✖️✖️の薬を作ったら牢に入れられました。ここで薬を作れ? それは嫌かなー。って事でさよならします

との

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ルーメン 暁のダンジョン

134.驚愕の事実

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「ツヴァイハンダーは確かに強力ですしそれを操る陛下の実力は確かですが、貴方が皇帝になったのは単独Sランクにはなれないとわかっていたからでしょう?」

 ツヴァイハンダーは複数の相手との戦いで軍旗や指揮官を護衛する部隊に用いられることが多いが、皇帝が持っているような巨大なツヴァイハンダーは素早く動かすことが困難な為剣を振り回した勢いを絶やさずに戦う必要がある。
 体力の消耗や大きな隙が出来る事を考えると剣の動き・・特に上下の動き・・にも制限がある。皇帝の戦い方は大人数のパーティーでは役に立つが長期戦や単独討伐には向かない。

「・・セオドラ、お前昔っから痛いとこ突いてくるよな。なあ、帝国に就職しねえか? 新しい宰相が役立たずなんだ」

「遠慮しときます。奴等を身近で見るにはこの立ち位置が一番便利なんで」




 ルーメンのギルドに転移すると大勢の怒鳴り声が響く中から数本のナイフが飛んで来た。咄嗟に張ったルカの結界に弾かれたナイフが音を立てて床に落ちると同時に、ミリアが【バインド】でその場の全員を拘束した。

「この非常時に何をやってるのですか!」

 テスタロッサの怒声が部屋に響くと部屋は静まり返り全員がテスタロッサを注視した。

「あの、どちら様ですか?」

 部屋の隅からおどおどとした声が聞こえた。

「あれがギルマスか? ギルドが人手不足だとは知らなかったぜ」

「はぁ、ルーメンのギルマスはあなたですね」

 大袈裟な溜息をついたテスタロッサが一歩足を踏み出すと壁を利用しながら小柄な男がヨロヨロと立ち上がった。

「私はルーメンのギルマスでシェーマス・ビブスと申します。あなた達は?」

「彼等はSランクパーティーのジェルソミーノでミリアさんとルカさん。私は本部職員のテスタロッサ」

「で、では暁のダンジョンに?」

「その通りだ。すぐに「おいおい、巫山戯んなよ。そのヒョロッちぃのとガキがSランクだと?」」

 拘束されたままの冒険者達がゲラゲラと笑いはじめた。

「ほらな? だからお前の出番。宜しく~」

「ルカに威厳がないのが一番の問題ね」

 小声で言い合うルカとテスタロッサ。


「あの、拘束を解いてもらえませんか? このままでは話がしにくくて・・その」

「いえ、面倒なんでそのまま話をしましょう。本部への連絡の後、現状は変わらないと思っていいのかしら」

「おい! てめ「お黙り! これ以上騒ぐとギルドカード剥奪するわよ。アンタ達に無駄な時間を使ってる暇はないんだからね」」

 テスタロッサの迫力に冒険者達が顔を引き攣らせた。

「なあ、そこの2人についてってやるよ。俺達の方が暁のダンジョンに詳しいしSランク相当の実力も「アンタ達の話は後で聞きます。今はジェルソミーノの出発が最優先よ、ギルマス話を聞かせてくれる?」」

「話は歩きながら聞くから暁のダンジョン迄道案内してくれ」

「拘束は1時間くらいで勝手に外れるので宜しくお願いします」

「わかったわ。それ迄にこのバカ達に道理を教え込んどく。いってらっしゃい」

 鼻息の荒いテスタロッサをギルドに残しミリア達はダンジョンに向かった。



 状況は本部で聞いた通りだった。《白銀の嵐》は消息不明のままで、ダンジョンの中は一昨日から極寒になっている事しか分からなかった。

「一昨日ってことは明日から灼熱か?」

「多分そうなる。魔物の種類もそれに合わせて変わるから全く攻略が進んでない。そのせいで中は魔物だらけ。なんでこんな時に僕が・・簡単な仕事だって聞いてたのに・・」

 ギルマスのシェーマス・ビブスはルーメンの領主の甥で元Bランク冒険者だったがその実力は所謂寄生で上げたもの。ダンジョンが発見された時そこから出る利益を狙った領主のゴリ押しでギルマスに就任したのだが、緊急事態にダンジョンへ向かうと言うのに貴族服を着込み防具や武器を身につけてさえいない。

「問題の20階層のボスってのは何だったんだ?」

 タメ口をきくルカにムッとした顔を向けたビブスは立ち止まりルカに指を突き立てた。

「おい、その口の聞き方は何だ! 僕は領主の甥でここのギルマスだぞ。全く、礼儀知らずの冒険者には反吐が出る。不敬罪で逮捕されたいか!」

 真っ赤な顔で地団駄を踏むビブスはただの甘やかされた駄々っ子にしか見えなかった。溜息をついた後ビブスを睨みつけたルカがビブスに顔を近づけて低い声で聞いた。

「だーかーらー。20階層のボスは何だったんだ?」

「くっ、くそ。そんなの知るか!」

「どう言う意味ですか? 聞いてないって事はないですよね」

「奴が何なのか誰も知らないんだからしょうがないだろ?」

 ミリアとルカは顔を見合わせて首を傾げた。

「見た目とか攻撃とかは?」

「巨大な頭で耳が尖って・・異様に大きな鼻で細い尻尾を振り回してた。全身が炎に包まれていて攻撃どころが近づく事もできなかったそうだ」

「攻撃どころか? 討伐したんだよな。本部ではそう聞いたが?」

「・・」

 ビブスが青褪め顔を背けた。

「虚偽の報告は処罰の対象になるって知ってるよな」

「Aランクのパーティーがレイドを組んで敵わなかったんだぞ! 逃げ帰って来たアイツらが悪いんだ」

「ソイツらが嘘の報告をしたのか?」

「・・次は必ず討伐出来るって言ったんだ。装備を整えていれば簡単だって」

 ルカがビブスの胸ぐらを掴み上げた。小柄なビブスの足は地面を離れ顔が赤黒く染まっていった。

「それからもう何ヶ月も経ってるよな。まさかとは思うが、奴等が騒いでたのも《白銀の嵐》が無理やり乗り込んだのもそのせいか?」

「ぐっ、ぐるじい。だずげっ・・」

「ミリア本部に連絡してくれ。テスタロッサが危険だ、ギルドに戻るぞ」

 ビブスを引き摺りながら駆け出したルカの後をミリアが本部に通信を繋げながら追いかけた。

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