【完結】何度出会ってもやっぱり超絶腹黒聖職者

との

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一回目 (過去)

109.お子ちゃまにお仕置き

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「しっ執事のネイサンと申します。本日はようこそおいで下さいました?」

「まあいいだろう。ほら、やってみろ。執事に負けてるぞ」

 相変わらず首根っこを掴んだままのナザエル枢機卿がハリーを揺さぶった。

「ぐえっ! とっ、当主のハリー・ノールケルト子爵と申します。本日はようこそおいで下さいました!!」

 ヤケクソで名前を名乗ったハリーは涙目でナザエル枢機卿を睨んでいるが、ハリーを掴んだままのナザエル枢機卿はご機嫌で挨拶を返した。

「よし、俺は精霊教会枢機卿のナザエル、後ろにいるのはローザリア様。ナスタリア神父と護衛のニール達だ」

「あっ、紹介略した~!」


 目を眇めたナザエル枢機卿が片膝をついてハリーをうつ伏せに抱え込んだ。


 パン、パン、パン、パン、パン、パン、⋯⋯


「痛え、やめろ! 何するんだよ!!」

「お仕置きにケツを叩いてる。まだ10回もやってないがな。来客に真面な対応もできん奴はお子ちゃまと一緒だろ? 子爵が聞いて呆れる」




 ナザエル枢機卿の手から逃げ出し部屋の隅で小さくなって睨むハリーと途方に暮れるネイサン。胡座をかいて座り込んだナザエル枢機卿はパンっとひとつ手を叩いて話しはじめた。

「さて、ようやく話が進めそうだ。何がどうなってるか話を聞きたい。まずは⋯⋯この部屋には何故何もないんだ?」

 ハリーとネイサンが顔を見合わせた。

「かっ、金がないから売った」

「酒と女を買う金はあるのにか? まあいいだろう。で、ハリーは何歳でいつ子爵になった?」


 ハリー・ノールケルト子爵19歳。前子爵と娼婦の間にできた一人息子で、半年前に父親が亡くなり子爵位を継ぐまでは別の街で暮らしていた。
 小銭を稼いでは遊び呆け気楽な日々を送っていた。ネイサンは幼馴染でいつも一緒につるんでいた。

「母ちゃんはとっくに別の男と逃げてるし、領地持ちの貴族なら贅沢できると思ってきたんだ。まあ、ちょうど俺もネイサンもちょっとヤバくてさあ、ねぐらを変えたかったし。
そしたら屋敷はボロボロで借金まみれ。街はあんなだろ? ふざけんなって」

「つまりお前達はヘマをやって逃げ出し、金目当てにここへ転がり込んだ。だが、現状を知って当てが外れ遊び呆けてた」

「え~、そんなふうに言うとさぁなんか俺達悪い奴っぽいじゃん。ネイサンも俺も健気~に生きてきたのにさぁ。
俺達親に逃げられて、こーんなちっこい頃から頑張ってきたんだよ。なぁ、ネイサン」

 こーんなと言いながら親指と人差し指を4インチ10センチ位くらい離して見せつける。

 領主としての必要な知識がないどころか恐らくは文字も読めず計算もできないのではないだろうか。


「金はねえし街はゴロツキだらけ⋯⋯俺らにどうしろって言うんだよ」

「知ったこっちゃない⋯⋯と言いたいところだが、領地経営する気がないんなら爵位を返上すりゃあいい。お前達は真面目に働き俺達は水不足を何とかして次の目的地に移動する」

 簡単な話だと言わんばかりに肩をすくめるナザエル枢機卿。


「簡単に言うよなー。アンタみたいに偉そーに護衛引き連れてロリコン遊びしてる奴に言われてもねえ。
どーせ教会の金で優雅に暮らしてんだろ? よくわかんねえけど枢機卿とかってすっげえ偉そうじゃん」

「ツッコミどころ満載だな。ったく」

 はぁ~と気の抜けたような溜め息をついたナザエル枢機卿は頭をガシガシ掻いた。


「あの、ナザエル枢機卿はこの街の水不足解消に来られたんですよね。それやったら少しはマシになりますか?」

「⋯⋯マシって言われてもなあ。この街はクソが集まりすぎてて話にならん」

「ですよねぇ」

 がっくりと肩を落としたネイサンが座り込んだ。


「こいつ平民学校行ったからさ、俺より学があんだよね。なあ、コイツだけでも雇ってくんねえかな?」

 ハリーはろくでなしだが友達思いではあるらしい。

「そしたらこんな街出てって前みたいにのんびり暮らすよ。その方がめっちゃ気楽だし」

「ハリー! お前、俺がいなかったら生きてけねえだろうが! 名前も真面に書けねえし、足し算だって」

「足し算くらいできるわ!」

「だったら58足す41はいくつだ!?」

「数字がデカすぎんだろうが!」

 幼稚な喧嘩を見ながらローザリアは一生懸命頭の中で足し算していた。

(えっと、ん? いくら?)




「交換条件ってわかるか?」

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