16 / 41
16.罵声を浴びせる
しおりを挟む
「秘密なのかなって思ったから誰にも話してないよ」
「ありがとうございます。今後も秘密にして頂ければ助かります。
それから私に婚約者はおりませんが」
ロクサーナが不思議そうに首を傾げるとリアムが本気で吃驚した顔になった。
「ロクサーナ嬢はリチャード王子殿下の婚約者だろう? そう聞いてる」
「はあ? 何かの間違いです!」
あまりの衝撃に思わず地が出てしまったロクサーナだがリアムから更なる衝撃情報がもたらされた。
「だって、今度の休暇から王子妃教育がはじまるってリチャードが話してたけど?」
(あり得ない、何でこうなった?
確か旧ロクサーナの時はとっくに知らされてたよね。だから話は立ち消えになったと思ってたのに。
王妃様からの呼び出しだって今回は一度もないし)
「すみません、急ぎますのでこれで失礼します」
リアムの返事も待たずロクサーナは貴族令嬢らしからぬスピードで脱兎の如く駆け出した。
(侯爵令嬢の走り・・うーん、結構健脚だな)
馬車での打ち合わせを早めに切り上げロクサーナは屋敷に戻ってきた。
チャールズが私室で出かける準備をしていると聞き、ロクサーナは確認も取らずチャールズの部屋のドアをノックした。
部屋に入るとチャールズは従者にクラバットを結ばせている最中だった。
「これから出かける。用事があるならまた今度にしなさい」
「それどころではありません。緊急かつ速やかに教えて頂きたい事があります。
私がリチャード殿下と婚約していると言うデマを聞きました」
ロクサーナが怒りを込めて問いただすと、チャールズは従者を下がらせて結びかけのクラバットを引き抜いた。
「いまさら何を言っている。お前は3年前に殿下と婚約したではないか?」
「聞いておりません。今回は婚約式もやっておりませんし、王妃様からの呼び出しもきていません」
「・・今回は?」
「些事に構うのはやめて下さい!」
ロクサーナは頭に血が上り制服を握りしめた手がプルプルと震えていた。
「メリッサから伝えたはずだ。それにお前は婚約式に出席するのは嫌だと駄々を捏ねて、王妃様からの呼び出しも無視していると聞いている」
「はあ? ざけんじゃないわよ! あのクソババア」
「ロクサーナ・・今何と言った?」
「何でもかんでもメリッサ、メリッサ。
勝手にやってればいいでしょ!
リチャードとの婚約は破棄して頂きます。でなければ私は侯爵家を出て行きますから!」
呆気に取られているチャールズを無視してロクサーナは部屋を飛び出した。
ロクサーナが階段を駆け降りているとチャールズが追いかけて来た。
「ロクサーナ、待ちなさい!」
怒鳴り声に立ち止まったロクサーナは階段の上に仁王立ちしているチャールズを睨みつけた。
「執務室に来なさい」
チャールズはロクサーナの返事を待たず歩き出した。
無視しようかとも思ったが仕方なくチャールズの後について執務室に入ったロクサーナはドアの近くに立ったまま黙りを決め込んだ。
執務机の前に立ったチャールズがロクサーナを睨みつけながら話しはじめた。
「3年前に既に婚約は成立している。何が気に入らないのかは知らんがこれ以上の我儘は許さん」
「・・」
「王妃様からの再三の招待を無視し勝手放題しているが、王子妃教育がはじまる。態度を改めて務めるように」
「・・」
「今日のパーティーを欠席することは許さん。サッサと準備をするんだ」
チャールズは手をさっと振り、要件は済んだとばかりにロクサーナを追い払おうとした。
「まあ、大変ですわ。今日パーティーがあるとは存じませんでした。
私が着るドレスは何処にございますのかお教え頂けますでしょうか?」
「お前の部屋に決まっておろう」
ロクサーナの馬鹿にしたような大袈裟な態度にチャールズの眉間の皺がますます深くなっていった。
「ではご一緒してくださいませ。ドレスのある場所まで案内して頂けますでしょうか?」
「・・どういう意味だ?」
「どこにあるのか存じませんの」
「ありがとうございます。今後も秘密にして頂ければ助かります。
それから私に婚約者はおりませんが」
ロクサーナが不思議そうに首を傾げるとリアムが本気で吃驚した顔になった。
「ロクサーナ嬢はリチャード王子殿下の婚約者だろう? そう聞いてる」
「はあ? 何かの間違いです!」
あまりの衝撃に思わず地が出てしまったロクサーナだがリアムから更なる衝撃情報がもたらされた。
「だって、今度の休暇から王子妃教育がはじまるってリチャードが話してたけど?」
(あり得ない、何でこうなった?
確か旧ロクサーナの時はとっくに知らされてたよね。だから話は立ち消えになったと思ってたのに。
王妃様からの呼び出しだって今回は一度もないし)
「すみません、急ぎますのでこれで失礼します」
リアムの返事も待たずロクサーナは貴族令嬢らしからぬスピードで脱兎の如く駆け出した。
(侯爵令嬢の走り・・うーん、結構健脚だな)
馬車での打ち合わせを早めに切り上げロクサーナは屋敷に戻ってきた。
チャールズが私室で出かける準備をしていると聞き、ロクサーナは確認も取らずチャールズの部屋のドアをノックした。
部屋に入るとチャールズは従者にクラバットを結ばせている最中だった。
「これから出かける。用事があるならまた今度にしなさい」
「それどころではありません。緊急かつ速やかに教えて頂きたい事があります。
私がリチャード殿下と婚約していると言うデマを聞きました」
ロクサーナが怒りを込めて問いただすと、チャールズは従者を下がらせて結びかけのクラバットを引き抜いた。
「いまさら何を言っている。お前は3年前に殿下と婚約したではないか?」
「聞いておりません。今回は婚約式もやっておりませんし、王妃様からの呼び出しもきていません」
「・・今回は?」
「些事に構うのはやめて下さい!」
ロクサーナは頭に血が上り制服を握りしめた手がプルプルと震えていた。
「メリッサから伝えたはずだ。それにお前は婚約式に出席するのは嫌だと駄々を捏ねて、王妃様からの呼び出しも無視していると聞いている」
「はあ? ざけんじゃないわよ! あのクソババア」
「ロクサーナ・・今何と言った?」
「何でもかんでもメリッサ、メリッサ。
勝手にやってればいいでしょ!
リチャードとの婚約は破棄して頂きます。でなければ私は侯爵家を出て行きますから!」
呆気に取られているチャールズを無視してロクサーナは部屋を飛び出した。
ロクサーナが階段を駆け降りているとチャールズが追いかけて来た。
「ロクサーナ、待ちなさい!」
怒鳴り声に立ち止まったロクサーナは階段の上に仁王立ちしているチャールズを睨みつけた。
「執務室に来なさい」
チャールズはロクサーナの返事を待たず歩き出した。
無視しようかとも思ったが仕方なくチャールズの後について執務室に入ったロクサーナはドアの近くに立ったまま黙りを決め込んだ。
執務机の前に立ったチャールズがロクサーナを睨みつけながら話しはじめた。
「3年前に既に婚約は成立している。何が気に入らないのかは知らんがこれ以上の我儘は許さん」
「・・」
「王妃様からの再三の招待を無視し勝手放題しているが、王子妃教育がはじまる。態度を改めて務めるように」
「・・」
「今日のパーティーを欠席することは許さん。サッサと準備をするんだ」
チャールズは手をさっと振り、要件は済んだとばかりにロクサーナを追い払おうとした。
「まあ、大変ですわ。今日パーティーがあるとは存じませんでした。
私が着るドレスは何処にございますのかお教え頂けますでしょうか?」
「お前の部屋に決まっておろう」
ロクサーナの馬鹿にしたような大袈裟な態度にチャールズの眉間の皺がますます深くなっていった。
「ではご一緒してくださいませ。ドレスのある場所まで案内して頂けますでしょうか?」
「・・どういう意味だ?」
「どこにあるのか存じませんの」
122
あなたにおすすめの小説
【大賞・完結】地味スキル《お片付け》は最強です!社畜OL、異世界でうっかり国を改革しちゃったら、騎士団長と皇帝陛下に溺愛されてるんですが!?
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞で大賞をいただきました】→【規約変更で書籍化&コミカライズ「確約」は取り消しになりました。】
佐藤美佳子(サトウ・ミカコ)、享年28歳。死因は、過労。連日の徹夜と休日出勤の果てに、ブラック企業のオフィスで静かに息を引き取った彼女が次に目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界だった。
新たな生を受けたのは、田舎のしがない貧乏貴族の娘、ミカ・アシュフィールド、16歳。神様がくれた転生特典は、なんと《完璧なる整理整頓》という、とんでもなく地味なスキルだった。
「せめて回復魔法とかが良かった……」
戦闘にも生産にも役立たないスキルに落胆し、今度こそは静かに、穏やかに生きたいと願うミカ。しかし、そんな彼女のささやかな望みは、王家からの突然の徴収命令によって打ち砕かれる。
「特殊技能持ちは、王宮へ出仕せよ」
家族を守るため、どうせ役立たずと追い返されるだろうと高をくくって王都へ向かったミカに与えられた任務は、あまりにも無謀なものだった。
「この『開かずの倉庫』を、整理せよ」
そこは、数百年分の備品や資材が山と積まれ、あまりの混沌ぶりに探検隊が遭難したとまで噂される、王家最大の禁足地。
絶望的な光景を前に、ミカが覚悟を決めてスキルを発動した瞬間――世界は、彼女の「お片付け」が持つ真の力に震撼することになる。
これは、地味スキルでうっかり国のすべてを最適化してしまった元社畜令嬢が、カタブツな騎士団長や有能すぎる皇帝陛下にその価値を見出され、なぜか過保護に甘やかされてしまう、お仕事改革ファンタジー。
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
悪役令嬢は大好きな絵を描いていたら大変な事になった件について!
naturalsoft
ファンタジー
『※タイトル変更するかも知れません』
シオン・バーニングハート公爵令嬢は、婚約破棄され辺境へと追放される。
そして失意の中、悲壮感漂う雰囲気で馬車で向かって─
「うふふ、計画通りですわ♪」
いなかった。
これは悪役令嬢として目覚めた転生少女が無駄に能天気で、好きな絵を描いていたら周囲がとんでもない事になっていったファンタジー(コメディ)小説である!
最初は幼少期から始まります。婚約破棄は後からの話になります。
毒を盛られて生死を彷徨い前世の記憶を取り戻しました。小説の悪役令嬢などやってられません。
克全
ファンタジー
公爵令嬢エマは、アバコーン王国の王太子チャーリーの婚約者だった。だがステュワート教団の孤児院で性技を仕込まれたイザベラに籠絡されていた。王太子達に無実の罪をなすりつけられエマは、修道院に送られた。王太子達は執拗で、本来なら侯爵一族とは認められない妾腹の叔父を操り、父親と母嫌を殺させ公爵家を乗っ取ってしまった。母の父親であるブラウン侯爵が最後まで護ろうとしてくれるも、王国とステュワート教団が協力し、イザベラが直接新種の空気感染する毒薬まで使った事で、毒殺されそうになった。だがこれをきっかけに、異世界で暴漢に腹を刺された女性、美咲の魂が憑依同居する事になった。その女性の話しでは、自分の住んでいる世界の話が、異世界では小説になって多くの人が知っているという。エマと美咲は協力して王国と教団に復讐する事にした。
【完結】勘違い令嬢はお花屋さんを始めたい ~婚約者契約は円満に終了しました
九條葉月
恋愛
【ジャンル1位獲得!】
【HOTランキング1位獲得!】
とある公爵との契約(婚約者関係)を無事に終えたシャーロットは、夢だったお花屋さんを始めるための準備に取りかかる。
順調に準備を進めていると、契約を終えたはずの公爵様や王太子殿下たちがなぜか次々とお店にやって来て――!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる