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アルスター侯爵家
129.ルカVSヘルメース
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ベルフェゴールを排除して6日目、漸くセオドラ達ギルド本部のメンバーが侯爵家にやって来た。
「こりゃまた・・」
半壊した屋敷を眺めながら呆然と呟いたセオドラは屋敷の大穴から悠々と歩いてくるルカに気がついた。
「よ! 結構時間がかかったじゃねえか」
「ああ、出がけにちょっとな」
肩を並べて歩き出したルカとセオドラの後ろを3人の本部職員が恐る恐るついてきたが屋敷の手前で二の足を踏んで立ち止まってしまった。
「あの、崩れたりは・・」
「危なそうなとこはちびすけが土魔法で補強したから生き埋めになるこたねえと思う」
「まさかとは思うがここに住んでるんじゃないよな」
「ああ、離れに寝泊まりしてる。残りは村から通ってくる奴と裏の馬場でテント暮らししてる奴だな」
ずんずんと歩いて行くルカの後ろからセオドラ達が屋敷の中に足を踏み入れ、崩れ落ちた天井や瓦礫を排除した屋敷の中を見回した。
「想像以上の威力だな。よく死なずにベルフェゴールに勝てたな」
「マモンの時と一緒でニブルヘイムに追い返しただけだからな。ミリアの魔法と知恵の勝利ってとこ」
「おい、そいつらが本部から来るって言ってた奴等?」
馬場で寛いでいたはずのヘルメースがマイアとカリストーを連れてやって来ると、セオドラと本部職員は3人の美しさに思わず息を呑んだ。風もないのに揺らぐ髪が黄金の輝きを見せ身につけたローブは星の輝きを集めたかのように煌めいている。
「コイツが盗人の神ヘルメースで後ろにいるのがマイアとカリストーだ。んで、こっちはセオドラ・・後は、えーっとすまん。自己紹介してくれるか?」
「はじめまして。ギルド本部長のセオドラ・ミルタウンです。後ろにいるのは本部職員で今回この件を担当する・・」
セオドラは職員を紹介しつつもヘルメース達から発せられる強いオーラから目が離せないでいた。
(これが神のオーラか・・息が出来なくなりそうだ。後ろの2人は一体なんだ? 2人も神か?)
「極悪非道なルカに酷使されてる雄弁と計略の青年神と言えよ。お前達が来たならそろそろ終わりだろ? マジ、助かった」
6日間ルカにこき使われたヘルメースがホッと胸を撫で下ろすとカリストーに後ろから足を蹴られた。
「ヘルメース、威圧は止めろ。我等は此度の贖罪をしておったのにそのような態度は失礼であろう」
ヘルメースがカリストーの苦言に抗議しているとミリアがエレノアと一緒に木立の中から小走りで現れた。
「お久しぶりです。ご足労をおかけしました」
「ベルフェゴールの討伐お疲れ様。まさかこんな事が立て続けにあるとは・・」
「さてと、ここにゃソファもないし裏でゆっくり説明するか」
馬場の隅に広げられた毛布に車座になって座ったルカ達はメイドが大急ぎで準備したお茶を前に侯爵家に着いてからの一連の出来事を報告した。
「なんで気づいた時に直ぐ本部に連絡しなかったんだ?」
「うーん、邪魔? 悪魔相手に出来ることなんかねえだろ? 下手に奴を刺激したくなかったしな」
「まあ、それを言われると何も言えないが・・マモンとかベルフェゴールとかそう簡単に会えるもんでもないしな。次になんかあったら早めにその」
セオドラは本物の悪魔との戦いを自分の目で見たかったようでソワソワと手揉みをしている。
「戦ってみたいなら次はお前に任せて俺達は手を引くぜ? まあ、取り敢えずヘルメースとやってみたらどうだ? 一応神だし腹ん中は悪魔みてえに真っ黒だしな」
「やんのかこら!」
ルカの嫌味にヘルメースが速攻で反応した。ルカとヘルメースの仲はミリアを挟んで日を追うごとに険悪になっており僅かな隙をついてはお互いに喧嘩をふっかけあっている状況が続いていた。
「おう、何時でもかかってこいや」
(はあ、またはじまった・・)
ミリア達の冷たく白けた目線を無視してルカとヘルメースが立ち上がって睨み合う姿をセオドラが不思議そうに眺めていた。
「ルカ、お前神様相手になんで喧嘩なんか売ってんだ?」
「お兄様はヘルメースさんがミリアさんの事を・・あの、なんて言うのかしら・・そう、ヤキモチですわ。ヤキモチを焼いておられますの」
「ちっ、ちげえし」
「ヘルメースはちょっと目を離すとミリアの側を彷徨いてるんだよー。こないだなんかミリアに【バインド】かけて空き部屋に連れ込もうとしてミリアに返り討ちに遭ってたしねー」
カノンが頷いて『黒焦げにされてたよね』と言ってエレノアと一緒に笑っているとルカが剣を取り出した。
「何だと! てめえ巫山戯んなよ。ちびすけに構うなって何度言やわかるんだよ!」
切り掛かったルカの剣をヘルメースが躱し空に飛んだ。
「ふん、お前のもんじゃあるまいし俺がどうしようがお前には関係ないね」
宙に浮かんだまま腕を組みほくそ笑むヘルメースとルカに、溜息をついたミリアの【ウォーターボール】が炸裂した。ルカは咄嗟に結界を張って攻撃に耐えたが、ヘルメースは両手でガードしたものの馬場の端まで吹っ飛んだ。
「本部から来てくださってるのに遊んでる場合じゃないです!」
「ミリアちゃん・・ルカさんの結界穴あいてるよ」
青筋を立て仁王立ちしたミリアが再びワンドを構えると戻ってきたヘルメースとルカが慌てて正座した。
「「すまん」」
「こりゃまた・・」
半壊した屋敷を眺めながら呆然と呟いたセオドラは屋敷の大穴から悠々と歩いてくるルカに気がついた。
「よ! 結構時間がかかったじゃねえか」
「ああ、出がけにちょっとな」
肩を並べて歩き出したルカとセオドラの後ろを3人の本部職員が恐る恐るついてきたが屋敷の手前で二の足を踏んで立ち止まってしまった。
「あの、崩れたりは・・」
「危なそうなとこはちびすけが土魔法で補強したから生き埋めになるこたねえと思う」
「まさかとは思うがここに住んでるんじゃないよな」
「ああ、離れに寝泊まりしてる。残りは村から通ってくる奴と裏の馬場でテント暮らししてる奴だな」
ずんずんと歩いて行くルカの後ろからセオドラ達が屋敷の中に足を踏み入れ、崩れ落ちた天井や瓦礫を排除した屋敷の中を見回した。
「想像以上の威力だな。よく死なずにベルフェゴールに勝てたな」
「マモンの時と一緒でニブルヘイムに追い返しただけだからな。ミリアの魔法と知恵の勝利ってとこ」
「おい、そいつらが本部から来るって言ってた奴等?」
馬場で寛いでいたはずのヘルメースがマイアとカリストーを連れてやって来ると、セオドラと本部職員は3人の美しさに思わず息を呑んだ。風もないのに揺らぐ髪が黄金の輝きを見せ身につけたローブは星の輝きを集めたかのように煌めいている。
「コイツが盗人の神ヘルメースで後ろにいるのがマイアとカリストーだ。んで、こっちはセオドラ・・後は、えーっとすまん。自己紹介してくれるか?」
「はじめまして。ギルド本部長のセオドラ・ミルタウンです。後ろにいるのは本部職員で今回この件を担当する・・」
セオドラは職員を紹介しつつもヘルメース達から発せられる強いオーラから目が離せないでいた。
(これが神のオーラか・・息が出来なくなりそうだ。後ろの2人は一体なんだ? 2人も神か?)
「極悪非道なルカに酷使されてる雄弁と計略の青年神と言えよ。お前達が来たならそろそろ終わりだろ? マジ、助かった」
6日間ルカにこき使われたヘルメースがホッと胸を撫で下ろすとカリストーに後ろから足を蹴られた。
「ヘルメース、威圧は止めろ。我等は此度の贖罪をしておったのにそのような態度は失礼であろう」
ヘルメースがカリストーの苦言に抗議しているとミリアがエレノアと一緒に木立の中から小走りで現れた。
「お久しぶりです。ご足労をおかけしました」
「ベルフェゴールの討伐お疲れ様。まさかこんな事が立て続けにあるとは・・」
「さてと、ここにゃソファもないし裏でゆっくり説明するか」
馬場の隅に広げられた毛布に車座になって座ったルカ達はメイドが大急ぎで準備したお茶を前に侯爵家に着いてからの一連の出来事を報告した。
「なんで気づいた時に直ぐ本部に連絡しなかったんだ?」
「うーん、邪魔? 悪魔相手に出来ることなんかねえだろ? 下手に奴を刺激したくなかったしな」
「まあ、それを言われると何も言えないが・・マモンとかベルフェゴールとかそう簡単に会えるもんでもないしな。次になんかあったら早めにその」
セオドラは本物の悪魔との戦いを自分の目で見たかったようでソワソワと手揉みをしている。
「戦ってみたいなら次はお前に任せて俺達は手を引くぜ? まあ、取り敢えずヘルメースとやってみたらどうだ? 一応神だし腹ん中は悪魔みてえに真っ黒だしな」
「やんのかこら!」
ルカの嫌味にヘルメースが速攻で反応した。ルカとヘルメースの仲はミリアを挟んで日を追うごとに険悪になっており僅かな隙をついてはお互いに喧嘩をふっかけあっている状況が続いていた。
「おう、何時でもかかってこいや」
(はあ、またはじまった・・)
ミリア達の冷たく白けた目線を無視してルカとヘルメースが立ち上がって睨み合う姿をセオドラが不思議そうに眺めていた。
「ルカ、お前神様相手になんで喧嘩なんか売ってんだ?」
「お兄様はヘルメースさんがミリアさんの事を・・あの、なんて言うのかしら・・そう、ヤキモチですわ。ヤキモチを焼いておられますの」
「ちっ、ちげえし」
「ヘルメースはちょっと目を離すとミリアの側を彷徨いてるんだよー。こないだなんかミリアに【バインド】かけて空き部屋に連れ込もうとしてミリアに返り討ちに遭ってたしねー」
カノンが頷いて『黒焦げにされてたよね』と言ってエレノアと一緒に笑っているとルカが剣を取り出した。
「何だと! てめえ巫山戯んなよ。ちびすけに構うなって何度言やわかるんだよ!」
切り掛かったルカの剣をヘルメースが躱し空に飛んだ。
「ふん、お前のもんじゃあるまいし俺がどうしようがお前には関係ないね」
宙に浮かんだまま腕を組みほくそ笑むヘルメースとルカに、溜息をついたミリアの【ウォーターボール】が炸裂した。ルカは咄嗟に結界を張って攻撃に耐えたが、ヘルメースは両手でガードしたものの馬場の端まで吹っ飛んだ。
「本部から来てくださってるのに遊んでる場合じゃないです!」
「ミリアちゃん・・ルカさんの結界穴あいてるよ」
青筋を立て仁王立ちしたミリアが再びワンドを構えると戻ってきたヘルメースとルカが慌てて正座した。
「「すまん」」
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