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ルーメン 暁のダンジョン
144.勘違い野郎の暴走
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「ルカさんと同行してる位なら凄いスキル持ちとかでしょう? どんなスキルなんですか? まさか、寄生じゃないですよね?」
「えーっと・・」
「おい、行くぞ。スキルなんてそう簡単に教えるもんじゃねえ。ポーターやってるんならその位のルールは知ってるだろ?」
(はあ、助かったぁ。なんか突然態度変わるから・・)
「すみませんでした」
「コイツがガキに見えるからって調子に乗んな」
ルカのひと睨みでジャニスが小さくなって頭を下げた。
ボス部屋の奥にある転送陣に向かうとジャニスが周りをキョロキョロとして何かを探している。
「あの、仔犬がいないんですけど」
「あいつは白銀の野郎と一緒にギルマスの部屋に置いてきた」
「えっ? もう連れて行ったんですか? そうか転移の護符ですね。凄いです」
キラキラした目でルカを見つめるジャニスはミリアを押し退けてルカの隣に並んだ。
「・・」
ムッとしたルカに気づかずジャニスはルカの腕に手をかけ話しかけた。
「あの、ボスってどんな魔物だったんですか? ルカさんって剣士ですよね。この冷たさだと氷タイプの魔物だったと思うんですが、剣術だけでどうやって討伐したのか是非教えてくれませんか?」
「・・」
「いつもはどの辺りで攻略してるんですか? 俺、荷物持ち以外にも結構役に立つと思うんです。剥ぎ取りとかなんでもやりますし、良かったらお手伝いさせて貰えませんか?」
「・・」
「本部の依頼で動くってことはかなりのランクですよね。新人教育もされてるみたいだし、出来れば俺も・・」
「お前、ここに残りたいか?」
「はい?」
「ひとりで残りたいんじゃなけりゃその口を閉じとけ。ちびすけ、行くぞ」
呆然と立ち尽くすジャニスを無視してミリアだけを連れて転送陣に向かうルカの後ろをぶち猫がフンっと鼻を鳴らしてついてきた。
「なんだよ、あいつロリコンか?」
ジャニスが転送陣に足を乗せかけるとルカが手を伸ばしてジャニスを止めた。
「先に護符を出せ」
「えっ?」
「ちびすけが渡した護符だ」
「ああ、すっかり忘れてました(ちっ、ケチくせえ)」
ジャニスはポケットから護符を出してルカに渡した。護符をアイテムバックにしまってから全員で転送陣に乗りダンジョン前に戻ると、時間はお昼前だが誰も監視の者がいない。
「ったくここの奴らはどうなってんだ?」
「いつもこんな感じなんです。みんな自分のことばっかりだから、俺もそろそろ別の場所に移動しようかなって。どこか良いところをご存じなら是非教えてもらえませんか?」
「・・取り敢えずギルドに行こう。後始末が残ってるからな」
「はい、お供します!」
ルカの隣を歩くジャニスは楽しそうに街の説明をしている。気をつけた方がいい武器屋や危険な通りを見つけるたびにルカの袖をひき丁寧に説明した。
「ルカさんのお陰で助かりました、仕事が終わったら是非ご馳走させてください。俺、評判の良い食堂知ってます。そう言えば、宿はもう決まってますか?」
「宿は決めてねえし食事もいらねえ」
「やだなあ、気にしないで下さい。結構腕の良いポーターなんでその位の余裕ありますから」
ルカが気を遣って遠慮しているのだと勘違いしたジャニスはルカの背中をバンバン叩いて笑っている。ぶち猫がミリアに飛びついて話しかけてきた。
『なあ、コイツ殺っちゃう? ルカがキレそうだぜ?』
「ダメだよ。あれでも一応被害者なんだもん。でも、あの人のポケットの中・・」
ルカの顔は引き攣り普段より早足でギルドに向かっているので、ミリアはヨルムガンドを抱えながら小走りでついて行った。
ギルドのドアを開けると騒ついていたギルドの中がしんと静まりかえった。受付には誰も並んでおらず、冒険者達は何人かのグループに纏まってルカ達を凝視している。
「ジャニス、無事だったのか?」
「はい、ルカさんのお陰でこの通り元気です。ご心配をおかけしました」
ルカは無言で2階への階段を登り、それに続こうとしたミリアを押し退けてジャニスが後に続いた。
ギルマスの執務机に座っていたテスタロッサが立ち上がり満面の笑みを浮かべた。
「ミリアさん! お帰りなさい。今回もご苦労様でした。大丈夫だったかお聞きするのは愚問ですね」
「テスタロッサさんもお疲れ様です」
部屋の隅にはまだ気を失っている《白銀の嵐》がだらしなく寝そべっており、チラリと目を開けたヴァンはソファの上で呑気に尻尾を振った。
「もう意識が戻ってると思ったんですけど・・」
「ええ、あんまり煩いんでもう一度眠らせました。起こしますか?」
「いや、面倒だからほっとこうぜ。コイツが《白銀の嵐》に同行してたポーターだ」
「はじめまして。今回の件を担当している本部職員のテスタロッサです」
「はじめまして。ジャニスと言います」
ルカがドスンとソファに座ると当然のように隣に座ったジャニスを見たテスタロッサが眉間に皺を寄せた。
「ルカ?」
「コイツの事情聴取するんだろ? 俺達の話は後でな」
「えっ、ええ。ミリアさんはこっちにどうぞ」
ルカの向かいにテスタロッサと並んで腰掛けようとしたミリアにジャニスが声をかけた。
「ミリアさん、お茶を入れてもらえませんか? 俺、喉が乾いちゃって。ルカさんもそうですよね」
「「「・・」」」
テスタロッサが凍りつきヴァンとヨルムガンドが四つ足で立ち上がりジャニスを威嚇した。
「ペット達も欲しがってるみたいですよ。おやつが欲しいのかな?」
「ルカ、これはどういう事かしら? 事と次第によったらタダじゃおかないわよ」
「えーっと・・」
「おい、行くぞ。スキルなんてそう簡単に教えるもんじゃねえ。ポーターやってるんならその位のルールは知ってるだろ?」
(はあ、助かったぁ。なんか突然態度変わるから・・)
「すみませんでした」
「コイツがガキに見えるからって調子に乗んな」
ルカのひと睨みでジャニスが小さくなって頭を下げた。
ボス部屋の奥にある転送陣に向かうとジャニスが周りをキョロキョロとして何かを探している。
「あの、仔犬がいないんですけど」
「あいつは白銀の野郎と一緒にギルマスの部屋に置いてきた」
「えっ? もう連れて行ったんですか? そうか転移の護符ですね。凄いです」
キラキラした目でルカを見つめるジャニスはミリアを押し退けてルカの隣に並んだ。
「・・」
ムッとしたルカに気づかずジャニスはルカの腕に手をかけ話しかけた。
「あの、ボスってどんな魔物だったんですか? ルカさんって剣士ですよね。この冷たさだと氷タイプの魔物だったと思うんですが、剣術だけでどうやって討伐したのか是非教えてくれませんか?」
「・・」
「いつもはどの辺りで攻略してるんですか? 俺、荷物持ち以外にも結構役に立つと思うんです。剥ぎ取りとかなんでもやりますし、良かったらお手伝いさせて貰えませんか?」
「・・」
「本部の依頼で動くってことはかなりのランクですよね。新人教育もされてるみたいだし、出来れば俺も・・」
「お前、ここに残りたいか?」
「はい?」
「ひとりで残りたいんじゃなけりゃその口を閉じとけ。ちびすけ、行くぞ」
呆然と立ち尽くすジャニスを無視してミリアだけを連れて転送陣に向かうルカの後ろをぶち猫がフンっと鼻を鳴らしてついてきた。
「なんだよ、あいつロリコンか?」
ジャニスが転送陣に足を乗せかけるとルカが手を伸ばしてジャニスを止めた。
「先に護符を出せ」
「えっ?」
「ちびすけが渡した護符だ」
「ああ、すっかり忘れてました(ちっ、ケチくせえ)」
ジャニスはポケットから護符を出してルカに渡した。護符をアイテムバックにしまってから全員で転送陣に乗りダンジョン前に戻ると、時間はお昼前だが誰も監視の者がいない。
「ったくここの奴らはどうなってんだ?」
「いつもこんな感じなんです。みんな自分のことばっかりだから、俺もそろそろ別の場所に移動しようかなって。どこか良いところをご存じなら是非教えてもらえませんか?」
「・・取り敢えずギルドに行こう。後始末が残ってるからな」
「はい、お供します!」
ルカの隣を歩くジャニスは楽しそうに街の説明をしている。気をつけた方がいい武器屋や危険な通りを見つけるたびにルカの袖をひき丁寧に説明した。
「ルカさんのお陰で助かりました、仕事が終わったら是非ご馳走させてください。俺、評判の良い食堂知ってます。そう言えば、宿はもう決まってますか?」
「宿は決めてねえし食事もいらねえ」
「やだなあ、気にしないで下さい。結構腕の良いポーターなんでその位の余裕ありますから」
ルカが気を遣って遠慮しているのだと勘違いしたジャニスはルカの背中をバンバン叩いて笑っている。ぶち猫がミリアに飛びついて話しかけてきた。
『なあ、コイツ殺っちゃう? ルカがキレそうだぜ?』
「ダメだよ。あれでも一応被害者なんだもん。でも、あの人のポケットの中・・」
ルカの顔は引き攣り普段より早足でギルドに向かっているので、ミリアはヨルムガンドを抱えながら小走りでついて行った。
ギルドのドアを開けると騒ついていたギルドの中がしんと静まりかえった。受付には誰も並んでおらず、冒険者達は何人かのグループに纏まってルカ達を凝視している。
「ジャニス、無事だったのか?」
「はい、ルカさんのお陰でこの通り元気です。ご心配をおかけしました」
ルカは無言で2階への階段を登り、それに続こうとしたミリアを押し退けてジャニスが後に続いた。
ギルマスの執務机に座っていたテスタロッサが立ち上がり満面の笑みを浮かべた。
「ミリアさん! お帰りなさい。今回もご苦労様でした。大丈夫だったかお聞きするのは愚問ですね」
「テスタロッサさんもお疲れ様です」
部屋の隅にはまだ気を失っている《白銀の嵐》がだらしなく寝そべっており、チラリと目を開けたヴァンはソファの上で呑気に尻尾を振った。
「もう意識が戻ってると思ったんですけど・・」
「ええ、あんまり煩いんでもう一度眠らせました。起こしますか?」
「いや、面倒だからほっとこうぜ。コイツが《白銀の嵐》に同行してたポーターだ」
「はじめまして。今回の件を担当している本部職員のテスタロッサです」
「はじめまして。ジャニスと言います」
ルカがドスンとソファに座ると当然のように隣に座ったジャニスを見たテスタロッサが眉間に皺を寄せた。
「ルカ?」
「コイツの事情聴取するんだろ? 俺達の話は後でな」
「えっ、ええ。ミリアさんはこっちにどうぞ」
ルカの向かいにテスタロッサと並んで腰掛けようとしたミリアにジャニスが声をかけた。
「ミリアさん、お茶を入れてもらえませんか? 俺、喉が乾いちゃって。ルカさんもそうですよね」
「「「・・」」」
テスタロッサが凍りつきヴァンとヨルムガンドが四つ足で立ち上がりジャニスを威嚇した。
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「ルカ、これはどういう事かしら? 事と次第によったらタダじゃおかないわよ」
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