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5.生活改善してる場合じゃなかった
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旧ロクサーナの食事はメリッサとステラの食事が終わってから、その残り物の一部が皿に盛られ厨房のテーブルの端に置かれている。
たまに肉や魚がある時もあるが、めぼしい物は厨房で働く使用人が食べてしまうのでパンとスープだけというのが定番のメニューで・・旧ロクサーナはそれを部屋に持ち帰り一人で食べていた。
新ロクサーナはそれまでより少し早めに厨房に行き、厨房の隅に陣取りパンを食べながら周りをキョロキョロ。
領主に出した料理の残りを分け合い、自分達専用に作った食事と一緒に食べていた料理人やメイドと目が合うとにっこり。
気心が知れてきたのか罪悪感に耐えきれなくなったのかほんの少しずつ品数が増えてきった。
(よっし、今日は林檎一切れゲット!)
メニューの改善と共に新ロクサーナが狙ったのは部屋の模様替え・・と言うか、家具の調達。
まず、入り口から見えるところには倉庫から運び込んだ木箱を積み上げた。
そしてメリッサにバレても文句が出ない程度を狙い、木箱の陰にローテーブルとクッションを置いた。
この世界にはローテーブルはないが、木箱を2つ並べその他に倉庫の隅で朽ちかけていた布や枕を使ってチクチク。
畳はなくても使い古しの絨毯を重ねれば最高の寛ぎスペースが出来上がった。
少し欠けたカップと蓋の割れたティーポット。今はまだ水しかないがいずれはお湯・・いつかは紅茶と夢を膨らませている。
その次に裂いた布をしっかりと撚り合わせ窓から外へ出られる長さの縄梯子を作った。
持っているのはチュニックが2枚と寝巻きが1枚。あちこち解れていたので倉庫から針と糸を頂戴してチクチク。
木から落ちて目が覚めた後から少しずつ生活改善していたら・・。
「覚えているだろうがリチャード王子との顔合わせは明日だ。準備はメリッサが手伝ってくれるが、それまで大人しくしていなさい」
(忘れてた! 一番肝心な事・・泣)
父親に呼び出され王宮に行くという最悪の知らせを聞いた翌日。
仕立て屋が持って来たドレスを着てサイズの確認をしたらロクサーナは部屋に戻るように指示された。
(似合わなかったー。7歳児に濃い紫のドレスって酷くない? しかもリボンは黒だよ)
ぶつぶつと小声で文句を言いつつも周りの様子を窺いながら部屋に戻った。
秘密のセットを手にドアの側でスタンバイし、厨房から声が聞こえなくなった時を狙いダッシュで裏庭に駆け込んだ。
裏庭の一番奥に目的のハゼの木が立っていた。灰褐色の樹皮に網目状に裂けたような模様ができているその木は、葉や枝から出てくる白い樹液で皮膚がかぶれる。
「嬢ちゃん、この木だけは触っちゃなんねえぞ」
庭師から聞いた話を思い出しながら枝にナイフで傷をつけると、真っ白な樹液がじわっと染み出してきた。
時間はかかったが、準備していた麻の布にたっぷりと含ませることが出来た。それを水で少し薄めて・・。
これだけあれば明日必ず役に立ってくれるはずだと思いながら、駆け足で屋敷に戻っていった。
(可哀想?・・全然)
翌日の昼過ぎに悪趣味な紫色のドレスを着込んだロクサーナはメリッサとステラと3人で馬車に乗り込んだ。
ロクサーナは真っ直ぐに下ろした髪にドレスと共布の紫色のリボンを結び踵のない赤い靴を履いている。
ステラは淡い緑のドレスに白いレースがふんだんに使われているとても可愛らしい装いだった。
ウエストにやや濃い緑のリボンを巻き、後ろで大きな蝶結びをしている。
サイドを編み込んだ髪には小さな宝石がついた髪飾りをつけ白い靴を履いている。
(そう言えば、アイツの目はグリーンだった)
無言のままの馬車が王宮に着き庭園に案内された。
たまに肉や魚がある時もあるが、めぼしい物は厨房で働く使用人が食べてしまうのでパンとスープだけというのが定番のメニューで・・旧ロクサーナはそれを部屋に持ち帰り一人で食べていた。
新ロクサーナはそれまでより少し早めに厨房に行き、厨房の隅に陣取りパンを食べながら周りをキョロキョロ。
領主に出した料理の残りを分け合い、自分達専用に作った食事と一緒に食べていた料理人やメイドと目が合うとにっこり。
気心が知れてきたのか罪悪感に耐えきれなくなったのかほんの少しずつ品数が増えてきった。
(よっし、今日は林檎一切れゲット!)
メニューの改善と共に新ロクサーナが狙ったのは部屋の模様替え・・と言うか、家具の調達。
まず、入り口から見えるところには倉庫から運び込んだ木箱を積み上げた。
そしてメリッサにバレても文句が出ない程度を狙い、木箱の陰にローテーブルとクッションを置いた。
この世界にはローテーブルはないが、木箱を2つ並べその他に倉庫の隅で朽ちかけていた布や枕を使ってチクチク。
畳はなくても使い古しの絨毯を重ねれば最高の寛ぎスペースが出来上がった。
少し欠けたカップと蓋の割れたティーポット。今はまだ水しかないがいずれはお湯・・いつかは紅茶と夢を膨らませている。
その次に裂いた布をしっかりと撚り合わせ窓から外へ出られる長さの縄梯子を作った。
持っているのはチュニックが2枚と寝巻きが1枚。あちこち解れていたので倉庫から針と糸を頂戴してチクチク。
木から落ちて目が覚めた後から少しずつ生活改善していたら・・。
「覚えているだろうがリチャード王子との顔合わせは明日だ。準備はメリッサが手伝ってくれるが、それまで大人しくしていなさい」
(忘れてた! 一番肝心な事・・泣)
父親に呼び出され王宮に行くという最悪の知らせを聞いた翌日。
仕立て屋が持って来たドレスを着てサイズの確認をしたらロクサーナは部屋に戻るように指示された。
(似合わなかったー。7歳児に濃い紫のドレスって酷くない? しかもリボンは黒だよ)
ぶつぶつと小声で文句を言いつつも周りの様子を窺いながら部屋に戻った。
秘密のセットを手にドアの側でスタンバイし、厨房から声が聞こえなくなった時を狙いダッシュで裏庭に駆け込んだ。
裏庭の一番奥に目的のハゼの木が立っていた。灰褐色の樹皮に網目状に裂けたような模様ができているその木は、葉や枝から出てくる白い樹液で皮膚がかぶれる。
「嬢ちゃん、この木だけは触っちゃなんねえぞ」
庭師から聞いた話を思い出しながら枝にナイフで傷をつけると、真っ白な樹液がじわっと染み出してきた。
時間はかかったが、準備していた麻の布にたっぷりと含ませることが出来た。それを水で少し薄めて・・。
これだけあれば明日必ず役に立ってくれるはずだと思いながら、駆け足で屋敷に戻っていった。
(可哀想?・・全然)
翌日の昼過ぎに悪趣味な紫色のドレスを着込んだロクサーナはメリッサとステラと3人で馬車に乗り込んだ。
ロクサーナは真っ直ぐに下ろした髪にドレスと共布の紫色のリボンを結び踵のない赤い靴を履いている。
ステラは淡い緑のドレスに白いレースがふんだんに使われているとても可愛らしい装いだった。
ウエストにやや濃い緑のリボンを巻き、後ろで大きな蝶結びをしている。
サイドを編み込んだ髪には小さな宝石がついた髪飾りをつけ白い靴を履いている。
(そう言えば、アイツの目はグリーンだった)
無言のままの馬車が王宮に着き庭園に案内された。
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