✖️✖️の薬を作ったら牢に入れられました。ここで薬を作れ? それは嫌かなー。って事でさよならします

との

文字の大きさ
5 / 149
はじまりの時

3.驚愕のネイサン&ライラ

しおりを挟む
 北の塔に幽閉されて既に一週間が経っている。

 運ばれて来る食事は一日二回。

 いつも代わり映えのしない質素なものだが、その横には必ず新鮮な果物や甘いお菓子が添えられている。

 騎士が食事を運んできた時、怪我や病気の相談を受ける事がある。
 その時々で必要な薬を作ってこっそり渡しているので、そのお礼なのだろうと思っている。


 それ以外の時間もミリアはとても快適に過ごしていた。
 以前、ウォーカーからプレゼントされたアイテムバックには沢山の本や資料が入っている。

 同じくアイテムバックから出したライトをつけて、本を読み資料を纏め新しい薬の製法を研究し・・。

(そろそろ殿下が来る頃だと思うのよね)


 ミリアの記憶では五日後には陛下が戻られる。それ迄にミリアに薬を作らせたいとネイサンは考えるだろうと予想している。



 翌日の昼前に階段を登る足音が聞こえて来た。

(来たみたい)

 大急ぎでランプと本と資料を片付けた。


 ドアが大きく開くと予想通りネイサンが部屋に入ってきた。
 立ち上がったミリアはニッコリと微笑みを浮かべ挨拶をした。

「ようこそおいで下さいました」

「嫌味か?」 

(はい、その通り嫌味でございます)

「何故薬を作らん?」

「楽しんで頂けておりますでしょうか?」


 ネイサンがミリアの前にある机を蹴り飛ばした。

「貴様、絞首刑になってもいいのか? それとも毒杯か?」

 ちょこんと首を傾げたミリアは、
「毒でしたら、とても弱い神経毒の薬が昨夜のスープに入っておりました」

「その割には元気ではないか」

「お陰様でこの通りでございます」



「薬を作れ! そうすれば自由になるのだぞ」

「おかしな事を仰せられます。
私は薬に毒を盛ったと言われここに幽閉されました。
それなのに薬を作れと言われるのでしょうか?」


「ぐっ! 屁理屈を申すな。兎に角急ぎ薬を作るんだ!」

「お断りいたします!」

 初めてミリアが強い口調で返答した。


「いいか、必ず今日中に薬を作れ。でなければただではおかん。
鞭打ちは痛いだろうな。拷問というのは色々種類があるそうだ」

(そんな事させる訳ないし)

(そうなったらさっさと逃げ出すわ)


 ミリアは国王が帰って来るのを待っていた。ネイサンの愚かな行動を聞いた国王がどの様な判断を下すのか。

 それによってこの国を見限るかどうかを決めたいと思っていた。

(予想はついてるけど、一応確認しておきたいし)


「貴様のような奴でも大事な人がいるだろう? そいつらに何かあればどうする?」

「どう言う意味でしょうか?」

「貴様の知り合いを捕まえ牢に入れている。貴様が薬を作らないならそいつらを鞭打ちの刑に処す」

「無実の者に鞭打ちの刑を?」

「それが嫌ならばさっさと薬を作るんだな」


 黙り込んだミリアを見て薬を作ると確信したネイサンが帰って行った。

(あんな嘘、信じる訳ないじゃん)



 ミリアがネイサンから呼び出しを受けたすぐ後に、ウォーカーは友人や知人と共にこの国を離れる事になっている。
 一週間経っているので既にこの国を出て約束の場所に向かっているはず。

 だから、ネイサンが言うような知り合いはこの国に残っていない。


(ただ、にいさんからの連絡がまだ来ない・・)


 追い詰められたネイサンは翌日も、その翌日もミリアの元にやって来た。

 日に日に焦りを隠せなくなっていくネイサンはとうとう剣を持ってやって来た。

「薬を作れ! さもないと」

 剣を抜きミリアに向けて構えた。


「どちらにしても薬が手に入らないと言う事ですね」

「明日陛下が戻られる。お前が薬を作らないなら絞首刑にされるぞ、それでもいいのか?」


 ミリアは小首を傾げて少し悩むフリをした。

「絞首刑はお断りしたいと思います。
陛下がお戻りになられましたらどのようなご判断をなされるのか楽しみにしております」

「は! 陛下の温情を期待しているわけか。陛下が俺より貴様の話を聞く訳がない」

「では、慌てず陛下のお戻りを待たれては如何でしょうか?」



「馬鹿もん、この大馬鹿者が! あの者を幽閉しただと。
彼奴がおらねば薬が手に入らぬ。
何の為に叙爵させたと思おておるのか。
彼奴をこの国に縛り付ける為、行動を監視制限する為であったのに。

あれの薬は我が国最大の武器であるのだぞ。あれを使って主権国家となるべく根回しをしておったと言うに」


「くっ薬を作れと陛下が一言仰れば「その程度で首を縦に振るような女で無い事くらい分からんのか!」」

 陛下の剣幕にネイサンとライラは怯え後ずさった。


モルガリウス宰相、何故とめなんだ。この様な愚行を、何故やらせたのだ!」

「申し訳ございません。ライラ・ブレイクス子爵令嬢がミリアと同等の薬を作れると」

「ライラ・ブレイクス。其方がミリアの代わりと申すか? ミリアと同等の薬を作れると申したか?」

「はい、つっ作れます」


「ならば作ってみせよ。エリクサーをな」

「は? えっ? エリ・・クサー?」

「そうじゃ、あれが作る欠損をも直すエリクサーと同じ物。作ってみせよ」


 ネイサンとライラが床に座り込んだ。

「「無理だ(です)」」


「ならば・・余が、あれに会いに行かねばなるまい。
其方達には追って沙汰を言い渡す。
それまで謹慎を申しつける。連れて行け」

しおりを挟む
感想 92

あなたにおすすめの小説

追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?

タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。 白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。 しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。 王妃リディアの嫉妬。 王太子レオンの盲信。 そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。 「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」 そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。 彼女はただ一言だけ残した。 「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」 誰もそれを脅しとは受け取らなかった。 だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。

国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします。

樋口紗夕
恋愛
公爵令嬢ヘレーネは王立魔法学園の卒業パーティーで第三王子ジークベルトから婚約破棄を宣言される。 ジークベルトの真実の愛の相手、男爵令嬢ルーシアへの嫌がらせが原因だ。 国外追放を言い渡したジークベルトに、ヘレーネは眉一つ動かさずに答えた。 「国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします」

よくある父親の再婚で意地悪な義母と義妹が来たけどヒロインが○○○だったら………

naturalsoft
恋愛
なろうの方で日間異世界恋愛ランキング1位!ありがとうございます! ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ 最近よくある、父親が再婚して出来た義母と義妹が、前妻の娘であるヒロインをイジメて追い出してしまう話……… でも、【権力】って婿養子の父親より前妻の娘である私が持ってのは知ってます?家を継ぐのも、死んだお母様の直系の血筋である【私】なのですよ? まったく、どうして多くの小説ではバカ正直にイジメられるのかしら? 少女はパタンッと本を閉じる。 そして悪巧みしていそうな笑みを浮かべて── アタイはそんな無様な事にはならねぇけどな! くははははっ!!! 静かな部屋の中で、少女の笑い声がこだまするのだった。

お姉さまに挑むなんて、あなた正気でいらっしゃるの?

中崎実
ファンタジー
若き伯爵家当主リオネーラには、異母妹が二人いる。 殊にかわいがっている末妹で気鋭の若手画家・リファと、市中で生きるしっかり者のサーラだ。 入り婿だったのに母を裏切って庶子を作った父や、母の死後に父の正妻に収まった継母とは仲良くする気もないが、妹たちとはうまくやっている。 そんな日々の中、暗愚な父が連れてきた自称「婚約者」が突然、『婚約破棄』を申し出てきたが…… ※第2章の投稿開始後にタイトル変更の予定です ※カクヨムにも同タイトル作品を掲載しています(アルファポリスでの公開は数時間~半日ほど早めです)

偽物と断罪された令嬢が精霊に溺愛されていたら

影茸
恋愛
 公爵令嬢マレシアは偽聖女として、一方的に断罪された。  あらゆる罪を着せられ、一切の弁明も許されずに。  けれど、断罪したもの達は知らない。  彼女は偽物であれ、無力ではなく。  ──彼女こそ真の聖女と、多くのものが認めていたことを。 (書きたいネタが出てきてしまったゆえの、衝動的短編です) (少しだけタイトル変えました)

婚約破棄ですか???実家からちょうど帰ってこいと言われたので好都合です!!!これからは復讐をします!!!~どこにでもある普通の令嬢物語~

tartan321
恋愛
婚約破棄とはなかなか考えたものでございますね。しかしながら、私はもう帰って来いと言われてしまいました。ですから、帰ることにします。これで、あなた様の口うるさい両親や、その他の家族の皆様とも顔を合わせることがないのですね。ラッキーです!!! 壮大なストーリーで奏でる、感動的なファンタジーアドベンチャーです!!!!!最後の涙の理由とは??? 一度完結といたしました。続編は引き続き書きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

私の婚約者でも無いのに、婚約破棄とか何事ですか?

狼狼3
恋愛
「お前のような冷たくて愛想の無い女などと結婚出来るものか。もうお前とは絶交……そして、婚約破棄だ。じゃあな、グラッセマロン。」 「いやいや。私もう結婚してますし、貴方誰ですか?」 「俺を知らないだと………?冗談はよしてくれ。お前の愛するカーナトリエだぞ?」 「知らないですよ。……もしかして、夫の友達ですか?夫が帰ってくるまで家使いますか?……」 「だから、お前の夫が俺だって──」 少しずつ日差しが強くなっている頃。 昼食を作ろうと材料を買いに行こうとしたら、婚約者と名乗る人が居ました。 ……誰コイツ。

弟が悪役令嬢に怪我をさせられたのに、こっちが罰金を払うだなんて、そんなおかしな話があるの? このまま泣き寝入りなんてしないから……!

冬吹せいら
恋愛
キリア・モルバレスが、令嬢のセレノー・ブレッザに、顔面をナイフで切り付けられ、傷を負った。 しかし、セレノーは謝るどころか、自分も怪我をしたので、モルバレス家に罰金を科すと言い始める。 話を聞いた、キリアの姉のスズカは、この件を、親友のネイトルに相談した。 スズカとネイトルは、お互いの身分を知らず、会話する仲だったが、この件を聞いたネイトルが、ついに自分の身分を明かすことに。 そこから、話しは急展開を迎える……。

処理中です...