✖️✖️の薬を作ったら牢に入れられました。ここで薬を作れ? それは嫌かなー。って事でさよならします

との

文字の大きさ
131 / 149
アルスター侯爵家

129.ルカVSヘルメース

しおりを挟む
 ベルフェゴールを排除して6日目、漸くセオドラ達ギルド本部のメンバーが侯爵家にやって来た。

「こりゃまた・・」

 半壊した屋敷を眺めながら呆然と呟いたセオドラは屋敷の大穴から悠々と歩いてくるルカに気がついた。

「よ! 結構時間がかかったじゃねえか」

「ああ、出がけにちょっとな」


 肩を並べて歩き出したルカとセオドラの後ろを3人の本部職員が恐る恐るついてきたが屋敷の手前で二の足を踏んで立ち止まってしまった。

「あの、崩れたりは・・」

「危なそうなとこはちびすけが土魔法で補強したから生き埋めになるこたねえと思う」

「まさかとは思うがここに住んでるんじゃないよな」

「ああ、離れに寝泊まりしてる。残りは村から通ってくる奴と裏の馬場でテント暮らししてる奴だな」


 ずんずんと歩いて行くルカの後ろからセオドラ達が屋敷の中に足を踏み入れ、崩れ落ちた天井や瓦礫を排除した屋敷の中を見回した。

「想像以上の威力だな。よく死なずにベルフェゴールに勝てたな」

「マモンの時と一緒でニブルヘイムに追い返しただけだからな。ミリアの魔法と知恵の勝利ってとこ」

「おい、そいつらが本部から来るって言ってた奴等?」

 馬場で寛いでいたはずのヘルメースがマイアとカリストーを連れてやって来ると、セオドラと本部職員は3人の美しさに思わず息を呑んだ。風もないのに揺らぐ髪が黄金の輝きを見せ身につけたローブは星の輝きを集めたかのように煌めいている。


「コイツが盗人の神ヘルメースで後ろにいるのがマイアとカリストーだ。んで、こっちはセオドラ・・後は、えーっとすまん。自己紹介してくれるか?」

「はじめまして。ギルド本部長のセオドラ・ミルタウンです。後ろにいるのは本部職員で今回この件を担当する・・」

 セオドラは職員を紹介しつつもヘルメース達から発せられる強いオーラから目が離せないでいた。

(これが神のオーラか・・息が出来なくなりそうだ。後ろの2人は一体なんだ? 2人も神か?)


「極悪非道なルカに酷使されてる雄弁と計略の青年神と言えよ。お前達が来たならそろそろ終わりだろ? マジ、助かった」

 6日間ルカにこき使われたヘルメースがホッと胸を撫で下ろすとカリストーに後ろから足を蹴られた。

「ヘルメース、威圧は止めろ。我等は此度の贖罪をしておったのにそのような態度は失礼であろう」

 ヘルメースがカリストーの苦言に抗議しているとミリアがエレノアと一緒に木立の中から小走りで現れた。


「お久しぶりです。ご足労をおかけしました」

「ベルフェゴールの討伐お疲れ様。まさかこんな事が立て続けにあるとは・・」


「さてと、ここにゃソファもないし裏でゆっくり説明するか」

 馬場の隅に広げられた毛布に車座になって座ったルカ達はメイドが大急ぎで準備したお茶を前に侯爵家に着いてからの一連の出来事を報告した。

「なんで気づいた時に直ぐ本部に連絡しなかったんだ?」

「うーん、邪魔? 悪魔相手に出来ることなんかねえだろ? 下手に奴を刺激したくなかったしな」

「まあ、それを言われると何も言えないが・・マモンとかベルフェゴールとかそう簡単に会えるもんでもないしな。次になんかあったら早めにその」

 セオドラは本物の悪魔との戦いを自分の目で見たかったようでソワソワと手揉みをしている。

「戦ってみたいなら次はお前に任せて俺達は手を引くぜ? まあ、取り敢えずヘルメースとやってみたらどうだ? 一応神だし腹ん中は悪魔みてえに真っ黒だしな」

「やんのかこら!」

 ルカの嫌味にヘルメースが速攻で反応した。ルカとヘルメースの仲はミリアを挟んで日を追うごとに険悪になっており僅かな隙をついてはお互いに喧嘩をふっかけあっている状況が続いていた。

「おう、何時でもかかってこいや」

(はあ、またはじまった・・)

 ミリア達の冷たく白けた目線を無視してルカとヘルメースが立ち上がって睨み合う姿をセオドラが不思議そうに眺めていた。

「ルカ、お前神様相手になんで喧嘩なんか売ってんだ?」

「お兄様はヘルメースさんがミリアさんの事を・・あの、なんて言うのかしら・・そう、ヤキモチですわ。ヤキモチを焼いておられますの」

「ちっ、ちげえし」

「ヘルメースはちょっと目を離すとミリアの側を彷徨いてるんだよー。こないだなんかミリアに【バインド】かけて空き部屋に連れ込もうとしてミリアに返り討ちに遭ってたしねー」

 カノンが頷いて『黒焦げにされてたよね』と言ってエレノアと一緒に笑っているとルカが剣を取り出した。

「何だと! てめえ巫山戯んなよ。ちびすけに構うなって何度言やわかるんだよ!」

 切り掛かったルカの剣をヘルメースが躱し空に飛んだ。

「ふん、お前のもんじゃあるまいし俺がどうしようがお前には関係ないね」

 宙に浮かんだまま腕を組みほくそ笑むヘルメースとルカに、溜息をついたミリアの【ウォーターボール】が炸裂した。ルカは咄嗟に結界を張って攻撃に耐えたが、ヘルメースは両手でガードしたものの馬場の端まで吹っ飛んだ。

「本部から来てくださってるのに遊んでる場合じゃないです!」

「ミリアちゃん・・ルカさんの結界穴あいてるよ」

 青筋を立て仁王立ちしたミリアが再びワンドを構えると戻ってきたヘルメースとルカが慌てて正座した。

「「すまん」」

しおりを挟む
感想 92

あなたにおすすめの小説

追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?

タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。 白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。 しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。 王妃リディアの嫉妬。 王太子レオンの盲信。 そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。 「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」 そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。 彼女はただ一言だけ残した。 「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」 誰もそれを脅しとは受け取らなかった。 だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。

国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします。

樋口紗夕
恋愛
公爵令嬢ヘレーネは王立魔法学園の卒業パーティーで第三王子ジークベルトから婚約破棄を宣言される。 ジークベルトの真実の愛の相手、男爵令嬢ルーシアへの嫌がらせが原因だ。 国外追放を言い渡したジークベルトに、ヘレーネは眉一つ動かさずに答えた。 「国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします」

悪役断罪?そもそも何かしましたか?

SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。 男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。 あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。 えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。 勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。

よくある父親の再婚で意地悪な義母と義妹が来たけどヒロインが○○○だったら………

naturalsoft
恋愛
なろうの方で日間異世界恋愛ランキング1位!ありがとうございます! ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ 最近よくある、父親が再婚して出来た義母と義妹が、前妻の娘であるヒロインをイジメて追い出してしまう話……… でも、【権力】って婿養子の父親より前妻の娘である私が持ってのは知ってます?家を継ぐのも、死んだお母様の直系の血筋である【私】なのですよ? まったく、どうして多くの小説ではバカ正直にイジメられるのかしら? 少女はパタンッと本を閉じる。 そして悪巧みしていそうな笑みを浮かべて── アタイはそんな無様な事にはならねぇけどな! くははははっ!!! 静かな部屋の中で、少女の笑い声がこだまするのだった。

断罪中、味方が多すぎて王子が孤立している件について

夏乃みのり
恋愛
バーンスタイン伯爵家の令嬢ラミリアは、魔力も剣の才能もない「ごく普通」の地味な女性。 ある日のパーティーで、婚約者であるジェラルド第二王子から「地味で無能で嫉妬深い」と罵られ、身に覚えのない罪で婚約破棄を突きつけられてしまう。 しかし、断罪劇は予想外の展開へ。

お姉さまに挑むなんて、あなた正気でいらっしゃるの?

中崎実
ファンタジー
若き伯爵家当主リオネーラには、異母妹が二人いる。 殊にかわいがっている末妹で気鋭の若手画家・リファと、市中で生きるしっかり者のサーラだ。 入り婿だったのに母を裏切って庶子を作った父や、母の死後に父の正妻に収まった継母とは仲良くする気もないが、妹たちとはうまくやっている。 そんな日々の中、暗愚な父が連れてきた自称「婚約者」が突然、『婚約破棄』を申し出てきたが…… ※第2章の投稿開始後にタイトル変更の予定です ※カクヨムにも同タイトル作品を掲載しています(アルファポリスでの公開は数時間~半日ほど早めです)

偽物と断罪された令嬢が精霊に溺愛されていたら

影茸
恋愛
 公爵令嬢マレシアは偽聖女として、一方的に断罪された。  あらゆる罪を着せられ、一切の弁明も許されずに。  けれど、断罪したもの達は知らない。  彼女は偽物であれ、無力ではなく。  ──彼女こそ真の聖女と、多くのものが認めていたことを。 (書きたいネタが出てきてしまったゆえの、衝動的短編です) (少しだけタイトル変えました)

私の婚約者でも無いのに、婚約破棄とか何事ですか?

狼狼3
恋愛
「お前のような冷たくて愛想の無い女などと結婚出来るものか。もうお前とは絶交……そして、婚約破棄だ。じゃあな、グラッセマロン。」 「いやいや。私もう結婚してますし、貴方誰ですか?」 「俺を知らないだと………?冗談はよしてくれ。お前の愛するカーナトリエだぞ?」 「知らないですよ。……もしかして、夫の友達ですか?夫が帰ってくるまで家使いますか?……」 「だから、お前の夫が俺だって──」 少しずつ日差しが強くなっている頃。 昼食を作ろうと材料を買いに行こうとしたら、婚約者と名乗る人が居ました。 ……誰コイツ。

処理中です...