【完結】子供を抱いて帰って来た夫が満面の笑みを浮かべてます

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29.フォレスト公爵に期待大

 フォレスト公爵様との待ち合わせはマーベル伯爵家から馬車で20分程度のところにあるカフェで、わざわざお店を貸切にしてくださったので周りを気にせず話ができそうです。

 ターニャや数人の護衛と昨日と同じ秘書官もいますから誰かに見られても問題ありません。

「昨日は申し訳ありませんでした」

 開口一番フォレスト公爵様が深々と頭を下げたのに気付いた秘書官のコナー氏が睨んでいます。

「声をかけていただいて助かりました。あの後何か不快な思いをされていないか心配でしたし、子供達の様子も知りたいと思っていました」

 社交辞令とは思えない真剣な表情をしておられます。このご様子なら話を聞いていただけるかもしれないと期待してしまいます。

「こちらこそお忙しいところお時間をいただきありがとうございます。わたくしの事はリリスティアとお呼びくださいませ。
あまり長居ができませんので本題に入らせていただいても宜しいでしょうか」

「勿論です。私の事はノアと呼んでいただければと思います。相談があると伺いましたがどういった内容でしょうか」

「お名前は⋯⋯ご容赦くださいませ。偽造書類が提出されていたのは驚いてしまったのですが⋯⋯マーベル一家への刑罰でお願いがございます」

「⋯⋯手心を加えろとか減刑をと言うのでなければ手伝えることがあるかもしれません。必ず聞き届けるとは言えなくても良ければお聞きします」

 慎重な返答に信頼感が持てます。安易な返事をされる方は信用できません。

「減刑どころか思う存分⋯⋯と思っておりますの。わたくしのお願いは子供達のことでございます。マーベル伯爵夫妻やステファン様が子供達の事をどのように思っているかお聞きになられ、フォレスト公爵閣下はどのように思われましたでしょうか?」

「正直言ってあり得ないと思いました。選民主義と人権無視⋯⋯人として最低の行為です」

「幼児虐待の証拠を持っております。医師の診断書以外にメイドの証言もあります」

 ケニス先生の書いた診断書とハンナが目撃した虐待の報告書をコナー氏に渡しました。コナー氏から渡された資料を読み進めるごとにフォレスト公爵様の眉間の皺が深くなっていきます。

「たった2日でこの診断書を?」

「はい。子供達に初めて会ったのは一昨日でしたが、虐待されている子供だと直ぐに分かりました。ラングローズ子爵家の伝手を使い、昨日の午後秘密裏に診察を受けさせましたの」

「すぐにわかるほどだったのですか?」

「幼い頃から定期的に孤児院に慰問に行っておりましたので、色々な子供に出会う機会が多かったのが功を奏したと申しますか。たまたま気付いたと言うべきかもしれません」

 お母様を早くに亡くしお兄様とは10も歳が離れているわたくしは物心つく前から大人しかいない中で暮らしておりました。

 お父様は仕事が忙しく子供同士の付き合いに連れて行くことも出来ないからと言う理由で毎週通わされていたのが子爵領内の孤児院でしたので、慰問というよりもお友達と遊ぶために行っていたようなものです。

 学園に通うようになっても休みの日には孤児達と遊んだり手伝いをしておりました。わたくしにとって第二の我が家のような場所だったと思います。


「この書類を元に幼児虐待の罪も加算させていただいてもかまいませんか? 虐待は重罪ですから」

「はい、わたくしもそのつもりで準備しておりました。裁判所命令でマーベル一家やビビアン様に子供達との接見禁止命令を出していただく事は可能でしょうか? もしそれが可能であれば⋯⋯子爵家で引き取りたいのです。それが無理なら子爵領内の孤児院でも構いません。
ビビアン様の家族関係は存じませんしわたくしは血の繋がりも何もなく⋯⋯でも、誰よりも2人の幸せを願っております。
子を育てたこともないわたくしでは信用されないと思いますが、孤児院の近くに住んでも良いと思っております。お父様にはまだ許可を貰っておりませんが資金他の援助して下さるのは間違いありません」

「たった数日の関わりでそこまで」

 フォレスト公爵様が不思議そうな顔をしておられますがわたくしも同じ気持ちです。

「人の縁と言うのでしょうか。もしかしたら一目惚れかもしれませんね。グレッグとチェイスの幼い笑顔に惹かれてしまいましたの。途中で投げ出さない自信はありますわ」

「お話し中失礼致します。リリスティア様の『投げ出さない・最後まで責任を持つ』は私自身が保障致します。孤児だった私を拾い上げてくれた方ですし、子爵家には他にも何人か同じように拾われた者がおります」

 ターニャが後押ししてくれるなんて嬉しい限りです。

「リリスティア様の拾いぐせはラングローズ子爵も承知しておられます」



 えーっと、もしかして⋯⋯応援ではなくディスられたのでしょうか。

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