会の前日行われた代表選手達の顔合わせにリチャード王子は制服姿のセアラを伴った。
『まあ、明日のは単なるセレモニーだから本物の神の祝福があるわけではないんだけど。
300年前の初戦前夜に王家で行われた儀式を再現したいと思うんだ。
その時祝福を授けたのは初代王妃になられた方の妹だと伝えられている。で、セアラにその役をお願いしようと思うんだがどうかな?』
『それでしたら立場的にはアリエノール王女殿下になられるのでは?』
『そうなんだけどアリエノールが嫌がるんだ。そんな事をしたら毎年自分がやらなくてはいけなくなるって。来年からは女神も3校の中から選ぶようにしたいって』
セアラが女神役をする事は満場一致で受け入れられたが、当の本人は『選手達は王子の言葉に忖度しただけ』だと申し訳なく思っていた。
「まさか! そこにいる娼婦が女神に相応しいだなんて。一体どんな方法で言い聞かせたのかしら。紛い物の女神なんて不要だと思いません?」
肝心な一言を言わないアメリアを挑発するようにセアラが声をかけた。
「王家の宝物庫に秘蔵されていたティアラとブレスレットを王妃様よりお借りした際、例えわたくしが只人であっても心から祈るとお約束致しましたの。国の宝を身につけたわたくしでは分不相応だと仰るのでしょうか?」
「はっ! そんなチャチなティアラが国の宝ですって!? なんて貧相な宝物なのかしら。わたくしがつけているのは本物の聖女のティアラよ! 下がりなさい!!」
「アメリア、黙れ!!」
レトビア公爵が叫びアメリアに向けて走り出しかけたが衛兵がすかさず剣を構え公爵の前に立ち塞がった。
「くそっ! どけ! 邪魔だ、退け!! アメリア戻ってこい、それ以上口を出すな!!」
抵抗して衛兵と揉み合いになった公爵が床に押さえ込まれた。会場にいた人達は公爵の異様な行動に眉を顰めた。折角のセレモニーを邪魔するアメリアは不快だが公爵の様子は只事ではない。
「二人ともたかがセレモニーに」
「興がそがれてしまうわ」
「このような場で大声を上げるなんて」
反レトビア公爵派がこれ見よがしに言いレトビア公爵派は無言で顔を見合わせた。
身も世もなく暴れ叫び続ける公爵を衛兵達が力任せに押さえつけた。
「ぐっ! アッ、アメリアァァァ⋯⋯」
「お父様に手を出さないで!!」
「わたくしには選手の方々に祝福を与える資格がないと仰られるのでしょうか?」
大声で叫んだアメリアの言葉を無視してセアラの凛とした声が聞こえた。はっと振り返ったアメリアがセアラを睨みつけた。
「ええ、わたくしが唯一選手達に祝福を与えられるの。だって、私のつけているティアラは本物だけどアンタのそれは偽物・おもちゃ・紛い物。
わたくしの祝福なら本当の加護を得られるの」
「あらまあ、そのようなお話の事をなんて言うかご存知かしら。嘘・出まかせ・法螺話。貴族令嬢がそのような浅はかな世迷言を仰るなんて。アメリア様のティアラが本物だと言われましても⋯⋯。その根拠がわかりかねますわ」
「帝国の神殿にあった宝物。聖女のティアラだと言えば頭の悪いアンタでもわかるでしょう?」
「300年前に当時のレトビア侯爵家とその一派が襲撃した神殿の宝物と言う事ですの?」
「そうよ、ようやくわかったかしら? わたくしが女神に相応しいって。いえ、わたくしは聖女だから聖女の祝福を授けてあげるわ」
「そのような事⋯⋯証拠でもなくては誰も信じませんわ」
かすかに笑ったセアラに馬鹿にされたと思ったアメリアが言い募った。
「宝箱よ! ティアラの入っていた宝箱には由来とか色々書いてある紙が入っていたもの。古語で書かれてたから読めなかったけどイーバリス教の印が押されていたわ!」
アメリアの言葉に会場中が騒めいた。
「嘘だろ!?」
「だって」
「アメリア様のお言葉が正しいのであればレトビア公爵家はこの国を謀ったと言うことになりますわね」
「はあ? 何を言ってるのよ。リチャード、この女を不敬罪で捕まえなさい!」
「俺は何故命令されているんだ? たかが貴族令嬢に」
「リチャード!! 婚約者に向かってなんて事を。酷いわ」
「アメリア嬢が俺の婚約者の振りをしてるのは知っていたが、婚約した覚えはないな」
「だったら王命を出させるわ。リチャードは知らないのね、レトビア公爵家は王家より上なのよ。わたくしはリチャードと結婚してあげる。そうすればリチャードもわたくしのようになんだってできるようになるわ」
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