会社を1週間で辞めた新人がアングラパーティーの主催者でした

塔野とぢる

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地下の狂宴

再会

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彼に教えた電話番号は、仕事用ではあるが、会社支給のものではない。なんならエロい店に予約する用の端末としても運用していた俺は、危ない店を利用してしまった可能性に思い当たり、近頃の夜遊び事情を振り返った。

しかしながら、大手グループの有名店しか利用した記憶はなく、そのメッセージは不気味に映った。

ブロック設定をする操作の途中で、追撃のメッセージが来た。

「あ、遊佐です。薗田そのださんにご迷惑はかけないので」

マッハで退職したことが既にたいそうご迷惑なのだが、見知らぬ業者よりはマシだった。

そして点と点は繋がる。正味送別会となったあの歓迎会の、深夜の会話。彼は会社の歴史に異常なほど詳しかった。おそらく僕よりも。とりわけ黎明期のとある事業についてだ。

面接でも一切そんなアピールはしなかったというのに、彼はその、我が社が黎明期に運営していた、いわゆる「アングラ掲示板」の往時の盛り上がりについて、熱く語ってみせた。

紫屍鬼部むらさきしきぶ さんがもう関わってないことがわかったんで、もう居る意味ないなって」

今でこそ閉鎖され、ネットどころか社内からもその痕跡を抹消されたアングラ掲示板「幻時げんじ」。彼はかつてそのヘビーユーザーであり、そこでの活動に端を発したある事業を今も行なっているという話だった。

そこまで思い出せばあとは想像がついた。彼は元々アングラ世界の住人だったのだ。そして我が社にその残り香を追い求め、門を叩いた。きっとアクセス権限を得た際に、深いところまでデータをサルベージしたのだろう。彼の実力は僕以上ある可能性もあり、つまりそれは僕が知り得ない情報まで行き着いた可能性も示唆していたが、その点については気づかないふりをしたい。責任問題になったら困るからだ。

彼が僕の何に興味を持ったのかわからないが、僕は朝まで「幻時」のトークに付き合わされた。ポルノ作品や乱交パーティーの開催、違法薬物や人身の売買まで。今で言うディープ・ウェブで行われる闇取引が、暗号付きの掲示板内部で盛んに行われていたらしい。

人並みに性欲があり、どちらかと言うと好奇心旺盛な俺は、表社会で繋がったという一点を拠り所として、彼の招待を受けることにした。



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