✖️✖️の薬を作ったら牢に入れられました。ここで薬を作れ? それは嫌かなー。って事でさよならします

との

文字の大きさ
16 / 149
逃走、ハーミット王国へ

14.ひたすら歩き続けます

しおりを挟む
 翌朝眠い目を擦りながら荷物を片付けた。

 顔を洗って洞穴の外に出た。今日も嬉しい事に天気は快晴で朝露に濡れた木の葉が輝いていた。

 隠蔽魔法をかけて入り口を隠し指南魚で方向を確認。湿った地面を踏みしめて歩き出した。


 洞穴から離れたところで朝食の準備をはじめた。
 メニューは昨日と同じ。
 組んだ石の中の小枝に火を付けようとしたら巨大な火の玉ができて、即席のかまどとその周りの木や葉っぱが丸焦げになった。

(うぅ、今日のお茶は諦めよう)

 はぁ・・と溜息をつきながら燃え滓に水をかけていく。


 チーズを挟んだパンを食べて水を飲んだらすぐに出発した。


 一時間くらい歩いた頃、近くに魔物の気配を感じた。
 運の悪い事に相手は複数で、恐らくキングかジェネラルがいる。しかもミリアがいるのは奴らの風上。

 既に相手に気付かれている。


 身体強化をかけエリクサーを確認。身をかがめ敵の動きを伺っていると、ゆっくりとこちらに近づいてくる。


 敵はオークの群を従えたオークキングだった。オークの数は凡そ二十で群れとしてはそれほど大きくないほう。


 オークは背がやや高く醜い人型の魔物で普通ならそれほど強くないが、キングがいるなら話は違ってくる。
 統率の取れた動きをしてくるし格段に強い。
 頭は豚で牙が生えており殆どが緑色かピンク色をしている。


(グロいよね、オーク)



 先頭集団が目に入った。ミリアは今ひとりきりだから、攻撃を一度でも受けたら終わると自覚している。


 ミリアは先制攻撃を仕掛けると決めて走り出した。【ウォーターカッター】で一匹ずつ確実に仕留めていく。

(六匹)

 周りに取り囲んだオークを【フラッシュ】で目眩し動きを止めた後【ウォーターカッター】を放ちながら駆け出した。

(四匹)

 斜め左前方から弓矢が飛んできた。離れたところに一匹、次の矢を既に構えている。

 狙いを定めて【ウインドカッター】を連発。

(一匹)


 キングは小柄なミリアが見上げるほどの大きさで、群れの一番後ろに立ちこちらを威嚇している。

 オークキングが咆哮を上げた。

 錆びた刀を持ったオークが叫びながら横広がりで走ってくる。【アイスウォール】【ウォーターカッター】
 二匹のオークに挟み撃ちされそうになり、慌てて後ろに飛び退った。
 両手を前に伸ばし二匹纏めて【ウインドカッター】

(四匹)


 キングが残ったオークを引き連れて前に出てきた。走りながらオークに【ウォーターカッター】
 ダメージは与えられたが倒せなかった。

 アイテムバックから掴み出した護符。【サンダー】【サンダー】【サンダー】【ウォーターカッター】

(残り二匹)


 体力が限界を超えて息が苦しいが、回復薬を飲む余裕のないミリア。


 一か八かの【ファイアボール】をキングの顔めがけて打ち込み、もう一匹のオークに【ウインドカッター】

(当たった!)

 顔を焼かれたキングが咆哮を上げ暴れ回っている。残ったニ枚を使ってキングに【サンダー】【サンダー】



(おっ終わった?)


 座り込んだミリアはキングを睨みながら回復ポーションを飲んだ。


 ジリジリパチパチと音がしている。

(ヤバい、山火事!)


 音のする方に向けて走りながら【ウォーターボール】を連発した。


 大きすぎたファイアボールの影響が残ってないかと暫く歩き回りながら、溜息をついて今回の戦いを脳内反省会するミリアだった。


 
 少しだけ休憩したミリアは『えい!』と掛け声をかけて立ち上がった。
『モンストルムの森』を抜け関所までの道はまだ遠い。





 その後二日かけて森を抜けた。何度か魔物と戦闘になったが無事に切り抜け、今は関所に向かう街道を目指して荒れ地を歩いている。

 野生の動物がちらほら見えるだけで危険はないが背の低い木があるだけの一帯には日陰がなく、焼けつくような日差しでミリアのシャツは汗まみれになっている。


(今のうちにここを抜けないと、今晩は徹夜になっちゃう)


 短い休みに水分補給をしながら歩き続けた。食欲はないが回復ポーションはまだ残っているので、身体強化をかけて前に進み続けた。


(塔に薬草を持って来てくれたネイサンに感謝? ないわー、不満しか出てこない)


 ネイサン・ライラ・国王・宰相・・後、王宮医師団に薬師達に? あと誰だっけ?


 いつか『モンストルムの森』に放り込む予定の奴らを数えながら歩き続けていると街道が見えてきた。

(やった! あと一息)


 ここから関所までならきっと夜には辿り着けるはずだと信じて気合を入れた。



 時折商人の荷馬車や駅馬車が走って行く。ミリアは彼らに見つからないように、街道から少し離れた所を歩いて行った。


 関所の近くに着いた時には空に星が瞬き、野生動物の鳴き声が微かに聞こえていた。


(この辺りなら魔物は出ないから)


 木の陰で寝ずの番をしながら夜を明かした。

 身支度を整え干し肉を少し齧って様子を伺っていると、兵士が二名出てきて関所の大きな扉を開けそのまま立ち塞がった。

 何か話しているがミリアの所まで声は聞こえてこない。何度か兵士が交代したが隙が見当たらないのでそのまま様子を伺っていた。

 昼前くらいになり馬車の音が聞こえて来て、荷馬車が三台と周りを取り囲む護衛六人の大所帯の商団がやってきた。



 兵士と護衛が話し始めた。ミリアがそっと後ろから荷馬車に近づき中を伺うと大量の木箱が積まれていた。
 乗り込み荷物の中程の大きな木箱の影に隠れた。

 兵士が荷改をはじめた。

「家出って、冗談じゃないぜ」

「どうせまた貴族だろ? くだらねぇ」

「ここの関所で止められるのなんざ初めてだよ。よっぽど金持ちのボンボンかなんかか?」


 兵士に対して聞こえよがしに文句を言う護衛達のお陰で情報が手に入った。
 息を殺しひたすら馬車が動きはじめるのを待った。

しおりを挟む
感想 92

あなたにおすすめの小説

追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?

タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。 白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。 しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。 王妃リディアの嫉妬。 王太子レオンの盲信。 そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。 「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」 そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。 彼女はただ一言だけ残した。 「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」 誰もそれを脅しとは受け取らなかった。 だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。

断罪中、味方が多すぎて王子が孤立している件について

夏乃みのり
恋愛
バーンスタイン伯爵家の令嬢ラミリアは、魔力も剣の才能もない「ごく普通」の地味な女性。 ある日のパーティーで、婚約者であるジェラルド第二王子から「地味で無能で嫉妬深い」と罵られ、身に覚えのない罪で婚約破棄を突きつけられてしまう。 しかし、断罪劇は予想外の展開へ。

お姉さまに挑むなんて、あなた正気でいらっしゃるの?

中崎実
ファンタジー
若き伯爵家当主リオネーラには、異母妹が二人いる。 殊にかわいがっている末妹で気鋭の若手画家・リファと、市中で生きるしっかり者のサーラだ。 入り婿だったのに母を裏切って庶子を作った父や、母の死後に父の正妻に収まった継母とは仲良くする気もないが、妹たちとはうまくやっている。 そんな日々の中、暗愚な父が連れてきた自称「婚約者」が突然、『婚約破棄』を申し出てきたが…… ※第2章の投稿開始後にタイトル変更の予定です ※カクヨムにも同タイトル作品を掲載しています(アルファポリスでの公開は数時間~半日ほど早めです)

偽物と断罪された令嬢が精霊に溺愛されていたら

影茸
恋愛
 公爵令嬢マレシアは偽聖女として、一方的に断罪された。  あらゆる罪を着せられ、一切の弁明も許されずに。  けれど、断罪したもの達は知らない。  彼女は偽物であれ、無力ではなく。  ──彼女こそ真の聖女と、多くのものが認めていたことを。 (書きたいネタが出てきてしまったゆえの、衝動的短編です) (少しだけタイトル変えました)

精霊の愛し子が濡れ衣を着せられ、婚約破棄された結果

あーもんど
恋愛
「アリス!私は真実の愛に目覚めたんだ!君との婚約を白紙に戻して欲しい!」 ある日の朝、突然家に押し掛けてきた婚約者───ノア・アレクサンダー公爵令息に婚約解消を申し込まれたアリス・ベネット伯爵令嬢。 婚約解消に同意したアリスだったが、ノアに『解消理由をそちらに非があるように偽装して欲しい』と頼まれる。 当然ながら、アリスはそれを拒否。 他に女を作って、婚約解消を申し込まれただけでも屈辱なのに、そのうえ解消理由を偽装するなど有り得ない。 『そこをなんとか······』と食い下がるノアをアリスは叱咤し、屋敷から追い出した。 その数日後、アカデミーの卒業パーティーへ出席したアリスはノアと再会する。 彼の隣には想い人と思われる女性の姿が·····。 『まだ正式に婚約解消した訳でもないのに、他の女とパーティーに出席するだなんて·····』と呆れ返るアリスに、ノアは大声で叫んだ。 「アリス・ベネット伯爵令嬢!君との婚約を破棄させてもらう!婚約者が居ながら、他の男と寝た君とは結婚出来ない!」 濡れ衣を着せられたアリスはノアを冷めた目で見つめる。 ······もう我慢の限界です。この男にはほとほと愛想が尽きました。 復讐を誓ったアリスは────精霊王の名を呼んだ。 ※本作を読んでご気分を害される可能性がありますので、閲覧注意です(詳しくは感想欄の方をご参照してください) ※息抜き作品です。クオリティはそこまで高くありません。 ※本作のざまぁは物理です。社会的制裁などは特にありません。 ※hotランキング一位ありがとうございます(2020/12/01)

田舎娘をバカにした令嬢の末路

冬吹せいら
恋愛
オーロラ・レンジ―は、小国の産まれでありながらも、名門バッテンデン学園に、首席で合格した。 それを不快に思った、令嬢のディアナ・カルホーンは、オーロラが試験官を買収したと嘘をつく。 ――あんな田舎娘に、私が負けるわけないじゃない。 田舎娘をバカにした令嬢の末路は……。

無魔力の令嬢、婚約者に裏切られた瞬間、契約竜が激怒して王宮を吹き飛ばしたんですが……

タマ マコト
ファンタジー
王宮の祝賀会で、無魔力と蔑まれてきた伯爵令嬢エリーナは、王太子アレクシオンから突然「婚約破棄」を宣告される。侍女上がりの聖女セレスが“新たな妃”として選ばれ、貴族たちの嘲笑がエリーナを包む。絶望に胸が沈んだ瞬間、彼女の奥底で眠っていた“竜との契約”が目を覚まし、空から白銀竜アークヴァンが降臨。彼はエリーナの涙に激怒し、王宮を半壊させるほどの力で彼女を守る。王国は震え、エリーナは自分が竜の真の主であるという運命に巻き込まれていく。

婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました

由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。 彼女は何も言わずにその場を去った。 ――それが、王太子の終わりだった。 翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。 裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。 王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。 「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」 ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。

処理中です...