【完結】初めて嫁ぎ先に行ってみたら、私と同名の妻と嫡男がいました。さて、どうしましょうか?

との

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9.ストマック辺境伯の困惑

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「分からない? どう言う事だ?」

「あちこちで聞き込みをしましたが、口が固いのか長い間別のところに住んでいるのか。
どちらにせよ何の情報も手に入らなかった様です」

「役立たずめ、別のやつに頼んだらどうだ?」

「もうあまり時間がございません。髪色は何かで誤魔化すしかないでしょう」


「そうか、まぁ3年前の記憶だしな。
トマスの方はどうだ?」

「トマスはいつも通り工房と家を行き来しております。
一緒に暮らしているアニーもちょくちょく出歩いておりますので、簡単ではないかと」


「では謁見の3日前に決行だ」

「前日がよろしいのでは? 人一人監禁するとなるとそれなりに危険が伴います。
時間が短ければ短いほど良いかと」

「そうか、そうだな。よし、前日必ず捕まえろ」



 偽のアナベルと共に辺境伯領を出発したが、アナベルは馬車の中で文句ばかり言っている。

「王都に着いたら新しいドレスを新調したいと言ったではありませんか。
なぜいけませんの? 辺境伯と結婚して2年も経ちますのに、王宮も王都も今回が初めてなんですのよ」

「だから、謁見後にしてくれと言っているんだ。
買うなとは言ってないだろう?」


「それでは謁見の時のドレスは如何なさるおつもりですの?
まさか、今あるもので適当にしろと仰るの?」

「今回はそれで頼む。出来る限り地味にしてくれ。理由は分かっているだろう?」


「平民のふりをしろと仰るのですよね」

 ダイアンはお前も元は平民だろうが! と言いたい気持ちを押し殺した。

「女男爵だ、忘れないでくれ」

「ふん、男爵なんて平民と変わりませんわ」


「それより絵付けの知識は覚えたのか?」

「そんなもの、子供の色遊びと同じでしょう? 大したことありませんわ」

「磁器についての本を渡したのは読んだのか?」

 偽のアナベルが横を向いた。

「・・私が字が読めないので馬鹿にしてらっしゃるのね」

「まだ覚えてなかったのか! 家庭教師をつけただろうが」

「口煩いのですぐに辞めさせました」


「なんて事だ。陛下の前であれこれ聞かれたらどうするつもりだ」


「たかがお絵かきに何をそんなに神経質になっていらっしゃるのか、本当に情けない」


「・・そのお絵かきだがな、皿一枚でお前が胸につけている宝石が買えるんだぞ。
それも一つじゃない」

「まさか、そんな事を信じていらっしゃるなんて」

「本当だとも、だから私はアナベル・ラッセルと結婚したんだ。
金のなる木だからな。いや、黄金のなる木だ。
王侯貴族はアナベル・ラッセルの磁器をいくつ持ってるかで社交界での立ち位置が変わるとまで言われてるんだ」




「社交界に縁遠いあなたは、一つも持っておられませんものね」

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