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1.真実の愛が復活した模様
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雑多な種族で構成されたファビア国は、他国に倣い貴族制度を設けているものの強い者が国を統治する実力主義の国。
「漸く婚約が認められた、これからはずっと一緒にいられるよ!!」
「嬉しいわ、漸く夢が叶うのね」
「ああ、それに父上にお願いして婚姻は半年後にしてもらったんだ」
「どうしよう、準備は間に合うかしら? ドレスにベールに⋯⋯家具もローゼン商会に頼んていい?」
「勿論だとも、ローゼン商会なら知り合いがやってるからさ。無理だなんて絶対に言わせないし明日早速見に行こう」
「素敵! 流石イーサンだわ。この間プレゼントしてくれたドレスに合うネックレス見つけたの」
「きっとアリーシャに似合うよ。アリーシャ⋯⋯愛してる」
「私も愛してるわ、イーサン。ねぇ、もう帰りましょ?」
「じゃあ⋯⋯タウンハウスで続きを」
首都で開催された今年初の夜会でも例年通り、ライトアップされた庭のあちらこちらで愛を囁き合う恋人達の声が聞こえていた。
婚約が決まったばかりらしいこのカップルはこのまま夜会をフェードアウトするつもりのようで、脱げかけていたドレスを整えて髪を直し素知らぬ顔で大広間に向かって階段を登りはじめた。
その2人をバルコニーの隅に置かれたベンチから見ていた令嬢が溜息をついた。
「はぁ、ローゼン商会ねえ。それはなんと⋯⋯毎度あり~って言うべきかしら?」
この令嬢は24歳、この国では若干行き遅れに入るモーガン侯爵家令嬢のサラ・モーガン。
「どうした?」
2つのシャンパングラスを手に持ちバルコニーに現れた男性が首を傾げた。
「半年後の婚姻までにフルセットのご予約が入りそうなんだけど」
「へえ、納期はきついけどあんまり無茶な要望がなければなんとかなるだろ?」
「元メイビル男爵家令嬢アリーシャ・メイビルとボクス公爵家令息イーサン・ボクス」
「⋯⋯⋯⋯はあ?」
驚きすぎたのかサラに渡しかけたシャンパンが溢れ、慌ててグラスを持ち直したライリーが後ろを振り返った。
華やかなパーティー会場で着飾った大勢の客が楽しんでいる様子は見えるが、問題の2人は勿論影も形もない。
「断ろうかしら、断ってもいいわよね」
「無理だろうな、奴らならゴリ押ししてくる」
冷静なツッコミを入れたのはバーラム公爵令息ライリー・バーラム26歳。
「婚約が決まったのって今日だよな」
「ええ、今日の午後サインしたばかり。ドレスやベールに家具まで注文するって話してたわ」
「わけがわからんのだが?」
「⋯⋯なんだか楽しくなりそうとか?」
「タチ悪くね?」
「面白そうじゃない? それなら楽しまなくちゃ」
「はぁ、お前なぁ。どこに楽しめる要素があるんだよ」
サラとライリーは王立学園時代からの友人でローゼン商会を共に立ち上げたメンバー。
ローゼン商会はサラが15歳の時学費と生活費を稼ぐ為にはじめた古着屋がはじまりで、ライリーとその他3人のメンバーが参加し王都でも有名な商会にまで成長した。
今では衣類・貴金属・小物・家具などあらゆるものを取り扱い、ローゼン商会に行けばなんでも揃うと言われるほどになっている。
「近々食品部門を立ち上げると知ったらパーティーメニューも注文してきそうね」
「そいつは遠慮だな。タイラーが泣く」
家具部門担当はローゼン商会会長のバーラム公爵令息ライリー・バーラム26歳。
衣類部門担当はローゼン商会副会長のモーガン侯爵家令嬢サラ・モーガン24歳。
貴金属部門担当はホズウエル侯爵家令息ギルバート・ホズウエル26歳。
小物雑貨担当はメリッサ・ナダル伯爵夫人25歳。
食品部門担当はノックス伯爵家令息タイラー・ノックス21歳。
学園時代からの友人や幼馴染が集まって経営している商会は貴族街と平民街に複数の店を持ち、それぞれの領地にも出店している。
イーサン・ボクスは学園の卒業パーティーで婚約破棄を叫び少し前まで領地に軟禁されていたが、婚約が決まった事で久しぶりに夜会への参加の許可が降りた。
「あそこの親は甘いからなあ。普通はあり得ないよ」
「親と言うより母親ね。父親が寝込んで気弱になってる隙に話を進めたの。嫡男が事故死したのも大きかったし」
「あー、セドリックかあ。いい奴だったんだよな、一緒に商売やりたかったぜ」
「ライリーと仲良かったもんね」
「それにしてもアリーシャ・メイビルとまだ繋がってたとはねえ」
「真実の愛だもん、強~い絆で結ばれてるんじゃないかな」
イーサン・ボクス⋯⋯今日の午後、サラの婚約者となった男の顔を思い出して2人仲良く溜息をついた。
「漸く婚約が認められた、これからはずっと一緒にいられるよ!!」
「嬉しいわ、漸く夢が叶うのね」
「ああ、それに父上にお願いして婚姻は半年後にしてもらったんだ」
「どうしよう、準備は間に合うかしら? ドレスにベールに⋯⋯家具もローゼン商会に頼んていい?」
「勿論だとも、ローゼン商会なら知り合いがやってるからさ。無理だなんて絶対に言わせないし明日早速見に行こう」
「素敵! 流石イーサンだわ。この間プレゼントしてくれたドレスに合うネックレス見つけたの」
「きっとアリーシャに似合うよ。アリーシャ⋯⋯愛してる」
「私も愛してるわ、イーサン。ねぇ、もう帰りましょ?」
「じゃあ⋯⋯タウンハウスで続きを」
首都で開催された今年初の夜会でも例年通り、ライトアップされた庭のあちらこちらで愛を囁き合う恋人達の声が聞こえていた。
婚約が決まったばかりらしいこのカップルはこのまま夜会をフェードアウトするつもりのようで、脱げかけていたドレスを整えて髪を直し素知らぬ顔で大広間に向かって階段を登りはじめた。
その2人をバルコニーの隅に置かれたベンチから見ていた令嬢が溜息をついた。
「はぁ、ローゼン商会ねえ。それはなんと⋯⋯毎度あり~って言うべきかしら?」
この令嬢は24歳、この国では若干行き遅れに入るモーガン侯爵家令嬢のサラ・モーガン。
「どうした?」
2つのシャンパングラスを手に持ちバルコニーに現れた男性が首を傾げた。
「半年後の婚姻までにフルセットのご予約が入りそうなんだけど」
「へえ、納期はきついけどあんまり無茶な要望がなければなんとかなるだろ?」
「元メイビル男爵家令嬢アリーシャ・メイビルとボクス公爵家令息イーサン・ボクス」
「⋯⋯⋯⋯はあ?」
驚きすぎたのかサラに渡しかけたシャンパンが溢れ、慌ててグラスを持ち直したライリーが後ろを振り返った。
華やかなパーティー会場で着飾った大勢の客が楽しんでいる様子は見えるが、問題の2人は勿論影も形もない。
「断ろうかしら、断ってもいいわよね」
「無理だろうな、奴らならゴリ押ししてくる」
冷静なツッコミを入れたのはバーラム公爵令息ライリー・バーラム26歳。
「婚約が決まったのって今日だよな」
「ええ、今日の午後サインしたばかり。ドレスやベールに家具まで注文するって話してたわ」
「わけがわからんのだが?」
「⋯⋯なんだか楽しくなりそうとか?」
「タチ悪くね?」
「面白そうじゃない? それなら楽しまなくちゃ」
「はぁ、お前なぁ。どこに楽しめる要素があるんだよ」
サラとライリーは王立学園時代からの友人でローゼン商会を共に立ち上げたメンバー。
ローゼン商会はサラが15歳の時学費と生活費を稼ぐ為にはじめた古着屋がはじまりで、ライリーとその他3人のメンバーが参加し王都でも有名な商会にまで成長した。
今では衣類・貴金属・小物・家具などあらゆるものを取り扱い、ローゼン商会に行けばなんでも揃うと言われるほどになっている。
「近々食品部門を立ち上げると知ったらパーティーメニューも注文してきそうね」
「そいつは遠慮だな。タイラーが泣く」
家具部門担当はローゼン商会会長のバーラム公爵令息ライリー・バーラム26歳。
衣類部門担当はローゼン商会副会長のモーガン侯爵家令嬢サラ・モーガン24歳。
貴金属部門担当はホズウエル侯爵家令息ギルバート・ホズウエル26歳。
小物雑貨担当はメリッサ・ナダル伯爵夫人25歳。
食品部門担当はノックス伯爵家令息タイラー・ノックス21歳。
学園時代からの友人や幼馴染が集まって経営している商会は貴族街と平民街に複数の店を持ち、それぞれの領地にも出店している。
イーサン・ボクスは学園の卒業パーティーで婚約破棄を叫び少し前まで領地に軟禁されていたが、婚約が決まった事で久しぶりに夜会への参加の許可が降りた。
「あそこの親は甘いからなあ。普通はあり得ないよ」
「親と言うより母親ね。父親が寝込んで気弱になってる隙に話を進めたの。嫡男が事故死したのも大きかったし」
「あー、セドリックかあ。いい奴だったんだよな、一緒に商売やりたかったぜ」
「ライリーと仲良かったもんね」
「それにしてもアリーシャ・メイビルとまだ繋がってたとはねえ」
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