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第三章
03.アメリアの過激な作戦
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「敵が武力で攻撃しているなら兵を増やせばいいが、毒を使ったならそれなりに知識のある者でないと太刀打ちできません。セレナではなくアメリアを行かせるべきでした」
一般的な薬物であればセレナも知識はあるが、アメリアは大学で医学を学び薬師ギルドとも親交を深めている。
「女性で医学を学んでいるとは珍しいな」
「1校だけ女性を受け入れている医学校があって、そこに行きたいと言い出しまして。
セレナは毒を無効化する魔導具を常に身につけていますから、今回使われたのは一般的な毒ではないはずです。恐らくアメリアは毒の治療法を探している⋯⋯今はそれに賭けるしかありません」
会議を終わらせて砦に向かい、見張りの兵士から状況を聞いていたレイモンドは、ふと胸騒ぎを覚えた。
(セレナの体調が急変したのか? なんだか途轍もなく嫌な予感がする⋯⋯アメリアはもう毒の解析を終わってるだろうか)
マーカス達の調べで、ガランティーヌが載せられていた皿に残っていた粒が問題の毒物だと判明した。王宮医師達はクラブスアイを知らなかったようで、ただの香辛料だと思っていたらしい。
「犯人は2年前に雇われた料理人の一人で、ガランティーヌに添えるオレンジソースを提案したのもその男でした」
鮮やかなオレンジ色の中に漂う赤と黒の粒は美しく、料理長が許可を出した。
『いつもの香辛料をすり潰す前のものだと言われました。一粒食べてみましたがオレンジソースとの相性も良く⋯⋯その後の体調ですか? いえ、特に問題はないです。あっ、一度腹を壊しました。
元々、冷えると腹を壊す方なんで、あまり気にしておりませんでした』
食べたのが一粒だけだったのが良かったのだろうが、料理長は真っ青になって責任を取ると泣き叫んでいる。
「薬師ギルドの情報で利用できそうな薬草をかき集めてきたわ。効能はそれぞれの袋に書いた説明書をつけてあります。現時点で分かっている過去の治療記録もこの中に。すぐに王宮に送ってくれる?」
できる事ならアメリア自身が届けて様子を確認したいが、今は国境とディクセン・トリアリア連合王国の、戦闘部族ハザラスの様子が最優先だと諦めている。
「ディクセン・トリアリア連合王国との国境の様子は?」
「アメリア様の仰る通りでした。昨日の段階では特に変わった様子はなかったのですが、農民に化けた奴らが荷馬車で集まりはじめています。ハザラスの特徴である三つ編みを、フードで隠しているのを確認したので間違いありません。
奇襲を狙っているなら今夜、大掛かりな侵攻なら明日の夜あたりでしょう」
その時の狙いはこの屋敷。次期当主のアメリアを殺り、指揮が総崩れになるのを狙っているはず。
「領民の避難は?」
「国境に近い村からすでに進んでいますが、今夜となると間に合わない可能性が高いです。家財は後で保証すると伝えてありますが、持ち出したい物は多いですから」
ビルワーツ侯爵家は兵士の数と練度の高さで、領地に踏み込ませたことが一度もない。長い年月をかけて築かれた高い塀は領民を守り続け、訓練された兵士たちは安心感を与えてきた。
塀の外は見晴らしの良い大地が広がり、その向こうに見える森に奴等は潜んで時を待つのが定石。
(領民はビルワーツが必ず守ってくれると信じている。それをわたくしの力不足で終わらせるなんて許さないわ)
「今回のように兵士の数が少ない戦いは初めてですから、ある程度の被害は致し方ないです。ここに残っている者達を信じてください」
アメリアの心の中を読んだようにオリバーが釘を刺してきた。
「⋯⋯魔力持ちをこの屋敷に集めてくれる?」
「何をするおつもりですか? 無茶を考えてませんよね?」
ルイが片目を細くして警戒したような声で聞いてきた。アメリアがすぐ無茶をするのは知ってるぞと言わんばかりに、少し威嚇している気もする。
「魔導具に魔力を充填し終わったら転移して、奴等に吠えずらをかかせてやるわ。
奇襲をかけるのはわたくしの方⋯⋯二度とビルワーツを舐めたくなくなるように、死ぬほど反省させてやる。
ルイはディクセン・トリアリア連合王国に転移してハザラスの事を報告してきて。しっかり手綱を握っていなかった国王から言質を取ってきてね。
オリバーには全権を委任します。わたくしが奇襲をかけた後の兵の指揮やここを任せるから、兵士と領民達への指示をよろしく。それと、お父様への報告はわたくしが転移してからにして。
お父様とお母様が戻られるまで絶対に守り抜くわよ」
魔導具ギルドに行ったアメリアは、攻撃用魔導具を大量に仕入れてきた。
『大規模と小規模の両方が欲しいの。一括で支払うからできる限りかき集めて。ただし、不発なんてあったらギルドをつぶしに来るわよ』
「まさか、一人で行く気じゃないですよね! 魔力が充填してあるなら俺が奇襲を掛ければいい。んで、アメリア様が連合王国に怒鳴り込んでくれれば⋯⋯」
「魔導具の扱いはこの中でわたくしが一番詳しいわ。それに使い方を説明してる時間はないし、危険だと判断したらすぐに転移して戻ってくるから大丈夫」
魔法は使えないが魔力はこの領内で一番多いアメリアなら、転移の魔導具に複数回魔力を充填できる。ルイは2回が限界でオリバーは充填できない。
「適材適所ってやつよ。さあ、早く薬草を届けて来て」
オリバーの部下が薬草を届ける間に、魔導具の魔力充填が続けられた。ルイは避難する領民の元に向かい、オリバーは兵士達に指示を与えている。
アメリアは委任状を準備し、クラブスアイの毒に詳しい医師の名前や連絡方法を書き出し、連合王国への書状を認めた。
ハザラスの行動が、ビルワーツ侯爵領への侵略を目的としていると判明した場合、自衛の為に軍事行動を行う。連合王国の総意であるのであれば⋯⋯。
『そっちがやる気なら徹底的に潰してやる。国もビルワーツを敵に回したいの?』を婉曲に書いておいた。
その後、執事のジョーンズを呼んでレイモンドから預かった金庫の鍵を差し出した。
「わたくしが帰ってくるかお父様が戻られるまでこれを預けます。領民と兵士についてはオリバーに一任するけれど、それ以外はジョーンズに任せます。魔導具ギルドからものすごい額の請求がくるので、即金で支払ってください。大人買いして来たの」
ハザラスはかなり過激な武闘派の部族で、今まで一度も連合王国のトップになれたことがない。現在の国王は穏健派で知られる別の部族出身だが、長い間穏健派の国王ばかりなのが気に入らないのだろう。
敵の人数や戦闘能力が判明する前に奇襲すると決めたなら、多少の危険は覚悟しなければならない。
「ハザラスを潰して領地の安全が確保できれば、お母様の治療状況を確認に行けるようになるわ。それが出来たらお父様の代わりにわたくしが国境の防衛に回るつもりなの。だから、後のことは頼みます」
「⋯⋯畏まりました。アメリア様は一度言い出したら聞いてくださいませんから⋯⋯ただし、その計画を成功させる為にはアメリア様の無事が必須だと覚えておいてください。セレナ様の治療にはアメリア様の知識と情報網が必要ですし、レイモンド様の代わりに指揮を取れるのもアメリア様だけ。
怪我をしている余裕はありませんからね」
大きく頷いたアメリアは机の上を片付け、自室に戻り戦闘準備をはじめた。
「あの、今いいかな?」
部屋のドアがノックされ、ニールの声が聞こえた。
「鍵は開いてるから、どうぞ入って」
ゆっくりと開いたドアから、うつむき加減で入って来たニールは、黙りこくったままソファに座り込んだ。
「何かあった?」
「⋯⋯何か⋯⋯何かじゃないだろ? オリバーから聞いたけど、奇襲をかけるって本当に?」
ニールは下を向いたままボソボソと質問を投げかけた。何度も手で掻きむしったらしく、髪が乱れ膝が震えているのは、今の状況が恐ろしいからだろう。
「義父上は戦争中で、義母上は毒で倒れてるのに、アメリアは単独でハザガスに奇襲をかけるってあり得なくない?」
「知ってると思うけど、今この領の兵士は普段の3割程度しかいないの。ハザラスが他の部族も連れて来たら多分勝てないから、その前に手を引かせなくちゃならない。兵士は国境沿いに待機するから、別にひとりで行くわけじゃないし」
戦いと縁遠かったニールの不安を煽らないよう、言葉を選んで説明したがニールは気に入らなかったようで、バンッとコーヒーテーブルを叩き大声で叫びはじめた。
「だったら、逃げればいいじゃないか!? 少なくともアメリアが出る必要なんかないじゃないか。女が奇襲とか意味が分からない! オリバーもルイも他の奴らだっている。なんで女のくせにそんな偉そうなんだよ!!
いつもいつも自分ばっかり目立とうとして、そんなに偉ぶりたいのかよ!
どうせバカにしてるんだろ? お前なんか役に立たないって⋯⋯そうだよ! 役になんか立たないし、役に立ちたいとも思えない。こんな⋯⋯こんな危険な場所だなんて思わなかった。ビルワーツは鉱山があって金持ちで、悠々自適で暮らせるって⋯⋯。
奴等が攻めて来たらどうしてくれるんだよ。ずっと安全なとこで暮らしてたのに⋯⋯終わるまで俺は子爵家に帰らせてもらうから!」
「分かったわ⋯⋯途中危険な地域があるから、護衛に誰か出すようオリバーに伝えて。見送りはできないけど、気をつけて」
ビルワーツ領からニールの実家に行く間には、暴徒が暴れている箇所がある。このまま屋敷にいた方が安全だと思ったが、話しても理解してもらえそうな気がしない。
(結局みんなビルワーツの資産狙いなのね)
一般的な薬物であればセレナも知識はあるが、アメリアは大学で医学を学び薬師ギルドとも親交を深めている。
「女性で医学を学んでいるとは珍しいな」
「1校だけ女性を受け入れている医学校があって、そこに行きたいと言い出しまして。
セレナは毒を無効化する魔導具を常に身につけていますから、今回使われたのは一般的な毒ではないはずです。恐らくアメリアは毒の治療法を探している⋯⋯今はそれに賭けるしかありません」
会議を終わらせて砦に向かい、見張りの兵士から状況を聞いていたレイモンドは、ふと胸騒ぎを覚えた。
(セレナの体調が急変したのか? なんだか途轍もなく嫌な予感がする⋯⋯アメリアはもう毒の解析を終わってるだろうか)
マーカス達の調べで、ガランティーヌが載せられていた皿に残っていた粒が問題の毒物だと判明した。王宮医師達はクラブスアイを知らなかったようで、ただの香辛料だと思っていたらしい。
「犯人は2年前に雇われた料理人の一人で、ガランティーヌに添えるオレンジソースを提案したのもその男でした」
鮮やかなオレンジ色の中に漂う赤と黒の粒は美しく、料理長が許可を出した。
『いつもの香辛料をすり潰す前のものだと言われました。一粒食べてみましたがオレンジソースとの相性も良く⋯⋯その後の体調ですか? いえ、特に問題はないです。あっ、一度腹を壊しました。
元々、冷えると腹を壊す方なんで、あまり気にしておりませんでした』
食べたのが一粒だけだったのが良かったのだろうが、料理長は真っ青になって責任を取ると泣き叫んでいる。
「薬師ギルドの情報で利用できそうな薬草をかき集めてきたわ。効能はそれぞれの袋に書いた説明書をつけてあります。現時点で分かっている過去の治療記録もこの中に。すぐに王宮に送ってくれる?」
できる事ならアメリア自身が届けて様子を確認したいが、今は国境とディクセン・トリアリア連合王国の、戦闘部族ハザラスの様子が最優先だと諦めている。
「ディクセン・トリアリア連合王国との国境の様子は?」
「アメリア様の仰る通りでした。昨日の段階では特に変わった様子はなかったのですが、農民に化けた奴らが荷馬車で集まりはじめています。ハザラスの特徴である三つ編みを、フードで隠しているのを確認したので間違いありません。
奇襲を狙っているなら今夜、大掛かりな侵攻なら明日の夜あたりでしょう」
その時の狙いはこの屋敷。次期当主のアメリアを殺り、指揮が総崩れになるのを狙っているはず。
「領民の避難は?」
「国境に近い村からすでに進んでいますが、今夜となると間に合わない可能性が高いです。家財は後で保証すると伝えてありますが、持ち出したい物は多いですから」
ビルワーツ侯爵家は兵士の数と練度の高さで、領地に踏み込ませたことが一度もない。長い年月をかけて築かれた高い塀は領民を守り続け、訓練された兵士たちは安心感を与えてきた。
塀の外は見晴らしの良い大地が広がり、その向こうに見える森に奴等は潜んで時を待つのが定石。
(領民はビルワーツが必ず守ってくれると信じている。それをわたくしの力不足で終わらせるなんて許さないわ)
「今回のように兵士の数が少ない戦いは初めてですから、ある程度の被害は致し方ないです。ここに残っている者達を信じてください」
アメリアの心の中を読んだようにオリバーが釘を刺してきた。
「⋯⋯魔力持ちをこの屋敷に集めてくれる?」
「何をするおつもりですか? 無茶を考えてませんよね?」
ルイが片目を細くして警戒したような声で聞いてきた。アメリアがすぐ無茶をするのは知ってるぞと言わんばかりに、少し威嚇している気もする。
「魔導具に魔力を充填し終わったら転移して、奴等に吠えずらをかかせてやるわ。
奇襲をかけるのはわたくしの方⋯⋯二度とビルワーツを舐めたくなくなるように、死ぬほど反省させてやる。
ルイはディクセン・トリアリア連合王国に転移してハザラスの事を報告してきて。しっかり手綱を握っていなかった国王から言質を取ってきてね。
オリバーには全権を委任します。わたくしが奇襲をかけた後の兵の指揮やここを任せるから、兵士と領民達への指示をよろしく。それと、お父様への報告はわたくしが転移してからにして。
お父様とお母様が戻られるまで絶対に守り抜くわよ」
魔導具ギルドに行ったアメリアは、攻撃用魔導具を大量に仕入れてきた。
『大規模と小規模の両方が欲しいの。一括で支払うからできる限りかき集めて。ただし、不発なんてあったらギルドをつぶしに来るわよ』
「まさか、一人で行く気じゃないですよね! 魔力が充填してあるなら俺が奇襲を掛ければいい。んで、アメリア様が連合王国に怒鳴り込んでくれれば⋯⋯」
「魔導具の扱いはこの中でわたくしが一番詳しいわ。それに使い方を説明してる時間はないし、危険だと判断したらすぐに転移して戻ってくるから大丈夫」
魔法は使えないが魔力はこの領内で一番多いアメリアなら、転移の魔導具に複数回魔力を充填できる。ルイは2回が限界でオリバーは充填できない。
「適材適所ってやつよ。さあ、早く薬草を届けて来て」
オリバーの部下が薬草を届ける間に、魔導具の魔力充填が続けられた。ルイは避難する領民の元に向かい、オリバーは兵士達に指示を与えている。
アメリアは委任状を準備し、クラブスアイの毒に詳しい医師の名前や連絡方法を書き出し、連合王国への書状を認めた。
ハザラスの行動が、ビルワーツ侯爵領への侵略を目的としていると判明した場合、自衛の為に軍事行動を行う。連合王国の総意であるのであれば⋯⋯。
『そっちがやる気なら徹底的に潰してやる。国もビルワーツを敵に回したいの?』を婉曲に書いておいた。
その後、執事のジョーンズを呼んでレイモンドから預かった金庫の鍵を差し出した。
「わたくしが帰ってくるかお父様が戻られるまでこれを預けます。領民と兵士についてはオリバーに一任するけれど、それ以外はジョーンズに任せます。魔導具ギルドからものすごい額の請求がくるので、即金で支払ってください。大人買いして来たの」
ハザラスはかなり過激な武闘派の部族で、今まで一度も連合王国のトップになれたことがない。現在の国王は穏健派で知られる別の部族出身だが、長い間穏健派の国王ばかりなのが気に入らないのだろう。
敵の人数や戦闘能力が判明する前に奇襲すると決めたなら、多少の危険は覚悟しなければならない。
「ハザラスを潰して領地の安全が確保できれば、お母様の治療状況を確認に行けるようになるわ。それが出来たらお父様の代わりにわたくしが国境の防衛に回るつもりなの。だから、後のことは頼みます」
「⋯⋯畏まりました。アメリア様は一度言い出したら聞いてくださいませんから⋯⋯ただし、その計画を成功させる為にはアメリア様の無事が必須だと覚えておいてください。セレナ様の治療にはアメリア様の知識と情報網が必要ですし、レイモンド様の代わりに指揮を取れるのもアメリア様だけ。
怪我をしている余裕はありませんからね」
大きく頷いたアメリアは机の上を片付け、自室に戻り戦闘準備をはじめた。
「あの、今いいかな?」
部屋のドアがノックされ、ニールの声が聞こえた。
「鍵は開いてるから、どうぞ入って」
ゆっくりと開いたドアから、うつむき加減で入って来たニールは、黙りこくったままソファに座り込んだ。
「何かあった?」
「⋯⋯何か⋯⋯何かじゃないだろ? オリバーから聞いたけど、奇襲をかけるって本当に?」
ニールは下を向いたままボソボソと質問を投げかけた。何度も手で掻きむしったらしく、髪が乱れ膝が震えているのは、今の状況が恐ろしいからだろう。
「義父上は戦争中で、義母上は毒で倒れてるのに、アメリアは単独でハザガスに奇襲をかけるってあり得なくない?」
「知ってると思うけど、今この領の兵士は普段の3割程度しかいないの。ハザラスが他の部族も連れて来たら多分勝てないから、その前に手を引かせなくちゃならない。兵士は国境沿いに待機するから、別にひとりで行くわけじゃないし」
戦いと縁遠かったニールの不安を煽らないよう、言葉を選んで説明したがニールは気に入らなかったようで、バンッとコーヒーテーブルを叩き大声で叫びはじめた。
「だったら、逃げればいいじゃないか!? 少なくともアメリアが出る必要なんかないじゃないか。女が奇襲とか意味が分からない! オリバーもルイも他の奴らだっている。なんで女のくせにそんな偉そうなんだよ!!
いつもいつも自分ばっかり目立とうとして、そんなに偉ぶりたいのかよ!
どうせバカにしてるんだろ? お前なんか役に立たないって⋯⋯そうだよ! 役になんか立たないし、役に立ちたいとも思えない。こんな⋯⋯こんな危険な場所だなんて思わなかった。ビルワーツは鉱山があって金持ちで、悠々自適で暮らせるって⋯⋯。
奴等が攻めて来たらどうしてくれるんだよ。ずっと安全なとこで暮らしてたのに⋯⋯終わるまで俺は子爵家に帰らせてもらうから!」
「分かったわ⋯⋯途中危険な地域があるから、護衛に誰か出すようオリバーに伝えて。見送りはできないけど、気をつけて」
ビルワーツ領からニールの実家に行く間には、暴徒が暴れている箇所がある。このまま屋敷にいた方が安全だと思ったが、話しても理解してもらえそうな気がしない。
(結局みんなビルワーツの資産狙いなのね)
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