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4.いろいろ目覚めました

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 目が覚めたとき西向きの窓から差す日差しの角度でまだ朝早い時間だと気付いた。
 部屋はひんやりと涼しく外からは鳥の囀りが聞こえてくる。

(私、生きてる・・嫌な夢だった)


 喉が渇いたと思いながら横になったまま首を横に向ける部屋に物が何もない事に驚いた。

(えっ? ・・教科書がないわ)




 それと同時に思い出したのは、高層ビル・渋滞している車・エスカレーターでホームに上がって・・。
 リュックを背負いスマホをいじっていると警笛を鳴らし電車がホームに滑り込んできた。
『ドン!』誰かが横からぶつかってきてゆっくりと線路が近づいて・・近くで叫び声が聞こえた気がする。



 慌てて飛び起きるとグラグラと眩暈がして目の前が暗くなり、次に目が覚めた時には部屋は既に暗くなっていた。

 用心して起き上がってベッドから降り、ゆっくりと歩いてドアを開けた。屋敷の中は静まりかえってもう誰も起きていないようだった。


 厨房で水を汲もうとした時に水瓶やテーブルなど何もかもが大きく感じられた。
 吃驚して自分の手を見ると、

(ちっちゃ・・なんで?)



 部屋に戻ってベッドで朝まで悩んで・・納得した。



 まず一個め。

 女子大生だった私はあの時に逝ったんだ。あの日は初デートだったのに。
 スマホ買い換えたばっかりだったし、超張り切ってオシャレしてたのに。誰だよあん時ぶつかってきた奴、あー顔くらい見ときゃ良かった。


 もう一個の記憶は17歳でアイツらに殺られたやつ。
 なに、ティアラって。見た事ないんですけど? 超絶ムカつく!
 宝物庫なんて何処にあるのかも知らんし、ステラにぶん取られたネックレスが落ちてたならアイツが犯人でしょ?


 で、この小ささとこの部屋・・。ロクサーナの昔に逆戻りしたって事だよね。何がどーなってるのかわかんないけど、やり直し?

 人生やり直しかあ・・。


 今度こそ幸せになりたいなあ。




 木から落ちて意識が戻るまでに4日経っていたらしい。その間恐らくは放置プレイされていたみたいで朝食を貰いに行ったら使用人達が、

「生きてる!」

「足は?」

 なんて大騒ぎ。取り敢えずテーブルの上からこっそりパンとリンゴをくすねて? 部屋に戻った。


 ベッドの端に座ってもそもそとパンを齧っていたら、バーンと音がしてドアが開き驚愕の顔をしたメリッサが立っていた。

「アンタ、生きてるのね。
信じられない、だってもう4日も・・」


 ロクサーナがじっと黙って見ているとメリッサが怒りはじめた。

「迷惑をかけてごめんなさいとか言えないのかしら」


「はい・・ごにょごにょ」


 謝りたくなかったロクサーナは小声で誤魔化すことにした。


「はあ、後で旦那様に知らせなくては。全くいい迷惑だわ」

 ドアを開け放したままメリッサはドスドスと音を立てていなくなった。


 断罪前までのロクサーナは「はい」と「ごめんなさい」ばかりの人生だった気がする。そのせいで使用人に無視され友達もできず常に一人ぼっちだった。


 学園に入った時ほとんど字が読めずマナーも知らなくて、貴族のくせに(試験結果が悪すぎて)最低ランクの平民クラスに入れられて散々笑い物にされた。

 笑われて馬鹿にされて図書館に篭って必死に勉強して、気づいた時には赤の間に呼び出されていた。


(よし! 今度は絶対幸せになってやる。みんな、覚えてろよ!)

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