✖️✖️の薬を作ったら牢に入れられました。ここで薬を作れ? それは嫌かなー。って事でさよならします

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ルーメン 暁のダンジョン

136.暁のダンジョン

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 ダンジョンの入り口には6人の冒険者がだらしなく椅子に座ったまま辺りを睥睨していた。

「おつかれ! 本部から調査依頼を受けたジェルソミーノなんだが聞いてるか?」

「はあ? 誰だよお前ら。俺達はここに誰も入れるなと言われてるんだ、帰れ帰れ」

「待って下さい。この人達ほんとに本部から来たんです」

「お前は確かEランクのケインだよな。Bランクの《ドラゴンクラッシャー》のワイス様に文句があるってのか?」

 ぷっと吹き出したルカをワイスが睨んだ。

「いやー、すごい名前だと思ってな。悪りい悪りい」

 ムッとした顔のワイス達にしっしっと手荒く追い払われたミリアはアイテムバックからケーリュケイオンを取り出した。

「お前、それ返してなかったのかよ!」

「ちゃんと返しました! 出かける直前に便利だからって貸してくれたの」

「くそ、ポイント稼ぎかよ」

「ケインさん下がってて」

 ルカの言葉を無視したミリアがケーリュケイオンにほんの少し魔力を込め、ワイス達に向けると冒険者達が次々と倒れていった。

「込めた魔力の量によって目覚めるまでの時間が変わるって言ってたからちょっぴりにしておいた、すぐに目が覚めると思う。ケインさんはギルドに帰って本部の人に状況を説明しておいてね」

「んじゃ、とっとと行くか」

 入り口の中から結界を張りダンジョンの奥へと進んで行った。黒く光る壁面には幾つもの罅が入り軽く叩いただけでポロポロと崩れていく。崩れ落ちたカケラを拾うとルカの手の中であっという間に溶けていった。

「氷? たった2日で壁も床も氷で埋め尽くされてるって事は天井もか」

「このダンジョン危険かも」

「だな。高熱に3日間晒された後急激に冷やされて出来た罅。スタンピードだけじゃなく崩落の可能性があるな」

 魔物の気配がない薄暗い道を真っ直ぐ歩いて行くと右に細い脇道があった。曲がりくねった道の先は見えないが微かに何かの気配が感じられた。

「何の気配なのか確認に行ってみるか」

「はい。魔物なら種類が知りたいですね」

 ルカを先頭にゆっくりと進んで行くと曲がりくねった道の先は人がひとりギリギリ通れるほどの幅になった。足元を酷く冷たい風が吹き抜けて行き、前後の壁から染み込んでくる冷気のせいで吐く息が白くなってきた。

「この先になんかいるって事は広い場所があるって事か。しかし1階層でこの寒さとかヤバいな」

 前を進んでいたルカが突然立ち止まりうめき声を上げた。

「マジかよ」

 ルカの足元は切り立った崖になっていて目の前に広がる洞穴の天井にはビッシリと大コウモリがぶら下がっていた。

「ちびすけ、石を拾えるか?」

「拾うのは狭すぎて無理だけど石なら・・」

 アイテムバックから手のひらくらいの平らな石を取り出してルカに手渡した。

「希少な石とか言わねえよな」

「大丈夫です。練習用に持ってるただの石なんで」

「練習?」

「魔法陣を書き込むみたいに魔法を閉じ込められたら良いなあと。それを埋めておいたら爆発するとかそう言うのが出来ないかなぁと思って」

「それで、この石は?」

「まだ未使用です。無駄に魔物を刺激しないほうがいいですよね」

 石を洞穴に放り込み耳を澄ませてカウントしていると8を数えた直後にルカの耳に微かな音が聞こえた。

「水? この下には地底湖があるみたいだ。しかもかなり距離がある。人がいるとは思えんから大コウモリに見つかる前に戻ろうぜ」

 ルカに聞こえた水音はミリアには聞こえなかった。

(ルカさんって地獄耳? お腹が鳴ったりしたら・・こわ、気をつけよう)


 元の道に戻り広い道をまた奥に向けて歩きはじめたが、奥に行くに従い周りの氷は厚さを増し益々空気が冷たくなっていった。

「今度も大コウモリだな。毒に気をつけろよ」

 バサバサと羽根の音が聞こえたと同時に大コウモリが一斉に襲いかかって来た。ルカが結界を張りワンドを構えたミリアが【フラッシュ】
 羽ばたきの音に紛れてギーギーという鳴き声が聞こえ、大コウモリ達が地面に叩きつけられる音が響いた。

 牙を剥き出して襲い掛かる大コウモリをルカが切り裂き、ルカと背中合わせになったミリアが【フレイムバレット】を連発した。ヴァンは毒をものともせず大コウモリの首に噛みつき、ヨルムガンドは宙を舞う大コウモリに長い尻尾を叩きつけた。

 全ての死骸を焼き奥に進んで行くと2階に降りる階段が見えてきたが、薄暗がりに幾つもの赤い目が光っている。

「大コウモリだけじゃなさそうだな。囲まれたぞ」

 ミリアが【フレイムカッター】を連発すると猛スピードで四方から角ウサギが突進して来た。ルカが突進を躱しながら切りつけ、ヴァンの爪とヨルムガンドの尻尾の一撃で屠っていく。

「ダンジョン内にしても随分とでかいな。普通の2倍近くあるぜ」

 巨大な角ウサギはそのままアイテムバックに放り込み階段を降りて行くと、2階からは降り頻る雪の中にゴブリンやオークが出はじめた。

「コイツら、皮膚が硬すぎてミリアに貰ったやつじゃねえと刃が折れそうだ」

 ミリアがガンツに頼んで作ってもらったクレイモアは当然の如くヒヒイロカネを芯に使っている。剣に炎を纏わせるルカの戦法は極寒の中で威力を発揮し、ヴァンの炎とミリアの炎属性の魔法も魔物をあっさりと殲滅していった。

「トラップがないのは助かるがこう寒くちゃ《白銀の嵐》は厳しいな」

「さっきのオーク、まるで身体強化を使ってたみたい・・」

「それで異様に硬かったのか? しかし上位の魔物ならわかるがオークだよなあ。取り敢えず用心しながら進むか」

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