【完結】私なりのヒロイン頑張ってみます。ヒロインが儚げって大きな勘違いですわね

との

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64.セアラの狙い

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「この国の歴史では神殿の宝物は全て後の国王となられた大公閣下に献上されたとなっていますが合っておりますでしょうか?」

「⋯⋯今更歴史の勉強か? お前が何を言いたいのか知らんがこのような扱いをされる謂れはない」

「ここには神殿の襲撃でレトビア家と共に戦った家の子孫の方が大勢おられます。レトビア家を含めそれら全ての家では、神殿の宝物は全て献上され勝利に寄与した名誉だけを頂かれたと伝えられているのではありませんか?」

「その通りだ。神殿の宝物は全て建国の為に捧げ君達の先祖は陞爵したり領地を賜ったりしたと伝えられている。
なぜその宝物をレトビア公爵家が所有しておられるのかお聞きしたい」

 この声はカーマイン公爵だろう。レトビア公爵を追い詰める声が嬉々としている。


「それは⋯⋯宝物⋯⋯宝物と同等の資産を献上したのだ。だから宝物が残っておる」

「それはおかしな話ですわ。歴史書を詳しく調べたところ当時の貴族達は皆困窮していました。重税に喘ぎ飢えて死ぬよりは独立を選んだとされています。当時のレトビア侯爵家は領地も持たず武器や馬でさえ大公からの貸与されたものだった。
そのような資産があったとは考えられません」

「⋯⋯」

 レトビア公爵に全ての目が集まり全員が返答を待った。カタカタと震える公爵は汗を拭う余裕もなくキョロキョロと逃げ道を探していた。




「ごちゃごちゃ煩いわね! お父様、王命でこいつらを黙らせて!! 王命でこの女を不敬「黙れ!! この、この⋯⋯お前が、お前のせいで」」

「親子喧嘩は後にしてくださいまし! 公爵様、はっきりとお答えください。公爵様の勝手で王命を出す事など可能なのですか? その根拠は? 神殿の宝物を秘匿していたにも関わらず宝物は寄与したと嘘の発言で陞爵、広大な領地を賜った。
まさかを抱えておられるのではない事を祈りますわ。
嘘の上に嘘を塗り重ね、今明確になった罪以外にもなんらかの利を得ていたとなればその罪は計り知れないものとなるでしょう。
それをよくお考えになってお答えくださいませ」

「⋯⋯」


「お父様はいつも言ってたじゃない。レトビア公爵家は王家より上だって。なんだって叶えられるやくそ「お黙りなさい!! 今はレトビア公爵の答えを待っております」」


 王家と公爵家の密約を口にさせない為に、アメリアの言葉をセアラがきつい口調で遮った。キッとセアラを睨みつけたアメリアが再び口を開こうとした時レトビア公爵が大声で叫んだ。

「襲撃に成功したことだけを報告した。神殿の宝物は見つからなかったと言って隠匿した。娘が言った王家より上だと言う話は⋯⋯むっ、娘の妄想だ」

 アメリアの発言で宝物を隠匿していたことについては隠しきれないとレトビア公爵は諦めた。この嘘でレトビア公爵家は地位と名誉をなくし公爵家に従ってきた貴族達に見捨てられるのは必定だが、王家との密約がバレればそれではすまない。

 密約の土台が崩れた以上、あの密書が公になれば王家を謀り不当な利益を得続けたとして断罪される。



(王家と共倒れになんてさせないわ)

 セアラは公爵の証言を誘導するべく話しはじめた。

「宝物の横領・隠匿は大罪ですがレトビア侯爵家が建国に尽力した事は事実です。
それに別の見方をすれば、公爵家が長年隠匿していたからこそ神殿の宝物は守られ続けてきたとも言えるのではないでしょうか。
隠匿し続け過分な名誉をいただき続けた事は償うべきかと存じますが、宝物をイーバリス教会にお返しすることができる事は我が国にとって僥倖と言えるのではありませんか?
レトビア公爵家の罪がであればと願っております」


「かっ、返す。レトビア公爵家が所有している宝物全てイーバリス教会に返す。私の知る限り売却された宝はない! それを全て返す。
王家に対してなんらかの力を持っているなどアメリアの、愚かな娘の妄想だ。
公爵家はこの国の一貴族で建国以来王家に忠誠を誓ってきた。王家に対し不敬となるようななど存在していないと明言する」

 餌に食いついたレトビア公爵が少しばかり安心した顔でコートの襟を直し汗を拭いた。

「共に戦った同士を謀ったくせに」
「何が公爵だ」
「結局【レトビアの荊姫】は真実だったと言うことかも」

「少なくとも戦乙女がレトビアにだけ現れたのはコレのせいだったわけだ」




「アメリア様の言葉は妄想、或いは迷夢であったと言う事で合っておりますでしょうか?」

「アメリアはリチャード王子殿下と結婚したいばかりに、多分⋯⋯心を病んでしまったのだろう。私は王家を謀るような王家を愚弄するような発言をした事はない」


「お父様、何を仰るの!? なんとかしてよ、出来るっていつも言ってたでしょう!! 王家なんて思い通りだって!」

 最早アメリアが何を言っても信じる者は一人もいなかった。



「アメリア・レトビア嬢。君には2度にわたる伯爵令嬢殺害教唆と暴行傷害教唆の容疑がかかっている」

「なっ、何のこと? 私は何もしていないわ」

「犯人は既に確定し供述も取れている。君が彼等に渡したイヌサフランの毒薬も証拠として保管されている」

「あれは⋯⋯お父様の部屋に⋯⋯お腹⋯⋯残り物だって」

 驚愕し目を見開いたレトビア公爵が慌ててアメリアの口を押さえようとして衛兵に阻まれた。

「レトビア公爵の所有物か? 余罪がない事を祈りたいものだな」




 父親の裏切りに呆然としていたアメリアが衛兵に退出を促された途端叫びはじめた。

「ほんとにお父様が仰ったの! リチャード、信じて! わたくし達は愛し合っていたでしょう? お茶会で婚約発表しようって」

「話のついでに『俺はこんな婚約発表がしたいと思ってる』と言った覚えはあるが誰としたいかを言った覚えはないし、アメリア嬢と婚約する事なんて一度も言ったことも考えた事もない。
そう言えば、あちこちで既に婚約したと言いふらしていたね。もし本気でそう思っているなら、今この時婚約破棄するよ⋯⋯君のお気に入りのを使ってでも」



(終わったわ。後は王家の方と⋯⋯ルクセル侯爵家の方のお仕事だけだわ)



 愕然としたアメリアが青褪めたままのレトビア公爵と共に衛兵に連れて行かれた。

 反レトビア公爵派の貴族達は喜色を浮かべ連行されていく公爵の後ろ姿見つめ、不安を隠せないレトビア公爵派の貴族達はヒソヒソと小声で話しひな壇に立つシルス王太子達の顔色を窺っていた。

 アメリアに媚び諂っていた令嬢令息は親の顔色を窺ったが親達はそれどころではないと狼狽え、リチャード王子を狙っていた令嬢達はチャンス到来とばかりに目をぎらつかせた。




 全てが終わったとホッとしていたセアラの耳に王太子の毅然とした声が聞こえてきた。

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